infinite time ケータイ捜査官3   作:伊勢村誠三

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銃弾

「華澄が居ない。」

 

朝一番に真っ青になった祖母が告げた瞬間、

俺の目は一気に覚め、適当に着替えてサードやブーストフォン、スタームルガーを装備するといつも通りの手順を踏んだ。

 

「じいちゃん、ばあちゃん、変な物音とか無かったのか?」

 

「特にそういうのは感じなかったが」

 

「もし、だれかが華澄をさらったのだとしたら、

手馴れてるとかじゃなくて前から準備してたとみるべきだな。」

 

「そんな怖いこと誰が……」

 

「あの子の良心を殺した奴、とか?」

 

震えあがる二人、蓮は通報と、一応まだそんな悪い事態じゃないかもしれないから近所を探すように言い、うまく一人になる。

 

「おいケータイ。付近のカメラをハッキングして調べろ。

俺が寝た時間意向だと仮定した場合、事件発生からまだ半日経ってない。」

 

『まだカメラの映像は消えていないというわけですね?』

 

「俺はネットに犯行予告がなかったか調べてみる。」

 

『了解しました。イニシエート・クラック・シークエンス発動!』

 

机に鎮座したまま静かになるサードを確認し、蓮は自分のスマホからSNSを手当たり次第に巡った。

探すワードはただ一つ。

 

『アカツキ』

 

母を殺し、伯母夫婦を殺し、従妹をさらった悪鬼が残した唯一の名前。

なかなかにてこずったがなんとか一つのメッセージを見つけることが出来た。

 

『今宵、一人の幼い天使を神に近い場所で生贄に捧げる。 アカツキ』

 

ほんとはもっと凝った言い回しの文章だったと思うが、

なんせ三年も昔に大嫌いな奴が作った作文だ。

うろ覚えなのは勘弁してほしい。

 

「やつはどこに行ったか分かったか?」

 

『もうし分けありませんまだ途中までしか』

 

「そこまででいい。案内しろ!」

 

『犯人は車で来ていたようですが、

どうやって特定するのですか?』

 

「分かったとこまで地図を出せ。

人ひとり一日監禁するなら相応の広さと人気の無さ、

それからまかり間違っても人が来ないような理由が必要だ。

それに俺が寝てから起きるまでに逃げおおせられる距離なら行けないこともない!」

 

それに俺には確信があった。

アカツキは予告犯だ。

宣言し、それを実行し、

それが誰にも止められないことに優越感を感じる変態だ。

 

(ならば絶対に日没までは華澄を殺す事は無い、と思いたい!)

 

俺は裏に留まっていた電動自転車を軽く改造すると、サードにカメラ映像での追跡を継続させながらアカツキを追った。

 

何度も曲がり、何度も上り、下り、

パトカーに追いかけられたりもしたが、

何とか振り切り、アカツキを目指す。

 

「お、おいケータイ……か、かなり山……はぁ、山奥まで来たぞ?」

 

『カメラがあるのはここまでです。』

 

「そうか…地図を出せ。ここらで一番高い所にある建物はどこだ?」

 

『正式に建物と呼べるものはないようですが?』

 

「だったら国立図書館のデータベースに侵入しろ。」

 

『こ、国立図書館!?』

 

「あそこは日本で出版されたあらゆる本がデータでもアナログでも保管されてる。

地図をどんだけでもさかのぼってここらで一番高い建物を探せ!」

 

そっから二時間、俺は改造しただけの電動ママチャリで山の中を走りぬいた。

そして日没まで一時間を切ったとき、その場所にたどり着いた。

 

「あ、あの車は!」

 

『間違いありません。防犯カメラに写っていたものです。』

 

俺は車のエンジンに細工すると

呼吸を整え、わきの下のホルスターからスタームルガーを引き抜く。

残弾は、六発。弾の種類357マグナム弾。

 

充分だ。

 

無抵抗な相手の殺害以外したこともない快楽犯に、

人を戦力と捉えて物のように壊すことを学んだ俺、負けるはずがない。

 

建物は五階建てだった。

 

「んん!!んんんんー!」

 

五階で縛られた華澄を見つけた。

 

「ぷはっ!れ、蓮さん?」

 

「大丈夫か?怖かったな、苦しかったな。もう平気だ。」

 

声を殺してすすり泣く華澄をなだめる。

目だった傷はないし、動けないほど衰弱してるわけでもなさそうだ。

 

物音を立てないように昇っていき、一番上の階にたどり着く。

 

「おやおや、天使が昇って……誰だお前?」

 

そこには眼鏡の長身痩躯の男がいた。

 

「………アカツキ」

 

「っ!? れ、蓮さん。」

 

地獄から捻り出したような声だった。

蓮さんが本当に怒ったのはこの時だけだった。

と、のちに華澄は語る。

 

「ふーむ、その目、どこかで・・ああ!

