アメリカとロシアが企業連と戦闘状態に陥っている中イギリスは冷静だった。たかが企業とはいえ宣戦布告をするほどに自信があるのなら様子見をした方が良いと考えたのだ。その考えは的中し企業連相手に通常戦力は無意味である事が分かった。
「アメリカ、ロシア共に歯が立たなかったそうです」
「ならば最初からISを投入しなくては。ただしあのAFとか言う巨大兵器は数の暴力でISを押し潰す設計のようね。数が揃えられないならば圧倒的な質で補うしかない」
「しかしどうします?見たところ辺り一面を埋め尽くすほどの弾幕が予想されますが‥‥」
AFはその大きさゆえ丸見えであった。
「察知されなければいい。幸い企業連の兵器と違ってISは持ち運びが容易、つまり展開せず敵まで密かに接近、その後ISを展開すればいいんじゃない?」
「名案ですね!早速隠密行動のプロを選び出します」
「早急にね」
幸いイギリスは島国、山も多くあの巨大兵器はまともに動けないでしょう。この勝負もらったわ!
BFF社side
「イギリスはまだ攻めてこないのか?」
「ええ。どうやら他国の様子を見ながらのようです」
「あれを見たんだ。恐らく最初からISが来るぞ。マザーウィルの状態は?」
「完璧です。いつでも行けます」
「ただ動けないのが辛いな。広大な砂漠とかなら良いんだろうが」
「まあ動けなくても戦闘力は変わりません」
「だな」
イギリスIS部隊
「では出撃だ。今回の任務は隠密が重要だ。敵に接近するまでは緊急時を除いてISの展開を禁止する。いいな?」
「「「了解!」」」
選ばれた3人は全員隠密が得意なパイロット、そして全員がパイルバンカーを装備しており破壊力は万全だった。彼女等は一般客を装いBFF社のそばまで接近していた。日がくれるのを待った後‥‥
「ここからが本番よ。敵の警戒網を掻い潜って巨大兵器に攻撃を仕掛けるわ」
「了解」
「バラバラに行動ね。では‥‥‥行動開始!」
一気に散開し潜入が始まった。社内への侵入は容易だったがやはりAF周りの警戒は厳重だった。
「なにこれ?監視員が常に見回ってる。これじゃあ近寄れないじゃない!誰かが陽動しないと」
彼女はISのネットワークを使おうとして気がついた。
「展開出来ないから連携が取れない!?隙を見て忍び込むしかないか」
しかし警備は厳重で常にサーチライトが辺りを照らしどう近づいても気がつかれるのは容易に想像できた。
「なら‥‥‥掘るか」
彼女は装備していた小さなシャベルで穴を掘り始めた。2mほど掘ったところで
「これなら‥‥‥んしょ」
穴に入り土で埋めた。普通なら生き埋めになるが彼女にはISがある。
「通信ならともかく起動だけなら土で信号を防げるはず」
彼女の予想は当たっていた。土に遮られ誰もISの起動に気がつかなかったのだ。
「マップを見る限りここら辺なら‥‥」
上に掘り進み舗装を静かに切断しISを解除した。当然上から土が降り注ぐ。
「うえっ。でも気がついて無いようね。これなら‥‥‥」
地面から顔を出すとそこには巨大な柱があった。見上げるとそれが巨大兵器の脚の1本であることが確認できた。
「これは‥‥‥デカイわね‥‥脚を折れば壊せるかしら?あらっ?」
どう壊そうか考えていると暗視装置に光が差した。見れば他の2人も無事潜入しそれぞれ脚のそばにいた。
「同時にISを展開、パイルバンカーで脚を破壊した後速やかに離脱。これでいこう」
小さな手旗信号でそう伝えると了解という返事が返ってきた。
「よし‥‥いくわよ‥‥‥3‥2‥1‥‥‥今!」
それぞれが一瞬でISを展開、迎撃される間もなくそれぞれが脚の間接部分を両手のパイルで撃ち抜いた。すると‥‥‥
ヴーーー!ヴーーー!
