使い魔少女HOMURA★ほむら ~だが、誰が救い手を救うのか?~(完結)   作:曇天紫苑

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過去と未来の亡霊

 美樹さやかが両手を離した瞬間、まどかの身から信じられない程に巨大な『何か』が現れて、その場が宇宙空間の様な背景に包まれた。

 まどかが自力で記憶を取り戻しかけた時と同じ風景だ。けれど、決定的に違うのは、そこに有る空気の重さだろうか。圧倒的な『世界』の香りが、私を包み込もうとしている。

 完全に記憶が戻ってしまったんだろう。最早、私が頑張っただけではどうにかなる物ではない。相手は、神にも等しい存在だ。

 でも、だからと言って諦めたりはしない。幸い、まどかはまだ眠っている。金色に輝く瞳は、まだ世界を見ていない。この点だけでも、まだ円環の理に戻りきっていない事だけは分かる。

 

(う、ごきなさいっ!!)

 

 無理矢理に止められていた自分の動きを、意志の力で元に戻す。無理に動かしたので、骨が幾つか折れた気がするが、知るものか。

 美樹さやかは、その場で動かなくなっている。じっと覚醒する円環の理を眺めたまま、何も言わなくなっていた。自分の大本となる存在が目覚めた為に、そちらへ意識が集中しているんだろう。あんな上の空の状態であれば、私が動いても邪魔はされない筈だ。

 

「まどかっ」

 

 何とか手を伸ばすが、まどかの周囲には円を描く様に巨大な力が渦を巻いていて、それが壁となって私の接触を阻んでいる。

 だが、その程度で私を止められるか。直接の接触が難しいならば、触れずに妨害するまでだ。

 手の中のダークオーブを出現させて、それを握り締める。この中にはまどかの一部を封印してあるから、これ越しに円環の理へ干渉出来る。そして、何としてでも制御しなければならない。

 オーブの蓋となる部分を取り外すと、容器となる場所の底に有る蜥蜴の紋章が浮き上がり、私の前に現れる。そこから溢れ出した力が、まどかの目覚めを妨害し始めた。

 そうだ、絶対に抑え込んでやる。悪魔としての全てに賭けてでも抑え込まなければ。

 

 何時の間にか、虚空に不思議な文字が流れ出している。何となく読める文字だが、内容を理解する気などない。

 その文字は私の干渉によって奇妙に変質し、一部の文章が書き変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのことばはきこえなくとも むねの内へはとどくはずでででででででででででです

 あらゆるものにすがたを色々とかえええええええて 怖ろしい力かがががががががやくこなをまくのです

 野のまちのうえでもなみの上したしたしたしたしたでも わたしのただひとりのゆうううううううじん 

 よよよよよばれることのないかわりには いつでもくっついてそこにいるのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美樹さやかは、まだ何もしていない。その意志は円環の理に埋没しているのか、はたまた私の妨害を見守っているのか。

 どちらかは分からないが、好都合だ。まだ巴マミが来る気配も無ければ、百江なぎさが飛び込んでくる雰囲気も見られない。

 邪魔が入らないとなれば、後はまどかの、円環との戦いだ。今はまだ零時前、起床には早すぎる事だし、まどかには是非とも二度寝して貰おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべてててててててて移ろい行くこのすべては  あおのひのきききききききぼううううううの比喩に過ぎず

 かつつつつつて満たされざしりすべては  いいいいまみたされるるる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予想以上にまどかに戻っていく力の量が多い。一つの宇宙を作り出すに等しい力なんだから当然と言えば当然だが、その圧倒的な膨大さは、余りにも凄まじい。

 やっぱり、まどかは凄い子だ。私の最高の友達は、こんなにも強い。私なんかが彼女の道を阻む事が愚かだったのか……いや、そうじゃない。もう躊躇わないと決めた筈なんだ、私は。

 適当な言い訳をして諦めるなんて、冗談じゃない。真っ向から挑んでやる。

 

 

 でも気持ちをどれほど強く持った所で、妨害が間に合わない。駄目……間に合わないっ!!

 

 

 そんな時、まどかを守っていた力の渦が僅かに緩んだ。指先が自由になり、手が届く様になった事が分かる。

 これがチャンスだ、今しか無い。手を伸ばし、まどかの両手を取る事で、もう一度彼女と円環を引き裂こうとする。

 

「まどっ……がっ!?」

 

 だが、まどかに触れようとしたその瞬間、真っ黒い腕がまどかの胸元から飛び出して、私の手を掴んだ。

 覚えのあるシチュエーション。だけど、これはまどかの手じゃない。その正体を探る暇も与えられないまま、身体が壁に叩きつけられる。

 

「ご、ふっ!」

 

