使い魔少女HOMURA★ほむら ~だが、誰が救い手を救うのか?~(完結) 作:曇天紫苑
五月に入って、景色は結構夏に近づいていた。桜はとっくに散って、花弁は雨に流されたみたい。でも、近づく夏に併せて変わっていく花は本当に綺麗で、素敵だった。
私が歩いていると、何羽かの鳥が飛んでくる。ああ、あれはほむらちゃんの使い魔だ。誰も餌をあげなかったから、野生化してしまったみたい。
あの状態じゃ普通の鳥と何も変わらないんだろう。コンビニのゴミ箱に頭を突っ込もうとしては失敗していて、公園でパンクズを貰ってる鳩さんの方が賢い気がする。
ところで、私が走っている場所は遊園地の近くだった。あんまり流行ってはいないけど、さやかちゃんと一緒に遊びに行った記憶は有る。勿論、概念になる前の話だ。
人間に戻ってからは行ってない。今度、ほむらちゃんを誘って行ってみようと思う。
その遊園地の入り口近くが今回の待ち合わせ場所だった。そこへ走っていくと、もう青い髪と赤い髪、白い髪と黄色い髪が遠目にも見えていて、ちょっと遅れちゃった事に気づいて慌てる。
黒い髪が見えなくて良かった。でも、遅れてる事には変わりない。一瞬で動く事も出来るけど、折角の人間の身体だから、頑張って走る。
景色が流れていく。これも概念じゃ味わえない喜びだと思う。青い髪……さやかちゃんが私から一番近い所に居たので、片手を挙げて挨拶をした。
「お待たせ、さやかちゃん! えへへ、楽しそうだね」
「おっはよ! まどか! うん、最高の気分!」
さやかちゃんの所まで辿り着いて、二人で笑う。一番の親友は確かに魔法少女で、私の一部ではあったけど、普通の人間として此処に居る。
私が此処に居るのだから、さやかちゃんやなぎさちゃんも此処に居るのは当然だ。二人は今、円環の理の一部として私と同じく此処に居る。そうじゃなかったら、何もかも幸せとは言えない。
「良かったね、さやかちゃん」
「まーね。記憶も戻ったし、全部無事に終わったからさ。魔法少女としての人生を楽しみ直そうかと思ってねー!」
さやかちゃんはとっても嬉しそうにその場で一回転して、ソウルジェムをお手玉みたいにして遊びだした。本当なら命を捨ててると言われても仕方ない行動だけど、円環の理の一部だから心配は要らない。
それにしても本当に上機嫌だと思う。こんなに幸せそうなさやかちゃんを見るのは本当に久しぶりで、たまらなく嬉しい。
「美樹さんったら、ずっとこの調子なのよ。まあ、私もなぎさが留まってくれるのは、凄く嬉しいけど」
困った様子で笑っているのは、マミさんだ。その瞳は、今も濁っていた。
『愛』は決して滅ばなかったみたいだ。なぎさちゃんが円環に戻る必要が無くなったって、その気持ちは全く変わってない。でも、だからってマミさんの優しさが無くなる訳じゃなく、憧れの先輩であり友達である事は変わらない。
「マミさん! なぎさちゃんもおはよう!」
「えへへ、おはようなのです」
「おはよう、鹿目さん。ふふ、こうやって揃うの、なんだか本当に久しぶりね」
本当に楽しそうに笑い、口元に手をやっている。一つ一つの動きが全部可愛くて、マミさんみたいに大人っぽい仕草が似合う人は良いな、と思う。
マミさんとなぎさちゃんは、並んでみると大人と子供みたいだったけど、手を繋ぐ所は姉妹か、下手をすると恋人同士にだって見えた。
気持ちがほんのり暖かくなる。そうしていると、何時の間にかさやかちゃんが腕を組んでいて、何かを納得した様子で頷いていた。
「偽りの見滝原の時以来だもんねー。まどか、人間になってからずっーとほむらちゃんほむらちゃん言ってたし」
「あ、あれは。その、ほむらちゃんが仲良くしてくれたかあね?」
「え、恋人として?」
「どうしてそうなるの!?」
……いや、その。そうなっても良いかな、って思えるくらいには、私はほむらちゃんの事が大好きだし、大切に思ってるけど、ね?
今の所、私達の関係は最高の友達のままなんだ。その手の言葉でさやかちゃんがからかって来るのは分かってたけど、やっぱり恥ずかしいっ。
「ったく、ほんとさやかはそういう話が好きだよな」
「健全な中学生は誰だって恋とか大好きだって。杏子は興味無いの?」
「……ねーな」
「え、何その間」
呆れ気味な杏子ちゃんだったけど、私は知ってる。この子は恋愛に興味なんて無いって顔をしてるけど、実は一番純心で一途な人なんだって事を。
そういえば、まだ杏子ちゃんと挨拶をしてなかった。何時も通り可愛い子だなぁ、なんて思っている事は隠して、しっかり挨拶をしておく。
「おはよ、杏子ちゃんっ!」
「よっ、まどか。さやかの奴、テンション高くて参っちまうよな」
困り顔に見せかけた、悪戯っぽい表情を見せてくれる。八重歯が凄く可愛い。マミさんやほむらちゃん、それに仁美ちゃんも綺麗っていう感じだから、杏子ちゃんとはちょっと違う。ちなみに、さやかちゃんは格好いい方だ。
「昨日なんか、酷かったんだぞ? 夜中なんかあたしにのし掛かってきて、こいつの寝相わりーから死ぬかと思った」
「あれ? 一緒に寝てたの?」あまり知らないけど、ベッドは別だった気がする。
「ん? ああ、昨日はね。何時もは一緒じゃないよ。さやかがどうしてもって言うからさ」
さやかちゃんの方を見てみる。少し顔が赤いけど、反論はしてない。つまり本当の事みたいだ。
でも、私だって現世に戻った時はママの部屋に行って、何年かぶりに一緒に寝た。ああ、朝になってタツヤに二人揃って起こされたのも、新鮮だった。
「ちなみに、私達も一緒に寝たのよ、ね、なぎさ。昨日は凄かったわね?」
「……は、はいなのです」
マミさんとなぎさちゃんも一緒だったみたいだ。ベベの時と同じで、凄く仲良しだ。
けど、なぎさちゃんが微妙に冷や汗を浮かべてる気がするのは気のせいだと思いたい。マミさん、一体何をしたんだろう。嫌がる様な事じゃないと思うけど。
「ああ、そうだ。昨日で思い出したんだけどな」
そして、杏子ちゃんは何かを面白がって笑い出し、さやかちゃんをじっと見つめたかと思うと、笑い過ぎて噴き出しちゃった。
「く、ふふっ……こいつ、戻ってきて早々あたしに抱きついてきたんだぜ? 滅茶苦茶泣いてさ、『ぎょうこ~ずっと仲良く゛しでねぇ~~』とか何とか」
「うわあああああ!! 言うなぁぁぁぁ!」
一気に照れたさやかちゃんが掴み掛かるけど、凄く綺麗な動きで杏子ちゃんはそれを避けてしまう。
けど、それで負けるさやかちゃんじゃなかった。自分の攻撃が当たらない事を知ると、また顔を酷く真っ赤にしながら、大声で反撃をする。
「だ、大体杏子だって言ってたじゃん! 『もう、あたしの前から居なくなるなよ、ずっと一緒だからな。あたしの一番大切な、大切なともだ』」
「お、おい!」
自分が言った事を皆に聞かれるとは思っていなかったんだと思う。杏子ちゃんが一気に慌てて余裕を失った。
そんな顔も似合う子だなぁ、なんて思っているとは知らずに、杏子ちゃんは首を振っている。
「それに、しょうがないだろ! 気づいたらお前となぎさが居なくなってて、一人ぼっちになったと思ったら急に戻ってきたんだからさ!」
