シャンフロ二次創作集   作:零崎妖識

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旅狼外道組がVRでシノビガミしてるだけのお話
ところどころミスしてるのは許して


旅狼VRシノビガミ

鉛筆騎士王:シノビガミやってみない?

 

サンラク:は?

 

京極:は?

 

オイカッツォ:は?

 

 

 

 

ペンシルゴンの一言から、それは始まった。

 

 

 

 

鉛筆騎士王:試供品として、VRTRPGってソフトを貰ってね

 

オイカッツォ:なんでシノビガミなんだろう

 

サンラク:パラノイアとかCoCよりかはマシだろ。鉛筆がどれだけ悪辣になると思う

 

オイカッツォ:そもそもVRになった時点でテーブルトークじゃない気がするんだけど

 

京極:シノビガミかぁ……楽しみだねぇサンラクゥ……?

 

オイカッツォ:幕末中毒者がなんか言ってる

 

サンラク:絶対に奥義名天誅にしてくるでしょ

 

鉛筆騎士王:はいはい無駄な喧嘩はそこまでにしようか。シノビガミの理由なんだけど、今のソフトで短時間で終わりそうなシステムがそれぐらいだったからなんだよね

 

オイカッツォ:あー、もしかして回転しないから?

 

鉛筆騎士王:その通り。回転しすぎると負荷がかかるらしくてね、ソードワールドとかダブルクロスはまだできないってさ

 

サンラク:CoCやパラノイアは、1シナリオが長くなるからか

 

京極:シノビガミも、ロールプレイによっては長くならない?

 

鉛筆騎士王:今回はあくまで試験的なプレイだからね、クライマックス戦闘のみとします!中忍頭作成、功績点5点配布で下位流派に奥義改造あり!

 

京極:奥義改造ってなんだっけ

 

オイカッツォ:奥義の追加エフェクト。長所1つ付けたら短所1つ付ける必要がある

 

鉛筆騎士王:私はGMとして高みの見物しておくから頑張って食い合ってね狂犬ども

 

サンラク:こいつ深き者の前に突き出した方がいいんじゃない?

 

オイカッツォ:いやあいつら言葉は通じるはずだし意思疎通が無理なやつにしておいた方がいいでしょ

 

京極:みんな等しく僕の刀の錆になればいいと思うよ

 

鉛筆騎士王:じゃ、十分ぐらいでキャラメイクしてね。送信すればそのまま私のとこに届くはずだから

 

 

 

 

「やるんだったら鞍馬神流がいいよねぇ……【天狗(あまきつね)】か、丁度いいね」

 

 

「どうせ対立型だろうし、オールラウンダーにしておいた方がいいか……?なら、これとこれと……あー、キャラ名どうしよ」

 

 

「とりあえず高プロットから攻撃してりゃなんとかなるだろ。だったらプラスの修正が欲しいな」

 

 

 

『はいそれじゃ皆のキャラを晒そっか!まずはサンラク君から!』

 

目の前の空間にノイズが走り、一人の忍びが投映される。黒装束に両手に持った鋸、そして──

 

「何で鳥?」

 

「サンラクさぁ……」

 

その頭は、ハシビロコウだった。

いやね、つい見つけちゃったもんだからねそりゃ装備するでしょ。

 

『えーと、隠忍(おに)の血統下位流派の凶尾(まがつび)だね。キャラを注視すればデータが見れるはずだよ』

 

「ふぅん……うわ、獣化闇蟷螂とか人間やめてるじゃん」

 

「ほっとけ。そもそもシノビガミの忍びなんて大抵人間やめてるようなもんだろ」

 

「僕の記憶が確かなら、凶尾って獣人系だったはずだから人間じゃないよね?」

 

「「確かに」」

 

『いやそれよりも接近戦攻撃以外の攻撃忍法が達成値6な方が問題じゃないかなー』

 

 

サンラク

隠忍の血統:凶尾

妖術/《針術》《走法》《分身の術》《意気》《異形化》《瞳術》

【接近戦攻撃】《瞳術》

【流星雨】《召喚術》

【大咬】《兵糧術》

【獣化】《異形化)

【闇蟷螂】《異形化》

【逆鱗】:謀術

 

他流派の血、有名

 

 

 

 

 

