使い魔少女HOMURA★ほむら ~だが、誰が救い手を救うのか?~(完結) 作:曇天紫苑
魔法少女おりこ☆マギカ、魔法少女かずみ☆マギカ、そして劇場版魔法少女まどか☆マギカThe battle pentagramの要素を含みます。特におりこ☆マギカの要素が強く、CPも存在する為、一通りのストーリーを把握していなければ理解に苦しむ描写が有る可能性が高いので、ご注意ください。かずみ☆マギカにしても核心部分を突いた発言などがございますので、そちらもご留意を。
◇おりキリはガチ◇
これはもはや愛だ
「まどか、この間巴さんが買ってきたケーキなんだけど……」
見知った道を通って下校している時、ちょっとした暗い雲が空にかかってきた中で、ほむらちゃんが提案を口にした。
トンボが空を舞って、犬が吠えている。可愛い黒猫の背中が見えた気がするけれど、その姿は白昼夢みたいに消えてなくなった。何だか、夢の中に居るみたいだ。
けれど、私はこれが夢ではない事を知っている。あえて言うなら、『円環の理とホムリリーが望んだ夢の世界』かもしれないけど、今は関係の無い話だった。横に並んで歩道を行く楽しささえあれば、今が現実なのかを考える必要なんか無いんだ。
「美味しかったよね、あれ」
「ええ、とっても記憶に残る一品だったね」
先月の『鹿目まどか復活パーティ……私的にはほむらちゃん和解記念パーティ』で食べたのは、大きなメロンの形をしたケーキだった。周囲にかぼちゃ、リンゴ、ラズベリーやチーズ……チーズの山を散りばめた凄く美味しい物で、みんな夢中で食べて盛り上がったのを覚えている。
マミさんは手作りじゃなくて、買ってきたと言っていた。味はなぎさちゃんの舌で確認した物らしく、「子供は味見をねだったら食べさせてくれるのです、小学生で良かった」なんて言っていた。
「あれは近くの喫茶店の物だって言ってたよね」
「そうだね」
そういう素敵なお店を見つけられる所は、凄いと思う。マミさんの勘は戦い以外にも働くらしくって、紅茶やケーキの美味しいお店を一目見るだけで、直感が「良いお店」だって教えてくれるそうだ。
どう考えても嘘だと思ったけど、ほむ魔ちゃんは「そういう事も有る」って言って、否定はしなかった。
「マミさんは自分でケーキを作るのも得意だよね。やっぱり、将来はそういうお仕事をしたいのかなぁ」
「多分、なぎさちゃんに食べさせた時点で満足してしまうんじゃないかしら。彼女、そういう人だから」
「ああ、有り得るよね。マミさんってそういうの大好きだもん。自分でも『ケーキと紅茶となぎさが好き』、なんて言ってたよね」
「私が魔法少女になる前に聞いた事だけど、飲み方や煎れ方も拘っているらしいわ。何事にも形から、巴さんって昔からそうだったの」
「へぇー……」
マミさんの話をしていると、昔を思い出したのか、ほむらちゃんは淡くも自然で優しい微笑みを見せてくれた。
「巴さんは、私の憧れの先輩だったよ。今となっては……対等の友人、かな」
「そうだったね。ほむらちゃんは昔からマミさんを頼ってたもん。実は『私』、結構妬いてたんだよ? ほむらちゃんに頼られて、必要とされて、その『私』は本当に嬉しかったみたいだから」
「大丈夫。それ以上に、まどかに頼りっぱなしだったから」
懐かしそうに目を細めて、私の手を握る力をちょっとだけ強くする。赤縁の眼鏡がとっても似合っていて、格好いい目元が可愛くなっている。
「あ、ごめんなさい。痛かった?」手の力に気づいたほむらちゃんが、心配をしてくれる。
「全然痛くないよ。むしろ、ほむらちゃんの存在を感じてるみたいで、嬉しかった」
こんなにも平和に暮らせるんだ。二人とも宿命的な物を背負ったまま、仲良く出来る。これに関しては私達の努力というより、ほむ魔ちゃん……ホムリリーちゃんの頑張りだと思う。今の私達が幸せになれるのは、あの人が地獄を見てきたからだ。だからこそ、精一杯ほむらちゃんと幸せになりたい。
「えへへ」
「ふふ」
私達の手つきには、まだまだ照れが残っていた。どれほどに仲を深めたとしても、流石にこの短い間じゃ完全にお互いを受け入れ合うのは無理かもしれない。積み重ねてきたすれ違いと遠慮は、胸の仲に少しだけ残っている。
それでもやるんだ。私達は望まれて此処に居る。此処に居たいから、此処に居るんだから。
気づけば、私達は指を絡め合っていた。何か、目的が有る訳じゃない。ただ単純に、もっと触れ合っていたいと思ったから。
「んと……話が逸れちゃったね。そのお店がどうしたの?」