自分に同意する人を求めて、マミさんに声を掛けている。
「なあ、マミだってそうだろ!?」
「あら? 私はなぎさを追ってたから、違うわ。二人で一緒に戻ってきたのよ」
けど、マミさんは得意げな顔で否定して、なぎさちゃんに頬を擦り寄せた。
そういえば、マミさんは私の所に導かれてきた。私の顔を見た第一声が『久しぶりね。大人しくなぎさの所に案内して欲しいわ。それとも、チーズにしてあげましょうか?』だったから、凄く怖かったのを覚えている。
「あ、あはは、杏子ちゃんとマミさんも仲良しだよね」
何だか、私達の入る余地が無い気がする。
さやかちゃんも同じ様な事を思ったみたいで、ちょっとだけ羨ましそうにマミさんを見ていた。
「だよね。そういえば、杏子はマミさんの弟子だったっけ……仲良いのも当然か」
「杏子ちゃんとさやかちゃんよりも仲は良いのかな?」
「……いや、まあ、あはは。まどか、さっきのお返し? ……まあ。私と杏子の方が深い付き合いだって自信は有るけどさ」
小さな声で答えたつもりなんだろうけど、さやかちゃんの声はしっかり全員に聞こえていた。特に、杏子ちゃんなんて耳まで真っ赤にして、照れてるのか喜んでるのかも分からない状態になっている。
マミさんは心意気に関心したみたいで、小さな笑い声を漏らしている。それは、敬意や優しさに溢れた物だった。
「ふふ、美樹さんは素直で良いわ。それに比べてなぎさは」
マミさんが横に居るなぎさちゃんの頭を撫でていると、その手を振り払わないまま、なぎさちゃんは声を大きくした。
「なぎさは、チーズが食べたいだけなのですっ。だから、マミと一緒に居るよりチーズが優先なのです」
「あら、ほんとう? あんなに泣いて甘えてくれたのに。素敵な夜だと思ったのは、私だけだったの?」
「あ、あれは、その……」
ふいっ、と顔を背けて、小さな一言。「……マミは、私だけのチーズなのです」
本当に小さな声だったから、きっと私とマミさんにしか聞こえなかったと思う。
さやかちゃんと杏子ちゃんはお互いに照れた状態でぎこちない会話をしているから全然気づいてないし、大丈夫だろう。
(マミさん。なんだか、一周回ってほのぼのしてる感じだよね……)
それにしても、この二人の気持ちは本当に重い。表面的には明るい姉妹みたいだけど、もっと深い所で怖くなる様な繋がりを持っているのが分かる。一応、これでも沢山の魔法少女を見てきたから、分かるんだ。
ほむらちゃんが私を見る時の目を更に怖い物にしたら、きっと今のマミさんみたいになる。なのに言動も性格も精神も変わってないから、余計に怖い。
「私はチーズ、なのね? ふふ、まーるいチーズはなぎさが好き。ケーキはだあれ?」
こんな私の考えを余所に、マミさんは手を叩きながらリズムを取っていた。
「マミじゃないのですっ」
「そうっ、私はチーズ。まーるいケーキはこーろがるっ。ケーキは……あら、暁美さん?」
え、ほむらちゃん?
マミさんの視線は私の後ろに向かっている。気配を探ってみても居ないのに。もしかすると、私の後ろに立ってるのかな。
確認する為に後ろを見ようとして……頬を指先で突っつかれた。
「ひゃ……!?」
「違います、私はカボチャ」
「まあるいケーキは甘いから、ケーキはまどかかしら?」
「え? あ、ちーがー……じゃなくて、ほむらちゃん! それに、ほむらちゃんも!」
そこには、二人のほむらちゃんが立っていた。片方は使い魔さんだけど、それはそれ。
「遅れてしまってごめんなさい」
「ごめんなさい、まどか」
使い魔さんの方は見分ける為なのか、黒のソフト帽を被っている。薄手のコートみたいな服も着込んでいて、ベルトが壊れているのがちょっと印象的だ。何だか、物語に出てくる探偵さんみたいな格好に見える。ちょっと怖い雰囲気は、健在だった。
でも、ほむらちゃんの方だって今までとは格好が違った。
赤縁の眼鏡を掛けているんだ。伊達眼鏡らしいけど、この方がきっと昔みたいな気持ちになれるんだと思う。イヤーカフスも目元の隈も無くなって、ただ穏やかで優しい気配が有った。
「暁美さんと、暁美さんね。えっと、コートの人の方が使い魔さんで良かったの?」
「ええ、そうよ。巴マミ、そう言う貴女は随分と怖いままじゃないの」
「『愛』は素敵です。けど、端から見ると本当に怖いわね……」
二人のほむらちゃんがマミさんと話している。半分丁寧語の入った方が、赤眼鏡のほむらちゃんだ。変に口調が混じり合ってるけど、無理をしている気配は無い。
ちょっとずつ、昔の自分に戻っていくつもりなんだ。
ほむらちゃんが到着したので、さやかちゃんが動きを止めて近づいていく。片手を挙げて話しかける相手は、使い魔さんの方だ。
「お、『ほむら』。やっと来たの」
「ええ、来たのよ、さやか……貴女の私服、結構センス有るわ」
「ん、そう?」
「良かったら、何処で買ったか教えて貰えないかしら」
「良いよ。えっとね……」
会ってすぐに仲良く話を始める。会話を楽しんでいるのが分かりやすくて、二人とも笑顔だった。
さやかちゃんは自分の服装を褒められたのが嬉しいみたいで、その場で地面を軽く回っている。青のフリルが舞い踊って、とっても可愛いと思う。
「まどかの方が可愛いよ」
「そんな事無いよ。それに、ほむらちゃんの方が……」
何だか、気持ちが顔に出ていたみたいだ。ほむらちゃんにフォローされてしまった。けど、そういうほむらちゃんだって凄く可愛い。
「あ、まどか、今日は『鹿目まどか完全復活パーティ』だよね。私、色々と用意してきたの」
ほむらちゃんは片手だけ魔法少女に変身して、盾の中に手を入れる。時間操作の魔法が復活したのが嬉しいみたいで、長年の相棒を扱う様な手つきだった。
その中から取り出されたのは、大きなぬいぐるみだ。見覚えが有る、というより、私の部屋に置いてあるお気に入りの物の色違いだ。
「トレホくん?」
「ええ、貴女とお揃いの、取ってきたんだよ。家に飾ってくれたら嬉しいな」
そう言いつつ、ほむらちゃんは自分の髪を留めた紫のリボンをぬいぐるみの耳に巻いた。
「これに、私のリボンを巻いて……ね?」
「うん、ありがとう!」
リボン着きのぬいぐるみを受け取って、腕の中で抱き締める。ずっと盾の中に有ったからか、何となく、ほむらちゃんの香りがする。
そうしていると、ほむらちゃんが何だか優しそうな視線を送ってくれた。ちょっと気恥ずかしいけど、安らいだ雰囲気を見せてくれる事に安堵を覚える。
「でも、ちょっと邪魔よね」使い魔さんの方が心配そうに見てくる。けど、そんな心配はしなくて良いのに。
「ううん、そんな事無いよ?」
「いえ……気遣いは要らないわ。それ、貴女の家に送っても?」
「あはは、気にしないで?」
心配性な所が有る人だって、そう思う。ほむらちゃんよりもずっと、一つ一つに何とか気を回せないかと頑張ってるんだ。
これがほむらちゃんなら『無理をしなくても良いんだよ』とでも言えたけど、使い魔さんはこれが使命で、生まれた意味だと言ってる。だから、あんまり否定する様な事はしたくない。
「じゃあせめて、こうさせて」
