魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~   作:黒井福

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第262話:絶望の報せ

 幕が落ちたS.O.N.G.とジェネシスの戦い……その先鋒となったのは、広域殲滅攻撃を可能とするクリスのイチイバル…………ではなく、メデューサの石化魔法であった。

 

「挨拶代わりだッ!」

〈イエス! スペシャル! アンダスタンドゥ?〉

 

 触れたもの全てを石化させる死の魔法の閃光が放たれたのを見て、装者と魔法使い達は急ぎをの場を離れて攻撃を逃れる。

 

「散れッ!」

 

 奏の一声が放たれる前後で一斉にバラバラの方向に散開した装者と魔法使いだったが、その中でもやはりペアやチームは出来ていた。具体的には響と未来、透とクリスなどだ。これまでの戦いで培った経験から、自然と連携がとり易い相手と組んで動く癖がついていた。

 唯一未来だけは戦闘経験が少なかったが、彼女は日常生活で響と過ごして得た絆から深く意識せずとも響と共に動けていたのだ。

 

 そして奏は当然、翼と共に敵陣に突撃していく。

 

「行くぞ、翼! 颯人が来る前にちゃっちゃと終わらせちまおうッ!」

「えぇっ!」

 

 先手は相手側に取られたが、出鼻を完全に挫かれた訳ではないと奏は槍を手に一直線にカーバンクルファントムに向けて飛び掛かる。今回の戦いでは何としてでも奴を止めなければ、文字通り世界中の人間が自分達も含めて死んでしまう。そうはさせじと奏がアームドギアを叩きつけるように突き刺そうとする。

 

「させるかッ!」

 

 しかしそれは間に割って入ったメデューサにより防がれた。障壁すら張る事無く、蛇が絡み合ったような魔法の杖を使って大矛の様な奏のアームドギアを受け止めてしまう。それだけでなく、メデューサに従う白仮面のメイジがライドスクレイパーで一斉に襲い掛かって来た。無数の白メイジが突き出してくる鋭い穂先が、奏の全身を滅多刺しにしようと迫り…………

 

「やらせんッ!」

 

 そこで翼が舞う様に剣を振るう。鋭い斬撃が目にも留まらぬ速さでメイジ達の穂先を弾き、返す刃でメイジ自身を切り裂いた。一瞬で自身に襲い掛かって来たメイジ達を下した相棒に奏は小さく笑みを浮かべながら、受け止められた槍を勢いを利用して一旦後ろに飛び退き体勢を立て直した。

 

「チッ、流石に大将首をそうすんなり取らせてはくれないか」

「奏、先走り過ぎッ!」

「悪い悪い」

 

 他の仲間達がそれぞれ敵幹部に足止めされている中、1人先走ってカーバンクルファントムを討とうとする奏を翼が叱った。彼女に叱られ奏は軽く手を上げて謝りながら周囲をチラリと眺めて他の仲間の状況を確認した。

 

 戦いを始めているのは当然だが奏達だけでなく、他の仲間達も同様であった。

 

 響は未来と共同でメイジ達を蹴散らしつつ、クリスと透が相手取っているリヴァイアサンに攻撃を仕掛ける。リヴァイアサンは銛で透と激しい接戦を繰り広げながらクリスの射撃を颯人も使うリキッドの魔法で切り抜ける。

 

「お前らの相手なんかしてる暇はねえッ! 透ッ!」

「ッ!」

「甘いッ!」

〈リキッド、ナーウ〉

 

 クリスが構えたガトリングから放たれる無数の銃弾がリヴァイアサンの体を食い破っていく。が、それは全て液状化した体を突き抜けているだけであり、リヴァイアサン本人には微塵もダメージが通っていない。それだけでなくリヴァイアサンはそのまま液状化させた体のまま飛び跳ねるようにクリスへと迫ると、彼女が逃げる間もなく全身に纏わりつき液状化を解いて関節技を極めた。

 

