バンドリカレンダー企画! ~みんなで繋ごう、ガルパの一年を~ 作:大里野上
ヤンデレ物を書いていらっしゃるようですね。作品は完結されている様なので是非読んで見てはいかがでしょうか!
6月ー梅雨の中の日常ー
はじめましての方ははじめまして
こんにちはの方はこんにちは
おひさしぶりですの方は、おひさしぶりです。Mairoです。
今回は共同作品とのことで、少し気合を入れてみました。
面白いかは定かではありませんが……最後までお付き合いしていただければ幸いです。
短い時間となりますが、よろしくお願いします。
私の代表作:https://syosetu.org/novel/163622/
Twitter:@ARC170masashi
6月のある日
「……雨ですね」
「そうですね」
「雨ですね」
「……」
ここ、花咲川女子学園改め花咲川学園生徒会では、毎日毎日配送される意見書や投書、各種書類の処理に追われていた。
何故花咲川女子学園から花咲川学園に学校名が変わっているのかはいたって簡単。進みゆく少子化に伴い入学生の数が過去に比べ大幅に減少してしまい、急遽共学に変更せざるを得なくなってしまったからだ。
ちなみに、生徒会メンバーは3年生が2名と2年生が2名の計4名体制である。
「……少し、休憩にしませんか?」
「いいですね。つかの間の休息としましょう」
外ではしとしとと降り注ぐ中、生徒会長の白金燐子先輩が休憩を提案する。
--その提案に乗ったのは、風紀委員の氷川紗夜先輩だった。
(……意外だな。紗夜先輩が休憩に乗るなんて)
「はぁー……中々終わりませんねー……」
僕の隣で軽く息をつきながら伸びをしたのは、同学年で生徒会書記の市ヶ谷有咲さん。唯一の同学年生だから、自然と僕と話す機会が先輩方と比べて多い気がする人だ。
……自己紹介が遅れたね。僕は武田尚貴。市ヶ谷さんと同じ花咲川の生徒会書記を務める、しがなく数少ない男子学生だよ。
☆
「……やっと、終わりましたね」
「やっとですね……」
つかの間の休憩の後、3時間ほどかけて進めていた作業がようやく終わった。
壁にかけてある電波時計を見ると、時刻は午後4時半に差し掛かるところだった。
「今日の活動はここまでですので……それではまた、明後日の放課後に会いましょう」
「私達はこれから練習がありますので。Poppin'Partyの皆さんにもよろしくお伝えください」
「お疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
白金先輩と紗夜先輩は、そう言うと生徒会室を出て行った。
先輩たちは、巷で有名なガールズバンド‘’Roselia‘’のメンバーなのだ。
薔薇のRose、椿のCameriaを足した造語がバンド名の由来だけど、実力は確かだと言われている。
構成メンバーは白金先輩と紗夜先輩の他に、近所にある女子高校の羽丘女子学園に通う湊友希那先輩、今井リサ先輩、そして宇田川あこちゃんの5人。パート分けは白金先輩がキーボード、紗夜先輩がギター、湊先輩がボーカル、リサ先輩がベース、あこちゃんがドラム。リーダーを務めている人は湊先輩らしい。
「市ヶ谷さんの方は練習、ないの?」
「ん。あるぞ」
「わかった。それじゃ鍵の返却は僕がやっておくから、先帰ってていいよ」
「ありがと。じゃあな、尚貴」
「うん。じゃあね」
市ヶ谷さんを見送った僕は、忘れ物がないか十分にチェックする。稀にあるのだ……忘れ物が。
ちなみに市ヶ谷さんもガールズバンド‘’Poppin'Party‘’のメンバー。
Poppin'Partyのメンバー構成は、A組の戸山香澄さんと市ヶ谷さん、E組の花園たえさん、B組の牛込りみさん、同じくB組の山吹沙綾さんの5人。全員がここ花咲川学園の生徒で、また全員同学年。僕は花園さんと同じE組だ。
さらに情報を付け加えるとしたら、戸山さんがボーカル兼ギター、花園さんがリードギター、牛込さんがベース、山吹さんがドラム、そして市ヶ谷さんがキーボードを担当している……それくらいかな?
