シャンフロ二次創作集   作:零崎妖識

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あらすじ必読です。

もしマスタースカイが顔隠し(サンラク)vsマスクドハンニャ(アメリア・サリヴァン)の闘いを観ていたなら。星天(アステール・スカイ)の完成を観ていたなら。そんなifの話。


天を統べる者が混沌の都市へ降り立つまで

11月某日。その日、女はとあるテレビ番組に目を奪われていた。本来なら、ゲストとMCがただゲームをするだけの番組なのだが、その日だけはいつもよりも大きいスタジオから放送されていた。謎のカボチャ頭(顔隠し)謎の般若面(アメリア・サリヴァン)がGH:C──ギャラクシア・ヒーローズ:カオスにて闘う終盤、凶星と肉達磨が共に超必殺(ウルト)を放った数秒後、ビルの屋上から地へと墜ちるその最中の事だった。

 

 

十数年前に発売された、コントローラー操作ゲームの最終世代作品、Justice Versus。ゼロからのキャラメイクが出来るだけではなく、特殊能力やゲージ技、果ては必殺技までもがプレイヤーの手で作り出すことが出来る──故にこそ、最終的に()()()()()()()が過疎り過ぎて衰退した、『プレイするよりも観戦していた方が楽しい』ゲーム。

その全盛期の頃、とある一人のプレイヤーが現れた。その名は「Master Sky」。「統天(マスタースカイ)」と呼ばれる複合必殺技を編み出したプレイヤーであり……記録に残っている中で唯一の()()()()を達成したプレイヤーである。

コンボ動画を投稿する以外にほとんど世間に声を出すことのなかったマスタースカイは、ほんの少しだけ、呟きのようなコメントを残した。

 

「統天は妥協案」

 

起点となる打上げ技「昇天(スカイハイ)

七十八種類のモーションをバグを絡め連結させた二十連撃空中殺法「墜天(スカイフォール)

二つのトリックで稼いだゲージを使用し相手の体力を削り切るデフォルト必殺技「荒天(スカイストライク)

 

どんなバグを絡めても、どれだけ抜け道を探そうと。伝説(マスタースカイ)の求める「真の決め技」を搭載することは、叶わなかった。

 

 

マスタースカイはジャスティス・バーサスから姿を消した後、様々なVRゲームやコントローラー操作ゲームを渡り歩いてきた。例えばそれは、マネキンのような機体を自らの手足として操作するロボゲー。例えばそれは、蠱毒を突き詰めたかのような、幕末をモチーフとしたPvP専用ゲーム。例えばそれは、バグによって人外のような動きをしながら闘う格ゲー。

その全てにおいて、彼女は辿り着いた伝説の、その先を見るために、「統天(マスタースカイ)」を再現しようとし、挫折してきた。そして理解してきた。「あの動きは、あの技は、Justice Versusだったからこそ可能であり、故にこそその先を見ることは出来ないのだ」と。

 

 

仕事から帰り着き、彼女は毎週の日課となっている「チャンネル8」を見ようと、テレビユーガッタへチャンネルを変える。映し出されたのはいつもと違うスタジオ、有名なプロゲーマー、カボチャ頭の男に般若面の女、目元だけを隠す仮面を付けた女。ああ、今日は何か特別な仕様なのか、そういえばあの女二人って全米一とダイナスカルの猛禽のような気がするけどなどと考えつつココアを注ぐ。最近、()()()()()を除いてゲームをプレイすることはないが、情報は仕入れている。夏頃に発売されたゲーム、GH:Cで対戦をするらしい。

そんな事を呑気に考えていた彼女は──かつてのマスタースカイは、その日、夢の先を見ることになった。

 

 

ビルの屋上から飛び出す脱獄者(プリズンブレイカー)筋肉達磨(ゼノゼルグス)。僅かに上に位置しているプリズンブレイカーの口元が、とある言葉を紡いだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()!?』

 

空中を蹴り加速落下、ゼノゼルグスへニードロップが刺さり、空中ジャンプでビルの壁面へ。ゼノゼルグスに並ぶように駆け下りながら跳躍し、攻撃し、壁面へ戻り──

 

「───統天(Master-Sky)だ」

 

実際に使っていたからこそ、開発者だからこそ。全米一(シルヴィア)よりも、誰よりも早くその技に気がついた。

 

「ビルの屋上から動いたから昇天(スカイハイ)抜きで墜天(スカイフォール)……」

 

夢にまで見た光景。ジャスティス・バーサス以外では不可能とまで言われていた統天(マスタースカイ)の再現。

墜天(スカイフォール)の最後の一撃が決まり、残すは荒天(スカイストライク)のみ──

 

「──違う」

 

荒天(スカイストライク)は飛び蹴りの必殺技。けれどプリズンブレイカーは相手の足首を掴んだ。地面へとゼノゼルグスを投げ飛ばし、加速し、

 

統天(Master-Sky)改め!』

 

前向きに回転し、その身に掛かる全てのエネルギーを踵一点に集中させ、

 

『俺式再現……「星天(Aster-Sky)」!!』

 

彼女が目指した真の決め技は──銀河の一撃(ユニバース・テイル)は着弾し、かつての地(ジャスティス・バーサス)で潰えた夢は、混沌の都市(ケイオースシティ)にて完成を迎えた。

 

 

 

数日後、マスタースカイの手元にはとあるゲームのパッケージがあった。

次に星天(アステール・スカイ)を決めるのは私だという決意を込めて、彼女はそのゲームを──GH:Cを起動した。

数分後に、唯一継続プレイしているゲームで所属しているクラン──午後十時軍に対し『しばらくシャンフロにログインできない』と連絡するためにログアウトしたのだが。

 

その後、上手く投げるところまでは決めたものの走って踵落ししに行くカースドプリズンの目撃が何度もあったとか、なかったとか……。

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