魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~   作:黒井福

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どうも、黒井です。

今回は個人的にGX編で書きたかった戦闘、ドラゴンフォーメーションVSナイトクォーターズです。


第141話:颯人vs終末の四騎士

 対峙した4人のウィザードと4体のオートスコアラー、その戦いは激戦の一言だった。

 

「ハッ!」

「ワハァッ!」

 

 フレイムドラゴンのウィザードの颯人がミカに二刀流のウィザーソードガンで斬りかかる。ミカは時間差で放たれる斬撃を鋭い爪の生えた手で防ぎ、一旦距離を取るとカーボンロッドをマシンガンの様に放ちその場に釘付けにしようとした。颯人はそれを転がって回避し、お返しにガンモードでの連続射撃で応戦した。次々と放たれる銃弾、それも不規則な軌道を描いて飛んでくるそれを、ミカは長いカーボンロッドを生成してバトンの様に回転させることで叩き落し防いだ。

 

「こんなんじゃ私には届かないゾッ!」

「おや、そうかい? ならこれでどうかなッ!」

「へっ?」

 

 徐に颯人は明後日の方に向けて引き金を引いた。ミカが彼の銃口を向けた先を見るが、そこにあったのは外れかけたビルの看板。颯人はその看板を繋ぎ止めている最後の留め具を撃ち抜きビルから落下させた。

 全く意味の無いものを攻撃して何がしたいのかミカは理解が出来ない。一瞬、彼が銃口を向けた先に他のオートスコアラーかキャロルでも居るのかと一瞬焦りを浮かべたが、その様な事も無く無意味に街を破壊しただけ。

 

 何がしたいのか理解できないミカが首を傾げていると、出し抜けにミカの耳が銃弾が風を切る音を捉えた。

 

「ッ!?!?」

 

 ミカは咄嗟に体を傾けた。それが功を奏し、銃弾が彼女の頭を貫くと言う事態は避けられた。ただし颯人の銃弾もただでは終わらず、軌道を曲げミカの手の中のカーボンロッドを弾き飛ばした。

 

「うわぁっ!?」

「チッ、勘のいい奴」

 

 彼女らオートスコアラーに人間の様な生存本能は無い。今の回避は謂わばただセンサーが危険を察知したから行ったようなもの。颯人の言う勘とは別物だ。

 彼自身それは分かっていたが、それが一番しっくりくる表現だから使ったに過ぎない。

 

 不満気な颯人に対し、ミカは不思議そうな目で叩き落されたカーボンロッドと颯人を交互に見た。

 

「お前、何時後ろから撃ったんだゾ?」

「カッ! 後ろからなんて撃ってねぇよ。最初に何発も撃った中の一発を態と外して迂回させただけだ」

 

 戦闘力に優れていると言うだけあって、ミカの反応速度は素早い。馬鹿正直に真正面から挑んでも大抵の攻撃には対処されてしまう。

 だがその目の良さがある意味で命取りだった。素早く反応出来てしまうが故に、例え無意味であっても明後日の方に突然発砲されてはそちらに注目せずにはいられない。

 つまり先程の連続射撃と、その後の看板への銃撃は全てブラフ。ミカの意識を本命の迂回させた一発から逸らす為の布石であった。だがミカの反応速度と感知能力は颯人の予想を超えており、意識を逸らさせたのにもかかわらず回避されてしまった事は彼にとっても誤算であった。

 

 そんな颯人に対し、ミカは目を爛々と輝かせて颯人に飛び掛かった。

 

「お前なかなか強いなッ! 分解のし甲斐がありそうだゾッ!」

「やれるもんならやってみなッ!」

 

 所変わって、ウォータードラゴンのウィザードとガリィの戦い。

 地上をアイススケートの様に素早く動き回るガリィに対し、ウィザードは絶え間ない銃撃で応戦した。

 

「チッ、素早いなこいつッ!」

「あぁ、もうッ!? 全然近付けやしないッ!」

 

 ウィザードはガリィの速度に翻弄されているが、ガリィは絶え間ない上に不規則な軌道を描いて飛来する銃弾に接近を阻まれている。互いに相手に有効打を与えられないまま、時間だけが過ぎていく。

 

 この状況に焦れたのか、ガリィが戦い方を変えた。ウィザードの周囲を高速で動く事を止め、前面に障壁を展開して一気に突撃する戦法に切り替えたのだ。

 

 青い障壁を展開して突撃してくるガリィに、ウィザードはこれ幸いと何発もの銃弾を放った。

 