「あぐっ!? あ、あぁぁぁっ!?」

「クリスッ!」

「おっと、動くなよ? 少しでも動けばこの小娘の首の骨をへし折る」

「くぅっ……!?」

 

 咄嗟にリヴァイアサンを切り払おうとした透であったが、リヴァイアサンの腕は完全にクリスの関節を極めており、腕に回された腕に少し力を込めれば背骨と首の骨をへし折れてしまえる状態に追い込んでいた。首を絞められてただでさえ呼吸が苦しくなっているのに、更に無理矢理仰け反らされて椎骨が軋みを上げクリスの口から苦悶の声が漏れる。

 

「うぐっ!? あ、がぁ……!? と、とお、る……!」

「クリス……や、止めて!?」

「止めて欲しければ、動かず武器を捨てろ」

「う……くっ……」

 

 クリスを人質に取られてしまっては透に抵抗する事は出来なくなる。彼は変身こそ解きはしないが、リヴァイアサンの要求を飲みその場で動かなくなり手にしていたカリヴァイオリンも少し離れた所に放り捨てる。無防備となる透の姿に、クリスも苦しみながら手を伸ばした。

 

「だ、だめだ、透……!」

「五月蠅いぞ」

「あがっ!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?」

「クリスッ!?」

「さぁ、さっさとこの裏切り者を殺せッ!」

 

 クリスの悲鳴に透も焦りの声を上げるが、リヴァイアサンは構わず部下に透の抹殺を命じた。リヴァイアサンの命令に即座従ったメイジ達は透を取り囲み、彼を周囲から一斉に槍で突き刺し爪で引き裂いて彼を抹殺しようとした。

 

 クリスの目の前で透が無残に引き裂かれようとしたその時、無数のメイジの攻撃を突破した響がリヴァイアサンを、透を取り囲んでいたメイジを未来が無数の鏡から放った光線で薙ぎ払う。

 

「おぉぉぉっ!」

「あっ、ぐぅっ!?」

「透君、伏せてッ!」

 

 意識を完全に透に向けていたリヴァイアサンは顔面を殴り飛ばされクリスからも引き剥がされ、未来の警告に透がその場で身を低くすると無数の光線がメイジを撃ち抜き戦闘不能に追い込んでいった。

 

 殴り飛ばされたリヴァイアサンが痛みを堪えて立ち上がると、そこでは体勢を立て直したクリスがスナイパーライフルに変形させたアームドギアを構えてリヴァイアサンに狙いを定めている所であった。

 

「テメェ、やってくれたな……!」

「ま、待て……!?」

「うるせぇっ!」

RED HOT BLAZE

 

 自身に向けられた銃口にリヴァイアサンが戦き降参しようとするが、自分を痛めつけただけで済まさず透までをも奪おうとした彼女をクリスが許す訳がなく、容赦なく引き金が引かれ放たれた銃弾がリヴァイアサンの体を撃ち抜いた。

 

「がぁぁぁぁっ!?」

 

 クリスに撃ち抜かれて大きく吹き飛ばされたリヴァイアサンが地面に叩き付けられると同時に大きく爆発する。広がる爆炎を見ながら、クリスは大きく息を吐きつつ銃口を下ろし先程リヴァイアサンに関節を極められていた首を手で擦りながら響達の方を見た。

 

「い、つつ……悪いな2人共。マジで助かった」

「クリスちゃん、透君、大丈夫?」

「僕は何とも。クリスは……?」

「あの程度どうって事ねえよ」

 

 強がるクリスだったが、リヴァイアサンは透を始末した後はクリスもそのまま仕留めるつもりだったのだろう。あと一歩で椎骨がへし折られる寸前まで締め付けられた首筋は痛みを訴え、思わず手がその部分に伸びてしまう。そんな彼女を透と未来が左右から支えた。

 

「無理しないで、クリス」

「そうだよ」

「う……わ、ワリィ、2人共」

 