トレホくんが小さくなったかと思うと、そのまま私の肩に乗った。視界を遮らない程度に調整されていて、重さも殆ど無い。
「あっ、ありがとう」
「いいえ、貴女の言葉を押し切って気遣いを押しつけた様な物よ」
時間と空間を操作出来る彼女の能力は凄く応用が利くみたいで、こういう細かな事が得意らしい。さやかちゃんによれば、タツヤに花束をあげていた時も能力を使ったそうだ。
有り余るくらい強い力を、ちょっとした人生の彩りの為に使えるなら、それは素敵な事だと思った。
「……ねえ、確かそれってUFOキャッチャー専用商品って奴じゃなかった?」
「そうよ」
「……うっそぉ」
使い魔さんと話をした途端、さやかちゃんが変な声を出していた。
「悪いけど……ねえ、『ほむら』。確か、アンタのゲームの腕って」
「ええ、とても壊滅的。でも、まどかのプレゼントだし、買ったりするのは違うかと思って、頑張ったわ」
「必死で頑張って、結局一万円出しても取れなかったから、私がとってあげたんです。そこで時間を使ってたから、遅れてしまったけど……」
横から聞いていると、このトレホくん……の兄弟? は二人で取ったみたいだ。
ほむらちゃんが二人でゲームセンターに行って、並んでUFOキャッチャーの前に居る所を想像してみると、何だか双子の姉妹みたいで頬が緩む。
「まどか、どうしたの?」
「あっ……う、ううん。何でもないよ」
ちょっとだけ、気持ちが現実から出ていた。変な子だと思われたかな、と気にしつつ、話題を変える為にほむらちゃんの事を見てみる。
私とお揃いの赤いリボンを髪留めに使ってくれるのは、嬉しい。けど、ツインテールや三つ編みも似合っているから、見てみたいなと思う。
「うん。ほむらちゃん、何だかリラックスしてるね。眼鏡とリボン、似合ってるよ」
「そうかな……うん、そうかも。もう肩に力入れて生きていく必要も無くなったから、かもしれないわ」
「あ、時々クールに戻るんだ」
「余計なお世話です、美樹さん」
きっぱりとした丁寧語で返されて、さやかちゃんの目が丸くなる。
「……あんたは名字で呼ぶんだね」
「私はさやかの事、大事な友達だと思っているもの」
「で、こっちは名前で呼ぶ、っと」
「オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフの方が良かった?」
「いや、それは私の名前じゃないし……まあ、間違ってないけどさ」
使い魔さんはさやかちゃんと仲が良いみたいで、喧嘩も言い争いもする気配が無い。その中に杏子ちゃんが混ざったりして、三人で楽しそうにお喋りをしている。
マミさんとなぎさちゃんは、そんな三人を微笑ましそうに見つめていた。どんなに怖い目をしていたって、二人は良い人のままだ。
こういうのって、何だか楽しいと思う。みんな仲良くしているし、凄く明るい。魔法少女の未来はこんなにも明るいんだ。
ほむらちゃんの顔を見てみる。ああ、彼女も笑ってくれた。偽街の中でしか見れなかった何も気負いの無い表情が、どんな物より輝いて見えた。
「って、おやおや? まどか、恋人繋ぎですかぁ?」
幸せに浸っていると、さやかちゃんが悪戯っぽい声でからかってくる。
確かに、私は自然と恋人繋ぎをしていたんだ。しかも、一人だけじゃなく、どちらのほむらちゃんとも手を繋いでいた。
「さ、さやかちゃん」
「ほほう、右手でほむら、左手にほむら。モテモテだねぇ、まどか?」
興味津々という感じの顔付きで覗き込んでくる。改めて言われると凄く恥ずかしい。でも、離そうとは思えないから、余計に照れる。
私が何も言えなくなっていると、使い魔さんの方が笑い出した。笑われてるのかと思ったけど、違うみたいだ。
「ふふ、そういうさやかだって、自分の手を見なさい」
「へ?」
「杏子と恋人繋ぎしているのは、自覚が無かったの?」
「えっ……う、うわ。気づかなかった」
あ、確かにさやかちゃんと杏子ちゃんも、私達と同じ繋ぎ方をしていた。
気づいてなかったのか、さやかちゃんは慌てて手を放す。何だか、杏子ちゃんは残念そうな表情になっていた。
「あたしは気づいてたぞ。さやかが勝手に繋いできたから、ちょっと驚いたけどな」
「えー……気づいてたなら言っても良いんじゃない?」
「いや、さやかが確かに此処に居るんだって納得したかったしな……察しろよ、それくらい」
小さな声だけど、聞こえた。とっても可愛い言い方だと思う。時々素直な杏子ちゃんは、普段とのギャップも有って凄く良い。
さやかちゃんも同じ様に思ったのか、笑ってその背中を叩いていた。
「巴マミと百江なぎさは自然ね。さっきからずっと恋人繋ぎよ……」
その中で、使い魔さんがマミさん達を見て関心した様子になっていた。あの二人は、最初に見た時からずっと恋人繋ぎで身体を寄せていて、時々頭を撫でている。
「こ、恋人繋ぎで悪いのですか?」
「そんな事無いよ、なぎさちゃんはマミさんが大好きなんだもんね」
「う、それは、そうなのです……まどか、これ以上聞かないで欲しいのです」
なぎさちゃんの照れた表情は、可愛いなと思う。魔法少女としてはちょっと幼いけど、マミさんのパートナーとして自信を持ってオススメ出来る良い子だ。じゃなかったら、偽街にこの子を送り込んだりはしない。
……ゆまちゃんを杏子ちゃんの元に送る案も有ったんだけど、最終的にはこの子に決めた。今なら、正解だったと思う。
二人の深い仲は羨ましいやら頬が熱くなるやらで、見ているこっちが照れてしまう物だった。
そんな中、さやかちゃんは何か思いついた表情になって、二人をじっと見つめ、何かを言おうと……
「はっ……まさかマミさん、ロ……」
「美ぃー樹さーん?」
地獄の底から響く様な声で、さやかちゃんの息が一瞬だけ止まる。声の主はマミさんだけど、その圧力はワルプルギスの夜が笑っている時より凄い。
しかも、私や杏子ちゃんの方には何の重みも感じさせなかった。一人の人間を限定して威圧するなんて、難しい技だ。
「それ以上言うと、チーズにするのですよ?」
勿論、なぎさちゃんも悪い顔をしていた。マミさんよりはずっと怖くない、むしろ、子供っぽくて頭を撫で回したくなる物だけど、口元だけを魔女の物にして鋭い牙を見せる所だけは、補食者の怖さを感じさせた。
「穴空きチーズね、なぎさ。二人で作って食べちゃいましょう」
「ええ、潰してチーズケーキにしましょう。クリームチーズになるまでぐちゃぐちゃにするのです」
「ひぃっ! マミさん超怖い!」
濁った目でさやかちゃんに迫る二人は、怖いという単語では現せないくらい恐怖の的だった。私もちょっと怖かったけど、二人のほむらちゃんが手を握ってくれたから、平気だった。
逃げ出したさやかちゃんが、杏子ちゃんの後ろに隠れた。腕が震えて、助けを求めている。
「た、助けて。このままじゃチーズにされるっ!」
「お、おい。勘弁しろよ!」
恐怖の波動を受けて、杏子ちゃんだって怖くなったんだろう。強がっていたけど、少し顔が青い。
使い魔さんがマミさんの方へ顔を向けて、苦笑混じりに私の髪を撫でながら、注意を口にする。
「もう、からかい過ぎよ。さやかが漏らしたらどうするの」
