魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~   作:黒井福

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第267話:悪逆の末路

 颯人の考えた作戦は即座に奏を通して装者全員に伝えられ、透とガルドの2人にはそれぞれクリスとセレナから伝えられる。その作戦内容を聞いた者達は大なり小なりその作戦の難易度に驚きを露にする。

 

「ちょ、マジかッ!」

「これは、なかなかに……」

「でも私達ならできますよ、きっと!」

 

 言うは易し行うは難しと言う言葉が当てはまる颯人の作戦に翼までもが躊躇するが、響は全員の力を信じている為か出来ると確信を持ち拳を握る。その熱意に切歌も同調し、それに引き摺られる形で調も頷いた。

 

「その通りデースッ! このくらい私達なら、お茶の子さいさいなのデスッ!」

「うんッ!」

「……そうね、他にいい作戦も考え付かないし」

「やりましょう、皆さんッ!」

 

 切歌と調に続き、マリアとセレナもやる気を見せる。ここまで言われて自分達だけ渋っていては、この作戦を考えた颯人に笑われてしまう。クリスと翼も覚悟を決めると、立ち塞がるヤマタノオロチに向けて武器を構えた。

 

「チッ、しゃあねぇ。あのペテン師の言う事を素直に聞くのは癪だけどな」

「この程度、こなす事が出来ずして何が防人かッ!」

「よし、やるぞッ!」

 

 装者達が一斉にヤマタノオロチへと殺到する。

 

 戦いの先陣を切ったのは、意外な事にセレナであった。彼女はビームダガーを8本、それぞれ異なる色に発光させながら投擲するとヤマタノオロチにある8本の頭それぞれに1本ずつ突き刺す。

 

「皆さんッ! それを目印にッ!」

 

 セレナが態々ビームダガーを違う色に発光させながらヤマタノオロチの首に突き刺したのは、偏に首の識別を容易にする為であった。装者達はそれぞれ対応した首に攻撃を仕掛ける。響であれば燈色、翼であれば青色と言った具合だ。

 

 目印が出来た事で装者達も狙いが定めやすくなり、それぞれが決まった頭にそれぞれ攻撃を仕掛け、特定の装者からの攻撃を受けた首はそれぞれ自分を攻撃してきた装者に対して反撃を行った。

 

「ガァァァァッ!」

「ととっ! この、おりゃぁぁぁっ!」

 

 鋭い牙を剥きながら食らい付いてきた頭に対し、響は身を捻って噛み付きを回避するとすれ違いざまに拳を叩き込む。巨体相手であっても、バーニングエクスドライブとなった彼女の拳はミサイルの一撃をも超える威力を発揮する。その一撃を喰らい、ヤマタノオロチの首の一本が大きく弧を描くように仰け反った。

 

 響が殴り飛ばした首が弧を描いた先では、別の首が翼に向け超高温のブレスを放とうと口内に灼熱の炎を滾らせている。それを見た翼は迎え撃つべく、構えたアームドギアにヤマタノオロチの口内の炎に負けない熱量の劫火を宿らせた。

 

「ゴアァァァァッ!」

「はぁぁぁぁ……ゼアァァァァァァァッ!!」

劫火ノ一薙

 

 翼の放った一撃は一直線にヤマタノオロチのブレスへと飛んでいき、ぶつかり合うと一瞬の拮抗の後爆発を起こす。あまりの爆発の余波に周囲の首が煽られそれぞれ別の装者に放とうとしていたブレスや石化光線が明後日の方へと飛んでいった。

 

 それを見逃さないのが切歌と調であった。2人はそれぞれ体勢を崩した首に対し、大鎌とチャクラムの様な丸鋸による攻撃を叩き込む。

 

「合わせるデス調ッ!」

「切ちゃんッ!」

「「はぁぁぁぁっ!」」

愚焔・PえtttE炉

Ω式・連環墜光斬

 

 2人が放つは装者の中でも随一の切断力を誇るザババの刃。それがバーニングエクスドライブとなって強化された状態で襲い掛かるのだから、本来であれば耐える事等出来る筈もなく膾切りにされる筈であった。

 だが数多の魔法使いや複数のファントムを糧とし、更には無限の奇跡を起こす賢者の石を礎として生み出されたヤマタノオロチはこの程度でやられるほど呆気ない存在ではなかった。2人の刃により鱗と表皮を大きく削られはしたが、刃そのものは蛇の様な首の半分も断つ事無く逆に弾き飛ばされる。

 

