Fate/genesis light   作:馬の人。

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おまけ1/カルデアとママ

 

 

 

「ヴェティさん!おはようございます!」

 

 

「あら、マシュ。ごきげんよう。

 今日もあなたは可愛いわ。

 それに比べて…」

 

思わずため息をこぼす。

食堂へ向かう途中、視界に入るのは筋肉、筋肉、筋肉。

そう、現在カルデアにて現界するサーヴァントは、ヴェンデッタ、竜胆を除き

すべてが男性。もっとも、どこのホストクラブだ、とでも言いたくなるほど

見目好い男ばかりではある。

 

しかし、それとこれとは話が別。

見苦しい体型こそいないものの、逆に言えば「マッチョ」ばかりなのである。

 

 

(正直ムサいわ、物凄く。

 いい加減、別なのいないのかしら…)

 

かといって。

唯一マッチョでない男といえば――

 

「おや、これはこれは。

 ヴェンデッタ嬢にミス・キリエライト。御機嫌よう。相も変わらず、健勝そうで、何よりだ。」

 

これである。胡散臭い。どこどこまでも胡散臭い。

これならマッチョのほうが何億倍もマシである。

 

「あら、おはよう。

 部屋に引き籠りはやめたのかしら?

 なら、やるべきことを正しくなさいな。

 あなたは決めたことをやり遂げられる、やればできる子、だったのでしょう?」

 

 

「おやおや、手厳しい」

 

 

「あ~、やだやだ。お前はオカンかっての。

 どこかに養ってくれて甘えさせてくれる、いい女はいないもんかねぇ……」

 

と、通りがかったゼファー。

私の矛先が離れたのを感じてか、

メルクリウスはこれ幸いと離れていく。

 

 

「馬鹿言わないの。前にも言った気がするのだけれど、

 それは都合がいい女でしょう?そんなの童貞の夢見る甘い甘い夢物語だって」

 

 

「へぇへぇ、悪ぅござんしたぁ」

 

 

「あの……ヴェティさんとゼファーさんは、

 以前から面識がおありなのでしょうか?」

 

と、マシュからの質問。

そういえば、私たちを狙って呼んだのではないのであったか。

 

「そうね。深い関係なのは間違いないわ。でも、説明するのが難しいのよね……」

 

これは本音だ。私の中での関係性など、一言(愛しい駄犬)で言い表せるものの、

外部から見た関係性となればまず私の出自から語らねばならない。

 

「まぁ、今のところは親しい間柄、でいいんじゃないかしら。

 隠したいわけではないけれど、説明が長くなってしまうから。

 時間のある時に、お茶会でもしましょうか。」

 

 

「あ……はい!ぜひ!」

 

パァっと効果音が出そうなほど明るくなるマシュの表情。

 

(この子、本当に可愛いわね。

 この世界にはいない、私たち(・・・)の妹のことを思い出してしまいそう。)

 

 

 

 

「まぁ、面識があるだけなら英雄コンビもそうだけどな。」

 

 

「英雄、ですか?

 サーヴァントの皆さんは出典の違いはあれど、全員が英雄なのでは?」

 

 

素直に首を傾げるマシュ。

 

 

「あぁ、意味合いが違う。

 まぁ俺たちが英雄ってのも烏滸がましい話だが、

 あの二人は格が違う。俺たちの世界で最高の英雄だ。

 一人はどうも中に閉じこもってるみたいだけどな。」

 

 

「片や史上最高の為政者にして独裁者。

 片や史上最強の人誑しよ。

 表に出てるのは最悪の救世主みたいだけど。

 ―もっとも、有能が極まった英雄が出す結論が極端に過ぎるのは、

 どの世界も一緒みたいね。一緒に呼ばれた子たちも、性根が捩れてそうよ。

 素直なのはリンドウとシロウくらいかしら?」

 

 

「まぁ、ヴァルゼライド総督とヘリオス。

 もし今回の召喚で与えられた知識から表現するなら、

 あの二人は現代に生まれたアーサー王と、仏陀ってところか?」

 

「――二人そろって、化け物だよ。」

 

 

瞬間、ゼファーのそれまでの軽薄な態度(羊の皮)が豹変する。

 

 

「キリエライト。

 マスターにも言ったんだが、ひとつ忠告だ。

 ――光に魅せられるな。灼かれるぞ。

 失うのが眼か、翼かはわからないがな。」

 

 

こんなお節介は柄じゃないけどな、と嘯いてゼファーは離れていく。

いつまでたっても偽悪癖は抜けないけれど、

危うい姿を見たら忠告せずにいられない、優しい子なのも変わらない。

 

(ホントに、もう。もう、ね。)

 

――とりあえず、よくわからない顔をしたマシュのフォローから始めましょうか。

 

 

「ゼファーはああ言うけれど、別に光を目指すのが悪いわけじゃないのよ。

 けれど、強すぎる光は、他のものを焦がしてしまう。

 だからね、マシュ。あなたは優しい光にお成りなさい。

 色鮮やかで、穏やかな光に。

 あなたとマスターなら、きっと成れるって、信じてるわ。」

 

「さ、ご飯を食べて、今日も一日頑張りましょう?」

 

 

「あ……はい!」

 

うん、いい返事。

ゼファー、きっとこの子たちは大丈夫よ。

助け合い、支え合って、真っ直ぐに育っていけるはず。

それはきっと、あの(・・)日々のように。

 

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