四木虹夢の日常は真日常   作:サウザンd.pース

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第3記ー2 レイジが聞く虹夢のこと

ハクシキーとの戦闘が終わった後、虹夢、レイジ、シザーは虹夢の家(廃神社)への帰路についていた。

 

「レイジ、シザー! 空綺麗だよね!」

 

「お、おう…」

 

「そ、そうだな」

 

その道中、突然虹夢から空が綺麗と同意を求められ、少々困るシザーとレイジ。

 

「……」

 

そんな虹夢の様子を、レイジは訝しげに見ていた。

 

(どうしてだろうか…何故か虹夢に違和感を感じる…会ってまだ4日、そこまで時は立っていないはずなのに…)

 

「おうおうレイジさんよう、会ってまだ4日しか立ってないけど何故か本日の虹夢に違和感を感じてるっていう感じの顔してらっしゃいますね〜! どうしたんデスカ!」

 

「そこまで思考が読めているのなら何も言わなくてもわかるだろうハガネインウツコウモリ、虹夢から感じる違和感の正体が分からないんだよ!」

 

レイジが虹夢から感じる違和感について考えていると、

シザーがレイジの思考をほぼ的確に言い当てつつどうしたか聞いてきた。

レイジは悟っているのにも関わらず、

わざわざ煽り口調も交えて聞いてきたシザーに怒りの意味を込めて変なアダ名をつけつつ質問に答える。

 

「まあまあ、お気になさらずに相談してくれよー。あんたに虹夢を会わせるまでにあいつを見ていたのは俺なんだから。」

 

シザーはレイジの返しはスルーしつつレイジが自分に相談しなかったことを嘆く。

 

「……そうだったな。」

 

それを聞いたレイジはただ呟いた。

 

「で、違和感の正体が分からない、だっけ?」

 

「ああ」

 

気を取り直してのシザーの聞き返しに短い返事でレイジは答える。

それからシザーは少し思案するそぶりを見せた後、

羽を合わせてポンと音を鳴らした。どうやら何か思いついたようだ。

 

「周りの人間に虹夢の話を聞こう!」

 

「……普通に虹夢自身から聞いた方が早くないか?」

 

その思いついた案は虹夢の周りの人物に虹夢の話を聞くというものだった。

それを聞いたレイジは虹夢から聞いた方が早いと言った。

 

「い、いやいや、違和感の正体を知りたいんだったら、まずはあいつのことを知っておいた方がいい。それを早く行えるのは周りに聞くことだ!」

 

シザーはレイジの発言を聞いて少々焦りつつも、

周りから話を聞くことへの意味を説く。

 

「あいつを見て知るのより、そっちの方が早いから…か?」

 

「そうそうそうそうそうそうそう!」

 

「……わかった。」

 

それを聞いたレイジの聞き返しに超高速で何度も頷くシザー。

その様子を見たレイジは暫く思案した後、了解した。

 

「そうと決まったらまずここへ行こう!」

 

シザーはこの周辺の地図を取り出し、

数カ所についた丸のうちの一つを指し、その場所まで飛んでいく。

 

(……さては最初からこのルートへと持って行こうと考えていたな)

 

シザーのその様子を見てレイジは最初からこうするつもりだったということを察した。

思案が足りなかったと少し後悔しつつも、後戻りできないのでシザーについていくことにした。

 

 

ーーー精肉店兼焼肉店充豚苑(じゅうとんえん)ーーー

 

「まずはここ、充豚苑の従業員の桜木(さくらぎ) (まつ)さん!」

 

「桜木です。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ(なんでシザーの存在をスルーしてるんだ?)」

 

シザーからの紹介で、精肉店兼焼肉店充豚苑従業員の桜木松と挨拶し合うレイジ。

その際、シザーという明らかに普通じゃないコウモリもどきがいるのにスルーしていることに、

レイジは疑問を抱いたが、これについては後でわかる。

 

「あの子についてのお話、でしたね」

 

「あの子? ああ、虹夢のことか……お願いします」

 

桜木の言うあの子とは誰か分からず、

一瞬レイジは戸惑うが、すぐにあの子とは虹夢を指していると気づいた。

 

「分かりました。ではまずはあの子との出会いから行きましょうか」

 

そう切り出してから、桜木は語り始めた。

 

「あの子とは、今あの子が家にしている神社が廃れる前、神主さんがこの子にいっぱい食べて元気になってもらいたいからってここに連れて来て、その時に初めて会ったんです。それから、神主さんが死んだ後もあの子はここに来て、お肉を買っていったりしてくれました。ある時、私はあの子に聞きました。『何でいつもここなのか、他にも焼肉屋や精肉店はあるのに』と。そしたら返ってきた答えが『ここがいいから』でした。その時私は、この子はとても純粋な子なんだなぁと感じました」

 

「なるほど、純粋なやつ……」

 

桜木の話を聞き終わったレイジは、その話から虹夢が純粋な存在であると感じた。

思えばシザーが手を出せといった時にすぐに差し出したらしいから当然といえば当然か、

とレイジは納得する。

 

「これでよかったですか?」

 

「…! はい、大丈夫です」

 

話し終えて、これで良かったか不安そうに聞く桜木に、

レイジは感謝の意を込めつつ大丈夫と答えた。

 

「それは良かった…それでは話を変えるようでなんですが、バイトしませんか?!」

 

唐突に桜木はレイジにバイトしないかと質問した。

 

「しません。」

 

レイジははっきりと断った。

 

「……なんでですか」

 

桜木は不服そうに問いただす。

 

「というか何故いきなりバイトするかを聞こうと?」

 

その問いはスルーしつつレイジは問う。

 

「最近人手が足りないのでことあるごとに誘ってるんです。というわかでバイト!」

 

「し ま せ ん」

 