「ちょ……幾ら何でも漏らさないよ!?」
見かけ程怖がってはいなかったのか、さやかちゃんが普段通りの調子で抗議している所が面白くて、何だか笑いそうになる。
毒気を抜かれたのか、マミさんとなぎさちゃんの身体から出る妙な気配は消えて無くなった。代わりに、普段通りの穏やかな二人組の雰囲気が残り、空気がかなり軽くなる。
「そうね。ちょっとやり過ぎたかしら。でも……うふふっ、これに懲りたら、私の事をロ……なんて言わない事ね、美樹さん」
「今度は、冗談じゃ済まないのですよー?」
ニッコリ笑うなぎさちゃんの目が怖いのは、私だけじゃない。何だか、心霊番組の子供の幽霊みたいで……
さやかちゃんも一瞬顔を真っ青にしたけど、すぐに顔色を整えて、思い切り息を吐いた。
「はぁぁぁっ……怖かったぁ」
「まー、前からキレてる時はヤベえ奴だからな。ほんと、殺されるかと思ったよ」
「……でも、二人が特殊な関係なのは確かですよね」
失言をしたほむらちゃんに向かって、マミさんの瞳がキラリと光る。
「暁美さん? 今言ったのは、どっちの暁美さんかしらぁ?」
「……さあ、どっちかしら」
ほむらちゃんが言った事を、使い魔さんが誤魔化そうとしている。それくらいでマミさんを騙せるとは思っていないのか、冷や汗が浮かんでいるのが見えた。
「ふふ、冗談よ。別に怒ってないわ」
肩を竦めて、マミさんが悪戯っぽく笑う。
本当に冗談のつもりだったんだろうけど、今のあの人は心に凄まじい感情を留めている状態だから、それを少しでも見せるだけで周囲の空気が凍り付いてしまうんだ。多分、やっとそれを自覚したんだと思う。ちょっと申し訳無さそうだった。
そういう表情の変化を見て取って、使い魔さんは「気にしないで」と言いたげに手を振り、柔らかな微笑みを見せる。
「大丈夫よ、遠目には姉妹にしか見えないわ。そんな怪しげな関係だとは誰も思わないでしょうね」
「怪しげとは何なのです! マミとなぎさは立派な……えと、はい」
「ふふ、立派な、何かしら? ねえなぎさ、立派な、なあに?」
「……マミのいじわる。分かってる癖に酷いのです」
頬を膨らませて抗議する姿があんまり微笑ましかったから私達は一斉に笑顔になる。それが気に入らなかったみたいで、なぎさちゃんは余計に怒り出す。
それがまた可愛らしくて、私達は思わず目元を緩ませた。
「はははっ。ああ、百江なぎさは照れ屋だけど巴マミを食べちゃいたいくらい好きなのね」
「む、むむむむむぅ……言い返せないのです。後、食べちゃいたいは縁起が悪いから言わないで欲しいのですっ」
使い魔さんにからかわれて、なぎさちゃんは顔を赤くしたけれど、否定はしなかった。それだけマミさんの事が大事なんだろう。
自分より小さい子が仲間の中に居るっていうのは、何だか嬉しい。見ていて、昔を思い出す様な切なさが有るし、なぎさちゃん自身も沢山可愛い所が有る子だから。
「そうそう、ところでさ、もう完全に大丈夫なの? あの不安になる感じのバカみたいな百合カップルがやった事なんでしょ?」
ほんの少しだけ調子を真剣な物にして、さやかちゃんが聞いてくる。
『バカみたいな百合カップル』という単語を聞くだけで絡み合う二つの姿が頭に浮かんで、一気に恥ずかしくなった。
「美樹さん、あの空間を見ていたんですね」
「まーね。私達は今でも円環の一部だから。ある程度の記憶はまどかから貰ってるよ」
私の一部だから、さやかちゃんも当然あの光景を見ていたんだ。正直、親友に自分が恋人……お嫁さん? と触れ合っている所を見られるのは、想像以上に照れる。頭が沸騰しそうだよ……!
「そういや、あたしとマミは知らないんだったな」マミさんが同意する。「そうね。どうやって、鹿目さんを此処に維持しているのかしら?」
私が恥ずかしさで動けなくなっている中、会話は進んでいた。マミさんと杏子ちゃんはあの私が混ざり合った瞬間を認識していないんだ。
二人が聞きたがっている事の内容を私はしっかりと理解していたけど、それを説明するよりも早く、使い魔さんが話し出していた。
「円環の理は、今も世界に存在しているわ。此処に居るまどかは、ある意味での化身の一つにして、人格の一種。そっちの私が引き裂いた人間としての記録を取り込んで、概念の下に人格を生み出した」
「そう、まどかは概念として一歩先に行ったんです。私達魔法少女を導くだけではなくて、私達と一緒に生きてくれる、女神様兼普通の女の子として」
「め、女神なんて。私、そんなんじゃ」
「いいえ、自信を持って」
「そうだよ、まどか。貴女は神にも等しく、何よりも可愛く聖なる存在なんだから」
二人揃って並ぶと、声の調子以外はそっくりだ。多分、二人の頬の張りが微かに違う事は私しか気づいていない。
どちらも肌は凄く真っ白で綺麗だから、頬の形の僅かな差を理解できる人が居るとすれば、両方と『ほっぺたスリスリ』した人くらい……つまり、そういう事だったりするの。
「ん、どうしたの、まどか? 何か照れてる?」
「んえっ? う、ううん。そんな事無いよ?」
無意識の内に分かりやすい表情をしていたみたいで、さやかちゃんに気づかれてしまった。親友だから、ほむらちゃんより反応が早い。
横目で見てみると、ほんの少し、ほんの少しだけどほむらちゃんが悔しそうになったのが見えた。使い魔さんの方は平然としていて、私に小さくウインクをしてくれる。
「そう? まあ、まどかがそう言うなら気にしないけど」
「ま、本当に何も心配要らない訳だな」杏子ちゃんが安心している。
「そうだね。私も円環の理として動けるから、何か有ってもすぐに対応出来るよ」
それに、私なんかよりもっと頼りになる人が此処に二人も居るんだ。ほむらちゃん達は胸を張って、頼り甲斐の有りそうな態度を見せてくれた。
「私と、暁美ほむら……悪魔も居るし、インキュベーターも協力してくれるわ。それでも駄目なら、ホムリリーに出て来て貰うまでよ」
「あれだけの力を扱える存在が応援してくれるのだから、問題無いわ……問題無いですよね」
……ああ、何だろう。一生懸命昔の自分に近づこうと口調を変えているほむらちゃん、それでも時々何時ものクールな空気が出てしまう所が何だか良い。真剣な話の最中なのに、胸が暖かくなる。
昔の自分は此処までほむらちゃんを可愛い可愛いと思っていなかった筈だから、きっと、これは『あの』円環の理が混ざった影響なんだろう。でも、決して悪い気分じゃない。
「つまり、私達はずっとなぎさと一緒に居られる訳なのね……」
「円環の理でもずっと一緒でしょう?」
「まあ、そうだけど。出来ればなぎさにはチーズを食べさせてあげたいし……デートとか、そういう事を色々したいもの」
「良いじゃねーか。あたしもさやかと一緒に居られるのは嬉しいしな」
「は、恥ずかしい事言ってくれるね。ま、まあ私も嬉しくない、とは言えないけど……」
「恥ずかしいのは私なのですよぉ……マミ、ちょっと積極的になり過ぎなのです。昨日なんか同居を提案されたのです」
「え、一緒に住むの?」さやかちゃんが意外そうにしている。
