月夜の輝き   作:粗茶Returnees

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 いつもより少しだけ短いです。


5話

 

 カナエと誠が心を通じ合わせたからというもの。カナエと誠の接する距離に変化が現れた──ということもなく、お互いに名前で呼ぶようになった程度の変化しか出ていない。誠の場合、カナエに対する距離感は元からが最短だったとも言える。それ故に、変わるとすればカナエなのだが、カナエも特に変化らしい変化がない。意識が変われど、距離感はそのままのようだ。

 その様子にムスッとしたのは、しのぶではなく真菰だった。しのぶはカナエの気持ちも誠の意識も知っていたから、「ようやくか。認めたくないけど」と思っただけ。アオイとカナヲは二人を喜ばしく思うも、本人たちから正式発表されたわけじゃないから、「もしかしたらまだ関係は変わってない?」という疑念を抱いている。だからこそ、真菰は面白くなさそうに頬を膨らませるのだ。

 

「ぐぎぎ……! いかれるって……!」

「1回いかれた方が頭も賢くなるかもよ?」

「んなわけ……! 真菰何に怒ってるんだよ……!」

「……別に」

 

 休んでいたことで凝り固まっていた筋肉を解す。体が壊れない程度の強制技で。しのぶも機能回復訓練に取り入れているやり方だが、真菰の方が相手への苦痛が強い。今回は八つ当たりも兼ねているせいで余計に。ただ、しのぶは真菰のこれは真似しなかった。そもそも隻腕の真菰が行うやり方は、真菰独自のもので巧妙な技と化している。真似しようとしても真似出来ないというのが本当のところだ。

 何よりも、しのぶは施設として蝶屋敷を開放している以上、万人に当てはまるやり方でないといけない。一方で、真菰がこれを実施するのは誠相手だけだ。誠専用メニューとなっている。筋肉の付き方は、個々人で誤差が生まれてくる。生まれ持った資質の影響だ。しのぶは押す力がずば抜けているものの、それ以外はからっきし。姉であるカナエとの違いが明白だ。同性でも、姉妹でも差が出る。それを真菰は"癖"だと言って、誠の肉付きの"癖"に合わせて解しているわけだ。

 

「ごめん真菰。言われないと分からないこともあるんだ」

「誠が分からないわけないよ」

「信じられるのは嬉しいけどさ……」

 

 施術が終わり、誠は床に突っ伏しながら息を整える。その視線だけは真菰を捉え、真菰も誠を真っ直ぐに見ていた。アイコンタクトもなく、テレパシーだってできない。どれだけ関係が深くとも、見つめ合うだけでは通じないこともあるのだ。それでも誠は頭を働かせた。真菰がそう言って見つめる時は、誠自身が見落としていることがある時だと知っているから。

 

(真菰が怒る……というか、拗ねてるな。その理由……)

 

 真菰の様子を見る。分かりやすい雰囲気も醸し出されていない。試されている。

 少し考えて、なんとか検討を付けられたところで体を起こした。兆しのようなものも、先日あったのだ。

 

「……嫉妬……というか、ヤキモチ?」

「……どうだろうね」

 

 真菰自身分からなかった。自分の心の状態が。怒っているような、哀しんでいるような、寂しいような。整理できず、胸の中で混濁している。

 

「誠はさ、たぶんカナエといる方がいいんだよ」

「どういうことだ」

「私じゃなくて、カナエと一緒にいる方が──」

「そんなことは決してない」

「……」

 

 その先は言わせなかった。それだけはあり得ないのだと、誠でも断言できる。

 

「俺は未熟過ぎて、人としてだいぶ駄目な奴だから。どっちかじゃないんだよ。真菰もカナエもいてくれないと、俺は()を保てない」

「甘いね。それは我儘だよ」

「分かってる。甘くて、我儘で、弱くて、脆くて。どうしようもない程に最低だ。そこは自覚してる。でも、そのままでいようなんて思ってない。現状に甘え続けるなんて考えてないんだ」