 内臓に幾つか損傷が入り、溢れ出した血を吐き出してしまった。勿論、そんな傷は魔法で簡単に抑え込める。だから、問題はそこじゃない。

 力を、まどかに捕まえられた事だ。ダークオーブの中に封印した筈の力が溢れ出し、その中から私など比べ物にならないくらい邪悪な気配が爆発的に広がっていく。

 

「まどかっ、あんた何を……!」

 

 急に現れた黒い腕を見て、美樹さやかが意識を現実に戻した。明らかな驚愕が見える辺り、この状況は彼女にとっても予想外だったに違いない。

 それが分かった所で、動ける様になる訳ではない。

 私を締め上げる黒い手が口元の血を拭い取って、背中や胸を叩いてくる。その手つきは、まるで私の事を激励する様に温かい。

 首を掴まれているけど、力は殆ど入れられていない。むしろ、不思議な程に苦しく無かった。

 

「さやかちゃん」

 

 急に目を開けたまどかが、上体を起こす。胸から伸びた黒い手を一瞥して、私にだけ小さな微笑みを見せる。

 そして、状況を理解していない美樹さやかに向かって、強い慈悲を思わせる声をかけた。

 

「ありがとう」

 

 肩に触れた途端、美樹さやかが取り込まれる様に消えた。彼女の肉体は青の光に変わり、まどかの身体の中へと入り込んでいく。

 その瞬間、近くの空間が歪み、三人の魔法少女が飛び出してきた。

 

「さやかぁ!」

「美樹さん……!」

「さやか……?」

 

 結界を抜けてきた佐倉杏子の幻影が悲鳴をあげて、巴マミが息を呑む。同じ円環の理の一部である百江なぎさですら、目を見開いたまま動かない。

 

 だけど、私にだって目の前のまどかが何をしたのかが分からない。何時も通りの暖かな表情をしている筈なのに、その全体像は謎の怪物に見える。

 

 私の知っている円環の理には、こんな真似は出来ない筈だ。こんな、恐るべき呪いと表現するべき力を使いこなし、なおかつ悪魔の私が使う力を取り込むなんて芸当は、出来ない筈なのに。

 

「まど……うぐっ、くぅ……!」

 

 黒い手が撫でた私の胸に、魔法少女になった時と同じ様な苦痛が走る。

 悪魔として、円環の理に干渉する力の一部を奪い取られる。いや、元の場所へ戻されているんだ。ダークオーブの中から桃色が消え、後には私の想いだけが残される。

 私の力までが、まどかの元へ入っていく。すると、彼女の全身から巨大な光の柱が発生して、天を一気に貫いた。

 

 

 ⑤

 

 ④

 

 ③

 

 ②

 

 ①

 

 

 名状しがたき魔法達 ここに遂げられたり

 いつか、永遠にして女性的なる希望が

 我等を高みへと迎えにくるのです

 

 

 

 

 カーテンが開き、そこから異様な文章が流れる。

 その文字を読む暇も無いまま、時計が零時を指した。

 

 天空に、『白い翼の生えた十字』を基調とした巨大な紋章が現れる。

 とてつもない衝撃で地が裂けるかと思った。巴マミ達の方を見てみると、彼女達は大嵐の様な奔流の中、何とか身体を支えている様だ。

 私を捕まえていた黒い手が遂に消えたが、身体はちっとも動いてくれなかった。

 

 その間にも感じ取れる力は巨大になっていき、まどかの背中に翼が生えて、美しい純白のドレスを纏い出す。あの姿は、私が今まで見てきた物で一番に美しい。

 何が起きているのかは分からないが、しかし、はっきりしている事が一つ有る。

 

 円環の理が、戻ってしまったのだ。

 黄金の瞳が私を捉え、切なそうな吐息を漏らしていた。

 

「ほむらちゃん……」

 

 鈴の音よりも綺麗な、可愛らしい声で私の名前を呼んでくれる。ただ呼ばれるだけで、凄まじい歓喜に背筋が震えた。

 私が封じ込めていたまどかの人間としての部分も奪い取られてしまった事で、もう何も出来ない。流石は円環、流石はまどか。やっぱり、貴女は強すぎる。

 

「まど、ぁぐっ!?」

 

 まどかと話そうとして、血を吐き出す。忘れていたけど、内臓に深い傷が有るんだった。

 

「喋っちゃ駄目! ほむらちゃんの怪我を治さないと……!」

 

 圧倒的に神聖な気配を放っていたまどかが、私の血を見るなり心配そうに駆け寄って、私の身体を一生懸命に支えようとしてくれた。

 神にも等しいと思えた雰囲気は四散している。人間らしい挙動は、私を安心させてくれた。例え現世より上の場所に存在する概念であっても、まどかはまどかだと知る事が出来て。

 

