宣言通り作りました。D.C.のさくらちゃんが桜を枯らした時のサイドストーリーのつもりです。設定と矛盾していても見逃してください。

1 / 1
純粋な願い

初音島の枯れない桜は奇跡を起こす魔法の桜だ。

純粋な願いだけを叶える……

 

ある日沿岸の道路で交通事故が起きた。事故の少ない初音島では珍しいことだ。乗車していたのはさくらパークへ遊びに行こうとしていた家族だった。

 

ボクは見てしまった。三人の子供連れの家族が交通事故に巻き込まれるのを。すぐに救急車は来た。

「こちらの男性はもう息がありません!」「女性の方も同じです!」

どうやら不幸だったようだ。ボクはこれ以上見ていても仕方が無いと思い家に向かった。

 

「子供はまだ息があります!」という声を後ろに聞きながら。

 

「でも兄さん。本当に珍しいですね、この島で事故なんて。」

ガラガラ……。おれの部屋の窓が空く音がした。

「そうだな。」

「兄さんも気をつけてくださいね?」

「あー、わかってるよ。」

ガチャ。リビングの扉が開く。

「さくら、また不法侵入か?……どうしたんだ?」

「さくらちゃん大丈夫?顔色悪いけど。」

「にゃはは……交通事故の現場にたまたま居合わせちゃってね。でもお兄ちゃんの顔をみたら元気になったよ!ありがとね。グッバイ」

ガチャ。リビングの扉がしまった。

「今日のさくらちゃんなんか変でしたね。」

「ああ、そうだな。」

「気にならないんですか?」

「かったるい」

朝倉家はいつも通りだった。

 

枯れない桜の前に一人の少年が来た。

「お母さんもお父さんも死んじゃった。なんで……。ねぇ、枯れない桜。お母さんを、お父さんを、生き返らせてよ!」

少年はとんでもない純粋な願いを桜の木に向かって言った。

 

「っ!?」

ボクは見てしまった。

男の子が願うのを。そして……

叶ってしまうのを。

 

程なくして少年は生き返った両親を連れて去って行った。

 

そして時は流れた。枯れない桜は枯れてしまった。いや、ボクが枯らしたんだ。枯れない桜に籠められた願いは全て叶う前の状態になった。これはボクの親離れなんだ。

 

少年は両親の様子がおかしいのに気がついた。段々周りから認識されなくなっていっている。それは枯れない桜が枯れてからだった。

 

ボクは男の子を見かけた。そして男の子の家族が消えていくのを悟った。

「これもボクのせいだもんね。」

ボクは男の子のところまで歩いて行った。

「ねぇ、君。さくらパークにいっといで。」

少年は不思議そうな顔をしたがすぐに笑顔になって

「今からお母さんとお父さんと行くんだ!」

と答えた。

多分、男の子の両親は明日までもたないだろう。

「ゴメンね。」

ボクは見てる事しかできなかった。

 

夢は醒める物。この島は夢から醒め始めていた。

 

男の子は観覧車に乗っていた。

「ねぇ、あそこに電車がみえるよ!」

「そうだね。」

「こんなに人が小さくみえるよ。すごいなぁ。ね?お母さん。」

でも返事が帰ってくる事は無かった。

「お母さん……お父さん?」

そこには人がいた痕跡すら残ってはいなかった。

男の子は三人で乗った観覧車を一人で降りる。

ボクは男の子のところまで走っていった。

「ねぇ、写真を買ってあげようか?」

この観覧車はいつのまにか写真をとって販売してくれる。

「お姉さん……お父さんとお母さんは?」

「これは夢だったんだよ。桜が見せた奇跡。本来なら君はもう家族とここにくる事は無かった。でも奇跡の残骸ならほら。」

ボクが指をさした写真には男の子の家族が写っていた。

 

「ありがとう。お姉さん。」

「うにゃ?大した事じゃ無いよ。しゃあね。」

ボクは走った。本当にこれで良かったのか分からない。でもボクにはこれ以上の事は出来ないんだ。

 

初音島の枯れない桜は奇跡を起こす魔法の桜だった。

純粋な願いを持つ物に一時の夢を見せる……

 




また書いて欲しいと思う方はTwitter(@hattyan74)までよろしくです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。