「ええ、実は、そのお店、この近くに有るらしいの。行ってみましょう?」
「ほんと? 凄いね、マミさん、今度連れていってくれるから場所は秘密、って言ってたのに」
「本当よ。この目で確認したから間違いないと思う」
自信の有る様子で頷いてくれる。
ほむらちゃん、もしかして私と一緒に行きたいから、探したんじゃないかって、何となくそう感じた。
「もしかして、探したの?」
「……ええ。そうね、巴マミが教えてくれるより先に、まどかと一緒に行ってみたいと思って」
何一つ隠さずに答えると、ほむらちゃんは照れもせずに私を見つめてくる。その奥底に熱っぽい物が有る様に見えるのは、私の願望なのかもしれない。
概念としての私ならともかく、今の私じゃほむらちゃんの内心をちゃんと読み取る事は不可能だった。
「うん、行ってみたい。何時行こっか?」
「今から、じゃあ駄目?」
「良いよ。お金も持ってない訳じゃないし、ほむらちゃんは?」
「平気だよ」ほむらちゃんは、平気じゃなくても同じ事を言うと思う。でも、本当に平気みたいだ。その程度なら理解できる。
だけど、今から行ったら家に帰ってくるのが大変じゃないかな。そんな心配をしていると、読み取ったかの様にほむらちゃんが話してくれた。
「まどかの家に行く道の途中に出来たお店なの」
「え、そうなの?」
「ええ。去年オープンしたらしいんだけれど……まどかは知らないのね?」
「うん。知らない間にそんなお店が出来てたんだね……」
「当然よ。この世界のまどかは三年間アメリカに居たんだから」
「あはは。うん、そうだったね」
「忘れちゃ駄目じゃない」
クスクスと笑うほむらちゃんに言われて、自分の目が泳いだのが分かる。ちょっと忘れがちな設定だけど、この世界の自分はアメリカに行っていたし、その記憶もしっかり持っている。
だから、見滝原の事は概念になる前の『鹿目まどか』が見てきた分と、三年前の鹿目まどかが見てきた部分しか知らない。近くにあんな美味しいケーキを売っているお店が出来ていたなんて、私は知らなかった。
そんなに変わってないと思ったけど、三年も有れば色々と変わるんだ。クラスのみんなだって、小学生の時とは全然違う感じの子も少なくなかった。勿論、その筆頭はさやかちゃんだ。恋する乙女になっちゃったかと思いきや、その正体は概念だ。
変わっていくんだと思う。私だって、きっと。そう思ってみると、この先の未知はとても不安な物に思えた。けど、それ以上に期待が有った。
とりあえず、今、一番興味が有るのはほむらちゃんが言うお店の料理だけど。
「案内してっ、ほむらちゃん」
「もちろんよ、任せて」
少し歩く事になったけど、いつもの通学路を少し逸れた先に、そのお店は有った。
外観は普通のレストランという感じで、白い壁は新築っぽくて綺麗だった。遠目で見た感じだと、窓ガラスの先にはちゃんとお客さんが座っている。忙しそうではなかったけど、暇そうだとも思えない。
「まどか、お店はあそこだよ」
ほむらちゃんが教えてくれるけど、その時には私もお店の場所を把握していた。純粋な人間だった頃も視力は良い方だと思っていたけど、今ならもっと良く、より多くの物を見る事が出来る。
視力をカウンターの奥に集中させると、そこに可愛い女の子が居るのが見えた。私達と同じくらいの歳に見えるけど、パティシエさんなのかもしれない。
「あの子……」
「ああ、本当」
その背中から魔法少女の気配がする。あの子、魔法少女だ。顔は見えなかったけど、凄く明るいタイプの人だという事は後ろ姿だけで伝わってくる。
そう考えてみると、このお店からは何となく魔力の痕跡を感じる。結構な数の魔法少女が来店して、魔獣と戦闘でも繰り広げたのかもしれない。
円環の理としての知識を使えば女の子の名前はすぐに分かるけど、今はその力には頼らない事にする。一応、人間らしい五感に頼った方が精神的にも良いだろうから。
「んっ」
だからこそ、天から降ってきた水滴に毛先が当たった時は少し驚いた。
「あ……雨、降って来ちゃったね」
「ん、本当だね……」
ほむらちゃんも気づいた様子で手を伸ばし、髪に落ちた水を鬱陶しそうに払い除ける。
雨雲はそんなに広がっていないのに、降ってきたんだ。青空が見えるのに雨が降っていると、何だか違和感が有るけど、そんなに珍しい事じゃない。
困ったのは、雨が降ってきたからか、ほむらちゃんが遠慮がちに私を見つめてきた所だった。
「……まどか、帰る?」大げさなくらい遠慮した口調で、私に尋ねてくる。
「ううん。家まで少し距離が有るし、お店で雨宿りしようよっ」