 銃弾は全てガリィに向け飛んでいき……障壁にぶつかる寸前、軌道を曲げて障壁を避けガリィに殺到した。前方は自身の張った障壁、左右上空そして背後からは軌道を曲げた銃弾。ガリィに逃げ場はない。仮にあるとすればそれは障壁を解除し開ける前方のみだろう。だがそこではウィザードが銃口を向けて待っている。ガリィは詰みだった。

 

「ガッ?!」

 

 ガリィの体を無数の銃弾が貫き蜂の巣にする。手足は折れ、胴体には穴が開き、頭は砕けて吹き飛んだ。人間が相手であれば確実にオーバーキルの攻撃だ。

 

 だが次の瞬間、ガリィの残骸が水になると弾けて消えた。分身だ。ガリィは何時の間にか分身を作り出し、それでウィザードの目を欺いていたのだ。

 

 では本物のガリィは今どこに? その答えを考えるよりも先に、ウィザードの背後に本物のガリィが姿を現し腕に纏った氷柱の刃で彼を串刺しにしようとしてきた。

 

「取った!!」

 

 今ウィザードはガリィを仕留めたと思ったのが外れ、一瞬頭の中がパニックになっている筈だ。今ならやれると、ガリィは勝利を確信した。

 

 だが…………

 

「フフン」

〈リキッド、プリーズ〉

 

 ガリィの一撃が決まる寸前、ウィザードは新たな魔法を使用。体を液状化させるリキッドの魔法を使う事で、ガリィの一撃を無力化。更にそのままガリィの体に組み付き、プロレス技で関節を極めて動きを封じた。

 

「ぐぅっ!? お前……!?」

「お前がそう来るだろう事はこれまでの戦いでよく分かってんだよ!」

「ぐ、ぬぅぅぅ……!?」

 

 何とか拘束から抜けようとするガリィだったが、ウィザードの関節技はがっちり決まっていて抜け出せない。これは本体のガリィなので、今手足をこのまま砕かれたら文字通りガリィには手も足も出なくなる。

 またしても訪れるガリィの詰み。だがこの状況でもガリィは不敵な笑みを崩さなかった。

 

「ふ、ふんッ! それでも人間相手にしてる感覚が抜けてないみたいじゃない?」

「あ?」

「あら忘れたの? あたし達はオートスコアラー……人間じゃねえんだよ!!」

 

 突然ウィザードの頭に衝撃が走った。それはあり得ない関節の動きにより放たれたガリィの蹴りである。本来であれば抵抗など出来よう筈も無い状況で、ガリィは人形の体を最大限に駆使して抵抗してみせたのだ。

 

「がっ?!」

 

 脳を揺らされ、ウィザードの拘束が緩む。その隙にガリィは脱出し、関節技を決めてくれたお礼にとウィザードの腹を蹴り飛ばそうとした。

 しかしウィザードのリキッド魔法はまだ活きている。脳を揺らされ朦朧としそうになる意識の中、彼はガリィの蹴りを液状化で無力化しそのまま一旦距離を取った。

 

「ぐぅ、いっつぅ……そうだったな、お前ら人間じゃねえんだ。関節技は意味なかったな」

「そう言う事よ、お馬鹿さん♪」

「なら、コイツでどうだ?」

〈チョーイイネ! ブリザード、サイコー!〉

 

 ガリィ達オートスコアラーは痛覚など感じないし、普通に関節技を極めても意味は無い。だったら手足も纏めて砕いてしまえと、ウィザードはブリザードの魔法でガリィを凍結させようとした。分身を使う暇も与えず、吹雪でガリィをカチコチに凍らせて砕くつもりだ。

 

「チィッ!?」

 

 ウィザードの狙いを呼んだガリィは、眼前に障壁を張りやり過ごそうとした。だが極寒の吹雪は障壁程度で防げるものではなく、それどころか障壁諸共に凍らされそうになった。

 

 数秒ほどたっぷり吹雪をお見舞いしたウィザードは、そろそろ十分かと吹雪を止めた。後には氷漬けになった街の一画と、その中でポツンと立つガリィが張った障壁だったものが見える。

 

 今なら銃弾一発で砕ける。そう思ったウィザードが銃口を向けた瞬間、障壁が勝手に砕けるとその先に氷塊が姿を現した。

 

「ん?」

 

 ガリィ1体が凍ったにしてはおかしな大きさの氷塊にウィザードが違和感を感じていると、氷塊に罅が入り内側から砕け散った。そしてそこからは、薄々想像していたがガリィが姿を現す。

 

「チッ、やってくれるじゃない魔法使い……!」

「そりゃこっちのセリフだ。自分を態と氷漬けにして防ぐとか正気かお前?」

 

