infinite time ケータイ捜査官3 作:伊勢村誠三
がちゃん!
勢いよくドアを開け色白の少女が部屋に飛び込んだ。
年の頃は5歳ぐらい。涼しげなワンピースに長い黒髪。
そして眩い笑顔でもうワクワクが止まらないといった感じだ。
彼女の胸元には一冊の古びたノートが抱かれていた。誰もいないのを確認し、ノートを開く。そこにはビッシリと英語で窮屈に物語が綴られている。
少女は声に出して言った。
「これはおれとおれのあいぼうがであったはなしだ。
いちおうものがたりの、ノベルのていをとっているが、
とくにつたえたいこともないただじじつをありのままにのべただけのものだ。それでもいいというすいきょうなやつはこのままページをめくってくれ。」
君は物好きだな。良いだろう。
なら俺も精々自分の大したことない文才を総動員してこのノベルを書き上げるとしよう。
まあ、このノートを読もうとする人間なんて、
あの忌まわしき我らが米海兵隊IS師団長のポリーや女権の腐れ頭や更識らへんの暗部、後強いて挙げるならば俺の親愛なる同業者アンカーエージェント達ぐらいだろうか。
だが一応ノベルという体をとる以上第三者がこのノベルを読んでる可能性を考慮して自己紹介をさせてもらう。
俺の名前はレン・アキヤマ。
このノベルの主人公の三年後の未来の姿にして、
運悪くも自分が思ってた以上に人間らしいだけの男だ。
さて自己紹介も済んだことだしまず重要でない、
というかあまり語りたくない部分だけをサラッと語らせてもらう。
それ以外に関してはこのノベルを見つけている時点で必要最低限の予備知識を持ってるものとして話させて、いや書かせてもらう。
3年前の12月4日、東京都練馬区東練馬8丁目の路上で、
刃物でメッタ差しされ1人の女性が惨殺される猟奇的事件が起きた。
後にアカツキ事件と呼ばれる事になる事件で被害者は秋山寛子。38歳会社員。
家族は息子が1人(俺の事だ。)で所持品が奪われた様な形跡は無く、現場と残された遺体ははさながらジャック・ザ・リッパーの如く殺したいから殺したとしか思えないような凄惨なものだった。
警察は怨恨と快楽目的の二つの視野から捜査したが犯人は見つからなかった。
その時は。物語はその翌年の4月に、
俺が初めて祖父母に会った日まで飛ぶ。
俺は関西国際空港から電車を乗り継いで昼頃に目的の街に着いた。
母さんの故郷大阪だ。想像していたよりも騒がしい街だと感じた。
『アキヤマ様、悪い事は言いません。無計画な犯人探しは「ケータイ。俺はお前に許可なく人目がある中で喋るなと言ったはずだ。」
ツンツンに逆立てた髪に暗い青のジーパンに黒い長袖のシャツ。
バックに必要最低限の荷物を持ったこのガキこそが3年前のレン・アキヤマ。俺が一番人に見られたくない自分だ。