アズールレーンクロスレイズ    作:Abe

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今回はコメントにあったもう少し会話や心の声を増やす、というのを思いまして刹那、ヒイロ、綾波の三人の視点から見る。というものになっております。あ、たまに違う人視点ありますがあくまでも三人が主になっております。

後、読みやすくするために「」の前についてる刹とかヒは話してるのが誰か分かりやすくするためです。


第五話 嵐の前の静けさ 前編

刹那とヒイロがロイヤル・ユニオンの本拠地に入ったその日の夜。

 

ヒイロside

 

ヒイロはベッドから窓の外に見える海を見つめていた。

 

……なぜ、奴の顔が浮かぶのだろう。

 

ヒイロとエンタープライズが交わした会話の内容が頭から離れなかった。

 

エン「なぜ、私を助けたんだ?」

 

 

ヒイロ「…さっきも言っただろ。…この世で死んでいい人間などいないと。」

 

 

エン「私のような兵器でもか?」

 

 

 

ヒイロ「…違う。…言葉を理解できるお前は兵器ではない。」

 

 

 

ヒイロ「一人の人間としてお前は生き続けろ。」

 

 

 

エン「………そうか。」

 

 

……これでは、励ましにもならないな。

 

ヒイロが小さくため息をこぼす。

 

…コツ……コツ。

 

ヒイロ「……きたか。」

 

ヒイロは今考えていたことを振り切り、ドアから来るであろう来訪者を待った。

 

スッとドアが開く。

 

刹「体の調子はどうだ?ヒイロ。」

 

刹那・F・セイエイがそこに立っていた。

 

ヒイロ「まあまあ、といったところだな。」

 

刹「…そうか。」

 

ヒイロ「……そんな話をしに来たのではないんだろう?」

 

刹「そうだな。……その前にヒイロも聞きたいことがあるだろう?一つか二つ程なら答えられる範囲で答えよう。」

 

ヒイロ「なら、お前の乗っているガンダム。…あれはいったいなんなのだ?」

 

刹「……対話の為に進化したガンダム……。としか今は言えないな。」

 

ヒイロ「ならもうひとつ教えてくれ。お前はあのガンダムに乗っていったい何をするのだ?」

 

刹「真の平和の為に。武力で押さえる平和を作り替える為だ!」

 

ヒイロ「……そんなことが出来るのか?」

 

刹「ああ、もちろんだ。…俺と、ガンダムなら。」

 

ヒイロ「フッ。お前なら出来るかもな。……その真の平和をつかみとることが。」

 

……計り知れないな。……刹那・F・セイエイという男は。

 

刹「さて、こちらも答えることは言ったのだからこちらの質問に答えてもらおうか?」

 

ヒイロ「…何が聞きたい?」

 

刹「お前はどうやってここにやって来たんだ?」

 

ヒイロ「……わからない。気付いたらそこにいたという感じだ。」

 

刹「……それよりも前の記憶は?」

 

ヒイロ「確か、木星のあたりを飛んでいたはずだったのだが。」

 

……確か。……黒い。……裂け目?……ッ!

 

ヒイロ「そうだ。俺は黒い裂け目を見た瞬間に意識が途切れて……。」

 

刹「…やはり、あの裂け目からか。」

 

ヒイロ「教えてくれ、刹那。あの裂け目はいったいなんなのだ?」

 

刹「……わからない。…ただ、わかっているのはお前のように様々な世界からきた、訳のわからない存在がまだ他にもいるかもしれない、というこどたな。」

 

ヒイロ「……やはり情報がなければ何もわからないとうわけか。」

 

刹「明日になったらこの島を見てくる。ヒイロはどうするんだ?」

 

ヒイロ「俺はまだ傷が治らないからな。……少し休むことにする。」

 

刹「……わかった。」

 

話が一段落し刹那が部屋を出ていこうとするが

 

ヒイロ「……刹那。」

 

刹「なんだ?」

 

ヒイロ「……今、ここにある世界をお前は信じられるか?」

 

刹「もちろんだ。今も、そしてこれからも。」

 

ヒイロ「…そうか。お前には愚問だったな。」

 

今度こそ刹那が部屋を出ていく。

 

刹那・F・セイエイ……か。奴は信頼できるな。……本当に戦争を止めることできるのは、もしかしたら刹那なのような人物かもしれないな。

 

ヒイロは窓の外を見る。ちょうど日の出の時間だ。ヒイロはそれを静かに見つめていた。

 

 

ヒイロside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾波side

 

綾「ん。」

 

見慣れない天井を見て体を起こす。

 

……ここは?……どこなんです?

 

辺りを見てみるとどうやら病室のようだ。

 

……包帯が巻かれている?

 

ふと窓の外に目を向ける。

 

……まさか。……ここは!

