バンドリカレンダー企画! ~みんなで繋ごう、ガルパの一年を~ 作:大里野上
代表作: Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜(https://syosetu.org/novel/164673/)
作者様コメント
バンドリカレンダー企画に参加できたことを光栄に思います!
トリでめっちゃ緊張してますが、気に入っていただけると有難いです!
本編のAfterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜 もよろしくお願いします!
3月14日。ホワイトデー。
一般的にバレンタインデーにチョコレートなどをもらった男性が、そのお返しとしてお菓子などを女性へ贈る日─────。
まぁ、ウィキペディアのような説明はさておき、ホワイトデーとは別でボクにとって特別な日でもある。
ひまりちゃんとの1ヶ月記念日。
初めて恋人ができた身に訪れる、最初のイベント。彼氏としては、やはり特別な気持ちを抱いている。
もちろん、ホワイトデーに渡すチョコレートは全員分、既に調理済みだ。
それでも、彼女には他とは違う何かを、思い出に残る出来事を共有したい・・・・・・。
そう頭の中で考えてたら、携帯に一通のメールが届いた。
『葵くんおはよう! 今日って暇かな? よかったらお出かけしたいなぁ♡』
差出人は、ボクの最愛の彼女。
願っても無い誘いに、ボクはすぐに返答した。
『おはよう! ボクもそう思ってたところだったんだ! ちなみにだけど、どこか行きたいところとかあるかな?』
『ホントに!? ヤッターー!! わたし、遊園地に行きたい!』
『おっけい! じゃあ、13時に駅前で待ち合わせで!』
ひまりちゃんからOKのスタンプが返ってきて、既読を付けて携帯を閉じる。
・・・・・・よしっ!! 誰もいない部屋で1人、喜びの声をあげると共に大きくガッツポーズをする。
それと同時に、寝癖がついたボサボサ頭の姉がノックもせずに部屋に入ってきた。
ボクの格好を見るや、フッと小さく笑い何かを察したような顔つきを見せる。
「えっと・・・・・・とりあえずよかったね」
からかうようにニヤニヤと笑みを浮かべながら話す感じからして、ひまりちゃんとボクが遊園地に行くことを事前に知っているようだ。
「今日のこと、分かってたの?」
「ひまりと今日の夜中まで相談してたからね。おかげであたしは────いや、やっぱ何でもない。楽しんできて」
大きなあくびをしてから、自室にトボトボと戻っていく。
ありがとう、蘭。心の中で敬礼し早速今日の支度を始めた。
雲ひとつない空の下。
草木は陽の光を浴びてそれを喜んでいるかのように、ゆらゆらと風に揺れている。
「葵く〜ん!! お待たせー!!」
髪と同じ桃色のスカートをヒラヒラと靡かせ、笑顔で手を振り、こちらに近づいてくる。
「今日は誘ってくれてありがとっ、ひまりちゃん!」
「わたしの方こそ! 今日は思いっきり楽しもうね!!」
「そうだね! 楽しも〜〜!!」
満面の笑みで、高々と手を突き上げる。
これは俗に言う「えい、えい、おーポーズ』だ。
周りからバカップルだなんだと囁かれていたが、ボクらにとっては最高の褒め言葉だ。
「そ、それじゃあ早く行こうか! 時間は1秒でも無駄にできないよ!」
「うんっ! いざ、遊園地にレッツゴー!!」
駅のホームに行くと、休日の影響もあって人で溢れかえっていた。
ボクらのように恋人同士だったり、友達同士、スーツを着ている人など様々だ。
早く遊園地に行きたいのか、ひまりちゃんからはずっと、そわそわと疼いている様子が伺えた。
もちろん、それはボクも同じ気持ちだ。楽しみで仕方ない。