「そう? ……そうしよっかっ」
どんなに私へ気を使おうと、ほむらちゃんは行きたかったみたいで、私が頷いただけで嬉しそうにしてくれた。
この表情が『鹿目まどかと一緒に行けるから』見せてくれた物だったら良いな、なんて。そんな風に思っている自分は狡いのかもしれない。
「実は、此処に雨傘を仕舞ってあるの。使っても良いよ?」ほむらちゃんは腕だけを変身させた状態で盾に手を入れて、そこから雨傘を取り出した。
「用意が良いね、ほむらちゃん。うん、一緒に入ろう?」
有無を言わさず傘の取っ手を握り、開く。ほむらちゃんの頭がちゃんと入る様にするのも忘れない。こうやって多少強引にした方がほむらちゃんが素直になってくれる事を、私は知っている。
「まどかっ」
「あはは。この傘、ちょっと小さいね。肩がくっついちゃう」
「ごめんなさい、用意が悪くて」
「ううん。これが良いの、凄く、良いの」
相合い傘。肩と腕が密着していないと雨に当たってしまうから、必然的にほむらちゃんが凄く近い。
きっと、自分が入る事は考慮していなかったんだと思う。悲しいと思う一方で、胸の鼓動が早くなる。
私がほむらちゃんに恋をしているから、なのかもしれない。
そんな『まどか観察眼』をもってすれば、どんなに隠そうとしたって、ほむらちゃんが緊張しているのは手に取る様に分かる。可愛い。クールぶったり強がったりする事を止めてから、ほむらちゃんは加速的に『守ってあげたくなる女の子』になっていった。
そうは言っても、この顔の奥には今も私に対する『愛』と、『悪魔』の意志が隠れているし、クールなほむらちゃんが死んじゃった訳じゃない。ただ前に出てこなくなっただけだから、油断は出来ない。
「絶対私が優位に立つもん」
「え?」
「あ、テストの点だよ。ほむらちゃんより高い点を取ってみせる、って思ったの。そうしたら、私がほむらちゃんに教えてあげるの。それが楽しみで」
誤魔化しながらよく観察していると、ほむらちゃんの鞄が傘から出ているのが分かった。「ああっ、鞄塗れちゃってるっ!」
「え、あっ……! やっちゃった……」半分塗れた鞄を見て、ほむらちゃんが肩を落とす。守ってあげたい。抱き締めたい。
『まどほむだよ、まどほむ。ほむらちゃんは私に押されているのが似合うんだよ! ……強気で私をリードしてくれるほむらちゃんも最高なんだけどねっ?』
円環の理が、ホムリリーちゃんの耳たぶをコリコリと甘噛みしながら、そんな事を言っている気がする。見せつけないで欲しい、顔が真っ赤になりそうだから。
「……顔、赤いよ?」ほむらちゃんにバレちゃった。余計に恥ずかしくなる。
だけど、そう言っているほむらちゃんだって。「え、えっと。そういうほむらちゃんだって、ほっぺた真っ赤だよね」
「そ、そう。私の顔、そんなに赤い?」
「うん、凄く」
指摘されて照れるほむらちゃんが愛おしくて、どうしようもないくらい好意が高まっていく。
……でも、冷静な部分では自分がほむらちゃんにこういう気持ちを抱く理由を分析出来ていた。
あの、巨大な『円環の理』と融合したからだ。
私はあの瞬間から概念としての部分を彼女と共有する様になった。だから、感情部分が少し引っ張られているんだと思う。
こんな中途半端な気持ちでほむらちゃんを好きになっても、私が納得出来ない。
だから、告白をするかは迷っている。この甘くて幸せな気持ちをどう扱えば良いのか。私はまだ、自分の中に迷いが有った。
こういう時、頼れるのはマミさんやほむ魔ちゃんだ。どちらも恋や愛にはちゃんと助言してくれるという確信が有る。でも、なぎさちゃんが言うには『マミは愛が重くて時々怖い』らしいから、相談相手としては、やっぱりほむ魔ちゃんが適任かも。
そんな事を考えながらお店の窓を見ていたからか、店内に黒くて長い髪の人が座っているのが見えた。「あれ、ほむ魔ちゃん?」
「え、彼女、近くに居るの?」好意とも嫌悪ともつかない表情になって、ほむらちゃんが私と同じ方向へ視線を送る。
「あそこだよ、お店の中の……ほら、テレビが見えるでしょ。その近くの席に」
見た感じ、誰かと一緒に居るみたいだ。何時も通りの人間らしい背中だけど、やっぱり気配は人の物じゃなくて、分かりやすかった。
「確かに居るね。でも、不思議。彼女なら、ああいうお店にはまどかを連れていく筈じゃっ…………!?」お店の中を見つめたほむらちゃんの目が、驚愕と同時に険しくなる。
「あれ、ほむらちゃん? どうしたの?」
「……隠しても、まどかには分かってしまうわね。なら、あそこを見て」