「あ、貴女から受けた傷よ、有り難く受け取っておくわっ」

「う、ご、ごめんね。よく分からないんだけど、気づいたらほむらちゃんを捕まえてたの」

 

 あの黒い手は、彼女自身が意識して発生させた物ではないらしい。当然だ。あんな邪悪な力を、円環の理が操れるとは思えなかった。

 

「大丈夫、大丈夫だから心配しないで」

 

 腰の辺りが酷く痛むが、とりあえず立ち上がって、まどかの肩を撫でる。

 私の無事を理解してくれたのか、まどかは満開の花よりも可憐な笑顔を見せてくれた。

 

「本当に、本当に大丈夫?」

「貴女なら私の現状くらい、簡単に見えるでしょう」

「ううん、此処がほむらちゃんの世界だからかな……うん、何だか色々な物が混沌としてて、過去も未来も見えないんだ。見えている物は、ほむらちゃんと同じだよ」

 

 小首を傾げながらも、自分の状態を教えてくれる。何という可愛いらしさか。

 何時までも見ていたくなるが、ぐっと我慢する。私は、このまどかに優しくして貰える様な奴じゃない。何せ。隙を見てもう一度まどかを引き裂こうと考えているんだから。

 

「おいまどか。さやかは、どうなった」

「大丈夫だよ、杏子ちゃん。すぐに戻ってくるから安心して」

 

 一応の姿勢を整えた佐倉杏子の質問を、安心させる様に答える。嘘は見えないし、まどかが嘘を吐く必要も無い。

 真実だと判断したのか、佐倉杏子は「そうかよ」と答えるだけで、あっさりと引いた。

 

「ほむらちゃん」

 

 呼ばれたかと思うと、純白のまどかが私の身体を包み込んだ。抱き締められて、頭を何度も撫でてくれる。

 喜びと悲しさが同時に沸き上がり、たまらない幸福感を覚えさせた。自然と涙が浮かんで、嗚咽が止まらなくなった。

 

「まどかっ、私、わたしはっ……」

「分かってる。ほむらちゃんは、私に幸せになって欲しかったんだよね。そうだよ、何時だって、私がほむらちゃんを置き去りにしたんだもん」

 

 ダークオーブを撫でながら、まどかは私の頬に唇を当てた。

 頭が変になるかと思うくらい、心が動かされる。

 

「ママにね、言われた事が有るんだ。『正しすぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげれば良い』って。伝わらないかもしれないけど、いつか分かってくれるって」

「まどか……」

「でも、分かってくれる日を待つなんて出来ない……もう置き去りにしたくないの。だから、お願い」

 

 顔を見せてくれたまどかは、明らかに涙を浮かべていた。

 その表情の正体は、分かる。無償の愛の中に潜む、拒絶されるんじゃないかという恐怖だ。つまり、まどかは、私と一緒に居たいと言ってくれたんだ。

 本当に嬉しい。でも、私だって彼女に言いたい事が有る。

 

「それは、私の台詞よ……貴女は、正しすぎて、強すぎる……だから、私が間違えたかった。伝わらなくても良いから、貴女を、誰よりも守りたかったっ……!」

 

 そうだ。彼女は魔法少女の希望を守ってくれた。その勇気も強さも私には無い物で、その姿勢を私はずっと尊敬していたし、憧れていた。

 でも、だからって。

 

「この世界なんてどうなったって構わないから、私なんかどうなっても構わないから、私は、貴女だけでも幸せに生きていて欲しかった!!」

 

 叫び声を上げた事で驚いたのか、まどかが少し身体を揺らす。

 その両手は私の肩を抱いていた。暖かな手だ。概念であっても、体温はまどか。それを実感しながらもしゃがみ込み、私はまどかの腰に腕を回した。

 たまらなく嬉しいけど、苦しい。優しくされると心に突き刺さる物がある。血を吐く事よりもずっと

 

「どうしてよ、どうしてっ……どうして、貴女が背負わなきゃいけないの!? 何で、何でまどかがっ……!?」

 

 縋る様にまどかのお腹へ顔を預ける。此処に居るまどかは人間の身に円環の理が現れた存在だからか、内臓が働く音が微かに聞こえた。

 このお腹は今、私の手料理を消化しているんだろう。

 

「ごめん。ごめんね」

 

 私の頭を抱き、まどかは何故か謝罪を口にした。彼女は何も悪くないのに、悪いのは私なのに、どうして謝るんだろう。

 少しだけお腹から顔を上げて、まどかの表情を見る。慈悲と愛に満ち溢れた顔が、何故だか曇っていた。

 

「ごめんなさい……」

「まどか、どうして謝るの……?」

「……ごめんね」

 

 何度も何度も謝って、私の後頭部や首筋に指を這わせている。顔は泣いていないけど、心はどう見ても泣いていた。

 ……もしかして、円環の理に戻りたくなかったのか。なら、もう一度引き裂くまでだ。

 けど、腕に力が入らない。まどかがそう望むなら、私は何度だって悪魔になれる筈なのに。

 

