「урааааааааааааааааааа!!」
アメリカがGA社との戦闘が始まった頃、極寒の大地でも戦争が巻き起こっていた。テクノクラート社とロシア連邦の戦争である。
「進め!進め!進め!」
ここでもISより先に通常戦力が投入されていた。最もその数はアメリカが可愛く思えるほどの物量。大地は兵士と戦車で埋め尽くされていた。空にも大量の戦闘ヘリに戦闘機とたかが1企業には過剰にも程がある戦力が投入されていた。
テクノクラートside
「現在我が社に向けてロシア軍が進軍中です。今のところISは確認されていません」
「いつの時代も強力な兵器ほど出し惜しみ、貧弱な歩兵が散っていくのだな」
「しかし彼等を倒さないという選択肢はありません」
「だな。AFの準備をしろ」
「ダー!」
テクノクラート社は自社のAFを持っていない為GA社からランドクラブの供給を受けていた。しかしそこはロシア企業、一機だけ発注するとコピーを量産したのだ。その数何と30。ただオリジナルと違いスペックは多少落ちているもののその一番の特徴は換装された兵装である。3連装砲を全て下ろしロケットを大量に敷き詰めたのだ。その数一機当たり数百というとんでもない数であった。
ロシア陸軍side
「ようやく見えてきたな、テクノクラート社。ん?ありゃあなんだ?」
彼らの行く手を阻んだのは魔改造AFである。それから‥‥‥
シュババババババババババババババババババババ!!!
鉄の雨。そう表現するのが正しい圧倒的物量。ロケットしか録に作れず売れないテクノクラートは大量のロケットの在庫を抱えていたためこれ幸いと全て投入したのだ。
「う、うわああああああ!てっ、撤退w」
ズダーン
「貴様は戦場から逃げようとしている。逃亡者は銃殺される」
撤退もできず、彼らは空から降り注ぐロケットをただ見るしかなかった。
ロシア空軍side
「大量の飛翔体を確認!チャフ、フレア展開!」
戦闘機と戦闘ヘリは一斉にチャフ、フレアを展開した。しかし‥‥
ズガン!ズガン!ズガン!
次々に着弾するロケット、それもそのはずロケットは無誘導の為チャフ、フレアは一切通用しないのだ。誘導出来ないため命中率は低いものの大量に撃てばその欠点も無くなる。中々に凶悪であった。また誘導できない都合上破壊力はミサイルを大きく上回っておりここで初めてロケットも強力な武器であることが証明された。
ロシア上層部side
「投入した戦力はほぼ壊滅です。どうしますか?」
「仕方ない。 ISを投入しろ」
「ダー!」
テクノクラートside
「敵戦力の壊滅を確認。これからどうしますか?」
「20機のランドクラブを残して10機を前進、政府建物に照準を合わせておけ。いくら命中率が悪いとはいえ固定目標なら外すまい?」
「当然です!」
「十中八九相手はISを投入するだろう。それを撃破した後一発だけ政府建物に撃ち込め。絶対に当てるな。所謂警告射撃というやつだ。いつの世も上の連中は自分自身に危険が及ぶと弱腰になるものだ」
「ダー!」
ロケットの特徴は火力だけではない。その長い射程も強みであり、ロケットを極めたテクノクラートにとって動く相手ならいざ知らず固定目標なら百発百中であった。
テクノクラートAF部隊
「IS確認」
「一斉射撃開始!」
シュババババババババババババババババババババ!
ロシアIS部隊
ロシアらしくIS部隊もかなりの数だった。ただコアが限られている以上その数はたったの5機、それでもIS部隊の数としては多い方であった。
「ISが5機ね~。過剰にも程があるんじゃない?」
「その分さっさと終わらせるわよー。帰ってウォッカが飲みたい」
「このアル中め!」
「ん?あれは!全員回避行動!ロケットにチャフ、フレアは通用しないわ!」
「無誘導兵器に当たるわけ無いじゃない!」
確かに当たらないだろう。普通なら。ただし覚えているだろうか?何も爆発するだけがロケットではないことを。
ピカッ!