 

 真菰にできることは、マイナスにまで陥っている誠をゼロにまで引き上げること。泰富誠という人間が、人間らしく生きられる最低ラインにまで支えること。誠以外なら話は別だが、誠ガ相手だとそれになる。

 カナエにできることは、プラスを与えていくこと。目を当てられぬほどに堕ちた人間を引き上げることもできる。心を閉じたカナヲを助けられたのは、それができるから。だが、誠相手ではカナエはそれができなかった。誠が相手になると、カナエは与えることしかできない。誠にとって、真菰の存在が大きいから。

 真菰にできることは矯正。カナエにできることは付与。誠は、二人がいることでようやく人らしくなれる。だが、それに甘える気はない。人らしくなれていることで、誠は自分の"人としての成長"を目指している。

 

「真菰一人だけを見続けていられていないこと、本当に駄目なことだと思ってる。だけど、カナエを想う気持ちも嘘じゃないんだ」

「優柔不断だね。一人しか選べない状況になったらどうするの?」

「諦めない」

 

 即答だった。二人のことを想っている事実。それは隠せるものではなく、だからこそどちらも掴み取りたいという"欲"が現れた。

 今の真菰にとって、それは聞くに耐えない話だ。感情の渦巻く状態で、ハッキリとしない話は聞きたくない。

 

「私は……。私を……諦めさせてよ……!」

 

 カナエといる時の姿が胸に刺さった。二人で話している姿に何度も傷ついた。気にしなかっただけで、それは真菰の中で確かに蓄積していった。その限界を迎えたのを他所に、カナエと誠は気持ちを伝え合った。真菰の気持ちは依然として変わらない。誠のことを好いていて、カナエのことを良き友人だと思っている。だから苦しかった。それを爆発させることもできず、行き場のない混濁の感情は、諦めという形を求めた。

 悲痛な思いを打ち明ける真菰に、それでも誠は求められた言葉を言わなかった。

 

「俺はずっと真菰に側にいてほしい。その気持ちは何一つ変わっていないし、ブレてない」

「っ! それ……私じゃないでしょ? 誠が出会った私のことじゃないの!?」

 

 誠への気持ちを自覚してからというもの、真菰の気持ちの影にはその不安が付き纏っていた。誠が真菰という少女をどれだけ想っているのか。それは目を覚ましたあの日に伝わっている。大切にされる喜び、向けられる好意。真菰はそれが心地良かった。だが、それは本当に自分なのかと問い掛けてしまう。記憶を失う前の自分を、重ねて見ているからではないかと考えてしまう。

 

「真菰は真菰だ。俺は、たしかに記憶を失う前の真菰に強く影響を受けた。あの出会いが俺を作り上げる原点になった。特別な出会いだったよ。でも、今目の前にいる真菰のことだったそう思ってる。特別で、大切な人。嘘なんかじゃない」

「……信じ切れないよ」

「真菰が信じられるようになるまで、俺はそれを示し続けるから」

 

 細い腰に手を回し、軽い体を引き寄せる。腕の中にすっぽりと収まる華奢な体で、清流を彷彿させるような透き通った瞳。誠の空のような心の大部分を占め、砕けた心を纏めてくれる掛け替えのない存在。

 静かに唇を重ねた。真菰は誠の首に腕を回し、体を誠へと預けていく。力を抜いて、身を委ねて。示せるものなら、今示してみせろと。今納得させてみろと真菰は言外に示していく。誠はそれをただただ受け止めた。壊れ物を扱うように優しく抱き締め、それでいて手放すかと腕に少しばかり力が入る。

 どれだけそうしていたのか。時間の感覚を完全に忘れ、どちらからともなく口を離す。

 

「誠……私はね、一番がいい。許せないわけじゃないんだけど、それでも、一番の特別でいたい」

「真菰……」

「難しいよね。そうできるのなら、誠は初めからそうしてたもんね」

「ごめん。こんな奴でごめん」

「寂しい気持ちは消えない。物足りなく感じる時もあるかもしれない。それでも、私の想いは冷めないから。だから、その時は私をいっぱい愛して?」

「うん。絶対に」

「えへへ、それならいいかな」

 