「間も無く、3番乗り場に電車が参ります。ご注意ください。間も無く─────」
駅内アナウンスと、電車が来るメロディが流れ大勢の客と共に乗車する。
当然、電車の中も人でいっぱいだ。身動き一つ取れない状況下にある。
ひまりちゃんを人混みから守ろうと、ドアの近くの場所に誘導し、向かい合う形で立っている。
ちなみにだが、今はお互いの体が服越しで触れ合ってる状態だ。
ひまりちゃんの立派に育った『柔らかい部分』が、ボクの胸板で押しつぶされてる。
電車が揺れるたびに擦れて、ビクッと反応してくる。
「ひまりちゃん、大丈夫? ごめんね………ちょっと動けそうにないかも…………」
「う、うん。気にしないで………」
本人はそう言っているが、どこか苦しそうに顔を火照らせる。
すると、電車が急激に揺れて、ボクの後ろにいた人が体勢を崩した。
まるでドミノ倒しのようになり、ボクはひまりちゃんに倒れ掛かる。
二人の唇の距離は10センチとない。
「「……………!?」」
あまりの突然の出来事で、お互い大きく目を見開き、思わず顔をそらす。
顔が沸騰したように熱い。ひまりちゃんもボクと同様の様子だ。
一度経験しているとはいえ、そう何ども出来る行為ではない。
ボクたちは恋人同士として、まだまだピュアなのだ。
すると、ひまりちゃんはボクの耳元に口元を近づけ囁く。
「ナンダカ、ドキドキスルネ…………」
その瞬間、ボクの胸がハートの矢で撃ち抜かれる。
なんだよ、可愛すぎだろ………! 頬を染めてるところなんか、もう………!
「ひまりちゃんズルイよ………」
「えっへへ♪ こういう状況も悪くないね」
悪戯に笑うひまりちゃんに対し壊れかけの理性を保ちつつも、電車は変わらず遊園地に向けて走り続ける。
***
「とうちゃーーくっ!! うわぁ、人でいっぱいだね」
遊園地に着くなり、ひまりちゃんは一目散に駆け出す。
電車で1時間程かかるこの遊園地は、アトラクションや食事、イルミネーションまで様々な層から愛される場所でもある。
その中でもやはり多いのは、小さい子供を連れた家族連れのお客さんだ。
子供向けのメリーゴーランドやゴーカート、風船を配るマスコットとの撮影など、子供を飽きさせないサービスに長けている。
食事に関しても、手軽に食べられるものや本格的なレストランも完備している。
ネットの口コミでは、ここで食べられる牛ステーキは絶品だとか…………。
口コミに添えられている写真を見る。
うん、間違いなく美味しい。絶対に行こう。
「ねえねえ! まず、どれに乗ろっかな?」
ひまりちゃんが、入り口で配布された地図を開くと、多種多様のアトラクションが記されている。
定番のジェットコースターにコーヒーカップ、ウォータースライダー、観覧車…………VRゲーム!?
「葵くんも気になる? VRゲーム」
「実に気になるね……面白そうだね………」
「ふふっ、わかりやすいなぁ♪ じゃあ先にVRゲーム行こっか!」
「うんっ! そうしよー!」
入場ゲートから近い場所にあったこともあり、すぐについた。
お客さんも、ここが一番近いからか、かなりの行列ができていたが、せっかくなのでその列に並んだ。
スタッフさんの案内によると、選べるゲームは二つで、協力型ゾンビ殲滅ゲームと対戦型剣技ゲームで、ボクたちは協力する方を選んだ。
ここではゲームをしてない人の為に、大画面で実際のプレイ動画も観戦できるらしい。
例えると、Youtubeの生配信のようなものだ。いつもは見る側の立場だが、実況側となると、少し高揚感が湧いてくる。
しばらく時間が経過し、ボクたちの出番が回ってきた。
渡されたVRゴーグルを着用しコントローラーを持ち、目を開けると大量のゾンビが溢れるように出てきた。
「うわ〜〜っ!!! ゾンビがいっぱいいるぅぅ!! やめてぇぇ!!! 来ないでぇぇ!!!」
