いきなりレンさんと戦ってくれって言われたけど……せっかく櫂さんとファイトしようと思ってたのに。
「すみません、今から櫂さんとファイトしようと……」
と俺が断ろうとしたが
「……いや、レンの方が適役だ。 神宮、ファイトはまた今度だな」
と
櫂さんが言ってデッキを片付けてしまった。
「まぁ……櫂さんがいいって言うなら……。ん?
えっと、適役って……?」
「まぁまぁ、ファイトしてみれば分かりますよ。 でも、デッキが悪いですね。 まだ慣れ切っていない」
慣れ切っていない? 確かに俺はまだ初心者だけど……。
「デッキの構築がって事ですか? これは店長が貸してくれて……」
俺がそう話すとレンさんは納得したように頷いた。
「なるほど、そういう事なら……。 櫂、アイチ君は今日は来るかな?」
「俺に言われても知らん。 レン、アイチのデッキを使わせるのか?」
「ええ、アイチ君のデッキなら大丈夫でしょう。 という訳で、アイチ君が来るまで待って貰えますか?」
「え? 俺は大丈夫ッスけど、俺がアイチ先輩のデッキで戦うんスか?」
「ええ、多分今のあなたのデッキより使いやすいはずですよ? あ!ミサキューじゃないですか〜」
「ミサキュー言うな!」
そう言って俺の事は忘れたかのようにミサキ先輩のいるカウンターに向かう。 ミサキュー?
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それから十分後くらい。 アイチ先輩が軽く息切れしながらやって来た。
「すみません、遅くなっちゃてって……レンさん!? 」
「やぁ、アイチ君。 久しぶりですね」
アイチ先輩が驚く。 見た目から立ち振る舞いまで何だかこの二人は対極な気がする。
「アイチ君。 早速で悪いんですけど、彼に君のデッキを貸してあげることは出来ませんか?」
そう言って俺の事を指さす。
「え? 僕のデッキを、燈君にですか?」
「ええ、その状態の彼とファイトしてみたいのですよ。 アイチ君。 君も薄々気づいているんじゃないですか?」
気づく? さっきから何の話をしているんだ?
「…………。 分かりました。 燈君、僕のデッキの使い方は分かる?」
と言ってデッキを渡してきた。
「あ、はい。 大丈夫ッス。 でも良いんですか? アイチ先輩のデッキを使うなんて……」
「僕は大丈夫だよ。 ……燈君、気をつけてね」
「? 気をつけてって……」
「さぁ、始めますよ?」
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一通りデッキの内容を確認し、テーブルに着く。
「……少年。 ヴァンガードの世界観は知っていますよね?」
ファイトを始める前に、レンさんがいきなり話しかけてきた。 この人は行動が読めない気がするからちょっと苦手だ。
「え? ええ、勿論。 架空の惑星クレイで霊体になっている俺達ヴァンガードファイターが戦うって……」
「そう。 一般的には惑星クレイは存在しないと言われる。 ……しかし、クレイは本当は存在するとしたら? そして、本当に意識をクレイに飛ばして戦うことが出来るなら? そんな事は思いませんでしたか? いや、君はもう体験した事があるんじゃないですか? その感覚を」
クレイが実在? 意識だけが本当に霊体になる? 何を言っているんだ?
「あの、何を言って……」
いや、思い出した! 初めてアイチ先輩とやった時のあの感覚。 俺は確かに惑星クレイでアイチ先輩と対峙していた。
「…………」
「やはり思い当たる節があるようですね。 私達ファイターの中に稀にいる存在。 ユニット達と真に心を通わせる事が出来る。 イメージを力に変えることが出来る能力『PSYクオリア』」
PSYクオリア……。 ユニット達と真に心を通わせる力。
「……お喋りはここまで、これからは……ファイトの時間です」
レンさんの掴みどころのない雰囲気はもう無い。
「分かりました。 いきます!」
『『スタンドアップ!!(The)ヴァンガード!』』
ファーストヴァンガードを開けた瞬間。俺は見た。 漆黒の馬に跨り、二体の剣士を連れてオレを見下すレンさんの姿だった。
やっぱりというかヴァンガードのオリ主ってすぐにPSYクオリア持ちになりがちな気がします。