皆は、「ニセコイ」という漫画をご存じだろうか?
数年前までジャンプで連載され、ラブコメというジャンルにおいて長期にわたり
人気のあった、俺自身も大好きな漫画である。アニメも二期まで放送されており、
三期の制作発表に期待されている。ヤクザの一人息子とギャングの一人娘が、
抗争を止めるために偽物の恋人関係になり、また徐々に惹かれ合うというものだ。
このギャングの娘以外にも多くのヒロインがいて主人公の「一条楽」と沢山の
ラブコメを繰り広げていくのだが、語り始めるととまらないので(割愛)。
冒頭から何を言っているんだ、思うかも知れないがもう少しだけ付き合ってくれ。
まぁ結局俺が何を言いたいのかといえば、「もしニセコイのキャラに、もしくは
似たキャラになったらどうする?」で
つまりは、
「ニセコイの一条楽になったっぽいので、助けてください」
ということである。
...ほんとに助けて。
意識が覚醒する。暗い海の底に沈んでいた体が浮き上がってくるようだ。
完全に体と意識が繋がったところで、周りの状況を確認しようと目を開ける。
一瞬怯んでしまうほどの光を受けながら、ゆっくり瞼を起こすと、そこに映っていたのは、どこまでも広がる緑の草原と光を背に佇む女神のような少女であった。
「あなたは錠を、私は鍵を」
はっ?え、どういうk「肌身離さず、ずっと大切に持っていよう」
ちょまって、状況がいまいち「いつか私達が大きくなって再開したら、
この「鍵」でその中のものを取り出すから、そしたら___」
「あー、うんそうだな」
『結婚しよう!』
どうしてこうなった...
よし、まずは状況を整理しよう、俺の名前は「○○ ○○」市内の工業系の高校に
通う、ごく普通の高校生で重度のニセコイ好きであり、嫌いなものは定期テストの
何処にでもいる、本当にありふれた高校一年生である。
それが!どうして!こうなった!?
いつもの様に寝る前にニセコイ読んで、寝たのに起きて目を開けば目の前で
ニセコイが展開されてた...。しかもご丁寧に、
「主人公」視点で。←ここマジ大事
百歩譲って目の前に「約束をした少女」がいるのは別にいい。俺も生で見れて
嬉しいし、まだ夢か、って思えるから。
ただなぁ、俺がなぁ、楽になってんだよなぁ...。
目線が低くなってて妙にリアルだし、こう..何て言うんだ?地に足をついた感じ?が抜けないし、夢の中だとしても意識がハッキリしすぎてるし、
極めつけはもう、あれだな。
痛いんだよ、抓ったら...
(*´Д`)はぁ~(深いため息)
マジかぁ~、楽になったっちったかぁ、どうしまひょ。起きたらちょうど
「結婚の約束」のシーンで成り行きでハイって答えちゃったしな~。
もちろん、ニセコイの世界に来れて「マジかよ」が脳内でゲシュタルト崩壊するほど有頂天な気分なんだけど、まだ半信半疑の信じられないっていう気持ちも
心の中にあるし。今は不安やけど順応するのを待つしかないか...