「ひまりちゃん早く隠れて! それから、リロードしてすぐ銃を構えて!」
「リロードって何!? 隠れるとこなんてないよ〜〜!! 葵くん助けて〜〜!!」
慌てふためき、どんどんとゾンビにHPを削られていくひまりちゃん。
後ろで観戦しているギャラリーも、大きな笑い声を上げていた。
「仕方ない………ひまりちゃんはボクの後ろに回って回復を! 」
「あいあいさ〜♪ ………えいっ!」
ボクの背後に回ったひまりちゃんは、背中から腕を回し、ギュッと抱き寄せてきた。
「ちょっ!? ひまりちゃん!?」
「えっへへ〜♪ 仮想「げーむ」も現実「りある」も、ずっと一緒だよっ!」
「これは…………すごい燃えるね!! よしっ、いくぞ!!」
「おぉ〜!! 頑張れ葵くん!!」
銃声よりも大きいギャラリーの、からかい混じりの声援が響き渡る。
全てのゾンビを駆逐する頃には、遊園地のスタッフさん含めギャラリーから盛大な拍手を受け、記念写真まで撮られた。
後日、SNSでも拡散された"戦場のバカップル" でトレンド入りしたボクたちが、テレビの取材を受けたのは、また別の話─────。
***
VRゲームを終えたボクたちは、売店で購入したチョコ味のチュロスを片手に、次のアトラクションに向けて歩き始めていた。
「いや〜、すっごい楽しかったね!!」
「そうだね! あの後、いろんな人から握手とか写真を求められるなんて想像もしてなかったな」
「葵くんって、ああいうゲーム得意なの?」
「得意かどうかはわからないけど、巴ちゃん家であこちゃんと格闘ゲームしかしたことないかな」
「えぇ〜〜っ!? それであんなに動けるの!?」
「あははっ、なんでだろうね?」
「むぅ〜〜…………まぁ、わたしはカッコいい葵くんの姿がみれて嬉しかったけどさぁ」
ひまりちゃんはそう言うと、不満気にイチゴ味のチュロスを頬張る。
しかし、チュロスの美味しさに頬を緩ませすぐに機嫌を取り戻した。
それでも、一つだけ分かったことがある。
"ひまりちゃんを守りたい" と強く思ったら、自然と体が動いていた。
ボクは、ひまりちゃんを守る盾に、そしてひまりちゃんが戦う為の剣になる─────なんてロマンチックな言葉は言えないけど。
「次はどこに行きたい?」
「そうだね、ひまりちゃんレーダーでは…………あっ、ここがいい!!」
ひまりちゃんが地図に指をさしたところは、非常に怖いので気をつけてくださいと、注意書きされているお化け屋敷だった。
「えっ!? 本当にここでいいの………?」
「いいのいいのっ! こういうのは、カップルだからこそ、楽しめるところなんだから!」
「まぁ、ひまりちゃんが行きたいっていうなら仕方ないね………」
上機嫌でスキップしながら歩くひまりちゃんだが、実際は──────
「きゃ〜〜〜〜っ!! 首がうねうね伸びてる〜〜〜!!!」
─────ずっと叫び声をあげてボクの後ろに隠れている。
去年の夏休み前の事件もそうだったが、ひまりちゃんはAfterglow「ボクたち」の中でもダントツで、怖いものが苦手なのだ。
しかし、幽霊を怖がるのはひまりちゃんだけじゃない。
蘭を筆頭に、あの巴ちゃんですら恐怖でおかしくなってしまうほどだ。
正直ボクも、幽霊は少なからず存在すると思う。
"思い残すことがあり、ずっと現世にとどまっている" と考えると、凄くゾッとする。
ボクたちが学校で見た、生徒の幽霊もその分類に属するものだろう。
その生徒の霊は一体、何を思い残し、何を伝えたかったのか、今となっては謎のままだ。
その霊が一刻も早く、成仏されることを願おう………。
「うわ〜〜〜!? 後ろに何かいる!? 怖いっ、助けてーーー!!!」
「お、落ち着いてひまりちゃん! 」
「いや〜〜〜っ!! 首になんか冷たいのが触れたーー!!