 ともあれ何とか敵の戦力の一角は崩せた。このまま他の幹部も倒し、ワイズマンだったカーバンクルファントムを倒そうと意気込んだ。

 その時、先程リヴァイアサンが爆発して舞い上がった炎の中から突如として水が噴き出し、津波が地上を洗い流すように炎をかき消してしまった。

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 突然の事に透達が注目する中、夥しい水の中から飛び出すように姿を現したのは、まるで背びれと鬣があるウミヘビが人型になったかのような姿の異形であった。透達はそれが魔法使いリヴァイアサンの成れの果てである、リヴァイアサンファントムである事に気付いた。

 

「き、さまら……ただでは、済まさない……!」

「チッ、ヘビっぽい見た目通りに、しつこい奴だ」

 

 どうやらまだ戦いは激しさを失わないらしい。その事に透達は気を引き締めていた。

 

 

 

 

 一方、ガルドはマリア、セレナに加えて切歌や調と共にケットシーが率いる魔法使い達との戦いで釘付けにされていた。ロケット攻防戦で未来に倒されたと思っていたケットシーだが、まだ戦う力を残していたのか周囲を部下の魔法使いに固められながらもガルド達を見事に足止めしていた。

 

「くっ! このままではワイズマンが……!」

 

 なかなかカーバンクルファントムへと近付く事が出来ずにいる事にガルドが焦りの声を上げる。その間もケットシーは、彼らを嘲笑う様に素早く動き回り翻弄し、ケットシーに意識を向けている所をメイジ達に攻撃されてしまっていた。

 

「くぅっ!?」

「姉さんッ! きゃっ!?」

 

 マリアが高速で動き回るケットシーの攻撃で体勢を崩された。咄嗟にセレナがフォローしようとするが、そこに別のメイジが放った魔法の矢が放たれ防御するが完全に威力を受け止める事が出来ず軽く吹き飛ばされ地面に倒れる。2人が倒れたのを見て切歌と調が2人を援護しようと鎌と丸鋸を振り回せば、それはメイジ達が伸ばした魔法の鎖により絡め取られて身動きを封じられてしまった。

 

〈〈〈チェイン、ナーウ〉〉〉

「あぁっ!?」

「しまったッ!?」

 

 ザババの刃の切断力は装者は勿論、魔法使いの中でも右に出るものは居ない。しかしそれは刃の部分に限った話である。当然だが刃には柄などが付き物であり、その柄や丸鋸の部分を狙って魔法の鎖を伸ばし絡め取って身動きを封じてしまった。

 

 刃が切断対象に触れる事が出来なければ、2人の攻撃は意味がない。完全にしてやられた事に焦る2人を、体勢を立て直したマリアとガルドの2人が援護した。

 

「2人共、動かないでッ!」

INFINITE†CRIME

 

 マリアが籠手から引き抜いた短剣を周囲に展開し放出すると、放たれた刃は2人を拘束している鎖を切り裂いた。それと同時にガルドは、炎の魔法を付与させた槍を振り回し、熱波を斬撃として放ち周囲のメイジ達を軒並み吹き飛ばした。

 

〈ファイヤーエンチャント、プリーズ〉

「お前ら、邪魔だぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 マリアの攻撃で拘束から解かれ、ガルドの攻撃で障害となる魔法使い達は排除出来た。さらに今の攻撃で素早く動き回っていたケットシーまでもが体勢を大きく崩し、持ち前のスピードが完全に失われる。そこを狙って今度はセレナが、ビームダガーを連結させたチェーンで拘束し身動きを封じた。

 

「あぁっ!? し、しまった……!」

「今ですッ!」

「ッ! 調ッ!」

「うんッ!」

 

 マリアとガルドが手助けしてくれ、セレナが作り出してくれた隙を無駄にはしない為、切歌と調はアマルガムを発動し一気に勝負を仕掛けようとした。

 

 切歌のギアは幾つもの刃が重なったような大鎌となり、調のギアは一見すると腕に装着するサークルシールドの様な形状となる。だが忘れるなかれ、2人のギアに使われている聖遺物はいずれも切断と言う事に関しては他の追随を許さないザババの刃。切歌はともかく調のギアも、その切断と言う特化性能を失ってはいなかった。