 ウィザードのブリザード魔法に対するガリィの対処法は実に単純なものだった。相手が自分を氷漬けにしようとしてくるなら、それより先に自分を氷漬けにしてしまえというものである。既に凍っていればブリザードも意味が無い。しかもガリィはオートスコアラーなので、人間と違い体温の低下や呼吸の問題を考える必要も無かった。

 

 戦いは再び振出しに戻った。ウィザードとガリィは、互いに相手が油断ならないと認識を改め対峙する。

 

 一方こちらはハリケーンドラゴンのウィザードとファラの戦い。互いに風を属性とする両者の戦いは、風同士のぶつかり合いであると同時に銃と剣の戦いとなっていた。

 

「このッ!」

 

 ウィザードが両手に持った銃で次々と銃弾を放つ。不規則な軌道を描く銃弾は、ファラの視界を惑わせ不意を討とうとしてくる。

 

「ウフフッ……」

 

 しかしファラはその銃弾を全て叩き落した。両手に持ったソードブレイカーを、舞う様に振り回し四方八方から迫る銃弾を防御。更にその乱舞をも抜けて迫る銃弾は、風の錬金術により残らず吹き飛ばされた。

 

 ファラの行動はそれだけに留まらず、一瞬の隙を突いて錬金術で起こした竜巻をウィザードに向けて飛ばした。トンネル掘削機の様に通り道にあるもの全てを抉り粉砕して迫る竜巻を、ウィザードは前に飛び出し竜巻のギリギリ近くに伏せる事でやり過ごした。

 

「ふぃ~……」

 

 竜巻を何とか凌いだことで一息つくウィザード。だがファラは彼に休む暇を与えなかった。

 

 竜巻を隠れ蓑に、ファラは一気に接近しウィザードにソードブレイカーを振り下ろす。

 

「フッ!」

「とぉッ!?」

 

 ウィザードはファラの斬撃をギリギリのところで回避し銃口を向けるが、もう一振りの剣がそれを弾き飛ばした。弧を描いて飛んでいく銃に、しかし彼は目で追う事もせずもう片方の銃口をファラに向け引き金を引いた。

 

「うっ!?」

 

 放たれた銃弾はファラ本人ではなく彼女の手の中の剣を片方弾き飛ばした。これで互いに武器を一つ失った事になるが、この距離で依然有利なのはファラの方だ。振れば攻撃になる剣に対し、銃は引き金を引いて銃弾が飛び出して漸く攻撃となる。

 ウィザーソードガンは変形させれば剣になるが、ソードブレイカーの特性上それは賢い選択とは言えない。何せソードブレイカーはその名の如く相手の剣を砕く事に特化した刃。変形できるとは言え、ソードモードのウィザーソードガンも剣として判定され砕かれるのは自明の理であった。

 

 だからウィザードはソードモードを使わない。正確には使えず、攻撃は専ら銃撃か蹴りのみで対応していた。

 

「ハッ!」

「なんのッ!」

 

 弾き飛ばされた剣の代わりに残った方の剣でファラが斬りかかって来たのを、ウィザードは蹴りで弾き軌道を変えさせる。そしてその勢いを利用して立ち上がると、至近距離でファラに銃口を向け引き金を引いた。放たれた銃弾は真っ直ぐには飛ばず、ファラの周囲を回り彼女の死角をついて残ったソードブレイカーを弾き飛ばそうとした。

 

 だが彼の狙いをファラは読んでいた。今の彼にとって最も厄介なのがソードブレイカーである事を彼女自身理解していたのである。故に、ファラは銀の銃弾が自分の周りを迂回するような軌道を取り始めた時点で最終的にどこが狙われているのかに気付いた。

 

「甘いですわね」

 

 ファラは銃弾がどういう軌道を描くか読むと、その軌道上に刃を置いた。振るう必要などない。何故なら銃弾が向こうから勝手に刃に切り裂かれてくれるのだから。

 

 銃弾が切り裂かれ、攻撃が不発に終わった事を察したウィザードは舌打ちをしつつファラから距離を取る。この距離はファラの間合いだ。蹴りで対抗する事も出来なくはないが、それよりは一旦距離を取って銃撃なり魔法なりで戦う方がずっと効率がいい。

 

「よっ!」

 

 距離を取りつつ残ったウィザーソードガンでファラを銃撃する。密度は減ったが、それでも不規則な軌道を描きつつ己に向かってくる銃弾をファラはその場に留まり片方の剣だけで防いだ。

 

「そこだッ!」

〈チョーイイネ! サンダー、サイコー!〉

「くっ!?」

 