「それはこんにゃくだよ!?」
「もうムリだよぉ〜〜!! こ、腰が抜けて動けない………」
「全く、無茶しちゃダメだよ?」
「うぅーっ………ごめんなさぁい…………」
ボクの背中を両手でぎゅっと掴み、恐怖と反省が入り混じった涙を流しているのが分かる。
「ほら、早く出ないと遊ぶ時間減っちゃうよ? ひまりちゃん、レッツゴー!」
「…………もう私、これからは絶っっっ対にお化け屋敷には入らない〜〜!!!」
そう叫んでいても、ゴールまでの道のりはまだ長い。
ゾンビが飛び出してきたり、壁から急に手が出てきたり、急に喋りだす人形が置いてあったり…………。
ひまりちゃんの身体の震えが止まることをを知らない。
叫びっぱなしのひまりちゃんを引っ張って、やっとの思いでゴールにたどり着く。
「ふぅ〜、楽しかったねぇ♪ …………あれっ? ひまりちゃん、大丈夫………?」
ボクがそう声をかけても、ひまりちゃんは俯いたままで返事は返ってこない。
繋いだ手を離し、彼女の体を揺すっても、頬を人差し指で突いても、全く反応を示さない。
さて、どうしようかな…………。
頭の中でぼやいていると、ボクの懐に飛び込み力強く抱きしめてきた。
「怖かった………。 もう、本っっ当に怖かった………」
ひまりちゃんは、ポツリポツリと涙声で話す。
ボクの服がひまりちゃんの涙で湿り気を帯び、ギュッとボクの服を握る手からは、どれだけの恐怖を味わったかが感じられる。
このアトラクションを選んだ彼女の自業自得とも言える行動だとは思うが、止めることができなかったボクにも非があった。
そんな彼女の頭に、手をそっと置き優しく撫でる。
「大丈夫だよ、怖いものはもう何もない」
「だ、だって…………」
「そんなに泣いてたら幸せ逃しちゃうよ?ほらっ、笑って笑って! 」
「うぅ、葵くんみたいに明るくなれないよぉ………」
「それじゃあ、これからひまりちゃんが絶対に喜ぶ話をするね?」
「……………うん」
ボクの懐に顔をうずくめる彼女に、そっと耳打ちする。
「実はこの遊園地は美味しい食べ物で溢れててね、特に牛ステーキが絶品らしいんだ」
「………知ってる」
「流石ひまりちゃん。じゃあ、ここからはひまりちゃんが絶対に知らないことで、楽しくなる話をするね」
「うん………」
「さっきボクのSNSに、ここの遊園地のアカウント主さんからメッセージが届いたんだ」
「…………えっ?」
「それで、VRゲームを盛り上げてくれたお礼として特別に、最高のディナーをご馳走してくれるらしいよ。もちろん、ボクたちだけの特等席でね」
言い終わるとすぐにひまりちゃんは顔を上げて、涙を手の甲で拭い、『絶対食べる!』と笑顔で答える。
その様子はまるで、泣きじゃくった後にご褒美をもらい喜ぶ子供のようだった。
***
レストランに向かっている最中には既に、陽は落ちていた。
3月といえど、冬はまだ完全に越せていない。
レストランに着き、店員さんにSNSの件を話すと、事情を聞いていたようですぐに案内された。
どのようなところで食事ができるか、とてもワクワクする。
隣を見ると、彼女もボクと同じ気持ちだったようだ。顔から笑みが溢れている。
店員さんに連れられ案内されたところは、2階にある完全個室のVIP席。
大きな窓ガラスからは、ボクたちが遊んだアトラクションや、美しく彩られたイルミネーションを一覧することができる最高の場所だ。
話によると、この席や料理の代金は一切必要ないらしい………。
「すっごい綺麗! よしっ、写真撮ろ!!」
さっきまでとは裏腹に、楽しげに写真を連写するひまりちゃんに頬が緩む。
明るさを取り戻して本当に良かった。やっぱり彼女は、笑顔がよく似合うと心底思う。
「ねぇ、葵くん! 一緒に写真撮ろうよ!」
「うん、いいよ!」
ひまりちゃんがカメラを持ち、遊園地を背景にパシャりと写真を撮る。
そこには、最高の笑顔を見せるボクたちの姿が写っていた。
また一つ、大切な