 

「はっ!」

 

 切歌が大鎌を振るいケットシーを切り裂こうとする。彼もザババの刃の危険性は理解していた為、このままではただでは済まないと慌ててこの状況を脱しようとした。

 

「くそ、こうなったら……おぉぉぉぉぉぉっ!!」

「な、なにを……!?」

 

 突然ケットシーが雄叫びを上げたかと思えば、彼の体が妖しく光り始めた。何かマズいとセレナが身構えていると、ケットシーの姿がメイジ鎧を吹き飛ばすように変化しネコ科動物が二足歩行になったような姿の異形へと変化した。その際の衝撃でセレナが放った光のチェーンは引き千切られ、切歌の斬撃をも回避してしまう。

 

「きゃっ!?」

「セレナッ!」

「大丈夫か?」

「う、うん、大丈夫。それより、あれは……」

 

 ケットシーを縛り付けていたチェーンが引き千切れた衝撃でバランスを崩したセレナを、ガルドとマリアが咄嗟に支える。2人に支えられながらセレナが見つめる先では、切歌がファントムとしての本性を露わにしたケットシーファントムと必死に斬り合いを繰り広げていた。

 

「やっ! このっ!」

「うぉっと! おりゃっ!」

「うぁっ!?」

 

 どうやらケットシーもファントムでありながら魔法使いの皮を被っているタイプだったらしい。本性を現したケットシーファントムだったが、今回ばかりは相手が悪かった。

 

 切歌が手を焼いているのを援護する為、調が腕の盾を投擲した。回転しながら迫る盾に、ケットシーファントムは盾の中央部分を殴り飛ばすようにして弾き飛ばす。

 

「この程度でッ!」

 

 メイジとしての姿の時では申し訳程度にしか存在しなかった尻尾が、ファントムとなるとちょっとしたアナコンダサイズにまで巨大化する。ケットシーファントムはその尻尾で調が投擲してきた盾を殴り上げて弾き飛ばすのだが、弾かれた盾は何と空中で変形し細身のマリオネットの様な人形となった。人形のようなロボットと調は細い糸で繋がっており、調が糸を操ればロボットは彼女の意のままに動く。

 盾が変形したロボットはさらに変形すると、そこに切歌も大鎌を投擲し刃と柄が分離して変形したロボットと合体。大きく形状を変化させたその姿はまるでトラばさみの様ですらあった。

 

 2人のギアが合体したトラばさみは、それぞれピンクと緑に光る糸で2人の手元と繋がっており、息の合った連携で動くとケットシーファントムはトラばさみに挟まれるように閉じ込められた。

 

「うおぉぉっ!?」

 

 ケットシーファントムを捕えたトラばさみはそこから更に高速で回転。内部でもファンの様な刃が回転し、ケットシーファントムはさながらフードプロセッサーの中に放り込まれたも同然の状態となる。2人はケットシーファントムを捕えたギアに繋がった糸を引いて地面に叩き付け、その衝撃と共に内部のケットシーファントムは全身を細切れに切り刻まれ絶叫を上げながら爆散してしまった。

 

「「はぁぁぁぁぁぁっ!!」」

ポリフィリム鋏恋夢

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

 如何に魔法使いより頑丈なファントムとは言え、こんな物を喰らっては一溜りも無い。爆散したケットシーファントムに、2人は脅威が一つ去った事を確信し安堵の息を吐くのであった。

 

 

 

 

 戦況はどちらかと言うとS.O.N.G.側に傾いていると言えた。リヴァイアサンはファントムとしての本性を露わにして透達と戦うも、4対1に近い状況では苦戦は必須。部下を伴い対抗するが、クリスに未来と言う広範囲を一度に攻撃できる手合いが居てはその戦力差もあまり役には立たない。案の定部下は2人に足止めされ、リヴァイアサンは響と透の2人に攻め立てられていた。

 