『次はカッツォ君行ってみようか!』

 

「いいけど……俺はそこまで変態構築はしてないよ」

 

俺のアバターの横に次の忍者が映し出される。正統派忍者の様な装束を着た女キャラだ。こっちでもネカマするらしい。

さて、データは……

 

「鳥じゃねーか」

 

「鳥被りだね」

 

『おいおいそんな面白さは求めてないんだけどなー?』

 

キャラ名『カッツォバード』。鰹鳥なんだろうがどこぞの銃火器ジャンキーとも被ってやがる。

 

「これだからユニーク自発できないマンは」

 

「挙動人外は黙ってもらえますぅー?」

 

『というかさぁ、火遁に刃隠、頑健ってとこだけ見ると受け構築だねぇカッツォくぅん?』

 

一瞬にして目が死んだ魚類のことは無視し、カッツォバードのデータを確認する。やばいコンボを隠してる可能性もあるからな……鉛筆よりかはマシだろうが。げっ、梟雄持ちで内縛陣使えるのか。飢餓と猛毒を受ける可能性が高くなるのはまずいな。

 

 

カッツォバード

ハグレモノ:本流

忍術/《火術》《生存術》《分身の術》《野戦術》《暗号術》《封術》

【接近戦攻撃】《野戦術》

【波濤】《分身の術》

【内縛陣】《生存術》

【火遁】《火術》

【刃隠】

【頑健】

 

梟雄

 

 

 

 

『最後は京極ちゃんだねー。はいドーン!』

 

鉛筆の掛け声と共に、最後の一体が出現する。忍者らしい服装だった俺とカッツォバードのアバターとは違い、和装で腰に刀を差した武士の様な出立をしている。

 

「一目見たときからね……天がこうしろって囁いてくるんだよねぇ……!」

 

「ねぇサンラクこの子幕末汚染度そろそろ100%に到達してるんじゃない?」

 

「いやまだ75%程度だろ亡霊を買収することすら覚えてないんだぞ?」

 

「聞こえてるんだよそこの鳥二人」

 

「「お前も鳥じゃねーか」」

 

京極の流派は鞍馬神流下位流派の廻鴉……そう、カラスである。

いやなんで事前に打ち合わせたわけでもないのに別の要素で全員が鳥になるんだよ。

 

 

京極

鞍馬神流:廻鴉

体術/《手裏剣術》《飛術》《刀術》《鳥獣術》《用兵術》《呪術》

【接近戦攻撃】《刀術》

【天狗】《飛術》

【神槍】《手裏剣術》

【笹貫】《刀術》

【陽炎】《刀術》

【月影】

 

末裔

 

 

 

 

『それじゃ始めよっか!1ゾロファンブルはファンブル表案件だからね?』

 

「えーと判定は……モーション取った時点でAIがダイス振るのか」

 

周りの景色が移り変わっていく。平原、川辺、人混み、火山……おい待てまさか。

 

『言い忘れてたけど、ギミックとして開始時と3ラウンド毎に戦場変わるから注意してね!』

 

「システムの壁退いて鉛筆殺せない」

 

くそっ、やばいギミックを隠してやがった。こんなことなら闇蟷螂じゃなく戦場の極意極地取ってたぞ。

虚空に6面ダイスが現れ回転を始める。ピタリと止まり、映し出された出目は──

 

『3。最初の戦場は高所だよ』

 

ファンブルすると1点か、痛いな。まあ俺には闇蟷螂と逆鱗が

 

「そういやサンラク、ファンブルって達成値じゃなくて出目ってこと忘れてないよね」

 

「ナンノハナシデショウカーハハハ」

 

「おおっと……これは天誅案件かなぁ……?」

 

いや忘れてたわけじゃないんですよ頭からすっぽ抜けてただけで。これも全部鉛筆ってやつのせいなんだ。

フィールドがビル街に変わる。まずはプロット値決定からだ。

 

『プロット値は思考入力だよ。参加者全員のプロットが決まったら勝手に公開されるから』

 

そりゃありがたい。平地なら高プロットに行くんだが……いやここは獣化だけでも……?よし、ならここだ。

 

 

プロット公開

サンラク→5

カッツォバード→3

京極→6

 

 

「おいおい京極さんよ、そんな場所にいていいのか?ファンブルするぞ」

 