 諦めたくて諦められるようなものじゃない。後ろめたい切り方では、何一つ断ち切ることができない。先程の口づけで真菰はようやく自分の整理ができた。諦めたいなんて本当は全く思っていないことに。自分は思っていた以上に、嫉妬する人間なんだと気づけた。寂しく思えば燃え上がり、心は想い人を求めていく。

 完全にチャラということにもできない。分かっていたこととはいえ、それでも誠は浮気したと言える。順番で言えば、真菰の方が先なのだ。その幸福感を削がれてしまったことは、何かしらの形でお返ししてもらおうと密かに考える。

 

「さてと、それじゃあ次の訓練に入るよ」

「そうだな」

 

 真菰が誠のために実施する機能回復訓練は、実に分かりやすいものだ。体を解し終われば、あとは身体機能の訓練に入る。しのぶが考案したものであれば、反射能力を鍛えるものや、鬼ごっこになるわけだが、真菰のものはそれを組み合わせたものとなる。

 部屋中に物を散乱させたところで準備終了。カナエには先に「穴が空いたらごめんね」と伝えてはいる。何をする気なんだと冷ややかな視線を向けられたが、禁止はされなかった。真菰も極力被害が出ないようするつもりだ。それも誠次第であったりするわけだが。

 

「それじゃあ始めるよ」

「あぁ」

 

 行われるのは、真菰の言い方をすれば『鬼ごっこ』だ。誠はこの訓練のことを『本当の鬼ごっこ』と呼ぶ。その実態はやはり鬼ごっこ。真菰から逃げ続ければいいという訓練だ。ただし、真菰はその辺に散乱させた道具を活用する。誠はそれらを避けながら、落ちているものにも当たらないようにしながら真菰から逃げる。真菰の動きに中止しつつ、自分の周囲を把握しなければならない。建物内ということで、可動域は狭い方だ。空間把握能力も必要となる。

 

「頑張って逃げてね!」

 

 近くにあった小さめの鞠を蹴飛ばす。蹴ってすぐに動くことで、真菰は誠の進路の選択肢を減らした。誠は当然鞠で塞がれてない方向へと逃げる。真菰は壁で反射してきた鞠をもう一度誠へと飛ばす。さらに足元にある木片を、足に引っ掛けて飛ばした。誠は鞠を弾き、飛んできた木片へとぶつけながら真菰からさらに距離を取る。真菰はそれをさせじと追いかけ、途中で何度も足元にある物を飛ばしていく。鞠、木片、木刀その他諸々。

 

「っ、く!」

「極力反射はしちゃ駄目だよ」

 

 やがて誠は真菰に掴まれ、今日の訓練が終了した。誠が掴まった周囲には、散らばめられていた物が足場に困る感覚で散らかっていた。真菰は物を飛ばしながらこの状態を作り上げ、誠をその場へと追い込んで捕えたのだ。

 

「そう言われてもな。顔に飛んでくるやつは反射的に避けるだろ」

「反射での避け方だと、絶対にそれの反対側に動くか、利き手側に動くかだからね。追い込みやすくなるんだよ。鬼がそこまで狙うかは分からないけど、想定できることは備えないと」

「……まぁ、そうだけど……。あれだな、しばらく動いてなかったからその辺の感覚も薄れてるな」

「そうだね。できるようになってたのに、追い込まれてからが酷くなっちゃってる」

「うぐっ」

 

 元に戻さねばとため息をつく誠を、真菰は淡く微笑みながらその頭を撫でた。小さくて柔らかい真菰の手は、安心感よりも癒やしを人に与える。誠はそれをむず痒く思いながら受け入れ、少ししたら片付けを始めた。

 