 その弾かれた刃の一つが、今正にクリスに襲い掛かろうとしていた。回転しながら飛来する鎌の一つが、ヤマタノオロチにレーザーを放っているクリスに向け飛んでいく。

 

「あっ!? クリス先輩ッ!?」

「危ないッ!?」

 

 咄嗟に攻撃を中断してクリスに危険を警告する2人であったが、クリスは慌てる素振りも見せず自身に迫るヤマタノオロチの首の1本に集中する。彼女の視線の先ではヤマタノオロチの首が口内に炎を滾らせながら彼女に食らい付こうとしている。あわや弾かれた刃と炎を携えた牙に挟み撃ちにされそうになったその時、クリスは空中で宙返りを決め背後から迫る刃を回避。結果その刃はクリスに食らい付こうとしたヤマタノオロチの牙に受け止められ、その隙にハンドガンを構えたクリスの背後に浮かび上がった虚像が彼女の動きに合わせて引き金を引き極太の光線をヤマタノオロチにお見舞いする。

 

「アメえんだよっ!」

FIREWIND GLINT

 

 クリスの一撃によりヤマタノオロチは彼女が相手をしていた首だけでなく、体全体が大きく体勢を崩した。あの巨体が体勢を崩すなど相当の威力を持っていたと言う事であり、それだけの攻撃を喰らっても尚まだ倒れる気配を見せないヤマタノオロチの強大さをも物語る。

 

 その事実に怯む事無く、セレナが無数のビームダガーを放ち自身が担当する首の動きを牽制する。だが牽制攻撃程度では今更ヤマタノオロチに大した痛痒を与える事も出来ず、逆に相手を刺激し注意を引き付けるだけになる。

 

「ガァァァァッ!」

 

 セレナ1人なら丸呑みに出来るのではと言う程大きく口を開き迫るヤマタノオロチ。それを前にして、セレナは恐れるどころか逆に注意を引こうとするかのように前に出てビームダガーを構え――――

 

「ハァァァァァッ!」

FLAME†PENETRATE

 

 自身をまるで一本の槍の様に左手に持った剣を構えて一直線に突撃するマリアの一撃がセレナに襲い掛かろうとしていたヤマタノオロチの首を貫いた。完全に意表を突く方向からの一撃に、セレナに襲い掛かろうとしていた首は首を貫かれて叫び声を上げながらもだえ苦しむ。

 

「ギャァァァァァッ!?」

「よし、行けるッ!」

 

 悲鳴を上げるヤマタノオロチにガッツポーズを取るマリア。視線をセレナに向ければ彼女もまたガッツポーズを返しつつ、彼女は彼女でクリスに意識を集中させている首に向け鞭状に連ねたビームダガーを巻き付け切り裂いた。

 

 これは彼女達が勝手に自分の担当する首以外を攻撃した訳ではない。これこそが颯人の考えた作戦であった。

 

 颯人の考えた作戦……それは装者達が互いに囮と攻撃を交互に入れ替え、首の一つが誰かに集中し始めたら別の者がその首を攻撃すると言う口にしてしまえば至ってシンプルな作戦であった。ヤマタノオロチにはリヴァイアサンファントムの液状化能力もある。タイミングを見切らせない為には、相手の意図していないタイミングでの攻撃が必要なのだ。

 だがこの作戦は単純であるが故に難しい。何しろ装者達には全員に戦場全体を俯瞰的に観察し、そして最適なタイミングで最適な標的に攻撃を仕掛ける事が求められたからだ。

 

 少しでもタイミングを見誤れば誤射をも招きかねない危険な行動。だがこれまで数多くの戦いで背中を預け合い、更には念話とバラルの呪詛が消えた事による相互理解をも得た今の彼女達にとって、この程度の連携は造作もない事であった。

 

『翼さんッ!』

「そこだッ!」

 

 別の所では響の合図に翼が自身と相対している首を無視して響に意識を向けている首を切り裂き、別の場所に目を向ければ未来が回避するのに合わせて切歌と調の攻撃がヤマタノオロチの目の一つを潰す事に成功していた。

 

 見事な連携で徐々にヤマタノオロチを追い詰めている装者達。一方そのヤマタノオロチの本体とも言える巨体の背中の上では、颯人と奏、そして透とガルドが4人がかりでカーバンクルファントムに果敢に攻撃を仕掛け、何度も傷付けては再生されるを繰り返していた。

 

「オラァァァッ!」

 

