ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか   作:星見 優月

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今回はアミッドとリヴェリアがメインの話となります。


6話 【戦場の聖女】の疑問とリヴェリアの憂鬱

マナと名乗るハイエルフの少女には気絶して貰った。

それは私の疑問を解決するためだ。

「リヴェリアさん…オラリオにいるハイエルフはリヴェリアさんだけだったのでは?」

「そうだったな」

私の予想が正しければマナは何らかの事件の被害者だろう。しかしエルフの王族であるハイエルフが事件に巻き込まれたという話は聞かず、なんの噂もなかった。それに関節のずれ方から本来あまりするべきでない体勢を長時間取らせたものと思える。そんな不自然な患者だったのだ。監禁や虐待、拷問などのことをしない限りあんなずれ方はしない。

「マナさんは何者なんですか?」

「ただの可哀相なハイエルフの子だ。すまないが今はこれ以上聞かないでおいてくれ」

やはり何かを隠している。しかし聞かない様に頼まれたのだ。今聞くことは出来ない。ガネーシャ本人(本神?)が直接謝罪(?)に来たのだ。やはり気になってしまう。とりあえず私情は抜きにして医者としての仕事を済ませるべきだろう。

「とりあえずマナさんの事ですが最低でも1週間は安静に、またおかしくなったら私の所へ連れてきてください。」

「分かった。助かった」

リヴェリアはそう短く返すと診察室を出ていった。

恐らくあの娘には色々な問題があるのだろう。私は祈ることと怪我などを見ることしか出来ないができる限りあの娘の助けになるようにしよう。そう心に決めるのだった。

 

 

 

***リヴェリア***

私が気絶したマナを抱き上げ診察室を出ると共に来たエルフ全員が待っていたようだ。

「リヴェリア様。マナ様の容態はどうでしたか?」

「1週間は絶対安静だそうだ。みんなで生活を助けてやってくれ」

全員でファミリアの拠点『黄昏の館』へと移動することになり歩き始めたが、私は正直気が重い。主神であるロキはよくいえば可愛い子に目がない。悪くいえばオヤジくさい。あの女神なら男でもないのにマナを怖がらせてしまうのではないか…何となくそんな気がするのだ。

これは予感だがマナの男性恐怖症は相手に何も抵抗できず、何かをされることから来ているのだと思う。仮に当たっていればいずれは直接的なトラウマになっているマナを強姦した奴ら以外の男は大丈夫になるだろう。その前にロキがさらなる恐怖心を刷り込んでしまわないようステータス更新などの時はしっかり立ち会おう。男は恐らくファミリア内でも特に尖った見た目と性格をしているベートに会わせなければ問題ないだろう。とりあえず目の前の問題としてマナの部屋と生活をどうするか決めないと駄目だろう。館に戻り次第フィンと相談しないといけない。そんなことを考えていると腕の中の幼い少女…マナが目を覚ましたようだ。

「…んんっ…ふわぁ…」

「おはよう」

可愛い欠伸とともに目覚めた少女に声をかけてやる。

「……ママ…?」

「寝ぼけているのか?」

眠そうに目を擦りながら私のことをママと呼んできた。……とても可愛い。しかし私の何処が母親らしく見えるのだろう。ロキにはいつも『リヴェリアママ』とか言われるがまさか寝ぼけたマナにすら言われるとは…

「もう少し寝ているといい」

「うん…おやすみなさい…」

マナは再び眠り始めた。周りでは少女達がマナを起こさないよう小さく笑っている。

「そんなにおかしかったか?」

「本当にお母さんみたいだなぁと思いました」

「……」

黙った私を見てまたみんなが笑いだした。

解せない。


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