指を向け、その先に殺意を凝固させる様に指す。
私の位置からは見えなかったけど、対面席には二人の女の人が座っていた。
片方の人は、人間としての私……概念になる前の私が知っている人だ。手芸部の先輩だけど、あんまり来てない人だと思う。ショートヘアでボーイッシュな雰囲気が有って、楽しそうにケーキを頬張る所がさやかちゃんに似てる感じの人だ。
その隣に座っている人は『円環の理』が知っていた。ティーカップを持つ手がマミさん以上に優雅で、離れていても何処かのお姫様みたいに見える。
女神、っていうのは私みたいなのじゃなく、ああいう人を言うんだと思えるくらい、綺麗な人だった。
「……奴らと接触するなんて、どういうつもり」
ほむらちゃんの目が酷く鋭くなって、殺気が溢れたのが分かる。そこまで強烈な反応は、キュゥベぇやワルプルギスの夜にしか見せないと思っていた。
だけど違う。『鹿目まどかを守る』為の巨大な障害となる可能性が高い相手なら、ほむらちゃんは同じくらいの敵意を抱くんだ。
「行くわよ、まどか」
凄まじい鬼気を纏いながら、悪魔としての魔力を無意識に噴き出している。表情を変えていないのは、きっと私が側に居るからだ。
薄皮一枚の下には、悪鬼だって逃げ出す様な形相が有ると思う。折角肩の荷が降りたのに、そんな様子を見せて欲しくは無かった。
「大事な用事じゃないのかな? 迷惑になるかも」
「大丈夫よ。『あけみほむら』が貴女に声を掛けられて迷惑なんて事は、絶対に無いわ」確信を秘めた声音で断言して、地鳴りでも響かせる様に重い足取りで歩いていく。
ほむらちゃんの口調は昔に戻っていた。これはきっと、繰り返している時の、あの感情を押し殺した声だ。その感情は決して明るい物じゃない。
何かを我慢している様な口元を見ていると、私はどうしようもなく切ない気持ちになった。
+
お店の中は、新築らしい雰囲気が出ていたけど、何だか古めかしいお洒落さが有った。
壁なんかは木目調だけど、何故か有名な小説家のサインや、聞き覚えの有る女子サッカー選手の名前が刻まれている。私は、入店してようやくお店の名前が『プレイアデス』だという事に気づいた。
奥で働いている女の子の他にも、男の人が居る。この人がコックさんなんだろう。凄く手際が良くて、とっても料理が上手だというのが伝わってくる。
お店の案内をしようと男の人が近づいてきたけど、「知り合いが居るので、大丈夫です」とほむらちゃんが告げて、勝手に歩いて行ってしまった。
他の物が見えていない様子のほむらちゃんを追いかけて、私もほむ魔ちゃんに近づいていく。とっくに私達の存在に気づいているのに背を向けたままなのは、きっと呼ばれるのを待ってるんだ。
「ほむ魔ちゃん?」
準備していた様な動きで、振り向いてくれる。「昨日ぶりね、まどか。幸福にしているかしら?」
「えへへ、まあね」
私は幸福だ。恋の悩みは有るけど、それだって幸せなことだと思う。
ほむ魔ちゃんの格好はこの間のコートではなくて、大人っぽい黒のスーツだった。
「今日はスーツを着てるんだね」
「さやかに着て見せろって言われたのよ。代わりに、彼女には猫耳を着けて写真を撮ったわ。永久保存物ね」
二本の指で掴まれた写真には、さやかちゃんが写っていた。猫耳と猫のヒゲを着けられて、逃げられない様に杏子ちゃんが羽交い締めにした状態で撮られたみたいだ。
嫌がりつつも笑顔のさやかちゃん。すっかり、ほむ魔ちゃんと仲良しになったんだと思う。さやかちゃん自身も、『四人目の親友』だと言っていた。
今、ほむ魔ちゃんが着ている服はさやかちゃんのセンスだと思う。スーツの下のワイシャツに可愛い猫のプリントが有って、ネクタイの色は深い青色。ピンは紫のチューリップを象った物だった。
それと、おヘソの辺りのボタンを外している所が格好いい。こっちは、多分杏子ちゃんが考えたんだと思う。
大人っぽさが有るからか、全体的に普段よりずっと長身に見えた。ただでさえ細身の綺麗な身体に背の高さが加わって、モデルさんや外国の映画女優さんみたいな雰囲気になっていた。
「凄く似合ってる! カッコいい!」
「ありがとう。そう言って貰えるのが何よりの喜びよ」
素直に賞賛すると、素直な笑顔を返してくれた。このほむ魔ちゃんは元の性格がこの状態だから、弱々しさは殆ど無い。
一言で表すなら、『凄く格好いい』だった。私じゃきっと子供っぽくなっちゃうから、羨ましいとも思う。
「あ、ネクタイ曲がっちゃってる。直してあげるね」
