「痛いっ!」
何度目だろうか、こうして人気のない所に呼び出され、暴力を受けるのは。
「援交してるクズが学校来てんじゃねーよ」
「気持ち悪りーんだよ○○くんに媚売ってさあ」
何度目だろうか、こんな身に覚えのないことで罵倒されるのは。
「や、やめてください。蹴らないで・・」
「うるせーんだよクソビッチが!」
そして、これも何度目だろうか、
「あなた達!何をしているの!」
彼女に助けられるのは。
私は元々クラスでも目立たず、数人の友達と言えるかもわからない人達とたまに話したりする、そんな空気のような存在だった。友達がいないのは少し寂しかったが、そんな学校生活も悪くないと思い、ある程度納得していた。しかし、そんな環境は一変した。私へのいじめが始まったのだ。それもかなり悪質な。根も葉もない噂が拡散され。私は一瞬で完全に孤立した。そしてほぼ毎日人気のない校舎裏に呼びつけられ、罵倒され、暴力を受けるようになった。だが、そんな暗黒とも言える日々にも、一筋の光が指していた。それが彼女、私のクラスの委員長だ。
今日も助けてくれた彼女は、いつものように私を抱きしめ、泣きそうになっている私を慰めてくれる。
「今日はなにをされたの?」
私はすべてを話した。彼女は時々に相づちを打ちながらしっかりと聞いてくれた。私はそんな彼女の優しさと、その優しい彼女を付き合わせてしまっていることから来る罪悪感で、わんわんと子供のように泣いてしまった。それもまたいつもの事なので、彼女はより一層強く私を抱きしめ、大丈夫だよと耳元で囁いてくれる。
彼女は優しい。どうしてそんなに優しくしてくれるのかと聞いたことがある。すると彼女はこう答えた。
「私はクラス委員長だから。クラスのみんなの事を考えるの。だからもちろん、クラスの一員であるあなたの事も放っておこうとは思わないの。」
この答えを聞いたとき、私は彼女に対する深い尊敬の念と、胸にチクリと小さな痛みを感じたのを覚えている。
私が泣き止んだとわかると、彼女は抱擁を解き、ひどい顔だよ、と笑いながらハンカチを貸してくれた。そして真面目な顔をして言った。
「本当に先生に言わなくても良いの?」
これは最初に彼女に助けられた時から言われていることだ。そして私は、はじめて聞かれたときと同じ様に首を横に振った。教師に言ったところで完全に解決するとは思えないし、親にも知られたくないからだ。
そう思っていた。しかし、最近違う思いもあると悟った。
もし万が一解決したとしたら、私と彼女の関係はどうなるだろう。元々私は彼女とは接点がない。だから、ただのクラスメイトに戻るのだろう。そうなると私は、もう彼女の慰めの言葉や、優しくて暖かい抱擁、抱きしめられた時の心の落ち着く匂いを、感じることができなくなってしまうのだ。
それは、嫌だ。
この感情の名前はわかっている。自分は普通だと思っていたし、委員長以外の女の人にそういう気持ちを感じたことはない。異常な状況の中での気の迷いなのかもしれない。しかし、それでも彼女は特別なのだ。
そして私は、そんな特別な彼女の好意に甘え、自分の気持ちを満たそうとしてしまっている。我ながら最低な事をしていると思っている。一方で、こんな目に遭っているんだから少しぐらいいいじゃないかと囁く弱い私に逆らえないでいる。このままではいけないと思ってはいるが、もう少しだけ、もう少しだけこの状況に甘んじていたい。そう思いながら私は毎日耐えている。
かなりやっつけです。
委員長視点は投稿しようか迷っています。
誤字脱字等があればご報告をして頂けると助かります。