本当の自分なんて分からない。
普通に生きて、普通の学校に入って、普通に卒業して、普通に就職して、普通に死ぬと思っていた。
普通が何か分からないまま、普通になれると思っていたし、それが正しい事だと思っていた。
少なくとも、ヴァンガードとあの人、先導アイチに会うまでは。
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ヴァンガード。 地球と良く似た惑星『クレイ』に存在するユニット達と共に相手を倒すカードゲーム。 世界中で人気で今やホビーと言えばコレと行っても過言ではない。 ファイター兼アイドルの『ウルトラレア』やプロリーグ。 高校の部活動でもヴァンガードファイト部なんてものもあるらしい。
俺はヴァンガードをやってなかったから特に見てなかったけどどうやら俺が入ったこの宮地学園は去年創部一年目にして優勝したらしい。
ヴァンガード、どんなもんか見てみるか。 そのくらいの気持ちでカードファイト部の扉を叩いた。
「はーい」
と少し間の抜けた声が扉の向こうから聞こえ、数秒後扉を開けた主の声だと推測できる。
二年生のはずだが同い年通り越して年下にまで見える。 青い髪をして青緑色の目には俺を見て困惑の色が混ざっている。
「あ、えっと……こんちわッス。 自分一年の神宮 燈です」
「アカリ君……。よろしくね! えっと……今日は入部希望かな?」
「えっと……入部希望というか見学希望というか……。 自分、ヴァンガードの事全然知らなくて……」
「大丈夫! 今ちょうどファイトしてるから、良かったら見ていって」
促されるまま部屋に案内される。 特殊な形をしたテーブルに向かい合っているの赤い髪をした目つきの悪い人と、三年の有名な女番長の人だった。
「ガントレットバスターで、アタック!」
「ガード!」
「うぇっ!? マジかよーやっぱ番長はつえーなー」
「だから番長じゃない! さっさとトリガーチェックしな」
「お、おう。 ファーストチェック……トリガー無し。 セカンドチェック……よし!フロントトリガーゲット!」
おお、よく分からないけど発熱しているのは俺にも分かる。
「私のターンだね。 ツクヨミにライド! イマジナリーギフト プロテクト1をゲット! ツクヨミのスキル! そしてアタック!」
「くっ……。 ノーガードだ……」
「ツインドライブ! ファーストチェック……クリティカルトリガー! セカンドチェック……クリティカルトリガー!」
「くっそおおおお! また負けたー! やっぱ強いなー。 ん?アイチ、そいつ誰だ?」
「ナオキあんた気づいてなかったの? さっきから私達のファイトを見てたのよ」
「お!新入部員か? 俺、石田ナオキ! お前の名前は? どのクラン使ってるんだ?」
赤髪の先輩が詰め寄ってくる。 クラン?なんの事だ?
頭の中がグルグルして何も応えられないでいると、メガネをかけたおかっぱ頭の人が石田先輩を腕を掴んで止めてくれた。
「止めるのです石田。 石田の人相では新入部員が怖がるのです。 こんにちはなのです。 私は小茂井シンゴ。 よろしくなのです」
「あっ神宮 燈です。 よろしくっス」
「その様子を見るに神宮君はヴァンガードをやった事がないのですか?」
「はい。 ……すみません、なんか冷やかしみたいな事になって……」
「そんなことはないのです! ここにいる人相悪い顔した石田も、去年始めたのですから。 そうだ! 先導君。 神宮君をキャピタルに案内するのはどうです?」
キャピタル? また知らない単語が出てきた。 一体なんの話をしているんだ?
そう俺がまた困惑していると先導先輩が声をかけてくれた。
「今からヴァンガードのカードを売っているキャピタルってお店に行こうと思っているんだけど。 燈君は時間とかは大丈夫?」
あ、キャピタルってカードショップの事だったのか。
「大丈夫ッスよ」
「よし!じゃあ行こうか」
そうして部室を施錠して先導先輩と石田先輩。 小茂井先輩と三年の番長(戸倉ミサキ先輩って言うらしい)の行きつけの店に行くことになった。
ヴァンガードは新ヴァンガードしか見てないのでそっちの設定を流用させて頂いています