ネクタイの位置を直そうと手を伸ばすと、何も抵抗せずに受け入れてくれた。
『円環の理』は、このほっそりとした首筋を撫でたりするのが好きらしいけど、私もちょっとやってみようかな……
「まどか、くすぐったいわ」
ほむ魔ちゃんの言葉が私を正気に戻してくれた。「えへへ、ごめんなさい……んー、でも、ちょっと、待ってね……今、直すから……」
鼻歌混じりに形を整える傍ら、対面席に座る二人の顔を見てみる。
……やっぱり、『呉キリカ』さんと『美国織莉子』さんだ。女の子同士なのに、一見して『夫婦』か『恋人』という印象を与えるのは凄いと思う。
だけど、二人はじっと私とほむ魔ちゃんを見ていて、耳元で何かを囁き合っていた。
「あ、あれが噂のキマシタワーという奴なのかな、織莉子!」
「そう見えるわね。でも、彼女……あの方は、結構天然みたいよ。自覚は無い様ね」
ちょっとだけ聞こえてしまったので、恥ずかしくなった。向こうも、私の事を『百合の花の住人』だと思っている。……間違ってないけれど。
そんな私の複雑な気持ちを分かった上での事だろう。ほむ魔ちゃんは微笑み一つで私に「ネクタイを直してくれてありがとう」と言って、改めて私へ二人を紹介してくれた。
「こちら、魔法少女の美国織莉子さんと、呉キリカさんよ。魔獣を追いかけて二人が見滝原まで来た時に、『偶然』遭遇したの」
言い方から察する感じだと、偶然の出会いなんかじゃなかったみたいだ。むしろ、狙っていたんだろう。
その辺りの予想は後回しにして、先輩になる二人へ頭を下げる。
「こんにちは! 私、鹿目まどかです」
「……暁美ほむらよ」遅れてほむらちゃんが小さく、本当に小さく頭を下げた。
努めて明るく振る舞ったつもりだけど、ほむらちゃんの目が凄く怖くて意識がそちらに向かってしまう。あの目が殆ど血走っている理由は分かる。あの人達が繰り返しの中で『私』を殺した事が有ったからだ。
そんな呪いより怖い表情から、全員が目を逸らす。私だけはずっと見ていたけど、空気の重さがとてつもない物だった。勿論、お二人も同じ様に感じたみたいで、一瞬だけ顔を見合わせると、ちょっとぎこちなく私に挨拶をしてくる。
「よろしく、確か……あー、どっかで見た様な」
キリカさんが私を見た事が有るのは、当然だ。「あの、呉キリカ先輩ですよね? 私、入ったばっかりですけど、手芸部だから、顔くらいは……」
「ん、成る程ね、後輩だったか。で、こっちが私の織莉……」
「初めまして、私は美国織莉子と申します」
深々と、それこそ崇拝する神様にでも名乗る様に恭しい一礼をしてくれた。あんまり敬意が籠もり過ぎていて、戸惑うくらいだ。
そもそも、私は美国さんとは初対面の筈だから、こんな対応をされる理由が分からない……実は、何となく分かるけど、明らかに普通じゃない。
「あの……私、そんな凄い人じゃないですよ?」
「いえ、女神様。貴女は魔法少女にとって、最も尊敬せねばならない存在ですから」
ああ、やっぱり知っていたみたい。「そうじゃないかな」くらいの予想はしていたけど、驚いてしまう。
「……知ってるんですか?」
「はい、この願いが教えてくれました」
ソウルジェムを大事そうに撫でて、紅茶を一度口に運んでいる。こんな『貴族の令嬢』という感じの人に尊敬されていると思うと、何だか背中が痒い様な感じがした。
織莉子さんが着ている制服は『白女』の物だ。お嬢様学校らしくて、仁美ちゃんも入れられそうになったけど、『やっぱり、私はさやかさんとまどかさんの側が良いですから』なんて言って断ったらしい。
そんな学校に通っている人だからか、あらゆる動きが一つ一つ十分な訓練を重ねた物にすら見えてしまう。
「確か、願いは『私は、自分の生きる意味を知りたい』よね?」
ほむ魔ちゃんが、織莉子さんの願いの内容を口にしていた。失礼じゃないかと思ったけど、気にしていないのか、織莉子さんは大きく頷いていた。
「はい。この願いを叶えた時に見えたのです。貴女が、魔法少女の過去と未来を救い続ける姿が。そして、私は悟りました。私の生まれてきた理由を……」
陶酔する様な表情で、キリカさんの頭を撫でている。撫でられているキリカさんは凄く嬉しそうだけど、恥ずかしそうだった。
一つの完成された光景がそこに有る様に見える。この二人の姿は絶対に崩せないし、絆を断ち切る事は誰であっても不可能なんだ。目を逸らしたくなるくらい、強く幸せな関係だと思える。
でも、一人。ほむらちゃんは眉を顰めていた。ああ、この二人が幸せな関係を作っている事も、警戒すべき事実でしかないんだ。