混ざっていたフラッシュロケット。それに驚き回避行動が止まったのが運のつき、2機落ちてしまった。が、
「ロケットを狙い打ちなさい!」
ズガガガガガガーーーーン!
集中砲火が仇となり全てのロケットが誘爆してしまったのだ。ランドクラブまで遮るものは何もなし、勝負は決まった、かに思えた。
「ハラショーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
非常にやかましい男の声が響いたかと思うとISが2機、一瞬で破壊された。
「何!?」
そこにいたのは一機のISが玩具に見えるほど巨大なロボットであった。
「えぐらせてもらうで、IS共」
そのロボットの両手には人間が入ってしまいそうなほど巨大な杭が付いていた。煙が出ているのを見るに2機のISはこれにやられたのだろう。見れば絶対防御を貫通し腹部からは大量に出血していた。
「よくも仲間を!!」
ライフルを撃ちながら突撃するもなにやら緑色の閃光が迸り弾は彼に届いていなかった。それを確認するや否やブレードに持ち換え切りかかった。が、
「遅い」
ドヒャアドヒャア
独特の、隆彦のISよりも遥かに大きな音が響くと目の前からその巨体が消え去った。
「いったいどこに?」
「後ろじゃ」
「ッ!」
慌てて振り向きブレードで防ごうとするも
ズガン!
ブレードは叩き折られ勢いそのままにロボットの振り下ろした巨大なブレードはISを粉微塵に破壊した。
「っぐう!」
かろうじて、生命維持機能により息のある女性に対して
「寒いか?じゃがそれもじきにのうなる‥‥‥‥チッじゃけえ女は好かんのじゃ。そっちから襲ってきたのにそがいな顔すんなや」
そう言ったド・スはこれまた独特のヒュオーンという音と緑色の何かを残して飛び去った。
政府中枢部
「IS部隊全滅です」
「!?」
「正体不明の機体が出てきて手も足も出なかったと。またパイロットは重症につき保護したとテクノクラートから連絡が‥‥」
「ぐぬう。ならば‥‥‥」
次の言葉を放とうとした瞬ドスッという鈍い音と共に間政府建物の側に一発の不発弾のロケットが突き刺さった。それは政府中枢部にロケットが届くということを示していた。
「悔しいが降伏しよう。ここまで届くということはもはや我々に勝ち目はない」
「‥‥‥分かりました」
ロシア、降伏
テクノクラートside
「ロシア連邦が正式に降伏してきました」
「首の皮一枚繋がったか‥‥‥」
というのもこの戦争決してテクノクラート有利ではなかった。保有ロケットは現在ランドクラブにあるので全てだし、本社には防衛システムは何も無かった。
「ド・スに助けられたな。しかしネクストは強いな。現状ISさえも蹂躙とは」
「しかしコジマ粒子を使ったため汚染の処理をしなくてはなりませんが‥‥」
「それも除染機を使えば問題ない。ISパイロットは?」
「我が社の緊急治療室にて治療中です。命に別状はありません」
「あれだけ出血してたのにか。やはりISはすさまじいな」
「まあ元々宇宙活動を目的にしてましたから生命維持に関しては何よりも優れてます」
「宇宙活動目的が今じゃあ立派な兵器か‥‥人間そう変わらんな。我々も同じだ。破壊の為だけにネクストは開発されたからな。その点では汚染の心配がないISの方がまだマシなのかもしれん」
「ですね」
いつの世も優れた技術は戦いに用いられる。コジマ粒子もその莫大なエネルギーを生かして最初に設計されたのが兵器であった。
ロシア編、1話で終わらせました。そのせいで少々文字数が増えてしまいました。遂にネクスト登場です。ISを人間プラス2mとして大体ネクストが10mほどなので大体倍くらいのサイズですかね?AFとネクストは後でまとめて紹介回を用意します。