 

???「逃げようとしても無駄だぞ。」

 

綾「ッ!」

 

ロイヤルの航空空母 アークロイヤルが入ってくる。

 

アーク「見張りがついている。何もとって食いはしないさ。」

 

綾「ここは、アズールレーンの基地ですか?」

 

アーク「さすが詳しいな。よく調べている。」

 

アークロイヤルが手に持っている袋からリンゴをひとつ取り出してこちらに投げてくる。

 

アーク「戦いの後、気絶したお前を基地に運んだ。扱いとしては、捕虜ということになる。」

 

渡されたリンゴを見ながら二人のことを思い出す。

 

綾「あの二人はどうしてるんですか?」

 

アーク「気になるか?あの子達のことが。」

 

綾波は二人の安全をただ祈った。

 

綾波side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那side

 

クリーブ「まったく。無茶をしてくれたよ。」

 

ホーネット「敵を助けるための無謀な突貫。まあ、あまり誉められたことじゃないよねー。」

 

クリーブランドとホーネットに起こられているのはジャベリンとラフィーだ。

 

ジャベ「…ごめんなさい。」

 

ベル「お待ちください。お二人をけしかけたのは私です。責はこのベルファストにあります。」

 

ウェールズ「そうは言うがなぁ。このままでは示しがつかんのだ。」

 

ベルファストが庇うが、プリンス・オブ・ウェールズに的確な手をうたれる。

 

執務室の中で沈黙が流れるが

 

ホーネット「というわけだ。ジャベリンとラフィーには懲罰として捕虜の監視任務を命じる!」

 

クリーブ「捕虜は丁寧に扱うのが決まりだからねぇ。」

 

ジャベ「それって!」

 

ホーネット「頼んだぞ。」

 

ジャベ「はい!」

ラフィー「うん!」

 

二人が執務室を出ていこうとするが

 

ジャベ「あ、あの時助けてくれた方ですよね?」

 

刹「…ああ。そうだが。」

 

ジャベ「あの時名前を聞き忘れたんですけど教えてくれませんか?」

 

刹「……刹那だ。」

 

ジャベ「あの時助けてくれてありかどうごさいました。」

ラフィー「ありがとー。」

 

刹「……そんなことより友達はいいのか?」

 

ジャベ「あ!忘れてた!ではまた。失礼しました!」

ラフィー「ましたー!」

 

二人が執務室を出ていく。

 

ベル「飲み物をいれてきますね。」

 

ベルファストが茶の準備をしだす。

 

クリーブ「さてと、少し話そうか?」

 

刹那、クリーブランド、ホーネット、ウェールズがソファーに座る。

 

ウェールズ「我ながら甘いな。」

 

クリーブ「いいじゃないか別に。」

 

ホーネット「そうそう。コーヒーも紅茶も人生も、甘い方がいいのさ。」

 

刹「それはそれでダメな気がするがな。」

 

ホーネット「えー?手厳しいなー君は。」

 

刹「……普通に当たり前だと思うが。」

 

ウェールズ「しかし問題はこちらの方だな。」

 

テーブルに置かれている黒いメンタルキューブを見る。

 

クリーブ「はっ?!キューブが?」

 

ベル「あの戦い以降、キューブは異常な反応を示しています。」

 

ベル「これが何を意味するかまではわかりませんが。」

 

ウェールズ「これについて君は知っていることはあるか?」

 

刹「いや、だがおそらくこれは人の感情がエネルギーとなっている。」

 

クリーブ「人の、エネルギー?」

 

刹「絶望、快感、嫉妬、羨望、欲望。人の何かの感情によってこのキューブは力を強めている。」

 

ウェールズ「黒いメンタルキューブは大蛇計画の鍵。セイレーンの企みであることには間違いない。」

 

ホーネット「これって、やっぱ姉ちゃんと関係あるよね。」

 

ウェールズ「エンタープライズの様子は?」

 

ベル「体と偽装の検査をおこなっていますが、今のところ異常は見つかっておりません。」

 

クリーブ「すごい船だとは思ってたけどさぁ。……あの時のエンタープライズは、なんだか、怖かった。」

 

刹「…だがそこまで心配はいらないだろう。」

 

クリーブ「え?何でそんなこと言いきれるんだ?」

 

刹「彼女はヒイロから何かのヒントをもらっているはずだ。」

 

ウェールズ「つまりエンタープライズの鍵はヒイロ・ユイが?」

 

刹「ああ。ヒイロなら……きっと。」

 

刹那はヒイロ自身も同じような経験をしてきたからこそ、彼を信頼していた。

 

……頼んだぞ。…ヒイロ。

 

刹那side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロside

 

ヒイロは病院から出ていた。桜並木が立ち並んでいる。

 

こんなところがあるとは……戦いの後のアフターケアが良くできているな。

 

目的もなく歩いていると海に出る。

 

ヒイロ「んっ?」

 

誰かの話し声が聞こえる。二人いるようだ。そのうちの一人の声をヒイロは知っていた。

 

ヒイロ「………この声は。」

 

ヴェスタル「まだ検査は終わってないのよ。おとなしくしてなくちゃ。」

 

工作艦のヴェスタルがエンタープライズに話しかけている。

 

プライズ「ああ。………すまない。」

 