 颯人が振り下ろしたアックスカリバーがカーバンクルファントムの体を切り裂く。即座にダメージをなかった事にされたが、その隙に接近した透がデュラハンの剣で無防備な腹部を刺し貫きそのまま体を回転させて横に薙ぎ払う様にカーバンクルファントムの体を大きく抉った。ガルドがそこに合わせるようにマイティガンランスによる砲撃を叩き込み、ダメージが無かった事になる前に追い打ちを加えて先に消滅させようとするも、それより早くにダメージの無効化が始まり結果ガルドの砲撃が終わった頃には傷一つないカーバンクルファントムだけが残される事となった。

 

「クソッ!? こう何度も攻撃無効化されてたら、こっちが先にバテるぞ……!」

 

 何度も攻撃を無効化され、流石にガルドも苛立ちが募る。徐々に冷静さを失い始めた彼を、何度目になるかも分からない再生を終えたカーバンクルファントムが嘲り煽った。

 

「フハハ、無駄な努力だね。明星 颯人、これが君の作戦かね?」

「さぁて、どうだろうな?」

「フンッ、強がりは止せ。君の狙いは読めている。連携に優れた装者達にヤマタノオロチを始末させ、立花 響の神殺しの力で私を倒すつもりなのだろう?」

 

 カーバンクルファントムの言葉に、颯人は無言で返した。それを肯定と受け取ったカーバンクルファントムは、喉の奥で笑いながら彼の作戦の欠点を指摘した。そう、この作戦には致命的な欠点がある。それは決め手となるのが響1人しか居ないと言う点だ。

 

「確かに神殺しの力を使えば私は倒せるだろうな。だが立花 響の手が空くまでの間に、君らが果たして持ち堪えられるか? 仮に持ち堪えられたとして、その頃に立花 響に私の相手をできるだけの体力が残っているかな?」

「響達がさっさと倒してくれれば問題ないだろ。現にこのデカブツ、大分追い詰められてるじゃないか」

「そう見えるかね?」

 

 響達がヤマタノオロチを徐々に押しているのは奏も傍目に見ていた。その様子から奏も、この調子で行けば響達がさっさとヤマタノオロチを倒してくれるだろうと思っていたのだ。だがカーバンクルファントムは、そんな彼女の予想を容易く否定した。

 

「あれを見てみたまえ」

「あれ?…………なっ!?」

 

 カーバンクルファントムに促され、警戒しながらも奏が振り返った。そこでは今正に翼がヤマタノオロチの首の1本を切り落としていた。これで残りは7本……と思った矢先に、切断された部位から新たな首が生え何事も無かったかのように再び翼に襲い掛かった。

 

「くっ! 再生しただとっ!

「ガァァッ!」

「チィッ!」

 

 翼は首の再生と言う予想外の展開に面食らいながらも、間一髪のところで再生した首の噛み付きを回避する。他の首に対しても同様であり、傷付け弱っていた首が切断されると次の瞬間再生し再び襲い掛かった。

 

「再生したッ!? まさか、これにも神の力が……!?」

「いやいや、そんな勿体ない事はしないさ」

 

 再生した首によりクリスが窮地に立たされそうだったのが、未来の援護により助かった。その事に安堵を感じると同時に、透はカーバンクルファントムが手に入れた神の力がこのヤマタノオロチにまで及んでいるのではと警戒した。だがそれは他ならぬカーバンクルファントム自身により否定される。

 

「忘れたかね? ヤマタノオロチには無限の力を与えてくれる賢者の石が使われているのだよ? あれがコアにある限り、ヤマタノオロチは何度でも再生する」

 

 その言葉に透達は愕然となる。今のカーバンクルファントム程ではないが、このヤマタノオロチも高い再生力を持っている。これほどの巨体を持つ存在がそんな再生力を持てば、幾らバーニングエクスドライブとなった装者達でも何時まで持ち堪えられるか分からない。ガルドも仮面の下で冷や汗を流す中、颯人と奏はめげずに挑みかかった。

 

「だったら尚の事、お前はさっさと倒さねえとなッ!」

「ハァァァァッ!」

 

 颯人と奏が激しい連撃をカーバンクルファントムに叩き込む。対するカーバンクルファントムも右腕の腕輪から伸ばした刃で颯人のアックスカリバーの攻撃を弾き、奏の攻撃を紙一重で回避すると彼女の懐に潜り込み至近距離から肘鉄を叩き込みカウンターを喰らわせて無理矢理後退させる。

 

「んぐぅっ!?」

「奏ッ!?」

「だ、だいじょ……げほっ!?」

 

