四木虹夢の日常は真日常   作:サウザンd.pース

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分割2本目。


第2記 転換/戦いと決意、そして Part2

そういえばあの怪人、結局なんなんだろう……

 

戦いののち、日が落ちかけている頃、家への帰り道の途中で虹夢はデントリーのことを思い出していた。

思えば海からあんな変な怪人が出てくることなどありえない。

虹夢はやつらが何者なのか疑問に思う。

 

「…奴らについてはおまえの家に着いたら話す」

 

それを察したレイジは、ついたら話すと虹夢に告げた。それを聞いた虹夢はただ「分かった!」と答えた。

 

「あ、ついたよ」

 

そうこうしているうちに、虹夢達は家……虹夢が家としている神社についた。

 

「「ん? 神社?」」

 

もっと家っぽい建物に住んでると思ってたレイジとシザーはかなり困惑した。

神社が家です、はまあ住み込みで働いていたりとかならまだしも、虹夢が家と言っている神社は、あっちこっち痛んでるわ草木が壁に張り付いてるわで、どう見ても誰かが管理してる感じではない。

 

「…早くこっちに来て」

 

困惑する二人に、虹夢は上がるよう促す。

二人ははっとしてすぐさま神社内に上がる。

 

「さあてと、今日は何食べよ」

 

「「いや待て待て待て、なんでお前神社に住んでるんだよ」」

 

虹夢に促されるままに神社に上がったレイジとシザーだが、やはり疑問は絶えず、思わず聞いてしまった。

虹夢は割とすぐに神社に住んでる理由、ついでに店で働いてる理由も話した。

 

さてここで、第一話くらいで話せなかった、虹夢がなぜ働けているのか、そのもうひとつの理由を今ここで話そう。

数年前、彼は海からここへ流されてきた、記憶を全て無くした状態で。

その際神主に拾われ、その神主が行方不明になり、

元々神主一人が錐揉みしていた神社がつぶれた今でも住み着いている。

そんな存在を県がほっとくわけにもいかないが、虹夢はまったくそこを出ようとしないし、

神社の実質的な管理者も存在を容認してしまっているので、

県は面倒事をよく引き受けてくれるヒロモトの店主に頼み込み、監視も兼ねて働かせているのである。

虹夢はまんまこれと同じようなことを二人に話した。

(県が面倒に思っていることをなんで虹夢は知ってるの?と思ったそこの貴方、

それは店主のおじさんが教えちゃったからです。ただし虹夢はあまり意味を理解してません)

 

「…まあ一応、お前がここにいる理由は分かった。」

 

レイジは一応その話だけ聞いて納得した。

本当はもう少し虹夢について切り込んだ話をしておきたかったが、という顔をしながらだが。

 

「じゃあ次はあの海賊達の話をお願い」

 

その様子を見た虹夢は、神社の話は終わりと思い、すぐに海賊の話題へと切り替える。

 

「もっと突っ込みたいところはあるが、まあ話進めるぞ」

 

対しレイジも、もう諦めたのか海賊、奴らの話に気持ちを切り替え、奴らの話をし始める。

 

「奴らは、数ヶ月前に、あの海の中に沈む神殿に勝手に住み着き、そこから時折り海の外に出て、今日みたいに暴れ倒して帰っていく、そんなめんどくさい集団だ」

 

「うんうん」

 

「……奴らは基本的に水のような体を持ち、特殊な能力を持つ。あのデントリーとかいうやつみたいにな」

 

「なるほど」

 

「……、……終わり」

 

「え? 終わり?」

 

「終わりだ、そこまでしか、俺たちもわかってない」

 

「ええ〜〜〜」

 

自身の話を、頷きながら聞く虹夢を横目にレイジは奴ら話をした。

が、あまり中身のあるものではなく、虹夢は拍子抜けといった様子だった。

 

「中身なさすぎない?」

 

「仕方ないでしょー本当にこれしかわかってないんだから」

 

すかさず虹夢が話の中身のなさに突っ込みを入れる。それにほぼほぼ空気であったシザーが弁解する。

 

「で、ここから本題だ、お二人さん」

 

「本題?」

 

そこから更に、シザーが話を切り替える。本題、と聞き、虹夢は首を傾げていたりしているが、レイジは無言だった。

しかしシザーは特に気にせず、話を進める。

 

「そう、時たま海から出てきて暴れる海賊達を倒す。その役目を四木虹夢に頼みたい」

 

「俺に? 本当に俺でいいの?」

 

海賊達を倒す役目を虹夢に頼みたいというシザー。

それを聞いた虹夢は俺でいいのかと不安そうな表情を見せるが、内心嬉しそうだ。

 

「そうだぜ〜おまえがいいのさ」

 

そしてシザーはおまえがいいと虹夢に言う。それを聞いた虹夢は…

 

「じゃあ、俺、やr「だめだ」え?」

 

