ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか 作:星見 優月
見知らぬ世界に踏み出した…のだけど…
「痛っ」
「マナ様、大丈夫ですか?」
慣れない凸凹の道で足首を挫いて転んだ私を助け起こしてくれる少女達。足に緑色の光が集まると痛みが引いた。
「これは…?」
「回復魔法です。治っているといいのですが…」
「治ってるみたい。ありがとう。」
その時微妙に違和感を感じた。場所は今いる場所の真上。
「あれって…きゃっ!!?」
天井がひび割れ牛のような魔物…ミノタウロスが落ちてきた。幸いアイズの反応が間に合い、私がミノタウロスの巨体で潰される前にミノタウロスを斬り殺したが、消滅後に残る灰が私に降り注いだ。戦闘とは縁のない私はその灰に驚いて近くにいた人にしがみついた。
そんな私の反応に周りの少女達は微笑ましいものを見るような目で私を見てきた。しかし1部に殺意がこもっているような気もする。私が抱きついた少女 レフィーヤは冷や汗を流しているがどうかしたのだろうか…
「レフィーヤさん、何かあったんですか?」
「なんでもありませんよ。マナ様はお気になさらず」
「それならいいんだけど…」
そんな出来事はあったもののフィン達が先発隊としてモンスターを蹴散らしたからか戦闘もほとんど無く光の射す出口に辿り着いた。私は何度も転んで足を痛めたり擦り傷だらけになったりしたためリヴェリアに背負われているが…
「マナ、ここが外の世界だ」
「…眩しい」
リヴェリアの背から降ろされたが明るさに目が慣れず何も見えない。少しづつ目が慣れて周りが見えてきた。
「人が沢山いて賑やかで…楽しい事が多そう…」
「私はガネーシャファミリアに事情を話してくる。何かあれば皆を頼ってくれ」
リヴェリアはそれだけ言うとどこかへと歩いていった。
「ガネーシャファミリア…?」
「ガネーシャファミリアというのはオラリオの治安維持…平和を守る役割を担っているファミリアです」
「なんでリヴェリアさんはそんな人達に事情を話に行ったんですか?」
「それはガネーシャファミリアがダンジョンの出入りとかも確認しているからですね。モンスターを連れ出そうとする人や誘拐等が起きる可能性もありますから」
「なるほど…って誰ですか?」
私の疑問に答えてくれた人からは何やら薬草等の草のような匂いがする。
「私はディアンケヒトファミリア所属のアミッドと申します」
「アミッドさんが何故ここに?」
「薬品の材料が足りなくなりまして依頼を出しに…」
レフィーヤとアミッドの会話からアミッドが薬品という物を扱う人とはわかったが
「薬品…?」
「薬品というのはこのポーションのような物のことです。」
「アミッドさんは『戦場の聖女』という2つ名を持ちダンジョンに潜る数少ないヒーラー…回復役なんですよ。」
アミッドは薬品がなんのことか分からない私に緑色の液体の入った瓶を見せながら説明してくれ、アミッドに関することをレフィーヤが補足して教えてくれた。
「アミッド。ちょうどいい。これから訪ねようと思っていたんだ。」
象の仮面を着けた変態…?と共に帰ってきたリヴェリアはアミッドを見るなりそう声をかけた。