「それはこっちのセリフだよサンラクゥ……」

 

「幕末の民ギスギスし過ぎじゃない?」

 

『はいそれじゃプロット6から!』

 

「天っ誅っ!」

 

下からの切り上げ、間合的におそらく笹貫。刀身がブレている、ということは……。

 

「陽炎からの笹貫か!」

 

「その通りだよ!」

 

厄介なコンボだなチクショウ!刀の軌跡に合わせ、2d6がロールされる。算出された出目が俺たちの前に映し出され──

 

「おとなしく斬られなよサンラク!天ちゅ──」

 

 

【陽炎】《刀術》コスト1達成値5ファンブル値6

2d6→5(2,3)

 

 

ファンブルじゃねえか。

 

「あばぁっ!?」

 

スッと体を少しズラせば、京極はそのままビルの下に落下していった……。

 

 

京極

ファンブルダメージ1点

1d6→1(器術消費)

 

 

さて、次は俺の番か。

身体の内側に意識を集中させ、静かに瞑想する。獣の血を呼び覚ます?いいや違うね、俺が呼び覚ますのは暴徒の血だ。

 

「おいおいサンラク、君まさかライオットブラッド飲んで……」

 

おっらここだぁ!獣化発動!

 

 

【獣化】《異形化》コスト3達成値5ファンブル値5

2d6→10(6,4)

 

 

ついでにもういっちょ闇蟷螂!

 

 

【闇蟷螂】《異形化》コスト2達成値5ファンブル値5

2d6→7(2,5)

 

 

二つのサポート忍法成功により、俺の肉体はパンプアップされさらに腕に鎌が生える……うん、やばいな?

何はともあれ、これで命中判定に+2の修正と接近戦ダメージが1点追加だ。だいぶ有利になったはず。さて……

 

「恨むんならファンブルした自分を恨むんだな京ティメットさんよぉ……!」

 

ビル下の京極へ向けて接近戦攻撃。指定特技瞳術にしたんだが眼力で怯ませて攻撃になるのか?

 

 

【接近戦攻撃】《瞳術》間合1コストなし達成値5+2ファンブル値5

2d6+2→10+2=12(4,6)

 

 

「お返しのカウンター天誅じゃオラァッ!」

 

「許さない……!次のラウンド、覚えてろ……っ!」

 

辞世の句読むなよまだ脱落してないだろお前。

 

 

京極

接近戦ダメージ2点

2b6→5,1(戦術消費、再ロール)

1d6→6(妖術消費)

 

 

「1ラウンド目で体術特技しか使えなくなったやつがいるってマ??」

 

さて、カッツォの手番だ。やつは何を使ってくる……?

やつはビル下で憤慨する京極に指を向ける。ふはは、いいぞやっちまえ。

 

「ここは回避できない、弱ってる京極を狙うのがセオリーなんだろうけどね」

 

そしてそのまま指を俺に向けた。……ちっ、気が付きやがったか。

 

「サンラクを落としておかないと、俺がやばいんでね」

 

カッツォが直接ダメージを与えられる波濤は分身の術、そしてその特技は俺も修得している。そのまま京極を狙ってくれればあとは簡単に調理できたんだけどな。

 

「俺も生き残りたいんでね!早めに脱落してくれよサンラク!」

 

 

【内縛陣】《生存術》間合4コストなし達成値5ファンブル値3

2d6→8(4,4)

 

 

カッツォが指を鳴らすと同時に、俺の周りに忍び装束の大群が現れる。どこに潜んでいたのやら。

 

「避けきってやるよ……!」

 

生存術の達成値10だけどな畜生!ライオットブラッドは乱数にも打ち勝つんだよオラァッ!!

 

 

回避判定《生存術》、《異形化》で代用達成値10ファンブル値5

2d6→4(2,2)

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ……」

 

「さっきの啖呵はなんだったのか」

 

俺は大群に飲まれそのままビル下へと落ちていった……南無三!

 

「とりあえず梟雄使って、と。内縛陣使ったから2つから選ぶんだっけ」

 

 

サンラク

集団戦ダメージ1点

戦国変調表

2b6→3,1(猛毒、催眠)

 

 

「お、猛毒出たね」

 

この借りは、必ず返すぞ、鰹鳥ぃ……!

