アズールレーン ~紅き天空の翼、白き海上の騎士~   作:karashi221

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休日に緊急の招集を受けたデイヴは、嫌がりながらもジャックの依頼を受け取った。

依頼内容はハワイ近海を偵察してくるということだった

数週間前に起こった広範囲のジャミング

果たしてハワイ近海で一体何が起こっているのか・・・




第1話 黒船

正直本心ではないがやるしかない。俺たち兵士にとって国の次に守るべきものと言っ

たら国民だ。

 

まぁ正直それも建前なんだがな、俺たちにとって本当に守りたいものの最重要ランキング1位はほかでもない自分たちの家族や親戚たちだ。その次に国民、そして国だ。

 

俺は自分のヘルメットを持ち機体へ乗り込もうとする

 

「大佐、ご武運を」

 

といい俺の乗るRF-4EファントムⅡの前に立っていた整備員が敬礼してきた。

 

「あぁ、ありがとう。」

 

と言い機体へ乗り込む。

 

この偵察型のファントムⅡはタンデム複座だ。後席に誰か乗らないといけないのだがと思い後席のキャノピー内を見るとルイスが座っていた。ルイスはレーダー機器の動作をチェックしているようだ。5分遅れたのが申し訳なくなってきたぜ。

 

俺がファントムに乗り込むと後席のルイスが話しかけてきた。

 

「隊長、おはようございます。待ちくたびれていましたよ全く。」

 

やはり俺よりもずっと前に来ていたらしい。とりあえず謝っておくか。

 

「遅れてすまねぇなフレッド。ちょいと寝ぼけてな。」

 

「構いませんよ、それよりもレーダー機器は完璧にチェックしました。動作チェック

をお願いしますね。」

 

さすがの丁寧さ、鉄血人はとにかく秩序を大事にするとよく言われるが違いねぇ。

 

「鉄血人はさすがに丁寧だ。」

 

「普通ですよ。」

 

普通か、やっぱりお坊ちゃんは違うな~と思った。

 

俺はヘルメットを着け、動作チェックを始める、補助翼、水平尾翼、垂直尾翼・・・

 

すべて問題なし、最後にキャノピーを閉じる。

 

よし、全部問題なしだ。これで出発できる。

 

「動作チェック完了、いつでも離陸できる」

 

と管制塔に伝え

 

「了解、フェニックス1。誘導路3Rを辿り滑走路1より離陸せよ、貴機の武運を祈

る。」

 

「行ってくる。帰りをコーヒーでも飲みながら待ってれ。」

 

「ええ。無事帰還してきてくださいね。」

 

「当たり前だ。早々簡単には落ちないさ。」

 

管制塔との会話をしながら滑走路1へと向かう。

 

「フェニックス1。離陸」

 

「了解、フェニックス1離陸。」

 

「行くぞルイス、準備はいいか?」

 

「ええ、いつでも」

 

「よし、行くぞ!」

 

機体を加速させ、機首を上げ離陸する。

 

時刻は朝で良く晴れていた、目の前には青空だけが映り込んで来る、やっぱり空は最

高だ、空へ上がるといつもそう思う。

 

「フェニックス1、方位252、高度10000フィートを保ちハワイ近海まで飛べ。」

 

「了解。」

 

任務中では基本的に私語は禁止だ、暇でしょうがない。ハワイまでは3990kmもある、ファントムⅡの最大航続距離は2816km、途中で空中給油しなければならない。

 

通常の旅客機なら5時間半かかるがこの機体の巡航速度は940km/h、4時間15分しかかからない、途中の空中給油の時間を含めても4時間30分も掛からない。

 

2300kmを飛んだところで無線が入ってくる。

 

「フェニックス1、空中給油を行え。給油機はすぐこの前にいる。」

 

「了解した。」

 

遠いところにドットが見えた

 

「あれだな、見えた」

 

給油機に近づき給油口を給油ホースに合わせる

 

これが至難の業でな、飛行速度が速すぎても遅すぎてもダメなんだ。さらに少しでもずれれば繋がらないし、勢い良すぎると給油ホースを壊しちまう。実際そういう事故が昔にあった。