「く、くぅぅ……」

 

 ああ、気づけば沢山の涙が私の瞳から溢れている。

 こんな顔を見せてしまったら、まどかに心配を掛けてしまうのに。抑えようと思っているのに、嬉しさが止まらない。

 目の前に居るまどかは、私と約束をしたまどかで、私の事を『最高の友達』だと言ってくれた人なんだ。どれだけ決然とした意志が有ろうと、再会が嬉しくない筈がない。

 

「まどか、そんなに謝らないで……私、貴女と会えて嬉しいんだから、ね」

 

 実際に会うまでは、何としてでも記憶を取り戻さない様にと必死になれたけど、今は違う。

 私は、自分の気持ちと向き合えた。まどかと敵対なんて絶対にしたくない。まして、今のまどかは私の事を悲しそうに、寂しそうに見つめているんだ。誰が、彼女をそうまで苦しませているのか、それが分からなくなる程、私は腐ってはいない。

 だから、とりあえずはこのまま、まどかとの再会に浸っていよう。涙を流したいだけ流したら、どんな形にせよ行動を再開すると決める。

 だって、まどかが泣いているんだ。それを放っておける私なら、悪魔になんかならない。

 

 

 

 

「それで、まどかをこのまま戻す気なのかしら」

 

 

 

 

 現状維持を選んだ私に向かって、知っている声が聞こえてきた。

 声の方向を見ると、そこには『私』が立っていて、頬が裂ける寸前に見える凶悪な笑みを浮かべている。ただ直立しているだけなのに、空間が歪んで見えた。

 その接触に対して、まどかは私の額を軽く撫でて、腕で涙を拭い去る。涙の痕だけが残り、凛々しい顔つきになっていた。

 

「円環の理としては、はじめまして、かな」

 

 小さく頭を下げながらも、まどかは全く油断をしていない。あの『私』に対しては、幾らかの警戒を抱いている様に思える。 

 一方の『私』は、若干の剣呑さを含みながらも、私と同じくまどかへの強い想いを顔に出していた。

 

「ええ、はじめまして。円環の理」

「……もう一人のほむらちゃん、だよね」

「厳密には『暁美ほむら』ではなく『あけみほむら』よ、まどか」

 

 互いに挨拶をしながらも、雰囲気は決して穏やかじゃない。まどかに至っては微かに冷や汗を浮かべていて、何時の間にか弓に指を掛けていた。

 明確な敵意が有る訳ではない。まどかのこの表情は、恐らく『全くの未知としか思えない存在』への警戒心から来る物だ。

 

「貴女は、何をしに来たの?」

「そうね」

 

 まどかに警戒されているのは、分かっているんだろう。身に纏う気配は邪悪でも、まどかへ近寄る意志が見られない。

 そこには、とてつもない意志が有った。全てがまどかに捧げられている物だと言っても良いだろう。荒野を行く聖者にも、狂人にも見える。

 言葉にしなくても、私には伝わってくるんだ。彼女は、狂気などという生易しい感情を遙かに越えた物を、まどかに対して抱いている事が。

 同類の、『暁美ほむら』の気配。私達にとっては、まどかこそ存在理由。

 そんな『私』の目が、私をほんの僅かに見た。

 

 

「そっちの暁美ほむらに頑張って貰いに来た、とでも言っておきましょう」

 

 

 そして、『私』の姿が一気に変質した。

 

 

+

 

 目の前に、まどかが居て、その側で泣き崩れる『私』が居る。

 円環の理。その存在を視界に入れた瞬間から、急激に力が沸き上がり、私という人型が崩れていった。一応のフィルターをかけて外見の変質を抑え込んでいたが、流石に限界が有る。

 

 諦めて抑え込むのを止めると、一気に形が壊れた。

 泥にも似た黒い液体の塊と、その上に張り付けられた『暁美ほむら』の顔が歪んだ笑顔を作っている。そして、まどかと思わしき彫刻が腕らしき物に抱き締められていた。

 さやかに見せた時より、おぞましさが増している。当然だ。既に、時は来ているんだから。

 しかし、不定形の怪物となった私の姿を見ても、まどかは何の怯えも示さない。常人なら存在を感知するだけで廃人になっても不思議ではないけど、この程度のおぞましさは通用しないみたいだ。

 暁美ほむらも、大きな反応は示さなかった。

 騒がれるよりは遙かに良い。そう安堵していると、半ば無表情になったまどかが私に問いかけてくる。

 

「……貴女は、誰なの?」

「私が『何』なのかは分かっているんでしょう、まどか。貴女が聞きたいのは私の正体ではなく、私の目的だと思うのだけど」

 