シザーの誘いを受けようとしたその時、レイジがそれを遮った。

遮られた当の本人である虹夢とシザーは「何で」と言いたそうな、戸惑いの顔をしていた。

特に虹夢は悲しさ混じりの顔だった。

 

「おいおいどうしたんだよ、雷仁竜さんよう。それじゃ本末転倒だぜ〜だってあんたがこいつを「うっせ」ぶらば!?」

 

「あ、シザー! ど、どうして… !」

 

急に虹夢が海賊達と戦うことを拒んだレイジにシザーは戸惑いながらも近づき、

理由を問うがレイジに裏拳で庭方向にぶっ飛ばされる。

それを見た虹夢はシザーの元へと駆け寄る。

そしてレイジにシザーをぶっとばしたことに物申そうとの彼の方を振り返って、虹夢は止まった。

さっきまで見せたことのないような、怒りの表情を浮かべていたのだから。

 

「……悪い、いきなり巻き込んでおいてなんだが、おまえを戦わせるわけにはいかない」

 

バチッ……ビュン!

 

「っ!」

 

自らを見て動きを止めてしまった虹夢に近づきながらレイジはそう告げ、

突風を伴う凄まじい速度でこの場から去った。

残された虹夢はただ座り込むだけだった。

 

「……シザー」

 

レイジが虹夢の前からいなくなった後、放心状態から戻った虹夢は、シザーにあることを聞いた。

 

「レイジの、あの時のレイジの顔って、どういうこと?」

 

それは、あの時レイジが浮かべた表情についてである。

 

「……おいおいぶっとばされた直後のやつに変な質問すんなよー」

 

シザーはふざけた笑みを浮かべながらそう嘆く。

 

「で、なんでそんなこと聞く」

 

「……!」

 

急に声色を真面目なものに変え、虹夢にそう聞き返すシザー。

 

「……知りたい、と思ったから、知らないといけない、て、思った、から……」

 

それに虹夢は思いつめた顔を浮かべながらも息を整え、そう呟いた。

 

「……なるほど」

 

虹夢の答えを聞いて静かに納得したシザーは、彼の膝から飛び立ち、彼の正面に行き、こう告げた。

 

「あれは“怒り(いかり)”だ。」

 

怒り(いかり)、レイジがあの時浮かべたのは怒り(いかり)であると。

 

怒り(いかり)? それって何?」

 

それを聞いた虹夢は首を傾げる。何せ聞いたこともないものだったからだ。

 

「やっぱりそっからか……ええ、怒り(いかり)ってのは、間違いをおかした相手を怒鳴って叱ること、因みに叱るとは、相手を強い態度でとがめて責めることなり。」

 

「なる、ほど……」

 

シザーの説明を聞いて、“怒り(いかり)”とは何か理解した虹夢。

ただその顔は非常に浮かなく、深く伏せていた。怒いかりの説明を聞き、

レイジが怒りの表情を浮かべた理由が自分が何か間違いを犯したのかと不安になったからである。

 

「ただ、」

 

「?」

 

しかし、付け加えるように呟かられたシザーの「ただ」という一言に虹夢は伏せていた顔をあげる。

 

「あれは正確に言ったら“怒り(おこり)”だ」

 

怒り(おこり)?」

 

そしてそれを待っていたかのように、少し笑った後、シザーはあの時のレイジの表情は“怒り(おこり)”だと付け加えた。

 

「そう、怒り(おこり)、それは、怒り(いかり)と大体一緒で間違いを犯した相手を叱ることだが、これはそれの中で、相手のために行うものを指す」

 

 

「相手の、ため?」

 

「ああ、相手のために、人は怒る(おこる)のです」

 

「えっと……てことは?」

 

「……はあ、コホン、ええ、レイジくんはおまえのためにあんな顔をしたんです、でもってそれで俺の誘いも遮ったのです」

 

そして更に追加で付け加えるように怒おこりについて解説するシザー。

それを聞き、ため息混じりなシザーの誘導もありながらも虹夢はレイジが自分のために怒ってくれたことを理解する。

 

「あ、でも俺怒られるがわからないから結局どうすればいいかわかんない……」

 

だが、自身がレイジを怒らせた理由については全く見当もつかない様だ。

 

「えっと、シザー、原因わかる?」

 

虹夢はシザーに助け舟を請うが、

 

「ふふふ……それは自分で考えしゃい!」

 

あっさり断られてしまった。

 

「ええ〜」

 

さっきまで細かく自分の質問に答えていたのに、急に放棄され、虹夢はふてくされた顔をする。

 

「えーじゃないぜ、全部他人に聞くんじゃあまり良くないからな! そんじゃおれはこれで、サラバ!!」

 

「あ!ちょ待っ……、行っちゃった……」

 

質問に答えてくれなかったことでふてくされた虹夢を宥めながら、

シザーはパタパタと羽ばたいて空を飛んで行って去ってしまった。

その場に取り残された虹夢は、件のことをしっかりと考えることを決め、その日を過ごした。

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