ヴェスタル「エンタープライズちゃん?…大丈夫?」

 

プライズ「ああ。……何があろうと。……今は戦うしかない。」

 

ヴェスタル「……そう。」

 

ヴェスタルが離れていく。その光景をヒイロは見ていた。

 

ヒイロ「どうやらその様子だと、…答えはまだ出てないようだな。」

 

エンタープライズの肩が少し震える。

 

プライズ「お前は……名前を聞いてなかったな。私の名前はエンタープライズだ。そちらは?」

 

ヒイロ「ヒイロ・ユイ。」

 

プライズ「そうか。君の言う通り、私にはわからないよ。」

 

プライズ「この海の美しさも。この名前に込められた思いも。………何もかも。」

 

……こいつも怖いのか。……俺と一緒だな。

 

ヒイロ「……なにかを手にいれればいい。」

 

プライズ「え?」

 

ヒイロ「その名前の意味だ。ラテン語のlntとriseで困難な場所へ入り手に入れるという意味がある。」

 

プライズ「………。」

 

ヒイロ「……お前は自分が兵器だと言ったな。なぜそこまで自分を兵器だと思うんだ?」

 

プライズ「ッ!お前に何がわかるとゆうのだ!」

 

ヒイロ「知っている。……お前よりも。……ずっとな。」

 

プライズ「……?」

 

ヒイロ「俺も昔はお前と一緒だった。……たくさんの命をこの手で奪ってきた。」

 

ヒイロ「敵も味方も大勢死んだ。戦争は常に誰かを失うことしかない。」

 

ヒイロ「だが、それを乗り越えないと人は成長しない。」

 

プライズ「なら、私一人が戦えばいい。」

 

ヒイロ「それは、………死ぬほど痛いぞ。」

 

プライズ「なら、…………私はどうすればいいんだ?」

 

ヒイロ「自分自身をそんなに責めるな。……前を向け。」

 

ヒイロ「おきてしまったことは戻りはしない。……死んでいった仲間たちの思いを胸に、行き続けろ。」

 

少しの間沈黙が流れたがしばらくしてエンタープライズが声を絞り出すように

 

プライズ「………私に出来るだろうか?」

 

ヒイロ「ああ。だから自分自身を責めるのはこれで終わりだ。」

 

エンタープライズの瞳から涙がこぼれ落ちる。

 

やれやれ………女を泣かせるのは気分が悪いな。仕方ない。

 

プライズ「なぁ?」

 

ヒイロはエンタープライズの髪を優しくなではじめた。

 

ヒイロ「泣きたいのなら泣けばいい。だが………ここで弱い自分とは決別しろ。」

 

プライズ「そうか。………わかった。」

 

ヒイロはエンタープライズが泣き止むまで髪をなで続けた。

 

ヒイロside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンタープライズside

 

……ここまで自分の思いをぶつけたのはいつほどだろう。

 

さっきまではまるで知りもしないことを勝手にいっているだけだと思っていたが…………彼は違った。

 

彼は私よりも悩んだのだと思う。

 

だからこそ私は少しだけ考え方を変えようと思う決心をした。

 

でも………怖かった。

 

そしたら自然と涙がこぼれてきた。

 

泣きたくなかった。彼に泣いている姿を見られるのが嫌で走り去ろうとした。

 

でも、彼は優しく私の髪を撫でてくれた。

 

まるで、ヨークタウン姉さんのように。

 

ヒイロ・ユイ。

 

不思議と彼に撫でられるのは嫌ではなかった。

 

……私は変わろう。弱い自分とはここでさよならだ。

 

もっと彼のことが知りたくて過去の話をしてもらった。

 

不安だった私はもう一度、自分は変われるかと聞いた。そしたら

 

ヒイロ「少なくとも、もう変わっている。お前のその目は未来へと向いているぞ。」

 

………私は変われていたのか。

 

ヒイロ「それと……。」

 

ん?なんだろう?

 

ヒイロ「ヒイロでいい。………あまり君と呼ばれるのは好きじゃない。」

 

「わかった。ヒイロ……。これでいいか?」

 

「ああ。」

 

彼は少し笑っていた。

 

もっとヒイロのそばにいたいと。この時間が長くなるように空に祈った。

 

 

 

 

 

To be counted




すいません。長くなり過ぎたので前編後編に分けました。戦闘回が来るまで待ってください。

それととりあえず候補の中から絞った物発表します。

ガンダムUCからバナージ・リンクス

ガンダム00Fからフォン・スパーク

鉄血のオルフェンズからブルワーズ海賊団

ポケットの中の戦争からバーナード・ワイズマン

この4個にとりあえず決定です。

まだまだ入れたいものあったらコメントしていただけるとありがたいです。

位置付けはブルワーズ海賊団 雑魚敵

ガンダムUC ポケットの中の戦争
バナージ・リンクス バーナード・ワイズマン 恋愛枠

ガンダム00F からフォン・スパーク 最初敵だけど味方になる予定 あくまでも予定

とりまこんな感じで行きます。

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