ISを展開したことで警報が作動、しかしもう遅かった。撃ち抜かれた3本の脚は間接から破損、手慣れた彼女等は即座に離脱‥‥出来なかった。視界を多い尽くすミサイルの群れに襲われたのだ。
BFF社side
それはまさに突然であった。爆発音と共に警報が鳴り響く、見ればマザーウィルの6本脚のうち片方の3本の脚が破壊されマザーウィルが傾斜していたのだ。その衝撃で皆がパニックになるもマザーウィルの指揮官は冷静だった。
「ミサイル一斉掃射!」
警備が厳しくなれば脱出が困難になるためそのままISで離脱すると読んだのだ。その読みは的中し
「きゃああああああああ!なにこれ!?」
IS1機に数十のミサイルが食いついていた。同時に放てるのは22発程度だが連続発射されたミサイルの数は増え行く一方だった。
イギリスIS部隊
「一応聞いてはいたけどなにこのふざけた数のミサイル!」
チャフ、フレアはその数に歯が立たなかった。後ろを見れば追尾するミサイルがどんどん増えその数は数百にも及んでいた。
「これは流石に‥‥‥きゃあ!」
後ろに気をとられ前を見ていなかった。回り込んだミサイルに被弾、硬直したところに数十のミサイルが着弾。あっけなく落ちていった。
イギリスside
「作戦は?」
「敵の巨大兵器の脚を破壊、行動不能にするも全員撃墜です」
「まあ他国を見れば善戦したほうね。これをネタに停戦までいけるかしら?」
「それしか手が無いです。巨大兵器の修復には時間と金がかかるでしょうし今のうちに‥‥」
そう言った瞬間窓ガラスが割れた。慌てて避難し
「今のは何!?」
「分かりません。何の前触れもなく‥‥」
そう言った瞬間軍を仕切る大臣が駆け込んできた。
「報告!何者かの狙撃により戦車含め全兵器が運用出来ません!恐らく今のも警告射撃と思われます!」
「何ですって!?」
皆混乱していた。そこから離れた郊外では
「着弾を確認。これでどうかな?」
四脚の巨大なロボット、ネクストがいた。コジマ汚染を防ぐためPA等は展開していないが実弾の狙撃砲はその威力を遺憾なく発揮した。
「そっちはどうだリリウム」
「軍事施設の沈黙を確認。問題ありません王大人」
「見事だな。そっちは撤収しろ。私はここで降伏するまで待機だ」
「了解」
飛び去るネクストを見ながら先ほど王大人と呼ばれた彼は再び政府建物に照準を合わせた。
「しかしなんだな。小さい頃は可愛かったのに今では機械のような応対しかしてくれん。どこで間違ったものか‥‥‥」
悲壮感漂う声を漏らしながら彼、王小龍は待機した。彼女を育てたのは紛れもない彼自身なのだが‥‥その数分後、イギリスは降伏した。
イギリス、降伏
BFF社side
「作戦は成功したが痛手だったな。まさかマザーウィルを破壊されるとは」
「傾斜の影響で主砲が発射不可、ミサイルも再装填不可、予想外の被害です」
「侵入の経路は?」
「恐らくIS反応を消すため穴を掘り、地中から侵入したようです」
「AFの周りの壁を地中深くまで伸ばしておけ。」
「了解」
「しかし王小龍に助けられるとは、最終手段だったんだがな」
「ネクストの実戦データも取れたので問題ありません。汚染も軍事施設の周囲に限定されているので除染機で対処可能です」
「それは良かった」
この戦闘で気が付かされたのはAFとはいえ決して無敵ではないということである。ISにも反撃の兆しが見えた‥‥かに思われた。
また長くなっちゃいましたね。イギリス編終了です。