ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか 作:星見 優月
……主人公の視点を久しぶりに書く気が…
私がロキ様の眷属になってから3日が経ったある日、リヴェリアに庭へ呼び出された。
レフィーヤも呼び出されたのか杖を持って立っている。
「マナ、私はここ2日間で魔力の扱いに関して教えたな?」
私はここ2日間で魔力の扱い方や魔法暴発(イグニス・ファトゥス)の怖さ等を徹底的に叩き込まれていた。リヴェリアによるともしもの時に魔法を使えるか使えないかは生存率を大きく変える、との事。
私は元々いつ死んでもいいと思っていたが今はそうとは思わない。むしろ死ねない。少なくともロキ・ファミリアの人達に恩を返すまでは…
「……という訳で魔力の扱いに関しては実際にやってみないと分かりにくい。何かあれば私が何とかする。」
少し考え事をしていたせいで話を聞き逃したが魔法を使ってみて欲しいのだろう。
初めての魔法。リヴェリアにも分からない性質を持つレアマジックであろうこの魔法は何が起きるのかはまだ分からない。
心を落ち着かせ、目を閉じ、ゆっくりと…祈るように呪文を紡いだ
「『私が求めるのは空駆ける自由の翼』」
身体から何が抜ける感覚、そして僅かに背中にかかる重み。爆発は起きていない。魔法は成功したはずだ…
目を開けた私は視線を感じて振り返った。
「なにか変化はありました…か…?」
見えたのは白い翼。それが私の肩甲骨辺りから生えている。意識をしてみると自由に動かせるようだ…広げていると邪魔になるだろうと自分の身体を包むようにした。
「これはどういう魔法なのでしょうか…?」
「ステータスによれば召喚系統の魔法の筈だ。しかしこれは…まだ可能性のみだが飛翔系統かもしれないな。」
レフィーヤとリヴェリアは私の魔法に関して話しているようだけれど何やら難しい顔をしている。使い道のない魔法だったのだろうか…
「マナ、その翼は自由に動かせるのか?動かせるなら大きく、地面に向けて風を送るように動かしてみてくれ」
「分かりました。やってみます。」
大きく動かすと少し身体が浮き、そのまま顔から地面に突っ込んだ。
そこで違和感を感じた。確かに衝撃はあった。しかし痛みが無い。誰かが受け止めてくれたなんてことも無い。おそらく痛みは無いのではなく感じないだけなのだろう。
「大丈夫か?少し待っていろ。今回復魔法をかける」
自分の身体の違和感について考えているのを怪我をして呆然としているのだと勘違いされたのかリヴェリアが回復魔法をかけてくれた。
「ありがとうございます。ところでなんでレフィーヤさんはいるのですか?」
「さっき言ったと思うがレフィーヤは詳細がわかっていて詠唱のわかるエルフの魔法を扱える。そのことからマナだけで分かりにくい部分を調べられると思ったからだ。」
実際にレフィーヤが何やら長い詠唱をし、その後に続けて私の魔法と同じ詠唱をすると私とお揃いの翼が生えた。
「不思議な感じですね…普段は無い部分なのに自由に動かせる感覚…少し違和感はありますが…」
「飛べそうか?」
「試してみます。……うぐっ!!難しいですね…」
私と同じ様に勢いよく地面に突っ込んだレフィーヤは顔に付いた泥を落としながら呟いた。しかしLvの差なのだろうか…怪我は無いようだ。
回復した私とレフィーヤは後は練習あるのみと再び大きく羽ばたいた。
その日、何度も墜落する私の血によって庭の一角が赤く染まるのだった。
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