「はい。さやかと杏子が一緒なら、私とマミが同じ家でも良いと思ったのです」
「幸い、私は両親が居ないもの。小学生と同棲するくらいなら全然平気よ?」辛い筈の事を、マミさんはさも幸福だと言いたげに語っていた。なぎさちゃんに支えられて、吹っ切れたんだ。
「へぇ、マミ。あんたなぎさと住むのか……寝床はどうするんだ?」
「勿論、一緒に寝るのよ? その為にダブルベットの購入も検討しているわ」
「ま、マミぃ」話を聞いているなぎさちゃんの目がもの凄く泳いでいて、酷く恥ずかしそうだ。
すっかり心配を忘れて、みんなが楽しそうにこれからを話している。
『これから』、良い言葉だと思う。明るい明日が有る。きっと、それが一番の希望なんだ。
「よっし! 心配も無くなった事だし、これからもガンガン頑張っていかないとね!」
「ああ、言うのを忘れていたのだけれど」
心機一転、これからまた頑張ろう。そんなさやかちゃんの言葉を聞いて、思い出した様にほむらちゃんが口を挟んだ。
その言葉を続けたのは、使い魔さんだ。何だろう、二人は、交互に言葉を繋げる事に凝っているみたいだった。
「この町の魔法少女は全員廃業に等しいわ」
「え」
「魔獣と戦う必要が無いからです」
「その通り。その気になれば魔獣をオーストラリアから宇宙の果てまで何処にでもぶっ飛ばせるわ。それに、悪魔としての力も健在なのよね?」
「勿論よ。発生した魔獣から取れる物はちゃんと渡すから、心配しないで良いと思います」
要するに、二人が勝手に魔獣を倒しておくから、他の人達が戦う必要は無いって言いたいんだ。でも、そう言われて納得したのは、私だけだった。
特に、さやかちゃんは何だか不満そうだ。二人の事を大切に思ってくれてるんだろう、引け目を感じさせる態度だった。
「いや、ほむら二人に戦わせて、私達は楽してろって言われても……」
「いいえ。そもそも戦いにならないのに、わざわざ貴女達を戦わせる必要が有るのかしら」
「そうね。私達なら呼吸一つで魔獣を一ヶ月くらい出現出来ないくらい吹き飛ばせますから、美樹さんが気にする事は無いと思います」
うん、その通り。私は分かっていたけど、今のほむらちゃん達の力は魔法少女の次元を遙かに越えているんだ。本気になれば宇宙を壊せる人達が、魔獣と『戦う』必要なんか無い。一方的に倒せるんだから。
それに、私だって此処に居る。前代未聞と言われた素質と願いで魔法少女になった私は、円環の理の力を使わなくたって、多分、この世界を壊せる。
「……というより、ハイパーまどかビームを軽く一発で地球が焦土になるから、魔獣なんか問題じゃないわね」
「そ、そんな事しないよ!? っていうか、何でその技名を知ってるの!?」
使い魔さんに考えていた事を言い当てられて、慌ててしまう。
それに、その技名は、私の設定ノートにしか書かれてない筈なのに……!
「当然よ、ホムリリーのまどか知識に隙は無いわ」
「まどか、出来るのは否定しないんだ……」
何処か自慢げな使い魔さんとは違って、さやかちゃんは『どん引き』と言いたげな顔になっていた。もう、私がそんな怖い事に力を使う筈が無いって分かってくれてる筈なのに。ちょっと、失礼だと思う。
「もう、さやかちゃん!」
「あはは、ごめんごめん。でもまあ、良いじゃん。力は有った方がお得だしね。頼りにしてるよ、まどか」
納得してくれたみたいだ。
うん。これで良い。ほむらちゃんと私が居れば、少なくとも魔法少女の未来は幸せな物に出来る。まずは目の前のみんなから、だ。
「……」
(……あれ?)
何でだろう。使い魔さんが何処かを睨んだまま、黙り込んでいる。
声を掛けようかと思ったけど、何だか考え事をしているみたいだから、止めておく。邪魔をしちゃいけない。
「まどか?」
「ううん、何でもないよ」
ほむらちゃんを心配させたくない。今は疑問を置いておく事にする。それに、使い魔さんは必要なら私に話してくれる筈だから。
それに、今日は『私の完全復活』を祝うパーティだけど、それだけじゃない。私は、『ほむらちゃんと分かり合えた事』を祝いたいんだ。
今はそっとしておこう。此処で喜びをため込んで、思い切り祝うんだ。二人のほむらちゃんに囲まれて、パパやママやタツヤと一緒に居られて、さやかちゃんやみんなと一緒に生きていく幸せを。
……うん、自分は今、とっても幸福だ。
これからもずっと、こんな風に生きていけたら良いなって、深く深くそう願った。
+
「もう、さやかちゃん!」
「あはは、ごめんごめん。でもまあ、良いじゃん。力は有った方がお得だしね」
声が聞こえてくる。平和で、楽しそうな、私にとっての理想郷から響く声が聞こえてくる。
だけど、街頭テレビには外国での紛争激化で多数の子供が巻き込まれたというニュースが流されていた。それに、他のテレビでは自殺者の増加について、大学教授の見当違いな発言が映し出されている。後は、何処かの国で大量殺人が発生した原因をコメンテーターが好き勝手に語っていた。
でも、誰もそれを気にかけない。
それが意味する事に、暁美ほむらですら気づいていない。
七人の中で、気づいているのは私だけなのか。
そうだ、そんな遠い出来事は、平和な見滝原を生きる人々の関心の対象にならない。まして、今の私にとって、人類の全てはシロアリ程度の問題でしかない。いや、人類にとって、遠い何処かで起きた誰かの問題など、全てシロアリ以下に過ぎないのかもしれないのだ。
でも、優しいまどかはきっと、やがては気づくに違いない。自分が、世界を変える程に巨大な力を持っている事に……そう、佐倉杏子の父親には出来なかった事を、成し遂げられるのだと。
「あの、マミさんの部屋に有った、お菓子のレシピ本、貸してもらえませんか?」
「ええ、良いわよ。どうしたの?」
「えへへ、ほむらちゃんと一緒にお菓子を作る約束が有るんです」
「おおっ、いいねぇ。完成したら私も食べに行って良い?」
「勿論だよ、さやかちゃん」
「あたしもか?」
「杏子ちゃんだって、当然じゃない」
「チーズなのですか?」
「うーん、チーズかもしれないけど、そこはほむらちゃんと相談かな。なぎさちゃんのリクエストなら、考えておこっか」
今はまだ、まどかも気づいていない様子だ。此処に居るこの子は、あくまで鹿目まどかで、そして『魔法少女にとっての神』でしかない。
(ねぇ、まどか。貴女がどんなに心を砕こうとも、人々の憎しみや悲しみ、呪いを完全に止める事は出来ないのよ)
そう、この世界の重苦しい現実に、自分の力が魔法少女の為の物でしかない事に、まどかも何れ目を向ける日が来るだろう。
だが、まだだ。まだ、まどかにこれは重い。もっと沢山の経験を積み、もっと沢山の事を学んで、もっともっと大人になってから考えるべきだ。
私達は、そんな事を気にする感覚がすっかり無くなってしまった。魔法少女という存在になると、自分が特別だと思い込んでしまう時が有る。
いや、実際に特別なのだ。まどかは巨大な力を持った概念で、私は恐るべき存在の使い魔、そしてもう一人の私は悪魔だから。
そうだ、余りのスケールの大きさから、足下に目が眩んでしまう。個としての私達は七十億も居る人類の、無力な一人に過ぎない事を、忘れてしまう。