 はぐらかしながら、意識的に嘲笑らしい物を作っておく。まあ、彼女は私が何者かの使い魔だという事くらいは、分かっている筈だ。

 この程度の微妙な返答なら、まどかを傷つけずに済む。人間のまどかならともかく、円環の理はこの程度の言葉で傷ついたりはしない。

 ただし、まどかの怒りは買ってしまった様だ。彼女は眉を顰めると、巨大な桃色の魔力が柱を作り上げた。

 

「分からないよ。貴女の事は、何一つ分からないの。貴女が何時から居て、何をしていたのかが全く見えない……!」

 

 それは、私が貴女の支配する宇宙の外側から来た存在だからだ。心の中だけで答えておく。

 ビリビリと、あるいはチリチリと私の中で危機感と警告音が騒いだ。黒くゲル状になった指先がやたらと震えて、眼球が崩れ落ちては再生する。

 

 

 対峙してみて、実感した。

 私では円環の理との戦いは不可能だ。

 自動的に発生する『魔法少女消滅の概念』は、私にも通用する。

 

 今の私が存在する事を許されているのは、空間を操って自分の根本となる部分だけを隔離しているからだ。そうでなければ瞬く間に消えている。

 過去と未来の全てに存在する魔女を消し去る、その概念。本体たるホムリリーなら簡単に勝つかもしれないが、私では勝てない可能性が高い。

 いや、まず勝負にならないと見て良いだろう。こと魔女や使い魔との戦いにおいて、円環の理は絶対的な力を持っているのだ。勝てる道理が無い。

 

 それでも、私は大胆不敵に笑みを浮かべて見せた。この不気味な姿では格好が付かないので、普段の魔法少女の姿へ無理に戻した状態で。

 

「私の事よりも、暁美ほむら」

 

 笑みを維持したまま、暁美ほむらに話しかける。彼女は既にまどかから数歩離れた距離に居たが、弱々しくて今にも円環の理に導かれてしまいそうだ。

 まあ、仕方が無い。この鹿目まどかは、偽物の私であっても顔を一度見ただけで気絶してしまいかねない程の幸せを与えてくれる。理性や感情でどうにかなる物ではない。

 

「立ちなさい、『私』。そうやって、まどかの言葉に負けては駄目」

 

 それでも、私は彼女が立ち上がれる事を信じていた。

 このまま負けてしまえば、暁美ほむらは永遠に鹿目まどかに守られる『最高だが対等ではない友達』になってしまう。

 

「貴女は……」

「まどかを壊してでも、まどかにしてあげられる事を全てする。そう決めたんでしょう? なら、やるしかないわ。やるなら、今しか無い」

 

 激励でも叱咤でもなく、ただ単純に背中を押す。あのまどかにとっての暁美ほむらは、貴女なんだ。

 

「ちゃんと、対等に向き合いなさい。目を逸らさずに、まどかの優しさや気持ちを理解して、彼女が走る先を舗装してあげるのが、暁美ほむらの義務よ」

 

 一通りの言いたい事を口にしてから、暁美ほむらと視線のやり取りをする。それだけで、私達の目標が決定した気がした。

 

「……そうね」

 

 暁美ほむらは立ち上がり、髪を軽くかき上げて揺れていた瞳を安定させる。そこには、まどかに縋る魔法少女ではなく、歴とした悪魔の存在感が有った。

 

「え、ほむらちゃん……?」

「貴女が戻ったからって、私に貴女を引き裂く力が無いからって、それで諦めて倒れる私じゃ、いけないわね」

 

 戦意や敵意は見せないまま、彼女はまどかに一歩近づいた。武器も持たず、変身も解除した状態だ。抵抗や敵対の意志が無い事を、しっかりと見せている。

 まどかの指先に矢が握られたのが見えた。恐らく、私へ向けられた物だろう。その証拠に、暁美ほむらには若干の悲しさを含んだ微笑みを見せていた。

 

 正直、余り良い状況でもない。私の正体を計りかねているんだろう。

 少しずつ、まどかの警戒心が強くなっていく。その距離が人間数体分まで狭まった時、まどかの背後の空間が割れた。

 

「待って!」

 

 裂け目から青い光が飛び出し、青い髪が姿を見せる。握られた剣にはしっかりとした力が入っていて、強い気持ちが伝わってきた。

 青の少女、さやかが、まどかと暁美ほむらの両方を軽く眺めると、目を瞑る。一瞬もしないまま開いた時には、全身から覚悟が溢れ出した。

 

「最高の友達と戦うなんて、私が許さないよ」

 