「……よし、大丈夫だな」
忘れ物のないことを確認した僕が外に出た瞬間
「……尚貴君」
「白金先輩?」
先に出たはずの白金先輩と、鉢合わせた。
「忘れ物ですか?」
「ううん……尚貴君こそ、忘れていない……?」
「え……あっ」
……そうだった。
「今日は……尚貴君も来る日だよ……?」
「……すみません、すぐ行きます」
☆
「ーー遅いわ」
「……すみません、遅れました」
「遅くなりました」
「私は貴方のアドバイスと観察眼を見込んでいるのよ。やる気が出ないのなら帰ってもいいわ」
花咲川学園から徒歩数十分。僕はライブハウス‘’Circle‘’に来ていた。Circleは僕のアルバイト先でもあり、いろんなバンドの練習場でもある。
ちなみに現在、白金先輩と僕は遅刻したことで……絶賛お説教中である。
「まあまあ、友希那。尚貴と燐子も生徒会の仕事があったんだし、遅れるのも仕方がないんじゃない?そうでしょ?」
さて、もう一度メンバー紹介といこう。
すかさず助け船を差し出してくれたのは、Roseliaの精神的支柱とも呼べるであろうリサ先輩。見た目はギャルのようだが、実際は面倒見が非常によく家庭的で、縁の下の力持ち的存在らしい。
……前に聞いた話だと、リサ先輩抜きで練習をしてみたらハプニングの連続であまり練習にならなかったとか。とにかくそこまで重要な存在だと教えてもらった。
「……わかったわ。でも、私たちに妥協は許さないわよ」
「はいはい。それじゃあみんな揃ったわけだし、始めようか」
「OKリサ姉!我が暗黒に満ちし炎の如き演奏を……とくと観よ!」
「そうですね。始めましょうか……練習は本番のように、本番は練習のように。ですから」
「はい……頑張ります……!」
僕や白金先輩にお説教をしていたのは、孤高の歌姫こと湊先輩。ストイックで且つプライドが高く、その上圧倒的な歌唱力を誇るRoseliaの頭。しかし猫の話題になると冷たい表情が一転、可愛らしくなる……というが、見たことがないので定かではない。あとリサ先輩とは幼馴染なんだとか。
若干中二病?が混ざっていたのは、唯一の1年生であるあこちゃん。去年から既にこのキャラクターだったらしい。僕も初めて話したときは少しばかり驚いた。今ここにはいないが、‘’Afterglow‘’というバンドに所属しているお姉さんがいるらしい。あこちゃん曰く、チョーカッコいいとのこと。
落ち着いた声で気を引き締めたのは、我らが花咲川の風紀委員こと紗夜先輩。紗夜先輩も湊先輩と同じくらいストイックで、また圧倒的な技術力を持っている。双子の妹がいて、曰くその妹さんは天才と。前までは仲がよくない……というよりは紗夜先輩が一方的に避けていたらしいが、今は関係も修復している模様。
控えめだけど確かな決意を抱いた返答をしたのは、花咲川の生徒会長こと白金先輩。引っ込み思案でかなり控えめな人だけど、SNSでは饒舌。あこちゃんとよくNFOというゲームをしているらしい。
そして白金先輩はーー僕の片思いの相手でもある。
「……始めるわよ。”ONENESS”」
☆
「ーーひとまず終わったわね。さて尚貴、今回の演奏で気になったところはあるかしら?」
ONENESSから始まり、熱色スターマイン、軌跡、シャルル(カバー)、そして最後にFIRE BIRDと連続で歌い切った湊先輩が、僕にそう投げかけた。