「結構凄い音がしていたのですが、何をなさったんですか……。物も散乱してますし」

「訓練の一環だよ。それよりアオイはどうしたの? もしかしてやりたいとか?」

「いえ心臓が縮まりそうなので絶対にやりたくないです」

 

 早口で言い切った。どんな事をしていたのか見ていないのに、アオイは的確に予測を立てて早々に話を切る。アオイがここに来たのは、別に用事があるからだ。

 

「カナエ様がお呼びです。先日しのぶ様が水柱様と討伐したという鬼についてお話されたこと。その事についてお二人の考えも聞きたいと」

「ふーん? 私達はその話聞いてないんだけど」

「しのぶ様と水柱様は、違和を感じたそうなのですが、それが何かまでは突き止められませんでした。カナエ様に相談され、先程仮説を立てられたそうなので、それでお話をしたいと」

「なるほどね。片付けが終わったら行くから、アオイは先に行ってて」

「分かりました」

 

 事情を聞き終えた真菰は、その鬼について考える。倒すことは特に苦労しなかったと知っている。どちらも傷一つ負っていなかった。しのぶが呼ばれたのも、他の隊士が先行していて、その治療を任されたと聞いている。それはともかくとして、その鬼に対する違和感とは何なのか。現時点では判断に困った。

 

「誠はどう思う?」

「現時点ではなんとも」

「だよね」

 

 散らかっていた物を次々と箱に収納していく。真菰がある程度固まるように飛ばしていたおかげで、片付けはそこまで苦労しなかったりする。これは訓練後の副産物に過ぎないのだが、一応そこも考えているとは本人の談。

 箱への収納を済ませ、それを部屋の片隅に置いて道場を後にする。真菰は腕を誠に絡め、その腕にこてんと頭を預ける。歩きにくくなったが、真菰が嬉しそうに目を細めてそうするために、誠は何も言うことができない。誠もそうされることが嬉しかったりするのは隠し事。

 

「カナエ入るぞ」

『どうぞ』

 

 カナエの部屋の前で一度声をかけ、許可が出てから中に入る。部屋の中にはカナエとしのぶがいて、アオイとカナヲは席を外しているようだった。真菰は未だに腕を絡めており、カナエの笑顔が一瞬引き攣った。

 

「真菰」

「話の邪魔にはならないから」

「そうだけどさ……」

「まぁ、気にすることでないわね。それより、しのぶが冨岡くんと遭遇した鬼についての話よ」

「アオイから少し聞いたが、違和感がどうのって。具体的に聞いてもいいか?」

「……明確に感じたわけじゃないわ。何か引っかかる、そんな感じだった。初めは普通に異能の鬼だと思ってたし」

 

 その言い方で誠は一体の鬼を連想した。普通の鬼を普通じゃないようにできる鬼のことを。鬼の生成、強化、始末は鬼たちの首領たる鬼舞辻無惨のみが行えること。遠距離での強化など不可能であるため、この件に無惨が関わっているとは考えにくい。

 

「その鬼は普通じゃなかったのか?」

「鬼は基本的に人を襲う。あの鬼もそうだった。だけど、動きが妙だった。急速に戦いに慣れていったわ」

「どういうことだ?」

「冨岡さんが鬼を斬ったのだけど、2撃目から鬼が冨岡さんの速度についていけるようになった。そういう能力かと思ったけど、異能は他にも持ってたし、二つとは考えにくい」

「そうだな。で、カナエの意見は?」

 

 戦闘時の状況を聞き、誠はある程度当たりをつけた。その存在を知っているために、そう思わされてるのかもしれない。だからまずはカナエの意見を聞くことにしたのだ。

 カナエは一度深呼吸し、誠の目を真っ直ぐ見た。その雰囲気は普段のカナエのものではなく、花柱としてのものだ。

 

「鬼が急成長できるようになったのか、あるいは例の鬼の存在」

「俺の考えは後者だが、前者だとしたら厄介だな。雑魚鬼たちも雑魚じゃなくなっちまう」

「私も後者だとは思うわ。後者ではなかった場合、前者なのだろうという想定よ」

「なるほどな」

 