 剣を持って、その切っ先を私に向けてくる。もしかすると、さやかは私がまどかと戦闘行為に及ぶと思ったのだろうか。

 いや、違う。そうではない。もっと、別な目的を感じる。

 一方で、彼女の背後には沢山の魔女と、同じ数だけの魔法少女が居た。

 歴史上の人物とも呼べる少女まで居て、何よりワルプルギスの夜すら存在していたのだ。しかも、全員が戦闘体勢だった。

 

「私が……私達が『そっちのほむら』の相手をする」

 

 私に刃を向けながら、さやかの宣言は異空間の彼方まで届く。

 そして、そして……

 

 

 

 『黒い球体から伸びた十字に、悪魔すら霞む真っ黒い翼』。それを象った紋章が、空の果てに光る円環の紋章に並ぶ。

 空間の全てに波紋を起こしながらも邪悪に輝き、一つの影にも見える存在が姿を現した。

 ひたすらに空へ手を伸ばす、巨大過ぎるにも程が有る存在。単体で一つの宇宙を完全に終わらせる物。しかし、その上に立っている少女の姿を間違える筈が無い。

 髪はとんでもなく長く、円環の理が纏っている物を黒くしたドレスを着込み、背中には巨大な黒い翼が生えている。

 リボンすらドス黒く変わり果て、瞳は濁っている。

 暗黒と終末の化身とすら呼べる姿。でも、でも、その顔は間違いなく、彼女だった。

 

 

「まどか……」彼女の名前を呼んだのは、私なのか『暁美ほむら』なのか。それすら分からない。

 

 

 

 

 

 

 クリームヒルト・グレートヒェン

 あるいは、円環の理によって滅ぼされ続ける絶望の塊。

 かつて、慈悲の夢を見た魔女。

 

 

 

 

 

 

 そんな彼女は、あくまで鹿目まどかの姿をしたまま現れた。

 鹿目まどかの姿をした人とは異なる存在が、二つ並ぶ。個人的には、何だか幸せな気分になる光景と表現するべきかもしれない。

 見比べてみれば、円環の理の方より態度に微かな違いが有るのが分かる。よくよく顔を観察してみれば、暁美ほむらを見た時の反応が明らかに違う事が見て取れた。

 そう、救済の魔女は暁美ほむらを見て、頬を赤く染めたんだ。

 

「成る程」

 

 何かを納得した様子で、暁美ほむらが小さく頷いた。

 

「さっき感じた呪いの塊は、貴女だったのね。まどかの様子が変だったのも、あの黒い手も、貴女が関わっていたのかしら」

「まあ、そうだね」

「でも、どうしてこんな事をしたの?」

「私はさ、ほむらちゃんが切り取った部分とは違うけど、鹿目まどかだもん。まどかに干渉出来るのは、円環の理だけじゃないんだよ」

 

 質問された事とは、違う内容を答えている。

 救済の魔女は、まどかに干渉していたらしい。しかし、さやかや百江なぎさは現世に居たからこそ力を使えたのであって、本来、導かれた魔法少女は因果から解脱した為に、現世に干渉する事は出来ない筈だ。

 

「まあ、普段はね。だけど、そっちのほむらちゃんが呪いを振りまいてくれたお陰で、顔を出すくらいは出来たから」

 

 私の方を見て、まるで思考を読んだ様に答えてくれる。

 その言葉で合点が行った。

 どうやら、私がさやかの前で本来の姿を見せた瞬間、そこから出た呪いを糧に動いた様だ。

 あの時のまどからしき気配は覚えている。一応、納得は出来た。

 

(しかし、それにしたって、彼女程の存在が動けば誰だって気づきそうな物だけど……?)

 

「マミさんにも手伝って貰ったしね」

 

 私の疑問には答えないまま、救済の魔女は巴マミに向かって軽く手を振った。

 戸惑い気味の巴マミの肩には、おめかしの魔女が乗っている。円環の理から現れたんだろう。

 

 周囲を見てみると、私を追いかけてきた杏子は白馬に乗っていた。さやかの背後には、先程までより力を増した人魚の魔女が鎮座している。

 そして、その他多くの魔女達、かつての魔法少女達、そしてまどか自身すら、悪魔を撃退する為に現れていた。

 

「……貴女達は、私に立ち向かうつもり?」

 

 対する悪魔……暁美ほむらは、険しい顔つきで身構えていた。特に、ワルプルギスの夜に対する反応は大きい物だ。少しばかり目を見開いたかと思うと、強い敵意を宿した瞳で睨みつけている。

 ある意味では、インキュベーター以上に因縁の深い魔女だ。仕方の無い反応だろう。

 その一方で、円環の理に導かれた者達の気配も剣呑だった。それは当然だ。自分達の大切な女神に手を出されて、怒らない奴が居るものか。

 

「ほむらちゃん、みんなも……」

 

 まどかは、両方を見比べたまま、心配そうに状況を見守っている。きっと、戦闘が始まる前に何とか制止しようと考えている。

 丁度良い。まどかが戦闘を止めさせる前に、私が動いてしまおう。

 

