それはある日曜日のことだった。長期休暇で自室で眠っている隆彦は
「ん?なんだ?外が騒がしいな」
騒がしい物音で俺は目を覚ました。ったく朝っぱらから何をやってるんだ?
そう思いつつカーテンを開け放つとそこには
カンカンカン、ギュイーン
何やら大工事が始まっていた。
「なんじゃこりゃーー!聞いてねえぞ!?」
「んー、うるさいなあ。どしたの?」
どうやら今ので簪を起こしてしまったらしい。
「なんか大工事が始まってるんだ!俺はこんなの聞いてないぞ!?」
「うーん。重要なことなら放送があるだろうし、それがないなら気にする必要がない。もしくは知らない方がいいってことでしょ?」
「確かにそうだな」
暫く寝起きの頭でボーッとしていると
ピンポンパンポーン
『9時より緊急集会を行う。学園に残っている生徒達は着替えて講堂に集まるように』
「どうやら重要なことらしいな。行くぞ」
「うん」
講堂に行くと普段のおよそ5分の1位の生徒が集まっていた。ここの長期休暇は家に帰っても良し、寮に残っても良しということでだいたいこれくらいは学園に残るのだ。帰らない理由は人によって様々だ。壇上には織斑先生が立っていた。何で学園長じゃないんだ?
「集まったようだな。今日緊急で集まってもらったのは他でもない。現在このIS学園にリリアナを名乗るテロリストが襲撃を企てているとの情報が企業連からもたらされた。彼らの目的は貴様らの殺害らしい」
それを聞いたとたん講堂は悲鳴で包まれた。が‥‥
「説明中だ!騒ぐのは後にしろ!」
織斑先生の一言で静まった。
「続ける。貴様らも気がついていると思うが現在この学園は企業連によって最高の防衛システムが構築されつつある。そして何故これを話したかだが‥‥‥」
暫くの間を開けたのち苦虫を噛み潰した顔で
「率直に言おう。企業連は学園に残っている生徒達を囮として使うことにしたらしい。下手にテロリストが分散せず、防衛システムが完成すれば世界のどこよりも安全だから生徒に被害は及ばないとのことだ。質問がある者はいるか?」
「はい」
「なんだ。有澤」
「今回何も聞かされていませんでしたが企業連が言うのです。生徒達は安全と判断していいでしょう。では何故先生はそのような顔をするのですか?今の話は生徒達には特にデメリットは無いようですが?」
「ちょっと待て」
そう言うと先生はどこかに電話を始めた。暫く経って
「企業連から許可が出たので話すとする。今回の戦闘においてテロリストはコジマ粒子を使用することが想定されているそうだ。万が一そうなれば戦闘が終わっても数週間、場合によっては数ヶ月建物から出られないそうだ。幸い学園の設備を改装して全ての建物を地下で繋ぐといった対応をしているらしい」
「先生!コジマ粒子って何ですか?」
その質問が飛んだ瞬間先生がこちらを向いた。あれは要らんことは喋るなという目だな。
「人体に悪影響を及ぼす放射能のようなものと思ってくれればいい。放射能と違って目に見えるし建物を貫通することは無いらしいがな。話せるのはここまでだ」
なるほど。企業連が許可したのはそこまでか。
「では解散とする。各自今後は放送を聞き、その指示に従うように!それと有澤と更識は残れ」
生徒がいなくなった講堂で俺は簪と一緒に織斑先生と向き合った。
「まず聞くが今回の事は貴様らは何も聞いてないのだな?」
「「はい」」
「ふむ‥‥私が聞かされたコジマ粒子の危険性は喋った内容だけだが戦闘経験のあるお前に聞こう。本当に生徒達に被害は出ないんだな?」
真っ先に聞くのがそれか、教師の鏡だな。
「はい。それにお忘れですか?企業連には束博士がいます。あの方があなたに被害が出るような作戦を黙って見ていると思いますか?」
すると納得した顔で
「それもそうか。昔のあいつなら私だけ無事ならいいとか思ってそうだが最近のあいつは変わった。なんというかマトモになったというかなんというか」
先生、多分自分よりヤベー奴に出会って考え方が変わっただけです!
「引き留めて悪かった。聞きたいことはそれだけだ。それと‥‥」
「ん?何ですか?」
「これはお願いだ。自分に被害が出ない範囲でいいから万が一のときは手を貸してくれ」
「お安いご用です」
「それは良かった。では貴様らも部屋に戻れ!」
「「はい!」」
IS学園敷地内
「まじでこいつを使うのか?」
「いや、使わんならそれに越したことは無いらしい。万が一のためだそうだ」
「使わんといいが‥‥」
作業員は学園の中心に設置されたバカでかい骨だけの傘を見ながらそう言った。
「しかし、テロリストはどんな規模なんだ?海を見てみろ」
海には有澤重工製AF、SOKOKURAにGA社製AFギガベース、インテリオル製AFスティグロといった水上型AFが並んでいた。
「ネクストを相手にするんだろうな。じゃなきゃ学園の建物に対コジマ戦闘設備を着けたりしないさ」
「ネクストをテロリストがか‥‥恐ろしいな」
「噂じゃISを赤子みたいに捻り潰せるらしいからな。だとすればこの重装備も頷ける」
「おい!何をサボっている!?作業はまだまだ山積みだぞ!?」
「いっけね。作業に戻るぞ!」
「おう!」
作業は急ピッチで進められていた。生徒達が住む寮と校舎を最優先に対コジマ戦闘設備が増設されていく。元々要塞のようだった学園は完全な要塞に生まれ変わりつつあった。それはひとえに文句を言うであろう国々を戦争で黙らせたお陰である。
リリアナside
「不味いです。IS学園が急ピッチで改造されているそうです」
「チッ。企業連め。邪魔をしやがって」
「どうしますか?」
「奴等の事だ俺達が出撃するよりも改造が終わる方が早いだろう。だがやりようはある」
「ああ、そう言えば奴等がいましたっけ?」
「ああ、奴等がいるから俺たちはここにいる。奴等がいるから企業連相手でも勝ち目がある。恐れることはない」
「では俺たちはやるべき事をやりましょう」
「だな」
恐らくこれが最後の戦いになるであろう。今までのどの戦いよりも過激な戦いに‥‥‥
原作ではクレイドル21を占拠したリリアナですが今作ではIS学園を襲撃するそうです。彼らの自信は一体どこから来るんだ?