この素晴らしい性格に性別詐称を!   作:オミズ

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一日一本はさすがに無理なので…3~4日。遅くても一週間で一本は出したいです
(こうして人は堕落します)


ぼうけん ~カズマのターン~

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

その声と共に緑一色の平原に馬鹿でかい火柱が聳え立つ。そのあまりの威力に、遠く離れた位置にいる俺にまで着弾した衝撃と爆風が届く。

 

そう…これこそが俺の夢見た異世界ファンタジーの世界だ!!

 

俺は感動に浸りながら、ここに至るまでの道のりを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初のモンスター討伐が散々な結果に終わった俺とアクアは、一旦冒険者家業から離れようと決めた。お互いにあのカエルがトラウマになったからだ。

 

そうすると困るのが金。

俺とアクアは揃って求人数の多かった土木工事の作業員となった。当初、引き篭もり時代を思い返して土木工事の作業員など務まるか不安だったが、その思いは杞憂…どころかハマりすぎて冒険者家業など忘れ去っていた。

2週間ほどしてようやく思い出した俺は、労働の喜びを知ったアクアを説得して冒険者ギルドに顔を出した。

 

そこで俺たちはあのカエルの討伐依頼を見つけたわけだが…

 

「「無理(よ)」」

 

以心伝心満場一致な俺たちは仲間を募集することにした。

 

 

 

そして翌日…まだ見ぬ仲間たちを思いながらギルドを訪れた俺たちを待っていたのは厳しい現実。周りの冒険者たちがクエストに出かけていくのを尻目に、俺たちはテーブルに突っ伏していた。

 

「なあ…やっぱ募集条件変えようぜ。上級職なんて誰も来ねえよ」

 

「うぅ……だって…」

 

涙声のアクアの考えは分かる。魔王を討伐しなきゃ天界に帰れないっていうんだから、強力な人材が欲しいんだろう。だがここは駆け出しの町。しかも俺の職業は最弱職の《冒険者》。魔王討伐を目指すならこんなパーティーに入る前に王都にでも行ったほうが何倍も良い。

 

「よしっ…募集のハードル下げようぜ。周りがエリートばっかじゃ俺の肩身が狭い」

 

そう言って立ち上がった俺に「上級職の募集を見て来たのですが、ここで良いのでしょうか?」と13歳くらいの少女が声をかけてきた。

 

「あ…あぁ。ここであってるけど…」

 

そう答えると、少女は突然マントを翻し

 

「我が名はめぐみん!上級職、アークウィザードにして最強の爆裂魔法を操る者!!」

 

鮮烈な自己紹介をしてくれた。

 

 

 

 

それからひと悶着あったものの、とりあえずその実力を見てみることにした俺たちは、タイミング良くギルドに顔を出したフウも誘い、宿敵(俺とアクアにとって)カエルを倒しに来た。

 

そこで見せられたあの凄まじい爆発。最強魔法だと豪語するだけのことはある。俺が感心していると、爆音に釣られたカエルたちが地面からピョコピョコと湧き出した。その数パッと見三体。

 

焦ることはない。2週間前の俺たちにはない武器(爆裂魔法)があるのだから―ッ!!

 

「やれっ!めぐ…み、ん?」

 

振り返ると地面に突っ伏してるめぐみんの姿。それを呆れた眼差しで見ているフウが溜め息交じりに俺の疑問に答える。

 

「爆裂魔法は確かに最強魔法なんだけど……その分燃費が悪いの。めぐみんさんは魔力が足りない分、生命力も削ってるから一発しか打てなくて…」

 

…めぐみんは毎回漫画の主人公みたく限界を超えた一撃を放っているらしい。そしてそのせいで動くことすら出来なくなる。

それを確認した俺は、丸腰の仲間たちに近づいていくカエルを見て叫んだ。

 

「結局こうなるのかよぉぉおおおおおおお!!!」

 

同時に俺以外カエルに喰われた。

 

 

 

 

「うぐぅ…うええ…なんでまた食べられるのよぉぉぉ」

 

夕焼けの空にアクアのダミ声が響き渡る。アクセルの町をカエルの粘液で汚しながら歩く俺たちは、さながら歩く汚物。汚物らしく隅っこで隠れていたいのだが、残念なことに凄まじく目立っている。

 

まあ、粘液まみれの女3人連れた男なんて誰だって見るよなぁ…

 

「なぁ、めぐみんが喰われるのは分かる。アクアが喰われるのは馬鹿だからしょうがない。何でフウまで喰われたんだ」

 

2週間ぶり2回目のご近所さんからの視線を浴びながらフウに訊く。

 

「今日は金属類を持ち歩いてないこと、忘れてて……あと、単純に油断してたわ

 

そう言ったフウの目は暗い。相当カエルの体内がトラウマになったようだ。

このままカエルの話題を引きずっても楽しい空気なんて生まれそうにもない。俺は話題転換の意味も込めて、背中におぶさっためぐみんに爆裂魔法以外の魔法を使ってくれと言った。

 

「無理です。私は爆裂魔法以外使えませんし、使う気もありません」

 

「は?」

 

聞き間違えか?清々しいほどの一発屋宣言を聞いた気がしたんだが…

 

「私は爆裂魔法だけをこよなく愛するアークウィザード。そう…爆裂魔法を使うためだけにアークウィザードになったんです」

 

「素晴らしいわ!あなたのロマンを追い求める姿。私応援するわ!」

 