「そうじゃないよ」

 

 でも、私が出るより早く、さやかが両方の間に入った。剣を見せて動きを牽制しながらも、顔は私の方へ向けられた。

 

「私達の相手は、あんただよ、『使い魔のほむら』」

 

 私をご指名の様だ。

 一瞬、これが円環の理の総意かと思ったが、背後に居る魔法少女達が顔を見合わせたり戸惑いを見せている所から察するに、さやかの独断の様だ。

 だが、提案としては悪くない。どの道、この場にまどかと暁美ほむら以外が居ては話も出来ないだろう。特に、私が此処に居ると、まどかは私を警戒していなければならないから。

 

(そもそも、彼女達を暁美ほむらの前に出しておきたくないわね)

 

 円環の理から現れた者達の中でも、さやかや百江なぎさは良い。問題は、それ以外だ。

 他の連中の殺気ときたら、放っておけばまどかが止めても暁美ほむらを殺しに行きそうな程であり、敵意に満ちていた。

 特に、変なインキュベーターの頭をした魔女なんかは危険な臭いを漂わせている。きっと、彼らの事を愛した魔法少女だろう。円環の理との相性も悪いが、暁美ほむらとの相性は最悪だ。

 そういう意味でも、彼女達と戦うのは悪くない。

 

「まどか、戦いは私に任せなよ」

「さやかちゃん、でも」

「まどか…………ね?」

 

 戸惑うまどかの側へ近づいていき、さやかは耳元で何かを囁いた。読唇の心得は無いので、とっさに空間を操り、盗み聞きをしてみる。

 

『ほむらと、ちゃんと話をしてあげな』

 

 確かに、そう聞こえた。成る程、さやかの意図は伝わってきた。必然的な事だったのか、私と似た様な事を考えていたらしい。

 

「頼むよ、まどか」

 

 さやかは、まどかの肩を叩きながら微笑んでいる。

 目を見開いたまどかが小さく頷いたのを確認すると、彼女は改めて私の側へと戻ってきた。

 

「さて、ほむら。私はあんたに用事が有るんだ。付き合ってくれるよね」

 

 剣を向けてくるけど、これは絶対に本気ではない。彼女は決して私を斬る為に、この提案を口にした訳ではないだろう。

 だから、私もさやかの考えに乗る事にした。

 

「良いわよ。さて、私が相手では不服かしら」

 

 承諾してから、敵として彼女達を挑発してみる。小馬鹿にした様な態度を取って、あくまでお遊びだと言わんばかりに嘲笑してみる。

 幾人かの魔法少女が、不服だと言わんばかりに前に出た。

 その表情を見た限り、義憤に燃えている、と表現すべきだろうか。まどかへの素直な尊敬と、暁美ほむらへの嫌悪が感じられた。

 円環の理の一部でも、その思想は様々なんだ。まどかの事を女神として崇拝する人も居れば、インキュベーターの効率を妨げる邪神だと思っている人も居る様だ。

 

「私達は、そっちの悪魔に話が」

「何か勘違いしている様だけど」

 

 純粋な正義感で悪魔と戦おうとしている子達の言葉を遮って、思い切り怖い笑顔を見せてやった。

 空気が凍り、世界が止まる。時間操作などするまでもなく、私の奥底から沸き出すホムリリーの力は、全てを黙らせる程の物が有った。

 圧し黙った少女達の姿が愛らしい。でも、ちょっと大人げない対応だった。そう感じた私は、嫌悪に対して悪戯心で返してやる事にした。

 

 

「これは提案でも挑戦でもないわ……確定事項よ」

「何を」

 

 言っているの、とでも口にするつもりだったんだろうが、それより先に空間を操って別の場所へと転移させる。

 動揺する暇も与えない。一斉に全員を移動させて、最後に私自身も同じ場所へ転移する。

 後に残されるのは、円環の理と悪魔だけだ。是非ともしっかり話し合って、今まで埋められなかった溝を埋めて欲しい。

 

 それこそ、一番平和的に『まどかの幸せ』を得られる方法だと、少なくとも私はそう思っている。

 

 

+

 

 

 転移した先は、荒野の様な所だ。幾つかのビルが立っていて、雨雲が天を覆っている。背景には巨大過ぎる救済の魔女が居て、私達を見守っていた。

 

「こんな事も出来たんだね、ほむら」

 

 隣に転移させたさやかは、私が空間を操って見せた所に驚きを示している。

 だが、驚きたいのはこっちの方だ。

 

「そういうさやかこそ、気遣いが出来るじゃない。何度目かしらね、貴方を見直すのは」

 

 気づかれていないと思っていたのか、さやかは頬を掻いた後、照れた様子で目を泳がせる。

 