その後、問いとスルーの応酬となってきてレイジは面倒くさくなり、

話題を変えるつもりでとあることを聞いた。

 

「というか話を聞く限り十年ぐらい前からここにいるようですが何歳ですか貴女」

 

その問いを聞いた桜木は、急に纏うオーラを変えた。

この時、レイジは地雷踏んだかもなと思った。

 

「それは、私が吸血鬼だからですよ!おかげで永遠の19歳! 吸血鬼になってからは苦労の連続でした! 拷問やら襲撃やら封印やら! でも同じ境遇だった店長と出会って私はここで働き始めた! 幸せだった! 所が最近急に客が増えて店長が忙しくなってしまった! このままでは店長が過労でダウンしてしまう! というわかでバイトしません?」

 

が、実際始まったのは桜木が吸血鬼というのと働き始めた経緯の独白であった。

そしてさりげなくまたバイトしないか誘ってくる。

 

「しません別の人に頼んでくれ」

 

そしてレイジもまた断る。

 

「どの流れだだしわけがわかになってますよ」

 

「これは癖だから仕方ないのよ…そんなことよりバイト!」

 

この後もかなり同じようなことが繰り返されたので、レイジはシザーを掴み、高速移動でその場から去った。その繰り返しの最中、シザーがレイジ君ならバイトにいかせても大丈夫すよ!という発言を事前にしていたことが発覚したりした。

 

「次はどこだ?」

 

メリメリと鷲掴みしたまま、レイジはシザーに問う。

 

「つ、次は理髪店っす…」

 

シザーは冷や汗を大量に出しながら地図を渡し、理髪店の場所を指す。

 

「よし、手早く向かうぞ」

 

「へ、へい……」

 

次は面倒くさくならないように、そう願いながらレイジは次の場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 ーーー理髪店スクルーーー

 

「お次は理髪店スクル店長、巣久留(すくる)(せつ)さんです!」

 

「よろしくお願いします」

 

「………………こちらこそ」

 

次に行った理髪店スクルでは、店長である巣久留刹が、レイジとシザーの対応をした。

 

巣久留が挨拶した後、暫く凝視した後、レイジはこちらこそ、と挨拶を返す。

先ほどの生肉店兼焼肉店充豚苑(じゅうとんえん)での話が最終的にバイトへの強烈勧誘だったため、

かなり、というか大分警戒しているようだ。

 

「それでお話というのは?」

 

「虹夢について」

 

「了解です」

 

巣久留の問いにレイジが答えるとすぐに、巣久留は自身と虹夢の話を語り始めた。

 

「彼がここに来るようになったのは一年と半年ほど前ですかね。その時は髪が凄まじく荒れていて、セットが大変でした。話を聞くと、どうやらヒロモトの店主から髪を切れって言われたみたいで。それでここに来たようです。それからというもの、彼は時々この店に髪を切りに来るようになりました。しかし、床屋は他にもあるのに、なぜ彼はいつもこの店に来るのか、ある時聞いてみると、『ここ人があまり来てなくて、なんかさみしそうだったから』という答えが返って来ました。この時私は、ああ、なんて優しい子だろう、そう思いました」

 

「なるほど」

 

巣久留の話を聞き、レイジは、虹夢は優しい子供であるという情報を得た。

 

「……それではバイトの話へ」

 

「お断りします」

 

その後に案の定バイトの話題があったが。

 

 

 ーーーファッションセンター相川ーーー

 

次にふたりが来たのはファッションセンター相川。この市では割と大きい部類の服専門店である。

ほぼ一族経営で事務員も店員もほとんどが一家というある意味すごい店だ。

 

「どうも、ファッションセンター相川アルバイト店員、相川愛子(まなこ)と申します」

 

「本日はお時間いただきありがとうございます早速ですが本題お願いします」

 

そこのアルバイト店員である少女、相川愛子が挨拶するが、二連続でバイト強烈勧誘であったため、

早く終わらせて疲労を軽減しようと、レイジは大分早口になってしまっている。

 

「わかりました。では、」

 

それを悟ってか、相川愛子は早急に話を始めた。

 

「私が彼を見かけたのは、三ヶ月前、店長と話している所でした。彼にとって服はお高く最低限度あればいいというもので、店で流行が過ぎて廃品に回す予定のものをもらっていました。なんともったいないかと思いました。それから私は、いつか彼に私がデザインした服を買ってもらい、いや着てもらいたいと思いました!それから私は時折来る彼を観察し彼の背格好、彼の好みを分析しそして今かれのための服を合間を縫って製作中であり…」

 

「シザー、これ聞く相手違くないか?」

 

「虹夢のことを周りからの情報から知るっていう企画なので間違ってはいない」

 

しかし、その話が段々と方向性が変わって行ったことによりレイジは話を聞く相手を間違ったのではとシザーを問いただす。

シザーは間違ってはいないと言った。しかし本人も流石にこれには引いている。

 

「ほい」

 

「ぐは!?」

 

そうこうしていると相川愛子の叔父であり

この店の店長、相川来根太(きねた)が相川愛子にチョップを加え、

彼女を強制的に停止させた。

 

「すみませんねえ〜。こいつ虹夢君を見かけてからというものなんかおかしくなっちゃって。仕事はちゃんとやるし友達とも普通に過ごしたりするんですけど、虹夢君のことを見たり聞いたりすると急に暴走し始めてねえ〜困ったもんですよ」

 

どうやら店長いわく虹夢のこととなると暴走するようだ。

 

「まあなんでこいつを止めてくれるやつがいてくれると助かるんですよーというわけでバイトしません?」

 

「「……しません」」

 

さりげなくバイトしないかとレイジは誘われたが、一つ返事で断った。何故かシザーも断った。

 

 

……続く。

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