「その生まれてきた理由……まどかを害する事、ではないでしょうね」
「勿論です。そんな事をする理由が何処に有りますか? 私が、女神様を害すると?」
ほむらちゃんは、決して織莉子さんに向ける殺意を外そうとしない。あんまり敵意を向けられていたからか、織莉子さんもちょっと挑発的な顔をしている。
記憶によれば、二人が関わった『回』はマミさんと杏子ちゃん、それとゆまちゃんが居て、しかも『魔女の真実』にみんなが負けなかった回だった。これなら、勝てるかもしれない。そんな希望を、この人達が奪った……私を殺すという、ほむらちゃんにとっては最悪の形で。
だから、しょうがない所も有るんだ。どんな理由が有ったとしても、ほむらちゃんにとっての二人は忌々しい敵でしかないから。
マミさん達とは違って、この二人と戦ったのは一度だけ。でも、一度だけだからこそ、強い印象は今も残っているんだ。
「こちらとしては、貴女に対して言いたい事が地獄より深く有るのよ。正直、まどかの前じゃなかったら殺したいくらいに……」
指先が震えて、黒い感情が爆発しそうになっているのが分かる。
このまま放っておいたら、殺意が実行に移されかねないし、こんな怖いほむらちゃん、私だって見ていたくない。
「ほむらちゃん」
「……」
話しかけてみたけど、反応が無かった。織莉子さんの態度に敵意が宿り出していたから、そちらへの警戒で一杯になっているんだろう。
二人が睨み合ったまま、動かない。その状態を見て取って、一番強い反応を示したのが、キリカさんだった。
「……何、織莉子に手を出すつもりなのかい? ……殺すぞ、お前」
眉を寄せた恐い顔をして、瞳に狂気に近いくらい強い殺気を宿している。キリカさんは今にも飛びかかりそうな勢いで、魔力を放っていた。
愛する人を想うその目は、マミさんに近い物が有ると思った。狂っている様に見える所まで、そっくりなんだ。
キリカさんがその場に加わった事で、一触即発の空気が蔓延する。何とか止めようと口を開いたけど、声を出す直前で、ほむ魔ちゃんが片手を出して私を制した。
「困るわ。呉さん、そして暁美ほむら。こんな所で戦闘なんてしたら」
ほむ魔ちゃんが小さく笑みを浮かべている。私達に目を向ける人が居なくなった所を見る限り、この空間を世界と切り離しているみたいだ。
気づいているのは、私だけだと思う。こんなとんでもない現象を知覚するのは、普通の魔法少女には無理だ。
声の調子や行動を見て、ほむ魔ちゃんが三人の睨み合いを止めてくれるんだと思った。けど、その顔を見たら、そうじゃない事が分かった。
「全員潰すわよ」
だって、彼女はゾッとする瞳をしていたんだから。
「っ」
「くっ」
「このっ……」
ほむらちゃんとキリカさんが反射的に魔法少女へ変身しようとする。
織莉子さんは警戒を続けていて、ほむ魔ちゃんはひたすら怖かった。
誰も、止めようとしない。なら、この場を収めようと思っているのは、私だけ。
言葉で止まってくれる状況じゃないだろう。なら、私にだって考えが有る。円環の理の中で喧嘩を始めた子達を制止する時と同じ様に、力を使って強引に。
「やめて」
円環の理としての力を放ち、その場の全てを威圧する。
空間を切り離していると解れば遠慮は要らない。一瞬も経たない内に変身し、純白のドレスを纏った。
魔法少女としての姿ではなく、概念としての私を見せるんだ。円環の中で起きた喧嘩を止める時は、そうやって力尽くで止めるのが一番なんだと私は知っていた。
織莉子さんとキリカさん、二人とも同時に互いを庇おうと身体を緊張させている。優しい気持ちが沸き上がってくるけど、表情には出さない。
背筋を凍らせた様な顔をしたのが、ほむらちゃんだ。自分が不味い事をしたと悟って、微妙に震えている。
かわいい。じゃなくて、ちゃんと言っておかないと。
「ほむらちゃん。駄目だよ。この人達とあの人達は、同じでも違うんだから」
「……分かってる。分かってるわ。でも、感情は納得してくれなくて……」
ほむらちゃんの気持ちは分かる。けど、私は知っているんだ。この二人が良い人だという事を。この二人とは、きっと仲良くなれるという事を。
だから、まずほむらちゃんに敵意を収めて欲しかった。これからの私達……ほむらちゃんは、もう、私を守る為に誰かを殺したり、誰かと敵対しなくても良いんだから。
「ほむらちゃん、お願い……」
「まどか……」
でも、それくらいほむらちゃんだって分かってるんだ。だけど、繰り返しの中で培われた感情はそう簡単に無くなる物じゃない。