「……バレてた?」

「分かりやすかったわ。まどかと暁美ほむらを向き合わせたかった、そうでしょう?」

「まあ、ね。あいつら、お互いを想う気持ちは凄く強いのにさ、気持ちがすれ違っちゃって、放っておけなかったから」

 

 腕を組みながらも、さやかはほんのりと頬を赤く染めている。似合わない気遣いだったと思っているのかもしれない。が、私としては友達の良い所を一つ見つけられて、嬉しかった。

 そういう、『放っておけない』気持ちは美徳と呼ぶべきだろう。私も同じ事を考えていたので、助けられた。心から感謝したい。

 ただし、一つ。これから私が死ぬ思いをするという問題が有るのだが、さやかは気づいていない様だ。

 

「さ、後はあいつらが話をつけるまで待つだけ」

「とは、行かない様ね」

 

 気楽そうなさやかの口を押さえて、周囲に充満する凄まじい闘志や殺気を感じ取る。

 少し離れた所に転移させたのだが、気づけば全員が私を囲んでいた。魔法少女の集団が私に向かって敵意を叩きつけてきて、背筋に冷たい物が走る。

 そこでやっと状況を理解したのか、さやかが溜息を吐いた。

 

「ごめん。なんか、みんなやる気満々みたい。ほむら、挑発し過ぎたんじゃない?」

「あんなの大した事じゃないわ。それより、何で連れてきたのよ、こいつら」

「いや、勝手に着いてきちゃって」

 

 さやかも困っている様子だ。円環の理の一部として彼女達は同胞だが、思想上は合わない相手も居るらしい。

 相変わらず義憤を篭めて睨みつけてくる少女に対して、純粋なおぞましさを秘めた視線で応えながら、私は肩を竦めてみせた。

 

「あんな数に攻撃されたら、流石に死ぬわよ」

 

 少なくとも、救済の魔女を相手にするのは厳しいという次元の話じゃない。他は何とかなるが、彼女だけは別だ。

 そもそも、私ではまどかと戦闘を行う事すら出来ないのも理由の一つだが、純粋なパワーゲームでも勝てる相手ではなかった。

 救済の魔女、その上に乗ったまどかは、あくまで私の事を優しげな目で見つめている。その顔が急に恐ろしい物に変わりそうで、何だか不安にさせられた。

 

「大丈夫、大丈夫だって!」

 

 私の不安を見て、さやかは軽く背中を叩いてくる。その横顔は凛々しく頼もしげで、甘えてしまいそうになる。

 そんな努めて気安い態度で接してくれるのは嬉しいが、さやかが口にした言葉は嬉しい物ではなかった。

 

「大丈夫だよ、私が責任持ってほむらの援護をする」

 

 大丈夫と言う割には、私に触れる指先が震えている。

 怖がっているんだろう。同胞とはいえ、向こうには自分より遙かに強く、遙かに剣呑な者達が沢山居る。私だって、さやかをそんな連中と戦わせようとは思えなかった。

 

「必要無いから、寝てなさい」

 

 軽く首筋を叩いて、最小限の衝撃でさやかを気絶させる。上手く不意を打てたからか、意識は簡単に奪えた。

 万が一にも私を庇う様な真似はさせられない。地面に倒れかけた身体を支えてやり、寝かせておくと、空間を操作して身体を拘束する。それを見たのか、慌てて杏子が近づいてきた。さやかの介抱は彼女に任せておこう。

 

「さて……さっさと片づけましょうか」

 

 それより、私の前には殺気やら使命感やらに燃える元魔法少女達が居る。彼女達との戦いを始めよう。

 誰も損をしないけれど、誰も得をしない戦いだ。勿論、負けるつもりは無かった。





最初の文章は、『永遠の物語』のエンディングで流れた魔女文字の翻訳文に、その元ネタとなった『ファウスト』の該当部分を混ぜた物です。魔女文字に該当する部分だけ、ノイズが入る演出にしました。

クリームヒルト・グレートヒェンは、鹿目まどかの魔女でありながら宇宙魔女でもある存在、という風に解釈しています。彼女なりの救済の形というか、仮に彼女が魂を吸い上げた先が理想郷であるならば、例えそこが嘘であっても一つの救いではないかと思います。肉体的な五感に頼って世の中を認識している人間にとっては、覚めない夢は現実と何が違うのか、という話ですね。叛逆の物語でさやかちゃんが言っていた事を思い出します。ただし、『魔女は一番求めていた物を手に入れられない』ので、そんな悲しい事を暁美ほむらが見過ごすかと言われれば、違いますが。
そういう意味で、彼女は円環の理と背中合わせの存在だと思います。紋章の形もほぼ色を反転させただけですし。
まあ、とはいえ本作のクリームヒルトは……
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