どんなに強い力を持っていても、まどかは普通の女の子なんだ。第二次成長期の少女だ。人格形成も完璧ではないのに、世の中を変える決断と責任を負うには、まだまだ早すぎる。
魔法少女だけなら、まだ良いだろう。だが、人類全てを変える決断はもっと複雑で、とてつもなく難しい。何せ、幾多の優れた知恵を持つ人々が挑んでは、破れてきたのだから。
私達に出来るのは、そんな恐るべき問題に直面する日が来た時、少しでもまどかが幸福に在れる道を切り開いていく事だろう、と思う。
必要とあれば、ホムリリーが世界を理想郷に変えるという手すらも辞さない。人々の頭を押さえつけ、骨抜きにして、無理矢理に幸せにしてやっても良い。
でもそれは、まどかと話し合って、まどかにとって幸せな道を共に探り続けた末での事だ。
その果ての選択であれば、決断しない事も、何もしない事を選ぶのも、また勇気なのだと知らねばならない。
「その日まで、こんな日常を続けましょうか」
「どしかしたの、ほむらちゃん? あ、使い魔さんの方ね」
「ふふっ、いいえ。これからの幸せに溢れた日々を想像していたの」
……悲しみと憎しみばかりが繰り返される、こんな救い様の無い世界だけれど。
それでも、この世界はこの子が居るべき場所だから。
「ほむらちゃんと、ほむらちゃん。これじゃ分かりにくいね。まどか、何かあだ名を着けてくれる?」
「えっ? えと……じゃあ、ほむらちゃんと、使い魔さん……じゃ変だし、ほむ魔ちゃん? なんて、どうかな」
私は、それを知っている。
「……良いわね」
「……うん、良いと思うよ、まどか」
「ごめんね、良いアイデアが無くて」
「いいえ。その名前で良いわ。ねぇ、ほむら?」
「そうだね、ほむ魔さん」
私は、決してまどかの幸福を妥協しない。そして、運命に敗北しない。
「Got ist tot!」
「Got ist tot!」
「Got ist tot!」
「うわっ、あいつら花束投げてきたよ!?」
「チューリップと、彼岸花……桜の枝まで入っているじゃない。暁美さんの使い魔、洒落てるわね」
「私とまどかの今後を祝福してくれているの。私の使い魔ながら、ちょっと嬉しいわ」
だから私は、まどかと共に生き続ける。
「はははっ、ほんと、まどかは愛されてるなぁ。あの年でもうハーレムかなぁ?」
「ちょ……さやかちゃん! そういうのじゃ無いんだって!」
「分かってますってぇ」
「全然分かってません、って顔だな」
「ええ、勉強を教えている時のなぎさの顔にそっくりね」
「そ、それは凄い失礼なのですよ、マミ!?」
今後、まどかがどんな道を行くとしても、決して彼女と彼女の幸福を離さない。逃がさない。
「じゃあ、ニックネームも考えなきゃだし……さ、みんな行こっ、二人のほむらちゃんと、一緒だよっ!」
「ええ、行きましょう。さあ、さやかも杏子もマミもなぎさも、まどかに着いて行きなさい。使い魔の私が保証する、幸福になれるわ」
「そうね。まどかと私達の道は、やっと開かれたばかりだものっ……!」
例え、世界が滅んだとしても。
まどかだけは、まどかの愛する世界だけは、絶対に妥協しない。
そう……絶対に、だ。
完
END
おしまい
fin
ティロ・フィナーレ
零時
終幕
続き?
for the next episode?
……零時二分?
◇あとがきな◇えんかんのめがみはまどかわいい◇よみとばしできる◇できた◇私の気持ちが大いに篭っている、ので、凄く長い。6000字を超えている◇文庫本換算6ページから14ページ分◇作者の愛も十分に重い◇
本作は叛逆の物語自体のストーリーラインを軸に、ウォッチメンを下敷きにした作品です。2話から3話までで一ヶ月近くが経過しているのも、叛逆のストーリーがそうだったから、というのが大きいですね。『まず大まかな流れを作り、下敷きにする作品を決める』という手法も意識しています。
……元々、ウォッチメンとまどかマギカのクロスになる構想も有ったんです(例えば、80年代のロールシャッハと2010年代の暁美ほむらが同じ日付で日誌を書いていくとか)。が、書けるとは思えない点、世界観設定が離れすぎている点、そして何より『ロールシャッハがどうしようもなく暁美ほむらと敵対するとしか思えなかった、というか冷戦末期時点で40代かつ異臭持ちのアメリカ在住おっさんと近未来の日本在住美少女中学生をクロスするって無理じゃね?』という点で、断念しました。ロールシャッハ、割と人種差別主義者でガチ右翼ですから、私に書ける筈が無い。私は原作も映画版も大好きなんですが、やっぱりロールシャッハといえばそういう過激な発言が無いと、なんて思っています。
そんな作品ですが、ただ、「皆幸せになって欲しい」という気持ちが有ったので、最終的にその両作とは違う方向に行きました。愛と友情と機械仕掛けの何とやらが勝つストーリーです。私としては「まどかが全てを取り戻した状態で人間としての人生を歩み、ほむらが自分を押し殺す事を止めてまどかと一緒に生きている」状態こそ一番だと思っているので、かなり強引にそちらへ向かわせました。ある意味ではモラトリアムに過ぎませんが、一度人間として生き抜いた後に本当の意味で人間を止める、というのが理想的だと思うのです。誰が救済者を救うのか? それはきっと、救済者と救済者が、互いを救い続ければ良いんですよ。相互確証破壊ならぬ相互確証救済、私は素敵だと思います。
そして、本作は設定上幾つかのSSや半公式のシリーズ、アンソロ系も参考にしています。この辺りは、色々と読んだ人なら設定が部分的に同じ作品が有る事は気づいていただけたかと。……ちなみに、私はあのまどほむ同人誌が大好きですね。どれとは言いませんが、凄く有名な物です。
加えて、挙動にも多少の小ネタを挟んでいたりする(例えば、本編中で同じ動作をしたシーンが有ったり、悪魔ほむが髪をかき上げた時の手とか)ので、その辺りを楽しんでいただけると幸いです。
後は……下敷きとして部分的にクトゥルー神話を参考にしています(ホムリリーの設定は特に)。インキュベーターがあっさり諦めたのも、イスの大いなる種族やミ=ゴが死ぬ程頑張ったってアザトースやヨグ=ソトースを制御するなんて無理だよね、的な考えからです。
そして、各登場人物の設定の話。
ほむらちゃんに関する人格設定は、パンフレットやインタビューから断片的に得られる情報を総合し、私なりの解釈を加えた物となりました。悪魔ほむと言っても中身は暁美ほむらのまま、「あの神にも等しく聖なるものを貶めて、蝕んでしまった」という台詞は、私には自嘲に近い物に聞こえます。どんなに変わってもメガほむが奥底に居る以上、彼女は自分の弱くて人間らしい部分を捨てきれないかと。だからこそ、幸せになって欲しい訳ですが。
