ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか 作:星見 優月
なんやこのステイタスは…
そう声に出しかけたが何とか抑えた。こんなものをマナに知られてはいけない。この少女はどんな辛い目にあってきたのか…分からないがある程度想像出来る。少なくとも自由がなく、救いがない状態が長い間続いたのだろう。
「とりあえずこんなもんやな」
スキルと2つある魔法の内の1つは書かなかった。いや…書けなかった。
「これ…なんて読むんですか?」
「リヴェリア、教えておいてくれへん?それと後でフィンのステイタスも更新するさかい声かけといてな」
これならリヴェリアは理解しただろう。
少し経ちフィンとリヴェリアが部屋に入ってきた。
「僕らに言いたいことがあるんだろう?」
「せや、立ち話もなんやしとりま座ってな」
まずはマナのステータスの紙を渡した。
マナ Lv1
力I 0
耐久I 0
器用I 0
敏捷I 0
魔力I 0
魔法
【自由の翼】
1の唄『私が求めるのは空駆ける自由の翼』
・召喚魔法
・分岐詠唱
・成長
スキル
【強化再生】
・自己治癒力強化
「リヴェリアはここまでは知ってるやろ?問題はこっちや」
もう1枚の紙を渡した。
魔法
【身捧ぐ救いの手】
『貴方が苦しむのなら私はその苦しみを引き受けましょう 私が貴方を助けましょう 私の手は貴方を苦しみから解き放つ たとえ私の身が滅びようとも』
・回復魔法
・身代わり魔法
スキル
【精神破損(ブロウクンハート)】
・一部感情の喪失
・一部感覚の喪失
【返恩欲求】
・早熟
・恩に報いる思いの丈により成長加速
「これは…なるほどな…書けないわけだ…」
「【精神破損】と【返恩欲求】…壊れた精神と感謝を返したいという思い…かな?」
スキル【精神破損】、1部の感情や感覚の喪失、精神異常を起こすバットスキルとしか思えないものである。【返恩欲求】は…恩を返そうという想いが強いほど成長しやすくなる。レアスキルだ。こんなものを他の神に知られたら勧誘合戦で面倒なことになる。知られないためには本人も知らない方が都合がいい。
「それに魔法の片方や、【身捧ぐ救いの手】ってやつを見てみい」
「回復魔法…身代わり魔法…?」
「成長や早熟もそうだが身代わり魔法というのは私も聞いたことがない。」
あのスキルを見るにこの魔法知ったら自分の身は気にせず使う事だろう。身代わりと聞いていい予感はしない。使わせないよう知られない方がいいということだ。
「この事は他言無用な。それとリヴェリア、マナのことちょっと調べておいてくれへん?」
「わかった。調べてみよう。」
リヴェリアは部屋を出ていった。
多分あまり分かることは無いが何か分かるかもしれない。
「それとフィン、あの子に合いそうな武器ってなんやと思う?」
「ナイフとかじゃないかな?それにしてもロキ、マナの事に結構興味があるのかな?」
あまり過保護にすることも無いからちょっと疑われているのだろうが大したことは無い。
「今まで酷い目にあってたあの子へのご褒美みたいなもんや。あまり気にすることないやろ。それと男性恐怖症やったか?フィンの事は大丈夫みたいやけど…」
「ガレスに対して過度に怯えていたしそうだろうね…念の為ベートには会わせないようにしようか」
「それがええやろ。教育やけどリヴェリアに任せればいいはずや」
あと気になるのは…
「精神破損で喪失しているものは調べておくべきだと思う」
「せなや…それに関してはこっちでいろいろやってみることにするわ。正直スキルで喪失した物があったら辛いけどな…じゃあフィンのステイタス更新して終わりにするな」
ステイタスの更新を終えたフィンが出て、しばらく休んだ後に悪戯道具の製作にかかることにした。
マナはどんな反応を見せるのだろうか…
課題が…終わらない気がする…
多分また投稿までかなりの期間が開きます…