ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか 作:星見 優月
今回はマナ目線の話になります。
私はふわふわとしたなにかに包まれているかのような感覚を味わっていた。こんな感覚は初めてでずっと味わっていたい…そう思ってしまう。しかしそこで気づいた。
私を包んでいるものはなんなのだろうか…。
私を包む物はないはず…そう思い目を開けると目に入ったのはお洒落な内装の部屋と本を読んでいる獣人の少女。私を包んでいるものはふかふかとしたベッドと布団のようだ。
「ここは…?」
「目を覚ましたようですね。団長達を呼んできますので少々お待ちください」
少女は本を閉じ、私に声をかけると部屋を出ていった。
私が布団の気持ち良さを堪能していると部屋の扉がノックされた。
「入ってもいいかな?」
聞こえてきたのはフィンさんの声。
「はい」
返事をすると扉が開いてフィンさんとリヴェリアさんが入ってきた。
「調子はどうだい?」
「今までに無いくらいに良いです…あの…ここはどこなんですか?」
私を気遣うかのような質問に答え、気になっていた事を聞いてみるとフィンさんは苦笑した。
「ここに来た時は寝ていたから知らないんだね…ここは僕らの本拠地、黄昏の館だ」
「マナが大丈夫ならこれからロキのところに連れていこうと思うがどうする?」
リヴェリアさんの問…これはこの黄昏の館という場所の1番偉い人に会いに行くか、ということだろう。
「連れていってください」
そう言って私は立とうとしたがよろけてしまった。
「無理するな」
リヴェリアさんに支えられたと思うと同時に浮くような感覚…リヴェリアさんに抱き上げられているようだ。
私はそのまま連れ出され、ひとつの部屋に着いた。その部屋からアイズさんが出てきてリヴェリアさんに声をかけた。
「ロキの酔いは覚ましたから今なら悪戯されないと思う」
「助かる」
そう言って扉をノック、返事を聞いて中に入った。
部屋の中では椅子に座っている悪戯好きの笑みを浮かべた女性が…おそらくこの人がロキ様なのだろう。立ち上がってこちらに歩いてきた。
「リヴェリア、話の子っちゅうのはその昔のアイズたんにごっつ似てる子かいな?」
「そうだ。ダンジョンで保護した」
これは私の話だろう…ひとまず名乗らないといけないと思うが口を挟むのも避けたい…
「ひとつ聞いてええか?」
「はい」
「アイズたんからダンジョンから産まれる前にミノタウロスを察知したっちゅうこと聞いたんやけどそれ、ほんまなんか?」
ミノタウロス…私の上に落ちてきた大きな生き物の事だろうか?それしか心当たりがない。
「私の上に落ちてきた大きな怪物のことでしたら気づきました。違和感を感じたんです」
「それが聞ければ十分やな…そういえばファルナを刻みたいっちゅう話しやったか?」
いきなり話が変わったがこれが本来の目的…断られないか心配ではあるが返事をしなければ…
「はい」
「フィンが認めるなら大丈夫やろ、ほな今からやるさかい服脱いでな」
服を脱ぎ始めるとロキ様が焦ったような声を出した。
「フィン、少し出てくれん?」
「わかった」
フィンさんが滑らかな、かつ素早い動きて部屋を出ていった。
「どうかしましたか?」
「男の目の前で脱ぐのは流石に無防備やないか?」
そう言われても私は服を着てる時間よりも何も着ていない時間の方が長かったしいつも男達の欲望のはけ口にされていた身、見られることには何も感じない。しかし心配してくれたのだから謝った方がいいのだろう。
「ごめんなさい」
「ほな始めよか」
私はその日ロキ様の眷属となった。
ロキの口調がよく分からなくなる…やっぱり難しいです…
今回マナが目覚めました。そして初めて外見についての話が出ました。昔のアイズが蒼眼になっているイメージです。
ステイタスは次回書きます。