 

 

サンラク

ファンブルダメージ1点

1d6→1(器術消費)

 

 

第一ラウンド終了、俺に猛毒ダメージが入る。出目が奇数だったらダメージ、偶数だったら消費なし、だ。

 

 

サンラク

猛毒ダメージ1点

1d6→6(消費なし)

 

 

お、ラッキー。

プロットを決める前に、システムの力により一瞬で元の位置へ。睨み付けてくる京極にはニヤニヤ顔で手を振っておく。

 

『さっすがサンラク君。京極ちゃんの扱いに手慣れてるね』

 

うっせ。プロットだプロット。

 

 

プロット公開

サンラク→3

カッツォバード→4

京極→5

 

 

「ビビってるのかいサンラク?」

 

「お前こそまたファンブルするんじゃねーか京ティメット?」

 

「俺を挟んでバチバチしないでくれる?」

 

京極とのプロット差は2……神槍の間合内か。いや、もしかしたら笹貫でカッツォを狙う可能性も

 

「死に晒しなよサンラク!」

 

「だろうなクソったれ!」

 

放たれるは神速の突き!当たったら射撃戦3点かよ!

 

 

【陽炎】《刀術》コスト1達成値5ファンブル値5

2d6→11(5,6)

 

【神槍】《手裏剣術》間合3コスト1達成値5ファンブル値5

2d6→10(4,6)

 

 

切っ先はもうすぐ俺の胸に届く。仕方がない、もう少し取っておきたかったんだけどな!

 

「奥義、発動!」

 

「なっ!?」

 

右親指を心臓の真上へ叩きつける。描写自由だからこそ出来る再現技だ、ありがたく受けておけ。

 

「【封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)】!」

 

刀を掻い潜り、京極の腕へ黒雷をぶつける。その途端に、表示されていた(4,6)の出目が変動し、(4,1)に固定される。

 

「がっ……なにっ、をっ……!」

 

「判定妨害、改造は驚きと生命消費だ。その出目は遁甲符や神通丸でも変更できない」

 

そのかわり、俺も1点受けるんだけどな。好きなところを減らせるから、謀術消して逆鱗の条件満たすか。

 

『サイガ-100みたいなマッチポンプ逆境じゃないこれ?』

 

「いやいや、6分の1削れるだけで発動する分こっちの方がやばいでしょ」

 

「サンラクゥゥゥゥゥ………………」

 

とりあえず痺れて動けなくなった京ティメットをビル下へ蹴落として終わり。自傷ダメージによって逆鱗の条件を満たしたため、あらゆる行為判定に+1の修正だ。命中判定に限って言えば+3だな!

 

 

サンラク

生命消費1点

謀術消費、逆鱗発動

 

 

京極

ファンブルダメージ1点

1d6→2(忍術消費)

 

 

さて、どうせ俺を狙ってくるであろうカッツォの攻撃に備える。波濤か、それとも内縛陣か……?

 

「忍術消えてない以上内縛陣なんだよね。猛毒か飢餓も重ねたいしさ!」

 

まだこいつ追加生命力2点も残ってるんですってよ??京極と談合してこいつから仕留めるべきか……っ!

 

 

【内縛陣】《生存術》間合4コストなし達成値5ファンブル値4

2d6→6(5,1)

 

 

くそっ、判定妨害はさっき使ったから使えない。自力回避しかないか……!

 

 

回避判定《生存術》、《異形化》で代用達成値10ファンブル値3

2d6+1→8+1=9(5,3)

 

 

「観念しなよサンラク。逆鱗で修正が入っていたとしても9を出すのは容易じゃないだろう?」

 

「……いいや、1%でも可能性があるならチャレンジするのが探索者ってもんだろ!」

 

『カッコつけてるとこ悪いけどねサンラク君、それCoCの話でしょ』

 

うるっせーっ!神通丸使用だオラァ!

よくわからん球を握りつぶし、再度のダイスロールチャンスを得る。さぁ、今度こそ避けきってやろうじゃねえか!

