infinite time ケータイ捜査官3 作:伊勢村誠三
秋山華澄。俺より六つ下の少女で血縁上は従妹、
書類上は俺の祖父母の養女のため伯母になる。
俺の母の二卵性双生児の妹の娘で両親と父方の祖父母は他界しているため外祖父に当たる秋山夫妻に引き取られたらしい。
性格は引っ込み思案で疑り深く、中々俺も信用して貰えなかったが俺の母と祖父母が写った写真と俺と母さんが写った写真を見せてようやく信じてくれた。
「何しに来たんですか?」
「俺の母さんが死んだから遺産相続とかの相談で来たんだ。母さんが遺書とか書いてなかったからな。」
「はぁ……。」
じっと観察する様にこちらを見ては俺が見返すと目を逸らした。
(ま、いきなり家族だと言われてもすぐにそうなる訳ないか。)
小さな古民家を前に俺はそんな風に考えていたが、俺の祖父母は、秋山
「遠いところからよく来てくれた。」
とか
「目つきが悪いのは昔の母親そっくりだ。」
とかニコニコと嬉しそうに語った。
それから俺も華澄も知らなかった伯父の写真を見せてくれた。
高校三年の時に新聞配達のバイト中に飲酒運転の車に轢かれて死んだという秋山
祖父母は「きっと蓮は勒の生まれ変わりだ。」と喜んだ。
そしてついに本題だ。祖父が思い出した様に言った
「そう言えば寛子のやつは今どこで何を?」
俺は少し躊躇ってから母の死を、2人にとっては娘の死を伝えた。
祖母は泣いていた。祖父は泣くまいと口をキッと一文字に結んで祖母に寄り添った。
子供に自分より先に逝かれるのはどんな気分なんだろうか?
それも3人全員に。俺には察する事もできない。
けどそれはとてつも無く辛い試練なのだろう。
にも関わらず寂しかっただろう辛かっただろうと俺に慰めの言葉をかけてくれた2人に俺は絶対にひ孫の顔を見せてやると誓った。
その後は相談のたびにこちらに出向くと言ったが
是非泊まっていけと言うのでお言葉に甘えた。
持って来た写真を見せながら思い出話しを話した。
どの話も真剣に時に嬉しそうに聴いてくれた。
華澄もまだ警戒は解かなかったが祖母の後ろで聞いていた。
それが終わると祖父母が俺ぐらいの頃の話をしてくれた。
ワールドウォーツーの頃の話だ。
日本兵は近接戦最強だったとかそうゆう教科書に載ってるような話じゃなくて祖父が海軍の訓練兵だった時の話や祖母が工場で働いていた話だった。
海兵隊の座学では中々聞く事のできない貴重な話だった。
そんな他愛のない雑談が終わると部屋に通された。
「昔お前の母さんが使っていた部屋だ。
夕飯が出来たら呼ぶからそれまで好きにしてなさい。」
定期的に掃除していたらしく綺麗な部屋だったが内装をいじったりしていないらしく、40年くらい前の雑誌が放置されたりしていた。
不思議と落ち着く部屋だった。母の気配を感じたからかもしれない。
しばらく本棚の少女漫画なんかを読んでいると夕飯が出来た。
配膳を手伝い4人で食べた。肉じゃがだった。
母が作ってくれたのと全く同じ味で不覚にも泣いてしまった。
それが終わると風呂に入った。
「子供達は先に入っちゃいなさい。」
入浴という文化があまり馴染みのない俺は少しやりにくい感じながらも母から教わっていた通り体をゴシゴシ洗って(アメリカでそうしない)泡をしっかり流して(アメリカではそんな意識して流さない)ゆっくりと湯船に使った。
しばらくボーッと天井を眺めていると洗面所の方から服を抜く音がして来た。
曇りガラス越しに小さな人影が見える。華澄だ。
まあ小学校だし羞恥心なんかないか。とか
祖母が子供達は先にって言った意味はこれか。
とか思うよりも先にサードを見つけられたらマズイと思った。
まさか小さな子供がいるなんて考えずまるでバレた時の対策をしてなかったのだ。
(マズイマズイ!な、何か言い訳、言い訳を!)
しかし迷わずドアを開けようとして来たのを見てその心配はないと判断した。
この時油断したのがよくなかった。
ドアを開けた瞬間、何気なく華澄を見た時にとんでもない衝撃を受ける事となる。
華澄の年相応になだらかな肌は痣とタバコの痕だらけだった。
オリキャラ解説 名前の由来その2
秋山柊洋、稲子夫妻 秋山勒
華澄と同じ様にハスと同じ花言葉をもつ花の名前を当てました。
今回はハスと同じ『神聖』を花言葉にもつ花から。
西洋柊→柊洋
稲→稲子
としました。