そこで、ほむ魔ちゃんが何も言わずに織莉子さんを見た。その視線を受け取って、織莉子さんは一度小さく息を吐き、まだ殺気立っていたキリカさんの肩を軽く叩く。
「キリカ、止めなさい」
「ん、織莉子がそう言うなら……分かった。ちょっと過剰反応気味だったよ」キリカさんはあっさりと敵意を四散させた。
「キリカもそうだけど、私も、少し大げさだったわ。楽しいお茶の席だったのに、台無しにしてしまったわね、ごめんなさい」
「……貴女達…………」
二人からの謝罪を受け取って、ほむらちゃんは一度目を瞑り、私の手を握る。
数秒程度の事だけど、永遠に思える程の沈黙がその場を包んだ。けど、目を開いた時には、ほむらちゃんの殺意も、完全に消えていた。
「……いいえ、悪いのは私よ。ごめんなさい、貴女達とはちょっと、色々有ったから」
深く頭を下げて、しっかりと謝っている。良かった、私の気持ちは伝わってくれたみたいだ。
「あはは、まあ。その色々を私は知らない訳だけどさ。お互い、水に流そうじゃないか!」
「そうね、呉キリカさん。貴女達は、彼女達じゃないですよね。そんな事、しっかり納得していたつもりだったのに、無様な姿を見せてしまいました」
「いえ、私達こそ、先程のそれは女神様の前で見せる態度ではありませんので」
「そんな事ありません。私が悪いんです……」
「そうではなく、私の方が……」
「いいや、織莉子は悪くないね。一番ダメだったのは私さ」
三人とも、揃って『自分が一番悪い』と主張する。それを見ていたほむ魔ちゃんが肩を竦めていて、私はただ苦笑いを浮かべる。
でも、放っておいたらこのまま何時間でも続けそうだ。さっきまでとは違う意味で、三人を止めなきゃならない。
「えと、話が進まないよ?」
私の言葉を聞いて、三人が顔を見合わせる。そして、何が面白かったのか一斉になま暖かい笑顔になった。
笑われているみたいでちょっとだけムッとしたけど、そうじゃないみたいだ。
「ああ、失礼しました……それにしても、その圧倒的な気配と、神々しい存在感……やはり、貴女は間違い無く円環の理なのですね」
織莉子さんは笑いながら丁寧に謝ってくれた。
それから紅茶に口を付けて落ち着いた雰囲気を取り戻すと、私に向かって尋ねかけてくる。
「話を戻しても宜しいでしょうか?」
「は、はい。どうぞ」
「では……私が見た光景の中には、円環の理の内部が有りました。そこで私は、キリカと共に居たのです」
キリカさんの頭を撫でると、二人とも同じくらいとろけた顔になる。羨ましいくらい深い関係がどこから見ても明らかだった。
それから織莉子さんはキリカさんを横から抱き締めて、軽くほっぺたにキスをする。そして真っ赤になったキリカさんを、もっと強く抱く。
あまりにも自然過ぎたから、此処がお店の中だという事を忘れてしまいそうだ。
「魔法少女となった私はキリカと出会い、自然と結ばれました。運命に導かれるまま、私は願いの中で見たままにこの子と会ったのです」
一度言葉を溜めて、素敵な笑顔を見せてくれた。
「つまり、私はキリカと結ばれる為に生まれたのですよ」
「お、織莉子。私としても同意するけど、えへへ。恥ずかしいよ」
「そう、この力によって、私は貴女の存在を知る事が出来たのです。女神様」
照れに照れたキリカさんを愛でながら、織莉子さんは本当に丁寧な態度で私への敬意を示している。むず痒いやら、見ているこちらが恥ずかしいやらで、もう何て言って良いのか分からない。
「……そういえば、魔女のまま美国織莉子を守っていたわね、貴女」
ほむらちゃんの小さな呟きが、妙によく聞こえる。
「へえ、それって織莉子の言う、『改変前』の私かい? 魔女、って言われてもイメージが沸いて来ないけどね」
「そうです、私とは完全な敵同士だったけど、今思うと、あの絆の深さは尊敬すべき物が有りましたね……でも、後々、自分が似たような事をするとは想像もしていなかったわ」
何とか自分自身に折り合いを付ける事が出来たのか、ほむらちゃんの口調に苦々しい物は無く、懐かしい過去を参照する様な態度を見せてくれる。
それを見た織莉子さんは微笑みを浮かべて、あくまで強い尊敬を見せたまま、私に声を掛けてくる。
「彼女には、女神様との深い絆が有るのですね」
「えへへ……」
その通り。私とほむらちゃんは深い絆で結ばれているんだよ。そう言って自慢したい様な、そんな絆に恋心を覚えた自分が苦しい様な、複雑な気分。
けど、一つ言っておかなきゃならない事が有るのは確かだった。
