激動の一年目の後の二年の学園生活は至って平穏だった。朝起きて、授業を受け、簪とイチャイチャして周りに砂糖を撒き散らす。そんなこんなで卒業まではあっという間だった。だがどんなに愛し合っていても進路が違えば会えなくなる訳で‥‥
「もう会えないのか‥‥‥寂しいね」
「仕方ないさ、俺は会社を継がないといけないし、簪は別にやりたいことがあるんだろ?何だっけ?」
「IS警備部隊。もう、あんな思いはしたくない」
IS警備部隊とは警察の中にある部隊の一つでISを用いた今で言うところの機動部隊のようなもの。人を傷つけず鎮圧する目的ならばISは問題なく使用できたためこのような部隊が編成されたのだ。
「やっぱり忘れられないよな。あれ」
「うん。世界のために、なんて大義名分があったって忘れられないよ。人を殺した感触は」
「ごめん。俺が油断せずちゃんとしてれば‥‥」
「その事については気にしないでって言ったじゃん」
「そう‥‥だな」
隆彦の表情は優れない。あれから二年になるが、ほぼ毎日自責の念に駆られている。あの時油断してなければ、あの時とどめだけでも刺していれば、後悔は絶えない。そのとき
「ねえ、実はね、最後にやりたいことがあるんだ」
「やりたいこと?」
すると簪は少し頬を赤らめながら
「実はね、先生に無理言って許可取ったんだ。宇宙活動の」
IS学園では例の一件の後に宇宙での実習も行われていた。手続きこそ面倒極まりないが、ISを使えるものにとって宇宙に行くというのはとても簡単である。VOBを改良したようなロケットブースターで宇宙に行き、帰りはブースターを格納しそのまま落下すればいい。大気との摩擦熱はシールドが防いでくれる。
「宇宙?確かに俺も簪も専用機があるし行くのは簡単だが‥‥‥何故?」
「それは着いてからのお楽しみ。さ、行こ?」
既に簪はISを展開し、ブースターも装備していた。
「何だか知らんが行きますか。確認するが先生とかにどやされる心配は?」
「疑ってるの?」
「‥‥‥愚問だったな」
そういうと隆彦もISを展開し、学園に新たに設置された打ち上げ場にあるカタパルトに機体を固定した。
「「打ち上げお願いします」」
「こんなことにカタパルトを使うのは多分後にも先にもあなた達だけですよ?」
管制室の先生がそう言った。
「えっ?それってどういう‥‥」
『発進します』
シュゴォォォォォ
ブースターの吐き出す火と煙を見ながら
「あーあ、早く私も出会いが欲しいなぁ。若いっていいわねぇ」
管制室の先生は一人寂しく呟いた。
IS学園宇宙ステーション
そこは宇宙の静止軌道に漂うIS学園専用の宇宙ステーション。実習も兼ねて生徒達の手で、束監視の元いち早く建造されたものである。
「で、宇宙にまで俺を連れ出して何がしたかったんだ?」
「それはね、何度か授業で来ることはあってもこうして落ち着いて地球を見るのは初めてでしょ?」
「それはそうだが、何も無理言って来るほどのことじゃあ」
「外出よ、居られる時間は限られてるしやりたいことをさっさと済ませよう」
「簪のやりたいことって?」
「外出たら分かるよ」
パシュン
エアロックを抜け、俺は簪と宇宙空間に漂っていた。
「ははっ。いつ見てもタンクが宇宙空間に漂うのってシュールだね」
「それは言わない約束だろ?で、やりたいことって?」
「うーん、それは‥‥‥ええい!」
なぜか顔を真っ赤にした簪が俺の前に来ると
「今ほどISにフルフェイス装備が無いことに感謝したことはないよ。でも有澤君には付いてるんだよね。それ取ってよ」
「ん?いいぞ?」
言われるがまま頭装備だけを解除した隆彦ははっとした顔で、
「おい、やりたいことってまさか!‥‥」
チュ
簪は俺のタンクの上に膝立ちになって短いが、しっかりとしたキスをしてきた。
「ねえ、はっきりと言ったこと無かったよね。私、更識簪はあなた。有澤隆彦のことを愛してます。結婚を前提に付き合ってください!」
普段では考えられないほどはっきりとした口調でそう言い切った。思えば好きだ、好きだと言いながらそこで終わっていた。その言葉にこちらも顔を真っ赤に染めた隆彦は
「うう、不意打ちとは卑怯な‥‥ふぅ、喜んで!」
一世一代の、今後誰もやらないであろうプロポーズを済ませた二人は帰る準備をしながら
「ところで何でわざわざ宇宙で?別に地上でやっても良いだろうに」
「隆彦はもう少し別のロマンを求めた方が言いと思うな?誰にも見られたく無かったし」
プロポーズで吹っ切れたのだろう。下の名前で呼ぶようになった簪は、
「それにさ、隆彦って宇宙好きでしょ?実習のときいつも目をキラキラさせてたじゃん」
「うぐっ、バレてたのか。ああ、とても嬉しくて、記憶に残るプロポーズだったとも!」
「私もだよ!」
地上に戻った俺達を迎えたのは非常にイイ笑顔を浮かべた管制室の先生。
「ねえ、知ってる?安全管理のために学園の宇宙ステーションには外側にも監視カメラが付いてるんだよ?」
「えっ、それってもしかしなくても‥‥‥」
「うん、バッチリ撮られてるだろうね!」
「「あああああああああ!!!」」
悶える二人であった。
その後進路の違う二人は別々の道に進む。二人が再び出会い、二人で一つの人生を歩むのことになるのはまた遠い未来の話である。
これにて[IS×AC ガチタンが行く]完結です。これまでの後愛読ありがとうございました。またいつか別の作品でお会いしましょう!まあ他に知ってるロボットが出る作品を知らないのでACとのクロスオーバーは出来ませんがね。次はいつになるか分かりませんがSAOを書こうと思っています。