 一方でメデューサもまた、奏と翼の2人を相手に押されていた。こちらは特に歴戦の装者が相手と言う事もあって、魔法への対処も的確で有効打を与えられていない。しかも、奏に至ってはウィザードギアブレイブにより彼女自身も魔法を使って戦う事が出来るのだ。魔法と言うアドバンテージを失ったメデューサは、時に部下を捨て駒にしつつカーバンクルファントムを守ろうとするがそれも限界が近付きつつあった。

 

「これでッ!」

BLAZE∞STARDUST

「終わりだ、メデューサッ!」

蒼ノ一閃

 

 放たれた2人の必殺技を、メデューサは咄嗟に魔法の障壁で受け止めようとする。しかし劣勢に立たされた状態での障壁では2人の攻撃を受け止めきる事は出来ず、障壁は破られ衝撃でメデューサも大きく吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ!」

〈バリアー、ナーウ〉

「ぐぅぅっ!? う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 最早メデューサも敵ではないと言わんばかりに吹き飛ばし、カーバンクルファントムへと続く道への障害は全て排除した。そしてカーバンクルファントムは、まるで彼女達が来るのを待っているかのように賢者の石を片手にその場に静かに佇んでいる。その姿に不気味な何かを感じながらも、奏と翼はこの戦いに終止符を打つべく武器を手に飛び掛かろうとした。

 

「これで終わらせるぞ、ワイズマンッ!」

「ハァァァァァァァッ!!」

 

 2人の槍と剣がカーバンクルファントムへと迫る。その直後、カーバンクルファントムの前に現れた金色の魔法使いが2人の攻撃を手にした武器で受け止めてしまった。

 

「フンッ!」

「なっ!?」

「お前はッ!?」

「づあぁぁぁっ!」

「「うわぁぁぁぁぁっ!?」」

 

 カーバンクルファントムとの間に割って入ったのは、月遺跡で颯人と戦っている筈のドレイクであった。ドレイクは受け止めた2人の攻撃を気合と共に吹き飛ばし、彼の出現に動揺した2人は踏ん張りがきかず吹き飛ばされた上で地面に叩き付けられてしまった。

 

「あがっ!?」

「ぐぅっ!?」

「カナデッ! ツバサッ!」

「2人共、大丈夫デスかッ!」

 

 吹き飛ばされて叩き付けられた2人を、ガルドと切歌の2人が助け起こす。一方、マリアは颯人と戦っていた筈のドレイクがこの場に居る事に嫌な予感を覚えつつ彼の所在を訊ねた。

 

「あなた、何故ここに居るのッ! 颯人は、彼はどうしたのッ!」

 

 マリアの問いに対し、ドレイクは明確な答えを口にする事なくただ口の中で笑うだけであった。嘲る様な彼の笑いに最悪の展開が思い浮かぶが、それを振り払うように奏が口を開く。

 

「おい答えろよッ! 颯人は……颯人は……!」

 

 その時、通信機から信じられない……否、信じたくない報せが入った。

 

『つ、月遺跡のあるポイントで、大規模な爆発を確認ッ!?』

『颯人の通信機の反応も、途絶えた……おいおい、嘘だろ……!?』

 

「な、あ…………!?」

「そ、そんな……まさか……!?」

 

 通信機から聞こえてきた朔也とあおいからの報告に、S.O.N.G.の装者と魔法使い達は軒並み頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。その事実を脳が受け止めきれずにいると、衝撃を受けて動けない彼女達の前でドレイクが彼女達に背を向けカーバンクルファントムの前で跪き報告した。

 

「ご報告します。月遺跡は完全に破壊。その際に明星 颯人に奪われたテレポートジェムは取り返し、奴諸共遺跡を爆破致しました。今頃奴は宇宙の塵となっている事でしょう」

 

 聞きたくなかったその言葉。信じたくはなかったが、あおいと朔也が嘘を吐く訳もなくしかも状況は何よりもドレイクの言葉が真実であると雄弁に物語っていた。

 

 その事実を認めてしまった瞬間、奏は目の前が真っ暗になったような気がしたのだった。




と言う訳で第262話でした。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。
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