「はい。まずは湊先輩からです。湊先輩は特に気になった点が多数あったわけではありませんが、スターマインのラスサビ前に入るセリフパートをコンマ数秒ですが遅らせてもよかったですね。次にリサ先輩ですが、ONENESSとシャルルで全体的に走っていたと思います。もう少し肩の力を抜いて弾いてみてください。紗夜先輩は湊先輩同様、特に気になった点はありません。紗夜先輩らしい綺麗な音が出ていたかと。燐子先輩はそうですね……軌跡のソロパートはもっと強調していいと思いますよ。他の楽器と一緒のときは割と主張があったので、ソロでも主張してみてください。あこちゃんは全体的に見てもスムーズに動けていたけど、ところどころ緊張かな?遅れていた箇所があったから、リサ先輩と同じように肩の力を抜いてみて。僕からは以上です」
--そう。僕が湊先輩に拾われたのは、この耳のよさ。
とか言ってみたり。まあ湊先輩の視点から見ていい耳をしているらしいから、それでいいんだけどね。
僕は月に何度か、ロゼリアの練習のアドバイザーとして活動している。マネージャーも提案はされたが、僕には力不足なので丁重にお断りしたことは内緒だ。
それはそうとロゼリアのみんなは、僕からのアドバイスを聞いてうなずいたり、ノートにメモをとったりしていた。そういった気持ちが、またロゼリアの腕前を向上させる秘密なのかもしれない。
「みんな、確認できたわね。少し休憩を取ったら、同じ構成でまたやるわよ」
「「「「はいっ(うんっ)!」」」」
……僕もアドバイザーになって2か月経つけども、日々うまくなっていく様子を見るのはすごく楽しい。
☆
「時間ね。今日の練習はこれで終わりだわ。各自、次回までに修正点は直して伸ばせる箇所は伸ばしてくるようにね」
「お疲れさまでした」
「お疲れ~♪」
「お疲れさまでした……」
「お疲れさまでした~っ!」
あの後、同じ構成で1回通してさらに修正点の多かった軌跡、シャルルを徹底的に追い込んだ。
時刻は夜の7時。もう周りも暗かった。
「アタシたちは一緒に帰るから、それじゃあまったね~☆」
「私も遅くなると心配されるので、失礼しますね」
「お疲れさまでした」
湊先輩とリサ先輩、あこちゃんは一緒に帰り、紗夜先輩は急ぎ気味らしく、Circleで別れた。
「まだ雨、降ってますね」
「そうですね……」
僕と白金先輩も、遅くなるとまずいので家路につく。
街灯に雨水が照らされるのを横目に、住宅街を歩いて行った。
「白金先輩は明日もNFOですか?」
「そうですね……新しいイベントが始まるので……」
「そうなのですか。それは面白そうですね」
「面白いですよ……特に、アイテム採集の時は……」
人の気配は僕たち以外まるっきりない夜の住宅街。雨がしとしと降り注ぐ中歩くのは生まれてから何度もあるが、今日は何故か楽しい気持ちで歩けていた。
……それもきっと、白金先輩の存在が作ってくれるのだろう。
そんなことを思いながらふと、空を見ると
「……あ、月」
「あ……」
雲の切れ目、ほんの少しの割れ目から、淡く儚く煌めく満月が見えた。
「きれいですね……」
「そうですね……」
しかし、ほんの少しの割れ目。すぐに月は隠れてしまった。
「あ……」
「……夏になれば、もっと見えますよ」
「そうですね……」
……僕もいつか、いつかきっと。
白金先輩という不滅の満月の傍らに立つ資格を手に入れたとき
”月がきれいですね”なんて笑って言えるようになれたとき
--そのときを、つかみ取っていきたい。
FIN
いかがでしたか?
ヤンデレではなく、日常にしてみました。
オリジナルキャラクターの名前を見て、ピンときた人もいらっしゃるかもしれません。
……そうです。私の作品”僕の周りはヤンデレだらけ”の主人公、武田尚貴君を起用してみました。
今作の舞台設定は”誰もヤンデレにならず、尚貴君が生存している平行世界”をイメージしております。
こんな未来も、きっとあったのでしょう。
さて、名残惜しいですがそろそろお別れです。
またどこか、またいつか。次の作品でお会いしましょう。
Mairo Murphy