東京でで殺したあの女!おいつの、子供か?」

 

ラッキーだ、ガキまで殺せるなんて。

そう言って火かき棒を構えるアカツキ。

 

「こっちのセリフだこの馬面が!!!」

 

銃声。倒れこむアカツキ。

 

「きゃああああ!」

 

「ああああああああああああ!!!!!!!!!!

あ、足?う、うごか、動かな!!!」

 

「黙れえええ!!!」

 

二発、三発!

 

体中に身体が漲る。けど狙いだけは外さない。

3発ともアカツキの身体に風穴を開ける。

 

右ふくらはぎ、左膝、右手と打ち抜いたようだ。

外さないようにはしたがどこを撃ったか分からないぐらいには冷静じゃない。

 

『あ、アキヤマ様!?まさか、まさか本当に殺す気ですか!?』

 

「え? う、嘘でしょ?嘘だよね?」

 

「黙ってろ、こいつは俺が地獄に送る!!!」

 

4発、5発!腹と肩に風穴を開ける。

最後は頭だ外さない。

 

「ま、まってよ!辞めて!お願いだからやめて!」

 

『アキヤマ様!おやめください!アキヤマ様!』

 

「やだ!やだぁ!殺すな!殺さないでくれ!!」

 

「そう言われて、そういわれてお前はやめたのか!助けたか!?

違うだろ!!!自分だけ助かろうなんて虫がいいんだよ!!!」

 

そして俺は

 

「ほんとにダメ!蓮さん!!!」

 

引き金を

 

『やめろってんだろ!!アキヤマ!!!』

 

メシッ!パキン!何かが内側から裂け割れるような音がする。

それが意識をそっちに向けれた。

 

ポッケットからサードを取り出すと

真ん中の割れ目を境に、

右半分は通常のフェイスパターンのまま、

左半分は憤怒パターンを浮かべていた。

 

『アキヤマ様、もしあなたがこれ以上カスミ様を泣かせるようであれば、

ロボット三原則もアンカーの法も超えた範囲であなたを止めます。』

 

「……サード、お前。」

 

俺はこの時始めて俺はサードを名前で呼んだ。

多分この時ようやく、こいつと仲間になれたのかもしれない。

 

「華澄、、なんで?」

 

振り返ると華澄は爪が手のひらに食いこんでしまいそうなほどきつく俺の手と上着の裾を掴んでる。

 

「だって、パパは、ママを、殴るように、なってから、駄目になっちゃったもん!

蓮さんも、その人を殺しちゃったら、絶対パパやママみたいに、なるもん!!」

 

泣きじゃくりながら絞り出すように言う華澄。

確かにこれは、駄目だ。

危うく俺はこの少女に、両親の二の舞を見せるとこだったらしい。

 

(いや、俺は軍人だ。遅かれ早かれそうなる。

けど、今ぐらいは)

 

「通称アカツキ、アンダーアンカー特別法第二条に基づき、

お前を未成年略奪、未成年監禁、暴行未遂、殺人未遂の現行犯。

および連続殺人の容疑で現行犯逮捕する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上がこのアカツキ事件の顛末だ。

読み切った少女はポケットからフューチャーホワイトのスライドケータイを取り出す。

 

「このおはなしホントなの!?」

 

『俺よりアキヤマ師匠本人に聞いた方がいいんじゃないっすか?』

 

「だね。パパ!ママ!サード!カスミおばさーん!」

 

少女は元気よく部屋を飛び出す。

 

「うわ!エレンちゃんどうしたの?」

 

危うく茶髪の少年とぶつかりそうになった。

 

「あ、けいいちくん!これねこれね!」

 

「こらエレン。ぶつかりそうになったらごめんなさいだろ?」

 

「パパ!」

 

「レンおじさん!」

 

しゅん、となる少女

 

「ごめんね?」

 

「ううん気にしてない。」

 

「よかった。で、このノートがね!」

 

「すっかり仲良くなったな。」

 

ぽんと、蓮の肩を後ろから来た男がたたく。

 

「ケイタ。ああ、お前の息子にならエレンをとられてもいいと思うよ。」

 

「俺も笑蓮(エレン)ちゃんが義娘になるなら大歓迎」

 

「エレンの父親は俺だけだ。親友でも譲らないぞ?」

 

『まあまあお二人とも。』

 

『それよりそろそろ昼食だから呼びに来たんじゃないか?』

 

「ああ!」

 

「しまった!敬一|(ケイイチ)!笑蓮ちゃーん!」

 

あわただしく過ぎる昼下がり。

きっとこんな当たり前を守るために、

二人はかつて、仮面ライダーとして青春を過ごしたのだろう。




予告

infinite time 最終段。

infinite time キカイダーvsイナズマン
the end of infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来

制作決定

キャスト
網島ケイタ

レン・アキヤマ

網島敬一

エレン・アキヤマ 他
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