スティグロが戦闘しているときオーメル社付近でも戦闘が始まっていた。陸と空からの同時攻撃である。それに対処するのは空飛ぶ円盤イクリプスである。
イクリプス部隊side
「高度300mを維持、上下のレーザーで陸と空を制圧するぞ!」
「「了解!」」
3機のイクリプスはオーメル本社を囲むように配置され低い高度を保っていた。設計段階で上への攻撃が行えないという欠陥が見つかり円盤の上下にレーザー砲を配置したため低い高度であれば地上と空とどちらにも対処出来るのだ。
「敵の数は多い。凪ぎ払うように放て。‥‥‥てぇーー!」
いきなり敵が燃えた。レーザーは漫画とかだと色とりどりの派手な戦闘が見られるが現実では無音で無色、つまり見えないため非常に地味な戦闘となった。しかし威力は高いため‥‥
「ぎゃああああ!何だ?いきなり燃えt」
「うわあああ!熱い!熱い!ぎゃああああああ!」
阿鼻叫喚地獄絵図であった。レーザーは目に見えない上弾速は光の速さ、回避など出来ない。
「思ったより順調だな。ISの反応は?」
「今のところありません。ん?」
「どうした?」
「レーダーの故障‥‥でしょうか?マッハ3でIS反応が近づいています!」
「故障だろう。マッハ3などVOBでも使わなければ出せない。ISがそんな高速を発揮出来る筈が‥‥」
キィィィィィィン
「今のは?」
「ISです。信じがたいですがマッハ3の速さで飛んでます!」
「すぐに本社に連絡!」
「はい!」
オーメルside
「報告!3機のISがマッハ3の速さで接近中!」
「すぐにあれを出せ!汚染は気にするな!時間はかかるが除染すればいい!」
「了解!」
「各員に通達!オーメル本社をコジマ戦闘モードに移行!」
コジマ戦闘モード、それは本社付近でコジマを使った戦闘をする際社員の汚染を防ぐため建物を完全に密閉し、中の気圧を少し上げてコジマ汚染を防ぐというものである。このお陰で本社付近でもネクストの使用が可能となる。しかし今回は‥‥
ゴゴゴゴゴゴ!
出てきたのは1機のランドクラブ。ただし普通のランドクラブとは違い主砲を全て下ろし何やら玉のようなものを6つ載せていた。
「ソルディオス・オービット発進!」
その掛け声と共に面妖な玉が自律飛行を始めた。玉‥‥ソルディオス・オービットはPAやQB、AAさえも備えるいわば小型の無人ネクストとでも言うべき兵器であった。放たれたオービットは本社を囲むように浮遊、来るISを待ち構えた。
ヨーロッパIS部隊
彼女等はマッハ3という前代未聞の速度でオーメル本社に強襲を仕掛けていた。
「凄まじい速度ね。でもISを装備していると風圧すら感じない。まるでゲームね」
「おまけに通常戦力に目がいってほとんど迎撃も無し。やっぱりISが最強かー」
「フラグを立てないで、フラグを。そろそろ本社が見える頃ね。流石にこの状態だと身動きが取れないから距離1000でパージするわよ」
「「了解!」」
彼女等が装備したのは大型のブースター。といってもVOBとは異なり戦闘機のような物の中にISが入り込む形となっている。身動きが取れない代わりにマッハ3という凄まじい速度を誇る。
「距離2000、1900、1800」
だんだん近づくオーメル本社
「1700、1600、1500‥‥‥ん?」
距離が1500になったときにそれは見えた。禍々しい緑色の粒子を垂れ流す玉が浮かんでいたのだ。
「1400‥‥何あれ?‥‥‥きゃああああ‥‥‥」
一閃。緑色の光に飲まれた彼女はその場から消滅した。絶対防御すら貫通し肉片を一片も残さず消し飛ばしたのだ。それを見るや否や
「緊急パージ!絶対にあれは回避!本社より先にあれを潰すわよ!」
「言われなくとも!」
「しかし何これ?ふざけてるの?」
「面妖な‥‥変態技術者供めが‥‥‥」
彼女等はオービットを驚異と判断。落としにかかるも‥‥
ドヒャァドヒャァドヒャァ
QBで避けられる。
「くっなら!」
ミサイルをばらまく。面制圧なら行けると判断したのだ。しかし‥‥‥
ドドドドドドヒャァ
6連にも及ぶQB、パイロットがいないからこその芸当である。
「これなら!」
マシンガンを撃ちまくる。が‥‥
パシュンパシュン
緑色の閃光が迸り弾丸が防がれる。
「これでどうだぁぁぁぁ!!」
移動先を読みブレードを構え接近する。だが振り下ろす瞬間
ドシュウウウウウウドッゴオオオオオオオン!
AAが炸裂、また1機ISがパイロットごと世界から永久に消えた。
「何なの!何なのよおおおおお!」
残された1人はパニックになっていた。仲間が瞬く間に死亡したのだ。それはISを纏っていても死ぬということ。生まれてこのかた死の恐怖を味わったことのない彼女が錯乱するのは当然であった。
「ウヒヒッ私見ちゃったもんね。あのでかい奴からこいつらは出てきた。しかもあんなレーザーを乱射するということはエネルギー供給を受けているはず。母艦を潰せば!」
彼女はオービットには目もくれずランドクラブに一直線。改造されたランドクラブには武装がなく破壊は容易だった。
「やったわ!これで心置きなく本社を‥‥」
しかし忘れてはいけない。オービットはいわば小型のネクスト、コジマジェネレーターを積んだオービットにエネルギー切れはあるだろうか?そう、無いのである。つまり‥‥
ビシュン!
声を出す間もなく彼女も消えた。
ヨーロッパside
「嘘!?ISが!?」
驚くのも無理はない。報告によればIS反応が消滅、つまり貴重なコアが失われたということ。つまりは‥‥
「ISを使ってて死んだ‥‥‥ということ?」
「はい」
「私はもう止める。もし戦争を続けたい国があるなら続けなさい」
誰も手を上げない。貴重なコアを失いたくないのだ。
「なら‥‥‥降伏ね。正直オーメルを過小評価してた私も悪い」
ヨーロッパ、降伏
オーメルside
「戦闘終了。オービットの活躍で本社に被害無し」
「ソルディオスの威力があそこまでとは‥‥‥これネクスト相手でも余裕なんじゃないか?」
「そんな気がします。本当に味方でよかったですねトーラス」
「もし敵ならネクストの技術も奴等だけの物だし‥‥‥恐ろしいな」
「まあ味方としてこれ以上の物はありません」
「だが‥‥」
外を見れば帰り場所を失い漂うオービットとコジマの緑色が立ち込めていた。
「これは‥‥除染に1週間はかかるぞ。きついな」
「まあ強力な物には大抵大きなデメリットが付いてくるものです」
「初運用だし仕方ないな」
ソルディオス・オービットの戦果は世界中を揺るがした。無人兵器で最強無敵のISが破壊されたのだから。それは企業連内も例外ではなかった。
あんなもの‥‥強すぎましたかね?正直ネクストでさえもてこずる相手なのでISからしたらこんな感じかなと。次回はついにオリジナルのAFが出撃します。