 

さすがにもう何回も繰り返してやってきた作業だから俺からしたら大したことでもな

いが、新人にとっては難関だ。

 

2300km分給油してもらった後またまた無線が入る。

 

「フェニックス1、給油完了後高度を1000フィートまで落としハワイに向かえ。」

 

「1000フィート?」

 

「知っての通り今回の偵察ではレーダーは使えません、なので目視で目標を偵察してもらいます。」

 

「あー違う違う、高すぎないかって言いたかったんだ、目視ならもっと落とした方いいと思うが。」

 

「では350フィートでお願いします。」

 

「あいよ、任せな」

 

 

 

ハワイまで残り500kmのところで高度を500フィートまで落とした、ジャミング範囲はハワイを中心とした半径400kmで広がっている。サイレント・アイ(AWACSコードネーム)と最後の会話を交わす。

 

「じゃ、行ってくる。」

 

「ご武運を。」

 

ついにジャミング範囲に入った。

 

 

 

 

 

レーダーがすべてダウンした、無線も完全に切れた。スイッチを入れてもノイズしか聞こえてこない。

 

いつもならここいらにタンカーが航行しているのをたまに見るが、見えるのは海面だけだ。

 

異様な静けさがこの海域を漂っていた。ゴーストタウンならぬゴーストシーだ。

 

突然ルイスが話しかけてきた。

 

「隊長、隊長ってトーミネータが今後現実になるって言ったら信じます?」

 

「?なんだいきなり、トーミネーターって去年公開された機械人間のやつか。」

 

その映画は去年のみならず今年でもアメリカでは流行っていた、当然俺も見に行った。なかなかおもしろ

 

かったのを覚えている。SF映画にありがちな行き過ぎた設定ではなく、まさに近未来って感じリアルさが個人的には最高に面白いと思った。

 

「そうですよ、あの機械人間の。実は先日海軍の艦船が沈められたっていう───」

 

「あぁその話か、その話ならジャックから聞いてる。」

 

「いやいやそれだけじゃないんですよこれが、沈められたスプールアンス級の生存者が残したレポートを見せて貰ったんですよ。」

 

「ほう、そりゃあ興味深いな。それでその報告書にはなんて書いてあったんだ。」

 

「そのレポートにですね───」

 

なんとなくフレッドの次の言葉がわかってしまった。

 

「───人型で軍艦の儀装を身に着けたものを見てしまったらしいんですよ。」

 

とフレッドはワクワクした口調で言うが、正直俺の内心は呆れていた。

 

映画は映画、現実は現実だ。戦艦の主砲塔でも持ってみろ、潰されるのが目に見えてる。

 

「そんなバカな。どうせ興奮して何かと見間違えちまったんだろ。」

 

「でも本当だったらどうします?」

 

と少し煽るような口調でルイスが俺に聞いてきた。

 

「よし、じゃあ賭けをしよう、俺はいないほうに10ドル賭ける。」

 

欧米じゃ賭け事をするっていうことは自信の表れを証明するためのものでもある。

 

「じゃあ僕はいる方に50で。」

 

と楽しそうにフレッドは言った。

 

「随分自信あるんだな。」

 

「それよりも隊長は10ってことは大分自信なさそうですが?」

 

こいつめ、と思いながら聞き流した。

 

「さて海軍の奴らの艦を沈めた連中はどこにいるかな~」

 

「最優先目標は基地への到着ですが・・・まだまだ燃料持ちそうですし少し探してから行きます?」

 

「あぁ、そうだな。」

 

と言い、周りに目を凝らす。

 

ハワイのバンド基地まではあと270kmほどのところで遠方にドットを発見した。

 

俺はフレッドに知らせる。

 

「フレッド、あそこを見てみろ、ドットが見えるぞ。」

 

「・・・。」

 

フレッドから返事が来ない。

 

「フレッド?おいフレッド!」

 

「隊長・・・右側見てみてください。」

 

「あ?右側?右側って・・・

 

 

    は?」

 

信じられない光景がそこにあった、今まで見たことがないほど複雑な構造の軍艦が列を成していた。

 

真っ黒の船体にたまに赤い光が浮かび上がってくる。

 