で、アルティメットまどかに関する解釈ですが、この点にはウォッチメンのDr.マンハッタンが大きく関わっています。人間性の喪失、未来が見えていながらそれを変えようとしない所(過去と未来の全てが見えている筈なのに、自分が裂かれるという不味い状況を受け入れたのはどうして? という疑問から考えていき、そう判断しました)、確定した未来の操り人形の様に行動する所。とかですね。そんな存在が人間性を取り戻したら、多分、自分が何もしなかった事を酷く悔やむと思うんです。その辺りから、本作のまどかは「分かっていたのに何もしなかった」という事になりました。そういう兼ね合いも合って、鹿目まどかが如何に女神で可愛くて最強なのかという事を見せ付けられなかったのは、ちょっとした心残りですが……外伝、書きます。
それで、本作の登場人物で一番改変が多い百合の花畑にぶっ飛んだマミさんと、天使なさやかちゃん。この二人は私の中のイメージで作られています。
マミさんはこう、重い感じの愛を持っていると思うんですよ。おめかしの魔女がそういう性質を持っているから、というのも大きいんですが、彼女は優しい良い人であると同時に、重い人物だと思っています。だから、悪魔ほむら誕生の瞬間を目撃した事も有って、ある意味で覚醒した訳です。(ちなみに、本作のマミなぎは円環リリー並にガチ百合です)。彼女の魔女体であるおめかしの魔女……キャンデロロにはゲスト出演のノリで登場していただきました。本作のマミさんなら……「ももいろさん」「あおいろさん」「あかいろさん」「くろいろさん」の他に一回り小さい「ちーずいろさん」または「なぎさいろさん」が居るかもしれません。ちーずいろさんだけは魔女の傍にずっと居て、お互いの体が決して離れない様にリボンで雁字搦めにしているんですよ、きっと。他の使い魔は一定の距離を取りたがるけど、彼女だけは魔女から離れようとしない、的な。
さやかちゃんは本編中で呪いを生み出した頃のイメージが着いて回りますが、本来はこういう子だと思っています。ちょっと思い込みも有るけれど、一度信じた相手にはしっかり心を許せるし、鋭い感性を持っているから相手の隠し事にも気づける。更に一度導かれて「暁美ほむら」の目的や意思を知っているので、(否定的な感情は有っても)冷静に考えれば、まどかを引き裂く行為にだって理解を示す。そういう子だと思うんです。と同時に普通の女の子としての性格も持ち合わせているので、悩んだり迷ったりもするけど、最後には自分のやるべき事をしっかり定めて動ける子じゃないかと。後、魔女結界を作り出せる設定になっています。魔女図鑑で示されている通り、円環の理の一部として現世に下りてきても、人魚の魔女は人魚の魔女として扱われていたからです。勿論、なぎさちゃんも同じ事が出来る設定になっています。だから、誰にも見られない所でマミさんと言葉に出来ない様な……なんでもありません。
杏子ちゃんとなぎさちゃんは余り多く語れませんが、杏子ちゃんは聖女的で、『意思を持って決めた事なら、どんなに辛くても応援してくれる』イメージのまま書きました。なぎさちゃんに関してはベベの人格を参考にした上でオリジナルとしたので、今後の作品展開によっては全く違う物になってしまうんじゃないかと不安に思っています。本作では普段はワガママチーズ大好き小学生、でも、マミさんと生死を共にする事を欠片も厭わない人物として描きました。それと、『重病の母親が居る』という設定はシャルロッテに関する初期の物なので、今のなぎさちゃんがその設定を公式で受け継いでいるかどうかは、まだ分かりません。今後に期待。今後次第で本作のなぎさ像が壊れる可能性も有るので、そこは恐いのですが。
そして、オリキャラのHOMURA・ホムリリー・円環の理の話。円環とホムリリーに関しては、特に言う事もありません。二次と本編に在る既存の暁美ほむらのイメージを大げさにすると、彼女達になる感じです。円環の理は、殆どコメディレベルのガチ百合でとどめました。あんまり本気で書くと、人間性の無さなんかも含めてそれこそDr.マンハッタンみたいになってしまうので。
HOMURAは『弱味の無い壊れた暁美ほむら』というイメージです。冗談もそこそこ言える、よく笑う、言葉が足りなくて誤解されたりもしない。けど、全存在をまどかに捧げている。まさしく暁美ほむらとは呼べない物、AKEMI HOMURA……本来ならロールシャッハ並みなので展開にも悪い影響を与えるんですが、今にして思うとまどっち(と私の心)がそれを許す筈も無く、という感じです。そして実は彼女、行動や言動、方向性にはオジマンディアスのそれが入っていたり……『35分前』は鉄板ですよね。
後、ちょっとした裏設定ですが、本作における悪魔ほむらは始まりの物語・永遠の物語・叛逆の物語の他に、ドラマCD、TDS、おりこ☆マギカなど、『暁美ほむらが関わった』外伝作品も経験しています(まどペンは3週目からの完全ifなので除外、ただ『あのシーン』の記憶だけは有り。まどポは……PSPを持っていないので、残念ながら)。で、ホムリリーは……オリキャラという性質上『半公式アンソロ』の世界も経験していたり、直接経験しなくとも知っていたりします。見滝原幼稚園、アンチマテリアルズ、たむら、魔法少女部、ほむらリベンジ、ぽむマギ、アンソロ本、四コマなどですね。私が知っている作品の世界観以外もホムリリーは知っているという前提で書きました。……使い魔としてのHOMURAは知らされていない物も多いんですけどね。
彼女、ほむ魔ことHOMURAはまあ一応主人公っぽい何かであり、ほぼ無尽蔵の魔力と時空間操作のチート能力持ちで人望もまあまあ有る・平行世界の知識というメタ視点、所謂原作知識・神にも等しい存在に世界へ送り込まれる・狂っているレベルの強固な精神などなど、TUEEE的主人公の塊の様な存在ではありますが、登場人物としての役割性は作中の台詞にも有る通りの『舞台裏』であり、トリックスター的な位置に居ても、出来る事は場所を設定して巡り合わせ、出来るだけ両者が仲良くなれる様に腐心する事であって、最終的な部分、つまり暁美ほむらと鹿目まどかが互いを救い合う瞬間には関われず、精々が舞台袖で緊張している役者を激励して背中を押すスタッフであり、役者が居ない時の代役以外では舞台の上に立てない人物として描きました。要するに本人は全く名声も栄誉も、まどかとの幸福も得られない裏方ですが、「だからどうした、私はやる」という感じで。叛逆のOPに例えると、彼女はメリーゴーランドの前でカメラを回しながらまどかへエールを送りつつ、踊り出さないほむらへ「さあ、そこでまどかの手を取って踊るのよ、立って見せて、貴女は暁美ほむらでしょう」というカンペを見せている光景をイメージして頂ければ。……そもそも、TUEEしようにも本作には明確な敵も、対応しなけれならない脅威も存在しませんし。TUEEが必要だとすれば、本作の後に有るであろう彼女達の人生における敵や、彼女達を巻き込む世界の流れに対する物です。