「こほん……あの、女神様っていうのは止めてください。本当に、その。私はただの鹿目まどかですから。あんまり敬語で話しかけられるのも、慣れてないです」
相手は年上で、お姫様みたいな人である。私の方が上だなんて到底思えないし、そう思うのは変だと思う。
私の居心地が悪くなるだけだから、止めて欲しい。ほむらちゃんとほむ魔ちゃんの視線が『そんな事は無い』と言っている気がしたけれど、気にしない。
「……そうですか? なら、そうさせて貰いま……貰うわね?」
織莉子さんは納得してくれて、口調から丁寧な物が抜ける。年上らしい声音がよく似合う人で、やっぱり私より女神と呼ばれるべき人だった。
「私としても、君には感謝しているんだよ。まどか」
抱き締められたままのキリカさんが私に声を掛けてくる。尊敬こそ感じられなかったけど、言葉通りの感謝はしっかりと伝わってくる。
「嬉しい事に、円環の理によって死ですら私達を別てない様になったんだ。死んだって織莉子に尽くせるなんて、最高の幸せじゃないか」
「キリカ……ふふ、私も貴女に尽くしたり尽くされたりしたいわ」
「勿論さ。でも、さっきのは正直死んだと思ったよ? まどかの毛が逆立って、ピンク色の魔力の柱が出た時は織莉子を逃がす事ばっかり考えてしまったね」
「あら、私はキリカを逃がす事を考えていたわ」
「おおっ、じゃあ、一緒に逃げれば良いじゃないか。うん、名案だ!」
二人で盛り上がって、また抱き締め合う。お店の中だけど、そのまま唇のキスにまで発展しても不思議じゃなかった。
織莉子さんは常識と良識を持っている人に見えるけど、キリカさんが絡むと理性が飛んじゃうみたいだ。気持ちは凄く分かる。私だってほむらちゃんと……
「まどか、とりあえず注文をしましょう?」
妄想の世界に旅立ちかけた私の耳にほむらちゃんの声が響く。慌てて意識を現実へと戻して、気持ちを切り替える事にした。
メニューの紙をほむらちゃんから受け取って、意識を料理の方へ持っていく。沢山の名前が有ったけれど、一番目を引いたのは、やっぱりケーキだった。
「じゃあ、マミさんが買ってきたのと同じイチゴケーキにしようかな」
「私は、イチゴリゾットがオススメよ。まあ夕食前だし、食べるなら五人で分けるのが最適だとは思うけれど」ほむ魔ちゃんが囁く様にオススメを教えてくれる。
イチゴリゾット。食べた事は無いけど、美味しそうだと思う。
ほむらちゃんの顔をちょっと見てみると、何だか興味深そうな雰囲気を漂わせているのが分かる。折角だから、二人で食べたい。
「一緒に食べよっか、ほむらちゃん?」
「えっ、ええ。そうしましょう、まどか」
ほんのり顔を赤くしたほむらちゃんが頷いてくれる。
もしかして、これは……
「『あーん』の事、思い出してるの?」
「ぇ!? それは、まどか。その」
「照れちゃって、ほむらちゃんは可愛いね!」
「ぅぅ……」
たまらない表情を見せてくれて、思わずほむらちゃんに抱きついてしまう。さやかちゃんが言うには、こういうのは勢いらしい。
腕を絡めると、もっと恥ずかしそうになってくれる。私なら此処で軽く抵抗する所だけど、この子の場合は大人しくなって、腕の中で鳴き声みたいな物を漏らしてくれた。
織莉子さんとキリカさんも幸せそうに抱き合っている。私達も負けない様にしないといけない。
「……居心地の悪い桃色空間ね」
二人だけの世界に入った織莉子さんとキリカさん、それに私達を見て、ほむ魔ちゃんが呆れ気味の息を吐く。
そこで彼女は軽く手を挙げて、店員さんに向かって声を放った。
「……すいません、注文、良いですか?」
返事をした店員さんが近づいてくる。けど、私達を見て表情を変えたりはしない。
ずっと何も変な反応をしてこないな、と思っていたけど、多分、ほむ魔ちゃんが私達の居る空間を隔離しているからだ。
「このイチゴケーキと、イチゴリゾットを……はい、私にはコーヒーを、ミルクと砂糖は多めでお願いします……」
軽い口調でテキパキと注文をしていくほむ魔ちゃん。その横顔は凛々しくて、ほむらちゃんには無い物を感じさせる。
でも、彼女の姿を見ていても、ほむらちゃんの時ほどは胸が高鳴らない。深い所で二人が別の存在だと分かるからだと思う。
顔を真っ赤にしたほむらちゃんを抱き締めながら、ほんの少しだけ思った。
私は二人のほむらちゃんの間で揺れなくて良いんだ。良かった、なんて。
おりキリがインしました! 本編中でも登場させたかったんですが、話がこじれるのと、やっぱり本編の六人で話を進めたかったのも有って、このタイミングになりました。