シリアス顔でそう語っためぐみんに同調するアクアを見て、俺はめぐみんが色物枠だということを確信した。

そうと分かったらやるべきことは一つ。さっさと縁を切るだけだ。

 

「よし、頑張れよめぐみん。ギルドに着いたら報酬山分けな。縁があったらまた会おうぜ」

 

さぁその手を離せ。

 

「ちょっと待って欲しい。我が望みは一日一回爆裂魔法を放つことのみ。食事とお風呂とその他雑費さえあれば無報酬で働こう。こんな優秀なアークウィザードを食事とちょっとだけで雇えるなんてこれは長期契約を結ぶべきだろうッ!!」

 

めぐみんは意外なほど強い力で俺の背中にしがみつきながら、詠唱で培ったとみられる早口で自分の利点をアピールしてくる。だが…その手には乗らない。

だいたい、一日一回しか魔法を打てない魔法使いなんて荷物持ちくらいしか役に立たない。しかもめぐみんはその荷物持ちすら魔法を打った後は出来ない。

そして何より…アクアの琴線に触れる奴の時点で碌でもないことは分かりきってるんだ!

 

めぐみんとの俺の背中をめぐる攻防のさなか、俺の耳がご近所さんの声を聞き取った。

 

「やだ…。あの女の子たち全身ヌルヌルよ……」

「見て!あんな小さな子たちまで…一体どんなプレイをしたのよあの変態!」

 

サッと隣のアクアを見ると腹立つ笑みを浮かべ、数瞬のうちに無駄に上手い泣き真似を始める。そのアクアの後ろにいるフウを見ると、可哀想なくらい顔を赤らめて俯いている。めぐみんは勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

「捨てないで下さい!ヌルヌルプレイでも何でもしま」

「分かった!!これからもよろしくなめぐみん!!」

 

ちくしょぉぉおおおおおおおおおお!!!絶対あとで仕返ししてやる!

 

「だ、大丈夫よ。彼女が素晴らしい才能を持っている魔法使いなのは間違いないんだからっ」

 

俺の心の中での絶叫を聞き取ったのか、未だ赤面しているフウが慰めの言葉をかけてくる。

 

「そ、それにえと…紅魔族は高い知力を持ってるか、ら?」

 

フウは不意に俺の背中にいるめぐみんに引っ付く。

 

何かいるのか?

 

余所見を切り上げて前方を見ると、金髪碧眼の女騎士然とした美人が頬を紅潮させて俺たちを見ていた。

きっと変態プレイの真っ最中だと思われてんだろう。誤解を解くべく、俺はあまりの美人ぶりに気後れしながらも声をかけた。

 

「なああんた、これは違うからな。変態プレイの真っ最中じゃなくてカエルに飲み込まれただけなんだよ」

 

「カ、カエルに!!?」

 

そう叫んで顔を俺に近づけてくる女騎士。俺の視界いっぱいに端正な顔が広がる。

慌てて後方に飛びかけた俺をがっしりと掴んだ女騎士はこう言った。

 

「どうかあなた達のパーティーに入れてもらえないだろうか!!」

 

何で?

 

「見たところあなた達には盾役が足りないと思うのだ。私はクルセイダーというナイトの上級職だ。遠慮なく全ての攻撃を受けさせて欲しい」

 

その言葉に少し違和感を感じたが、俺たちに足りないものを捉えていると思う。だが違和感のせいなのかどうも嫌な予感がするんだが…

 

判断に困った俺は仲間たちに意見を求めた。

 

「いいんじゃないの。私たちに盾役が足りないのは事実だもの」とアクア

「そうですね。さすがにカズマが盾役になるわけにはいかないでしょう」とめぐみん

 

ダメな仲間たちには好印象な女騎士に、ますます嫌な予感が強まる。だが二人が言っていることは正しいしここで断ったところで、こんなパーティーに入ろうとする変人はそうそういないだろう。

 

そう考えるとこの女騎士のパーティー入りを認めてもいい気がしてきた。

 

「……よしっ。仮ってことでどうだ?一回冒険に出かけて相性を確かめようぜ。その方がお互い良いだろ?」

 

「ああそれでいい」

 

これが今の俺に出せる最大限の安全策。仮にこの女騎士が色物でも、一回の冒険だけだったら耐えられる。冒険が終わり次第相性が悪いですねって言って追い出せるからな。

 

「あ…そうだ。俺たち自己紹介済ませてなかったな。俺はカズマ。で、そこの青いのがアクア。背中にいるのがめぐみんで、その後ろに居るのがフウだ」

 

俺の紹介にテキトーに返事をする仲間たち。そんな中フウだけは返事もしないで隠れている。俺たちみたいなダメパーティーに着いてくるほどの聖人が、普通そうに見える女騎士相手になんで返事すらしないんだ?

 

やっぱり選択間違えたか…?

 

「私はダクネス。よろしくたのむ」

 

一人だけ無反応なことを気にした風もなく、ダクネスと名乗った女騎士は握手を求めてくる。こんな美人の手を握るのは照れくさいが、この中で唯一粘液にまみれてないんだから仕方ない……いや、役得だな。

 

俺は下心を隠しながらダクネスさんの手を握った。




ご読了ありがとうございました。
カズマ、アクア、めぐみん、ダクネスの4人が揃ったので、次回からは主人公を掘り下げていきたいです。
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