人間は決意や願いを他の方面……自覚していなかった本心や他者からの干渉で崩されてしまう所の有る存在ですが、彼女は魔法少女でも人間でも無い上、他者どころか自身やまどかにすら変えられない絶対的に強固な価値観という超人の性質を帯びているので、まどかの為の『聖戦』を続けられる訳です。世界の外側から来た、という設定もメタ視点で言えば『マギカシリーズの外部から入り込んだ為に、ある意味でそれらのしがらみに左右されない存在』という面を持ち合わせています。これ、重要な事だと思うんですよ。二次創作におけるオリ主というのは大体作者が意識しているいないに関わらず、『その世界観でのあるべき流れ、つまり作風を破壊できる存在』だと思うのです。
正直に言ってしまうと、彼女達が第三者の手助け無しで完璧に意思を交わし、和解できるのか、と聞かれると厳しいんじゃないかと思うのです。そもそも、オリキャラを出すに至った理由がそれで、私の頭のイメージで彼女達がオリ無しに似たようなストーリーを歩んだ場合、必ず何処かで相手の事を『本気で排除すべき敵同士』として争ったり、分かり合えずにすれ違ってしまって、誰もが笑顔になれるベストなハッピーエンドというのは難しい気がしていたからです。彼女達はあくまで人間の、しかも多感な時期の延長線上に居る魔法少女なんですね。少なくとも私はそうなんですが、年齢を重ねると、どうも感情の幅が狭くなっていく物で、世の中に対して幾らかの諦めが出来る様になる物ですが、彼女達は現役中学生。最も感情が動きやすい時期では、色々な事を諦め切り捨て理性でもって当たり障りの無い妥協案を探り、それを全員が受け入れるというのは難しくなるでしょう。ならば、外部の存在が暗躍して架け橋となり全員が妥協しなくても良い案を作り出そうじゃないか、なんて。
本作の主人公は、正直に白状するとまどほむ+さやです。
それでも、まどか☆マギカの二次を書くにあたって、私は『彼女達が彼女達の意思で互いを受け入れ合う物語』として描きたかったので、私が作り出した使い魔や機械仕掛けの神には、その舞台を整え、舞台が無いなら作り出し、時には舞台の上部から神として舞い降り登場人物を手助けする、という役割を持たせました。そうした方針で行った理由として、上記の第三者の手助けが必要だと思った点、そして原作の、つまり『正真正銘一人しか居ない、原作に登場した本物の』暁美ほむらが鹿目まどかを幸せにして、今までの辛い戦いから解放されてまどかと一緒に幸せになって欲しい、結局はまどかを救うという願いを叶えられなかった彼女がやっと手に入れた『悪魔』という結果を肯定され、まどかに受け止められて、彼女の今までの全てが報われて欲しかった。というのも有りますね。(勿論、本作の暁美ほむらも私のイメージが多分に入った二次創作上の登場人物ではあるのですが、そこは仕方が無い。私では荷が重すぎた。原作製作陣の方々なら、彼女達の運命を本当の意味で変えられますが……叛逆をああいう終わり方にしたからこそ、私はこの作品をSSを書く決意が生まれるくらい好きになった訳で)
まどかマギカの登場人物は全員尊重すべき存在であり、勿論インキュベーターも蔑ろになんか出来ない(いやむしろ、人類の発展に貢献してきた度合いから言えば、まさしく理想的な共栄関係に有る『悪魔』と言えるでしょう。智恵の果実を食べさせた、という意味で)んですが、その中でも暁美ほむらと鹿目まどかは別格です。彼女達二人には、ぜひとも分かり合い、二人揃って幸せになって欲しい。まどっちにはずっと笑顔で曇り無く、でも派手過ぎない程度のささやかで優しい幸せを。そして、ほむらちゃんは報われた上で、まどっちとの幸福を謳歌して欲しい。少なくとも、私は書き始めた当初から今までずっとそう考えています。
ここで白状しておくと、実は、まどっちとほむらちゃんだとほむらちゃんの方がだいっ好きです。もっと言うと、まどっちへの気持ちは女神への敬意や自己犠牲の精神に対する尊敬で、ほむらちゃんには彼女という一個人に対して尊重と愛を抱いています。『暁美ほむらが救われる物語』になってしまったのも、それが原因です。みんな大事で損なっちゃいけないと思いますが、彼女は特別枠の更に特別枠。でも、彼女が良い子で正しいとか、肯定されるべき存在だなんて思いません。でなかったら、狂人や聖者のどっちかと言われる『ロールシャッハ』に例えたりはしません。しかし間違っているから彼女の魅力が減退するかと言われると、そうではありませんし。むしろそこが魅力なんじゃないですか、ひたむきで、どれだけ曲がっていても向かう場所は真っ直ぐ先で。ロールシャッハとは違って弱味が有ったりする所なんかも。独善結構、狂人なのはその通り。そういう私の感覚から『暁美ほむらの人間として壊れた部分』が集結した結果が、究極のまどか至上主義かつ独善的で『怪物』と表現されるホムリリーです。もうちょっと狂った雰囲気を出したかったんですけどね……
と、まあ……こういう感じで色々と考えましたが、最終的にはみんな良い子に書けた感じが有るので、私としては満足です。ストーリーや構成部分では反省点も多いですが、絡みを書けた、みんな幸せになる形で終わらせられた。それだけで、私は十分に幸せです。
此処まで書いた全てを台無しにする事になりますが、(オリキャラを出した理由や、後半の部分を除き)上記で書いた作品の方向性や思い、実は纏まった物として考えたのは終盤も終盤からです。それまで自分が書いてきた物を見返し、書いている時の気持ちやプロットを組んだ時に考えていた事などを纏めた結果、「もしかすると、自分はそう思っているのか……?」なんて疑いから生まれた物でしかないのですが、きっと、自分の中に有った気持ちは言葉にする前から決まっていたと思いたいです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。本作もあとがきも、もう少し続きますが……
あ、こんな作品を書いておいて超今更ですが、私は『まどか☆マギカにおける』百合が大好きです。他の作品での百合はそこまでじゃないんですが、まどか☆マギカは私の中でも特別中の特別な、それこそ私の中でも五本の指に数えられる運命の出会いだったと言える作品で、だから、なのか他の作品では動かない百合スカウターが大爆発します。
作中、及びタグではまどほむ・さやあん・マミなぎ・ほむさやを描写しましたが、それ以外も大好きですよ? マミQとかクリホムとか、そういうのも『だいっ好き』です。新興勢力のマミなぎは今の所、既存のマミシャルなどから想像していく形になりますが、それはそれで良しといった感じで。
おっと、私はまどかマギカを百合作品扱いしている訳ではありませんので、念の為。作品はストーリーから気に入るタイプなので、百合とか関係無く元々まどかマギカが特別大好きなのは間違いないです。叛逆の物語は更に特別ですが。
さあ、外伝有ります……HOMURAをループ中の時間軸に送り込んで無双するのも楽しそうですけど、皆の仲が悪かったり対立したり、というのは書いていて辛いので止めましたね。短編集として書く日が来るかもしれませんが……本編再構成は私には書けそうもありません。ほのぼのが書きたい、書きたいですよ……いや、むしろ私は本作をほのぼのラブラブ百合百合作品として書いたつもりなんです。が、何故か重い愛を交し合ったりする何かになってしまって……