 腹に諸に一撃を喰らった奏を気遣い彼女に近寄る颯人。この瞬間彼の意識は完全にカーバンクルファントムから逸れ、その瞬間を奴は見逃さず隙だらけとなった颯人の体に触れ魔力を無理矢理放出させようと手を伸ばした。

 

「貰ったッ!」

「ハヤトッ!?」

「くっ!」

 

 カーバンクルファントムにとって響以外で唯一注意すべきなのは、アダマントストーンの鎧により大抵の攻撃を耐えてしまえる颯人であった。彼さえ何とか出来てしまえば後は消化試合。どうとでもなると考えていたカーバンクルファントムは、ガルドと透の妨害を無視して颯人を始末するべく一直線に彼へと向かっていった。

 

 それはある意味で千載一遇の好機。カーバンクルファントムの意識は今この瞬間、颯人が奏に気を取られている様に颯人にのみ向かい周囲への警戒が疎かになっていた。なまじっか自身への攻撃の大半は全て無力化出来てしまえるが故に。

 

「――――等と、考えていたのだろう?」

 

 颯人が奏に意識を向けたのが半分意図的であるとカーバンクルファントムは見抜いていた。幾ら何でも今の颯人は無防備すぎる。基本的に油断ならない相手であると颯人の事を評価していたカーバンクルファントムは、明らかに隙だらけな颯人の姿にこれが罠であると見抜いた。颯人は自分の身の安全を囮としてカーバンクルファントムを釣り出し、響の神殺しの拳が届くようにしたのだ。

 

 その読み通りに響が、隙を晒しているカーバンクルファントムの背後から殴り掛かる。あの拳が直撃すれば、神の力で構成されている今のカーバンクルファントムの体は一溜りも無いだろう。

 

「オォォォォッ!」

「おっと!」

「あぁっ!?」

 

 響の拳があと少しでカーバンクルファントムに届きそうになった時、奴は彼女の事を嘲笑う様にひらりと上空に飛び上がりその拳を回避した。響はカーバンクルファントムと颯人達を結ぶ直線状から突撃してきていた為、このままだと彼女は自身の拳で颯人と奏を傷付ける事となる。

 

 自分の攻撃で仲間を傷付けてしまうと言う屈辱と絶望を味合わせようと、カーバンクルファントムが響の顔を注視する。だがその瞬間、響は減速するどころか逆に加速して颯人と奏に向け突っ込んでいった。

 

「何ッ!?」

「颯人さん、奏さんッ!」

「行け響ちゃんッ!」

「突っ込めぇぇッ!」

「はいッ!」

 

 颯人と奏はあと少しで響の拳が直撃するかと思われた瞬間、互いの体を押し合って左右に分かれた。直後響の拳がヤマタノオロチの背に突き刺さると、彼女はそのまま内部へと突入しヤマタノオロチの体の中を掘削していく。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

「奴は一体何を…………!? まさかッ!?」

 

 止まるどころか更に直進してヤマタノオロチの体内を突き進む響に、カーバンクルファントムは彼女が何をしようとしているのかに気付いた。響はヤマタノオロチの体を構成する核となっている賢者の石を粉砕するつもりなのだ。カーバンクルファントムへの攻撃はフェイク。装者達が入れ違いになってヤマタノオロチの首に攻撃を仕掛けたのも、響の行動をカモフラージュする為の布石であった。

 

 そうはさせじとカーバンクルファントムが響を止めようとするも、それは颯人と奏が許さない。

 

「お前は自分の心配をするべきだったなッ!」

「何ッ!?」

「オラァァァァァァッ!!」

「ぐぅぉっ!?」

 

 ヤマタノオロチの核となっている賢者の石を響が破壊しようとしている事に気付き、颯人達から意識を逸らしたカーバンクルファントム。颯人と奏はそんな隙だらけの奴を見逃さず、同時に空中に飛び上がると空中に佇むカーバンクルファントムに同時に蹴りを叩き込んで更に上空へと突き飛ばした。

 

「ぐぉぉぉぉっ!?」

「まだまだぁっ!」

 

 一度の蹴りで成層圏近くまで蹴り飛ばされたカーバンクルファントムだったが、2人の攻撃はそれだけでは止まらず颯人は背中にドラゴンの翼を生やし、奏は炎を身に纏って強烈な一撃を叩き込みカーバンクルファントムを大気圏外へと蹴り飛ばし地球から追放した。

 

「「ハァァァァァァァァッ!!」」

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 2人の一撃を喰らい、カーバンクルファントムの体が耐えきれず爆散する。その瞬間周囲に無数の魔法石が散らばるが、神の力を得ているカーバンクルファントムの体はまたしても復元した。

 