 沈黙が流れる。カナエの意見も誠の意見も、鬼を操れる『嶺奇』の存在だ。先の大戦を引き起こし、柱が5人消え、多くの隊士が命を落とした戦い。それをあと一歩のところまで追い詰めるも、誠は余力がなく、利永はその場に現れた黒死牟と交戦することになった。その交戦で嶺奇は姿を消し、それ以降鳴りを潜めている。その嶺奇が再び動くようになったのなら、鬼殺隊は追い詰められたことになる。

 

「誠は踏ん切りがつかなそうだね。嶺奇じゃない可能性を考えてる?」

 

 その沈黙を破ったのは、真菰だった。真菰は誠の腕から頭を離し、その顔を見上げた。その瞳が物語っている。誠はもう一つ引っかかっていることがあるのだろうと。それは的を得ていて、誠は頷いてから口を開けた。

 

「嶺奇が裏で糸を引いてた可能性はある。だが、はっきり言って嶺奇は戦いが特別得意というわけじゃない。一度冨岡の太刀筋を見たからって、2撃目から避けさせられるようになるわけがない」

「嶺奇が成長した可能性は?」

「それも考えたが、それなら最初から躱してる」

 

 誠の言葉に、しのぶはたしかにと呟いた。その鬼は結局、義勇としのぶが連携して殺している。不意をついたわけでもなく、真っ向からの討伐だ。もし、急成長できるのであれば、そこからさらに強くなっていた。だがその鬼は、二人に押し切られる形で討たれている。一度だけの謎の急成長。余計に謎が深まっていく。

 

「……嶺奇だとして、狙いが掴めないな。あいつは俺に固執してる節がある。その気なら他で余計な手出しをするとも思えない」

「謎が深まるばかりだね。一応、仮想敵として嶺奇かな?」

「そうするしかないな。他の鬼がどうなのかも確かめないといけないが、それは追々だな」

「その嶺奇だとしてよ? 泰富さんはどう追いかけるつもりなの?」

 

 しのぶは誠の今後の予定を知らない。身体能力を戻せた暁には、誠は利永の遺したものを探しながら嶺奇の捜索に入る。単独での行動となるが、それは真菰とカナエも承知している。真菰に至っては、機能回復訓練が終わり次第、鱗滝の下へと帰っていく予定である。

 

「利永さんが、何かしら遺している可能性が高い。お館様もそう踏んでいる。だから、まずはあの人の隠れ家を順に回って、その後はそれからだな。場所は分かってるし、そこまで時間はかからないと思う」

「ならいいわ。あの鬼を連想させるようなことがあったら、私からもその情報を回すわね」

「ありがたいけど、……しのぶ丸くなったな」

「どういう意味よ! 厄介な敵だから早く討ちたいだけよ!」

「しのぶは素直じゃないわね~」

「姉さん!」

 

 姉のカナエにはしのぶの心境などお見通しである。姉相手なら見透かされることも恥ずかしくないのだが、それを暴露されるのは話が別である。ぽかぽかと姉を叩き始める。

 それを横目に、カナエは気がかりを口にした。ずっと気になっていたこと。待っていれば解決すると思いきや、どうやらそうならなそうな案件だ。

 

「誠さんの刀っていつ届くのかしらね? 目を覚ましたことは連絡が入ってるはずだし、それなりに日も経っているのだけど」

「そういやそうだな……。それも気になるところだが、まずは体を戻さないことにはな」

「そうだけど……、もし訓練が終わっても刀が届いてなかったら、こちらから伺うしかないわよ」

「どこに?」

「刀鍛冶の里に。私も刀の新調があるし、一緒に行きましょ?」

「あぁいいぞ」

 

 拒む理由などない。あっさり了承したことで、カナエは小さくガッツポーズ。その向かい側で、真菰は誠の腕をつねるのだった。

 

 





 そろそろ話を動かさないとですね。

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