しかしこちらに攻撃してきそうな感じはしない、その船団の周りを飛びながら発光信号を送ってみた。

 

「応答セヨ・・・っと」

 

しかし一向に返事が来ない、よくよく見ると艦橋がないようにも見える・・・まさかな。

 

と次の瞬間、先頭の1隻の砲塔が紫色に光り始めた。なんだかとても嫌な予感がする。

 

反射的に回避運動をとった瞬間、紫色の光の筋が音を立てながら横切った。

 

「おいおいマジかよ!」

 

()()()()()()!?隊長!急ぎ離脱を!」

 

「言われなくても分かってる!アフターバーナーを使うぞ!」

 

方角を再びバンド基地へ戻し全速力でかっ飛ばした。

 

後方を確認しつつ離脱した。その途中でも何度かレーザーらしきものが飛んできた。

 

「今のは一体・・・」

 

「こっちが聞きたいぜ畜生、いきなり撃ってきやがって。」

 

「あれが海軍を沈めたやつらですかね?」

 

「多分な、国籍も所属も分からん、なんなんだあの船は・・・」

 

ハワイ近海でなにかよからぬことが始まっていると肌で感じた。

 

一体この周辺で一体何が起こっているというのだ。

 

「何かとても悪いことが起こる予感がする・・・()()()()()()()()()()()()()()()が・・・」

 

「隊長?」

 

「・・・いや、まさかな・・・。」

 

バンド基地にあと10kmで着く、ランディングギアを落としフラップを広げ、着陸へのアプローチを進める。

 

 

 

 

 

 

ついにバンド基地へ着いた、やはり滑走路はかなり厳重な警戒態勢が取られていた。

 

機体をとりあえず滑走路から避けて停止した。すると誘導員がやってきてガレージまで誘導された。

 

エンジンを停止させ、キャノピーを開け機体を降りる。するとすぐにバンド基地の司令スビン・ライベンが

 

やってきた。

 

「ようこそバンド基地へ・・・と言える状態じゃなくてすまないね。」

 

「お気になさらず、我々はカリフォルニア州のバトン基地からやってきた第1戦術戦闘飛行隊のデイヴと」

 

「フレッドです、よろしくお願いします。」

 

「おお!あの最優秀飛行隊の。」

 

「ええ、それはそうとして我々は軍司令部からこの近海の状態の情報を集めるために派遣されてきました。司令、一体この辺りでなにが?」

 

「ああ、あの忌々しい艦船どもの話か。」

 

「忌々しい艦船?あの黒い艦船のことですか?」

 

司令は少し驚いた顔をする。

 

「君らも見たのかね?あの艦船たちを」

 

「ええ、ここに来る途中見かけました。そして攻撃されました。」

 

司令の顔色が少し悪くなる。

 

「なんと・・・!無事でなによりだ・・・」

 

「教えてください、あれは一体───」

 

司令は首を振る

 

「我々にもわからないのですよ、数週間前唐突に現れたと思ったら、いきなり広範囲にわたって電子機器がダウンしました。そして数日前に海軍の艦船が沈められたのです。しかしただ沈められたわけじゃありません。この基地にも生存者はいます、がなんでもあの艦船を1隻沈めたんだとか。そしてその艦船からこのようなものが出てきたのだ。」

 

司令が見せてきたものは、あの黒い艦船から出てくるとは思えないほど綺麗な水色の欠片だった。しかもただの欠片じゃない、まるでメモリカードをデジタル化したようなものだ。

 

「どうかこれを持ち帰ってください、我々では調査できない品物です。」

 

「感謝します。」

 

「すまないね、こんなことしかできなくて。」

 

と申し訳なさそうにしている。

 

「そんなに落ち込まないでください、必ずこのジャミングを解除いたします、必ずです。」

 

「あぁ、頼む・・・!」

 

「それでは、私たちはこれで」

 

「あぁ、給油車を持ってこい!客人へのせめてものもてなしだ!」

 

 

再び機体へ乗り込む。そして給油完了を待っていると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「上空に多数の機体!急降下してきます!」

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、爆発音が基地内で響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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