 何度やっても無駄な攻撃を繰り返す2人。だが颯人と奏が意図的に地球から追い出そうとする動きをしている事に、カーバンクルファントムは2人の狙いに気付いた。

 

「き、貴様ら、まさか……!?」

「今更気付いても遅いぜッ!」

「今のお前に、宇宙で自由に動く手段なんてないだろッ!」

「あったとしても自由にはさせねえけどなッ!」

 

 大気圏外まで追いかけた2人は、それぞれアックスカリバーとアームドギアを構える。アックスカリバーには眩いばかりの極光が宿り、アームドギアには太陽の炎にも匹敵する劫火が宿る。カーバンクルファントムはこれ以上はやらせてなるものかと埒外物理の攻撃を放つが、それと同時に放たれた2人の攻撃はその埒外物理をも弾きカーバンクルファントムを遠い宇宙の彼方へと押し出した。

 

「地球から、出て行けぇぇッ!」

「おりゃぁぁぁぁぁッ!」

 

シャイニングPROMINENCE

 

 2人が手にした武器を振るえば、そこから放たれるのは白銀に輝く光のドラゴンと燃え盛る不死鳥。2人の放ったドラゴンと不死鳥は途中で一つに混ざり合い、燃え盛る体を持つドラゴンへと姿を変えるとそのまま一直線にカーバンクルファントムを飲み込んで宇宙の彼方で輝く恒星……太陽へと向けて突き進んだ。

 

「ぐぉぁぁぁぁぁあああああああああああっ!?」

 

 灼熱の劫火に体を焼かれ、爆散と再生を繰り返しながらカーバンクルファントムの体は抗う事も出来ず太陽へと放り込まれる。

 

「太陽の重力は太陽系全体に影響を与えるほど強い。自力で宇宙空間を移動する力を持たないお前じゃ、逆立ちしたって抜け出す事は出来ないぜ」

「精々好きなだけ再生を繰り返してな。それこそ、太陽が消えるまで永遠にな」

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

 太陽の表面温度は約6000℃、太陽を取り囲むコロナに至っては200万℃と言う超高温だ。如何にファントムの体が頑丈とは言え、そんな温度に晒されては耐えきれず体が崩壊する。だが例え体が崩壊しても、その体は即座に再生される。そして再生しても太陽から抜け出す手段がない為、カーバンクルファントムは太陽がその熱を失い白色矮星となるまで延々と焼かれては再生するを繰り返す事となる。その頃まで自我を保つ事が出来れば或いは苦しみから解放されるだろうが、その頃には地球も寿命を迎え奴が再び降り立つ地は存在しなくなる。

 

 神の力と言う、あまりにも分不相応な力を手にした皮肉な末路であった。

 

 その頃地上では、響が見事にヤマタノオロチの核となる賢者の石を砕く事に成功した。

 

「だぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ゴ、ガ――!?」

 

 心臓部と言っても過言ではない部位を粉砕され押し出されたヤマタノオロチは、その体を維持する事が出来なくなり崩壊させる。念話でその事を聞いた奏は、星空の中で隣に佇む颯人にその事を伝えた。

 

「颯人、響がやってくれたってよ」

「ん、そうか。それじゃ、これで漸く幕引きだな」

 

 地球を背に、星空の中で佇む颯人は遠く宇宙の彼方で光り輝く太陽を眺めながら、隣に佇む奏の肩を優しく抱きつつしみじみと呟き肩の力を抜くと同時に大きく息を吐くのであった。




と言う訳で第267話でした。

ワイズマンの最期は原作ウィザードのフェニックス同様、太陽にボッシュートENDでした。前回颯人がシェム・ハに確認を取っていたのは、神の力で再生した存在が再生以前より強化される事がないかと言う事に関する確認でした。破壊と再生を繰り返し続けた結果、太陽の重力を振り切るほどの力を手にしてしまったら本末転倒になってしまうので。

装者達による対ヤマタノオロチ戦は、劇場版ガンダム00でソルブレイブス隊がELS相手にやった二人一組になって囮と攻撃を交互に入れ替えると言う戦法と同じような感じです。一歩間違えれば同士討ちを引き起こす超高速戦闘を苦も無くこなした、あのシーンは映画でも特に好きなシーンですね。

今回でワイズマンとの決着はつきまして、XV編も後始末的な話で終わりとなりますが本作はまだ終わりません。まだ決着をつけていない相手が居るので、EXTRAストーリー的な感じでその決着に至るまでの話が今後も続きますのでお付き合いの程よろしくお願いします。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。
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