 足を止めたファラに、隙ありとウィザードはサンダーの魔法を叩き込んだ。強烈な稲妻がファラを焼こうと突き進む。

 それをファラは見ているだけで終わらせるはずもなく、サンダーに対抗して特大の竜巻をぶつけた。稲妻と竜巻がぶつかり合い、既に瓦礫と化した周囲を更に破壊する。

 

「く、ぬぅぅぅ……!」

「うぅ……!」

 

 互いに一歩も退かず、稲妻と竜巻の鍔迫り合いは数秒ほど続いた。

 だがその状態が何時までも続く訳がなく、均衡は唐突に崩れぶつかり合ったエネルギーは大きな爆発を齎した。

 

 その爆発を両者は利用した。互いに相手の姿が見えなくなった瞬間、ファラは先程同様突撃する。

 対するウィザードは、爆発が起こりファラの姿が見えなくなった瞬間別の魔法を発動させた。

 

〈コネクト、プリーズ〉

 

 ウィザードが魔法陣に手を突っ込むのと、ファラが爆炎を突き破って飛び出してくるのは同時であった。爆炎を抜けた先で彼が何かを取り出そうとしている光景に、ファラは弾き飛ばされたウィザーソードガンの片方を回収しようとしていると察した。

 今この状況でウィザード側に武器が増えれば、苦戦するのは自分の方。ならば先に接近してダメージを与えるなりまた武器を弾いてしまえばいい。そう考えていた。

 

 だがウィザードが取り出した武器はファラにとっても予想外の武器であった。

 

「ハァッ!」

「おっと!」

「ッ! それはッ!?」

 

 ウィザードが魔法で引っ張り出した物……それは先程ウィザードにより弾き飛ばされた、もう1本のソードブレイカーであった。そう、彼はこの状況でウィザーソードガンを取り出しても場合によっては振出しに戻るだけと考え、自分が弾き飛ばしたソードブレイカーの方を取り出したのだ。

 

 ぶつかり合う2本のソードブレイカー。共に哲学兵装であるが、同時にどちらも剣であることに変わりはない。となれば、双方の哲学兵装の力がぶつかり合った結果…………

 

「くっ!?」

 

 砕け散る2本の剣。ファラの誇るソードブレイカーが一気に失われた。

 

「へへっ、これで、俺も気兼ねなく剣を使えるぜ」

 

 ウィザーソードガンをソードモードにして立ち塞がるウィザード。一気に天秤が相手側に傾いた事に、ファラは存在しない汗腺が開き汗が流れたような気がした。

 

 そして残るはこの両者。ランドドラゴンとレイアの戦い。

 この両者の戦いは他の3組に比べれば多少迫力で劣る戦いとなっていた。

 

「フンッ!」

「くっ!」

 

 トンファーでウィザードに殴り掛かったレイアを、ウィザードは両腕で防いだ。パワーに優れたランドドラゴンは、レイアの一撃をいとも簡単に受け止める。

 

「どっせい!」

「ぐっ!?」

 

 攻撃が受け止められ、地から足が離れた状態で一時静止するレイアにウィザードは打ち上げるようにアッパーカットを放った。踏ん張りが利かない状態のレイアに、これを防ぐ手段は無く精々が腕を盾にするだけ。

 放たれた拳が腕に当たった瞬間、腕がメキリと悲鳴を上げたのを感じつつレイアはウィザードにより殴り飛ばされた。

 

 先程以上に天高く打ち上げられるレイア。だがレイアは空中で体勢を整えると、地上のウィザードに向けコインによる弾幕をお見舞いした。

 

「喰らえッ!」

「げっ!?」

 

 雨霰を降り注ぐコインの弾幕。スコールの様な銃撃にウィザードはその場から動く事が出来ず、両腕を頭上で交差させて防ぐしか出来ずにいた。その間にコインがウィザードの鎧と体力を削っていく。

 

 弾幕を張りつつ地上に降り立ったレイアは、更にコインを放ちウィザードを釘付けにしようとする。だが一瞬弾幕が納まった瞬間、ウィザードは素早く指輪を入れ替えて魔法を発動させた。

 

「させるかッ!」

〈ディフェンド、プリーズ〉

 

 飛来してくるコインの弾幕を、ウィザードの足元から隔壁の様にせり上がってきた岩の壁が受け止める。それすら削りきって貫こうと弾幕を放つレイアだったが、岩壁は全く崩れる気配を見せない。

 

「地味に頑丈……ならば!」

 

 ならば纏めて潰してしまえと、ウィザードの左右を挟むように巨大なコインを生成。以前深淵の竜宮で切歌と調に対してやった様に、左右からウィザードを押し潰そうとした。

 