 

 

回避判定《生存術》、《異形化》で代用達成値10ファンブル値3

2d6+1→8+1→9(6,2)

 

 

「ちくしょーーーーっ!!」

 

「見事な即落ち」

 

『1ゾロファンブル出してれば完璧だったんじゃないかなってお姉さん思うんだけどそこんとこどうなんですかサンラクくーん?』

 

うるせぇ3倍返ししてやらぁ!

 

 

サンラク

集団戦ダメージ1点

2b6→3,5(猛毒、残刃)

猛毒

 

 

やったろうじゃねえか全員巻き込んで自爆してやらぁ!

 

「ちょっ、まさか!?」

 

「ははは、俺もろとも叩き潰せ流星雨!」

 

天に、いつかサイガ-100と戦ったときのような武器雨が出現する。本日の天気は晴れ後ところにより武器雨注意ってな!

 

「おとなしく撃たせるとでも?」

 

 

【火遁】《火術》コスト1達成値5ファンブル値4

2d6→7(3,4)

 

 

カッツォから放られた小袋が爆発して視界を覆い尽くす。ファンブル値が上がったぐらいなんだ、元から代用判定なんだおとなしく食らっとけ!

 

 

【流星雨】《召喚術》間合3コスト3、《異形化》で代用達成値6ファンブル値4

2d6+3→12+3=15(6,6)

 

 

「んなっ……!?」

 

「スペシャル……!?」

 

乱数の(クソったれ)は俺に微笑んだ!武器雨はビルへと迫り、着だ──

 

 

「はい、遁甲符」

 

 

放り投げられた符が時間を巻き戻した。

 

「京極ゥァア゛ーッ!」

 

「ねぇどんな気持ち?ここぞという時のスペシャルをファンブルしてる僕に無かったことにされたのはどんな気持ちなのかなサンラクぅ!」

 

 

遁甲符

達成値6ファンブル値4

2d6+3→4+3→7(1,3)

 

 

「アアアアァァァァ…………」

 

「これが諸行無常、か……。あ、刃隠ダメージも入るね」

 

 

サンラク

ファンブルダメージ1点

1d6→1(体術消費)

刃隠射撃戦ダメージ1点

戦術消費

 

 

「京極め……お前だけは必ず落とす……っ!」

 

まっずい兵糧丸を食べて猛毒を回復させつつ、屋上へ戻る。

さて、このままだとカッツォの一人勝ちだがそれは避けたい。というかカッツォに手柄を渡したくないしあの澄ました顔に全力の一撃を叩きつけたいという思いもある。

 

「京極、このまま俺とお前でゲバってると最終的にカッツォが全部持ってくぞ」

 

「僕は君を天誅できれば本望だから」

 

くそ、話が通じない。これだから幕末の民は。

 

「隠してる奥義……お前の性格なら十中八九クリティカルヒットだろ。それをカッツォにぶつけてくれ。あとは俺が決める」

 

「でもさ、彼の奥義もまだわかってないよね?」

 

そうだな。だが、絞り込める。範囲攻撃だったなら、使えば俺にダメージを与えつつ京極を落とせた。クリティカルヒットでも俺を殺せたはずだ。判定妨害なら、さっきのファンブルのタイミングで1ゾロに変更できた。だとするなら。

 

「完全成功、不死身、絶対防御、追加忍法のどれか」

 

「どれでも勝ち目なくない?」

 

それでも挑むのがプレイヤーってもんなんだよ。1%の可能性があればそれに全力投球するのさ。

 

「さあ、プロット決定といこうぜ」

 

 

プロット公開

サンラク→4

カッツォバード→4

京極→5

 

 

「やってやろうじゃないかサンラク!これでダメだったら恨むからね!」

 

プロット5の京極が飛び上がり、辺りに符を巻いていく。それら全ての呪符は、一斉にカッツォの元へと──!

 

「奥義!【長距離滅却型呪殺式天誅】!」

 

やっぱり天誅じゃないか。ええと、奥義改造は伸ばしと発動条件。本来プロット差1にしか届かないクリティカルヒットの範囲を1伸ばす強みと、生命力2点以下じゃないと使えない弱みか。

しかし、クリティカルヒットが迫ってるにも関わらずカッツォバードは余裕のある表情だ。いや、まさか……!?