写真を撮り終わったと同時に、食欲をそそる香りが漂う料理が運び込まれる。
極一般の高校生が、これだけの接待を受けていいのかすごく不安になる。
しかしひまりちゃんは、その心配をよそに、美味しそうに、幸せそうに食べていた。
その姿を動画にしていたら、それに勘づきプリプリと怒りながらも、
ひまりちゃんには悪いけど、この遊園地デートの功労者である蘭にだけは見せてあげたいな。
「今日は本当に楽しかったね!」
「うん! なんだかあっという間だったね」
「それでなんだけど………最後にあそこ行かない?」
そう言うとひまりちゃんは、高さ約80メートルもある大観覧車を指差す。
「あれに乗りたいの?」
「うんっ! 葵くんは高いところは平気?」
「全然平気! それじゃあ、行こっか!」
店員さんにお礼を言い、大観覧車へ足早に向かう。
店を出る頃には、空は真っ暗で月が出ていた。無風の遊園地に確かな寒気が現れ始める。
震える彼女に手を差し伸べると、嬉しそうに彼女も手を握る。
受付に着くとすぐにスタッフさんに案内され、大観覧車に乗る。
ゆっくりと動く観覧車は、徐々に高度を上げていく。
「うわぁ〜! 絶景だ〜〜!」
隣に座り、肩を寄せ合うひまりちゃんが目をキラキラとさせながら呟く。
「そうだね…………あっ! さっきいたレストランがあんなに小さく見えるよ!」
「本当だっ! すごく高いね!!」
2人して、少し興奮気味に話す。
こんなところから景色を眺めることなんてそうあることではないからこそ、綺麗な街が、光が、景色が、とても美しく見える。
「唐突だけどさ、ボクたちってもう、1ヶ月も付き合ってるんだよね」
「ど、どうしたの急に!?」
「…………ううん。ゴメン、なんでもない」
観覧車はさらに高度を上げ、ボクたちの空間にしばらくの沈黙が続く───────。
「………ボクたちは何十年も前に出会って、一緒に遊んで、育って、色んなことを学んできたんだよね」
「うん。これからもずっと関係を続けていきたいよね」
「もちろんボクもそう思ってるよ。でもさ、ひまりちゃん」
「なに?」
「体育祭の時に告白する時、この関係が壊れてしまうとか………そういうことを考えたことってあるのかな?」
不思議そうに見つめるひまりちゃんに、ずっと疑問に思っていたことを口にしてみる。
もちろん、ボクはひまりちゃんのことが好きだ。大好きだ。
しかし、それと同じぐらい、
つまり、ボクと友達以上の関係を持つということは「これまでと同じようにいられなくなる」ということだ。
ひまりちゃんは、そうなることが怖くなかったのか?
彼女は、うーん、と少し考える姿勢をとり、すぐに答える。
「もちろん、関係が壊れるのは怖かったよ。でもね………わたしはそれでも、葵くんと恋人同士になりたかった。衝動が抑えられなかったの」
「衝動が………」
「うん。蘭たちに何を言われても、私はどうしてもこの気持ちを伝えたかった。実はというと、中学の時にも同じこと考えてたんだけど、あの時は葵くんは部活もしてたからなかなかいう機会がなくて…………」
「ち、中学の時!? 確かに、あの時は色々バタバタしてたかも…………」
「それに葵くん、中学の時は恋愛に対して無感情だったでしょ?」
「はい、その通りです……………」
「ふふふっ、でも、お家のこともあったし、仕方なかったよね」
「その主な原因が蘭だったからね………あの時はヒヤヒヤしたよ………」
「でも、その時からずっと───────わたしは、葵くんに惚れてたんだよ」
思わぬ言葉に、ドキドキと心臓の音が、ひまりちゃんにも聞こえるかと思うぐらい鳴り響く。
「ボクも、ひまりちゃんの彼氏になれて、すごく嬉しいよ!」
「うんっ! わたしも!!」
「それじゃあ───────」
「「これからもよろしくね!!」」
2人でこれからも、最高の瞬間を分かち合おう。
いかがだったでしょうか?
長々とした文になりましたが、読んでいただけて幸いです!
また機会があれば、もう一度参加してみたいですね笑