「潰れろッ!」

 

 左右から迫る巨大なコインに、ウィザードの防御魔法も白旗を上げ岩壁が砕けて押し潰された。

 

 これで敵が1人倒れた。安堵にレイアが一瞬警戒を緩めた、次の瞬間足元から高速回転したウィザードが飛び出した。

 

「なっ!?」

「チッ! 外したッ!?」

 

 ウィザードはレイアの弾幕を岩壁で防いだ直後、ドリルの魔法で地面の下に潜っていた。土属性の防御魔法は他の魔法と違い物理的にも視界的にも相手との間に壁を作れる。この瞬間、レイアからウィザードが何をしているかは見る事が出来ない。

 その隙を突いてウィザードは魔法で地面の下に潜り、地中を掘り進んで下から奇襲をかけたのだ。あわよくばそのままレイアを倒すつもりで。

 しかし僅かにポイントがズレてしまい、ウィザードはレイアの目の前で飛び出すだけに留まってしまった。だがそれだけでレイアに隙を作らせるには十分であった。突然ウィザードが飛び出してきた事に、レイアは面食らい動きを止めている。

 

 今がチャンスと、ウィザードは体勢を整え魔法を発動した。

 

〈チョーイイネ! キックストライク、サイコー!〉

「ハァァァァァッ!!」

「くぅっ!?」

 

 空中からのストライクウィザードがレイアに襲い掛かる。レイアはウィザードとの間に何重にも巨大なコインによる壁を作り出し、その一撃を防ごうとした。

 

「舐めるなぁぁッ!!」

〈ドリル、プリーズ〉

 

 ここでウィザードは再びドリルの魔法を発動。ストライクウィザードを放ちつつ、その体を高速回転させた。

 

 その姿は文字通り地面どころか全てを砕き掘り進む削岩機の様。レイアの防御も砕いて一直線に突き進んだ。

 ウィザードが己の防御を突き破ってきている事はレイアにも分かっていた。このままではマズイと、レイアは防御を諦め横に飛んで回避する。

 

「ふっ! くぅ……派手に多芸な奴」

「ちっ、堅実だな」

 

 決して無理はせず、冷静に対処するレイアにウィザードは内心で舌を巻いた。

 

 そうこうしていると、気付けば互いに両サイドに別れる形に戻っていた。S.O.N.G.サイドとキャロルサイド、両陣営の4人が対峙する。

 

〈ファイナルタイム!〉

 

 そこでドラゴタイマーがコールした。最初に颯人がタイマーを動かしてから、たっぷり一周するだけの時間が流れたのだ。

 

 ふと奏達の方を見れば、あちらもキャロルを相手に奮闘を続けている。何時までもこいつら相手に時間を使っている余裕はなさそうだ。

 

「そろそろ、幕引きと行くか」

〈ドラゴンフォーメーション!〉

 

 颯人がドラゴタイマーのレバーを押すと、コールが鳴り響き4人のウィザードにそれぞれスペシャルの魔法を使った時と同様の装備が現れた。

 

「うわっ! あれヤバい奴だゾ!」

「言われなくても分かってる!」

「先制!」

「あぁ!」

 

 これは何かマズイとオートスコアラー達は一斉に攻撃を開始するが、彼女らの動きは尾を振り回したウォータードラゴンにより止められた。振り回された尾に引っ叩かれ、ガリィがバランスを崩し倒れる。

 

 更にウィザード達の攻撃は続き、翼で飛ぶハリケーンドラゴンのウィザードが空中を動き回り風の錬金術で空中に飛び上がっていたファラを叩き落し、地面の下からは両手に爪を装着したランドドラゴンが飛び出しレイアを吹き飛ばし、唯一颯人に攻撃を放つ事が出来たミカの一撃もフレイムドラゴンの胸のドラゴンの口から放たれたブレスにより無力化された。

 

 ウィザード達の連携攻撃によりオートスコアラー達の体勢が大きく崩れた。決めるならば今だ。

 

〈〈〈〈キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!〉〉〉〉

 

 4人のウィザード達が一斉にスラッシュストライクを放つ。それぞれの属性の斬撃が、一斉にオートスコアラーへと放たれた。

 

〈〈〈〈スラッシュストライク!〉〉〉〉

「「「「ハァァァァッ!!」」」」

 

「うあっ!?」

「そんなっ?!」

「あぁっ?!」

「見事……!?」

 

 一斉に切り裂かれ、爆散するオートスコアラー達。4属性VS4属性の戦いは、ウィザードが勝利を収めるのだった。




読んでくださりありがとうございました!

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。
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