 

「えっ、なにその挙動」

 

「ヨーヨー、だと……っ!?」

 

左足首から下だけを残し、カッツォの全身が横にズレる。残った場所に当たった1枚を除いて、残りの呪符は屋上に虚しく突き刺さる。

 

「奥義【ヨーヨー】。絶対防御の流しと防御低下だよ」

 

カッツォの肉体にバリアのような2枚の膜が張り巡らされ、一番外側がパリンと割れる。……あれが追加生命力か。

 

「生憎だが、クリティカルヒットはあくまでも『生命力の減少』だからな。流しや返しじゃダメージは返せないぞ」

 

「そうなんだよねぇ」

 

ため息を吐くカッツォと悔しがる京極。だが、奥義を抜けたのは大きい……!

 

 

カッツォバード

クリティカルヒット4点

絶対防御により3点減少

追加生命力減少

 

 

『さて、プロット4の2人だけど……D66でいい?』

 

「俺は問題ないぞ」

 

「大丈夫だ、今の俺にはカフェインの加護が付いている……!」

 

「それさっき打ち消されましたよね」

 

 

サンラク

D66→1,3

カッツォバード

D66→2,6

 

 

『はいカッツォ君から!』

 

「チッ、万年受け鰹が」

 

「敗者の戯言と聞き流しておこう。呪術は遠いからなぁ、京極から仕留めておくか」

 

京極の奥義の指定特技は呪術、カッツォの呪術達成値は9……そりゃ、京極から仕留めたくもなる。

 

「悪いね、眠ってくれ」

 

カッツォは京極へ向けて踏み込み、そのまま分裂して殴りかかった。あれドッペルゲンガーのモーションじゃね?

 

 

【波濤】《分身の術》間合2コスト3達成値5ファンブル値4

2d6→9(4,5)

 

 

「くっ、遁甲符!」

 

「2枚積みだったか!」

 

 

遁甲符

達成値5ファンブル値4

2d6→3(1,2)

 

 

「あっ」

 

「おっ」

 

情けない悲鳴をあげながら、カッツォバードはビル下の地面へと叩きつけられるのだった……幸運のツケが回ってきたみたいだなはっはっは。

 

『いや同時行動だからサンラク君の攻撃は回避されるかもよ?』

 

「だよなぁ。まあ、やりますか」

 

屋上に残ったドッペルゲンガーに向けて、ノコギリを構える。魚なんてな、ハシビロコウに食われる運命なんだよ!

 

 

【火遁】《火術》コスト1達成値5ファンブル値4

2d6→5(3,2)

 

 

爆発による煙幕が張られるが関係ない、この牙は!お前に!喰らいつくっ!!

 

 

【大咬】《兵糧術》間合0コスト1、《異形化》で代用達成値6ファンブル値5

2d6+3→6+3=9(5,1)

 

 

双刃がカッツォの喉元へと迫る。

 

 

回避判定《兵糧術》、《野戦術》で代用達成値7ファンブル値4

2d6→6(4,2)

 

 

体勢を崩していた奴は牙を避け切れず、喰い裂かれ、ついでに腕の鎌で引き裂かれた。……故障の変調だ、例え兵糧丸を持ってたとしても回復はできないぞ。

 

 

カッツォバード

ファンブルダメージ1点

追加生命力減少

接近戦ダメージ2点

2d6→1,6(器術、妖術消費)

 

 

カッツォが這い上がってくるのを生暖かい目で見守っていると、もう一人の外道のアナウンスが流れてきた。……そういやギミックあったな。

 

『さて、これで第3ラウンドが終わるからね!戦場が切り替わるよ!』

 

さて、どこになる……?できれば水中か雑踏、悪天候だと嬉しいんだが……。

 

 

戦場変更

1d6→6(極地)

 

 

「鉛筆ゥゥゥゥゥーーーっ!!」

 

『いやいやサンラク君、私は何も仕込んでないよ』

 

お前ーっ!よりによって極地出すかお前ーっ!

くそっ、次のダイスが4以上になることを祈るしかない……。ライオットブラッドよ、我にカフェインの加護を与えたまえ……っ!