とりあえず寝る!これに限るわ、子供の本分も
寝ることですしねおすし(気持ち悪い)
あぁ、でも
小っちゃいころの小野寺も滅茶苦茶可愛かったなぁ~
四月、出会いの季節。人によってこの時期の印象は異なるが、少なくとも俺
「一条楽」にとっては、そこまで悪くない。理由を説明するには少しだけ
時間が掛かってしまうが、まぁ聞いてくれると嬉しい。
なぁ~に、俺が学校に着くまでの些細な間だ(矛盾)そう思いバスの座席で
ゆらゆらと揺れながら、俺は過去への回想をする。
ニセコイの世界へ主人公「一条楽」として転生した俺は、今日まで生きてきて、
原作の楽との相違点はそれほどない。原作では、「男たるものかくあるべし」の理念で育てられてきた楽だが、俺自身にもそれは同じである。まあ、俺からしても集英組の教育はいいと思っていたし、ああやって育てられたおかげで、楽が男らしくなったわけだしな。竜、良いひと。
しかし、まぁ自分で言っては何だが、勉強と運動は昔から得意だったため、
小学校では運動で人気者、中学では勉強が学年上位で人気者となれた。流石に二週目みたいなもんだから、現役学生には負けられない。(1位とは言ってない)
主にこの二つの技能で、自分の家庭環境の陰口は相殺できた。感謝、感謝。
あぁ、ちなみに凡矢理中学でもしっかり小野寺と、仲良くなったぞ。
まぁこっちからすれば、娘を見守るような感覚ですねはい。
とまぁ、ここまでが今までの俺の生き様。正直結構悩んだんだよな~。
ニセコイという物語を主人公として、そっくりそのまま完結させるべきか否か。
そりゃ、ニセコイの愛読者でもあった俺からすれば、物語を実体験形式で
追想できるから嬉しいけど、それはそれで「今」この物語の中を生きている、
人物たちに失礼だと思った。それなら、俺自身が二度目を謳歌しようと
おもったわけでありだから、高校も凡矢理高校にせず自分がこの世界で
いきたいと思った、「東京都高度育成高等学校」を選んだ。
まぁ別に原作キャラとの遭遇を拒否してるわけではないので縁があれば、
会うこともあるだろう。その時は、仲良く新たな関係を築ければ良いなと思う。
さて、長話もこのくらいにして、学校まではあとどのくらいなのだろうか。
とバスの外を眺める前にバス内を見渡してみると、先ほどよりだいぶ混んでいて前側の席は、ほとんど見えなかった。考え事してる間に、だいぶ乗客が増えたな
とのんきなことを考えていたが、その中で一つ気になることを見つけた。
それは、優先席近くに年老いた老婆とその隣で優先席に深く腰を下ろした、
金髪の高校生だった。ていうか、あの制服同じ学校。
見たところ老婆に気づいてはいるが、席を譲る気は一切ないようだ。ああいう輩は、関わらないほうがいいと思うが、自身が育てられた環境から、あの状況を見過ごすわけにはいかなかった。よく見れば、その近くにいるOLの女性が今にも
怒鳴りそうなうえに、これまた自分と同じ制服の女子高生が、声を
掛けに行こうとしている。
「はぁ~、しゃーなし」
そう呟いてから俺は、優先席近くで危なっかしく立っている老婆のもとに向かった。
その際に、しっかり俺の席の近くだった人に「あのお婆さんに席譲るので、
この席をみててください」と伝えておく。
「あ、あぁ、わかった。」相手側には、それを聞く必要はないが今回伝えた人は
同年代という事もあり融通が利く人だったようだ。
小さく、「サンキュー」と伝え、老婆を迎えに行く。
結果的に言えば老婆は無事、席に着くことができた。学校まであまり、
時間もなかったため、意味があったかは分からないが、俺にとっては、
もどかしさを解決することができた。今俺は、目的地についてちょうど
バスから降りたところだ。降りるときに老婆から「一生懸命、学んでおいで」と
ありがたいお言葉を先程の感謝とともに、送られてきた。
それに俺はサムズアップで返すと、自身の三年間を預ける学び舎へと足を踏み入れる。その前に席を確保してもらっていた、男子を見つけたため話しかけに行く。
「よっ。さっきは助かったな、ありがとう。俺の名前は一条楽だ。よろしくな」
つらつらと言葉を並べていく。最初のころは、すぐに一条楽とは出てこなかったから、少し焦ったが、十年もたてばなれた。
そういってから、右手を差し出すと、相手は最初差し出された右手に?を浮かべていたが、握手という事に気づくとすぐに握り返してくれた。
「いや、どういたしまして。綾小路清隆だ、よろしく」
ここからが俺の高校生活の始まりである。