 

 

極地

1d6→4(経過ラウンド3)

 

 

「っしゃぁっ!」

 

「でもさ、ほぼ必ず極地ダメージ受けることになるんじゃない?」

 

「あ、確かに次変わるのが6ラウンド目だから4ラウンドと5ラウンドでは……」

 

あぁ〜〜(テンションの下がる音)

 

 

プロット公開

サンラク→4

カッツォバード→3

京極→4

 

 

「へい京ティメット、カッツォ狙おうぜカッツォ」

 

「いいね、いい加減目障りだ」

 

「待って待って、2対1に持って行こうとしないで」

 

悪いなカッツォ、3人バトロワの時点で一人が集中狙いされることになるんだよ……!

 

 

サンラク

D66→1,4

京極

D66→2,5

 

 

「笹貫天誅〜陽炎を添えて〜」

 

「なんだそれ」

 

「天が言えって」

 

ならしょうがないな。

 

 

【陽炎】《刀術》コスト1達成値5ファンブル値4

2d6→10(4,6)

 

【笹貫】《刀術》間合1コスト1達成値5ファンブル値4

2d6→9(6,3)

 

 

「うっわ目標値11か」

 

「おら、出せるもんなら出してみろよ」

 

「この出目出したの僕なんですけどー?サンラクがイキらないでくれますぅー?」

 

 

回避判定《刀術》、《分身の術》で代用達成値9ファンブル値3

2d6-2→10-2=8(4,6)

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

 

「出たな妖怪1足りない」

 

「とても惜しい……」

 

何というか、さすがカッツォというべきか。

さて……やるか。

 

「ねぇ、サンラクがとても悪い顔してるんだけど」

 

「奇遇だね、俺にもそう見える」

 

ははは気づいてももう遅い!

 

「全員巻き込んでの流星雨だ、派手に死のうぜ!」

 

 

【流星雨】《召喚術》間合3コスト3、《異形化》で代用達成値6ファンブル値4

2d6+3→6+3=9(2,4)

 

 

「サンラク、お前ぇぇぇっ!」

 

「悪いな、全滅エンドだ」

 

ほら全員避けてみろよ、楽しいパーティーだぞ?

 

 

京極

回避判定《召喚術》、《手裏剣術》で代用達成値13ファンブル値4

2d6→5(2,3)

 

カッツォバード

回避判定《召喚術》、《野戦術》で代用達成値8ファンブル値4

2d6→7(1,6)

 

 

「くっ……けどサンラクも共倒れするなら……っ!」

 

 

サンラク

回避判定《召喚術》、《異形化》で代用達成値6ファンブル値4

2d6+1→11+1=12(5,6)

 

 

「これが格の違いというものだァァァーーっ!」

 

「……いいや、そう決めつけるのは早計だよサンラク!」

 

カッツォが左足に力を込める。絶対防御か、それがあったな。しかし、だ。

 

「カッツォ、俺は分身の術を修得している」

 

貴様の奥義の指定特技は分身の術……!残念だったなカッツォ!

 

「これで、終わりだ!」

 

 

奥義破り

《分身の術》達成値5ファンブル値4

2d6+1→9+1=10(4,5)

 

 

プロット4の行動が全て終わり、同時行動によるダメージが清算される。

カッツォバードには笹貫+月影による接近戦ダメージ1点と射撃戦ダメージ1点。さらに流星雨+獣化による射撃戦ダメージ1点と接近戦ダメージ1点、合計4点のダメージが入り、体術、忍術、謀術、戦術が削れて脱落。

京極にも流星雨+獣化の2点が入ったことで体術と謀術が削れて脱落。

残すは俺のみ……回避できなかったら奴らと共倒れするところだった……。

 

『いやー、三人ともお疲れ様!いい試験になったんじゃないかな?』

 

「うるせーぞ大魔王」

 

『サンラク君に世界の半分渡すとろくなことにならなさそうだなぁ』

 

お前に渡しても真っ赤な世界を作り上げることになるだろうよ反理想郷の女帝(ディストピアエンプレス)

 

『どうする?もう一戦ぐらいやる?』

 

「いや、結構疲れたし……」

 

『後ろの二人はやる気満々みたいだけどー?』

 

チャキ、と首筋に添えられた刀二振り。まあ、その、なんだ。

 

「フレに呼ばれたので部屋抜けますね^^」

 

「逃すか天誅ぁぁーっ!」

 

首を刀が斬り落とす直前で部屋抜けに成功した。被り物を抜け殻代わりにするのも空蝉の術でいいんだろうか?


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