A.若干だけど、うーんってところがあったからそれを直したかったからです。
始まり
俺は、女が嫌いだ。
別に差別しているわけじゃない。だけど、好きか嫌いかと問われれば嫌いだ。
なんで嫌いか……?だって……?
それは、俺が女に裏切られたからだ。でもまあ、勝手に女のことを好きになって勝手に信じ込んで勝手に裏切られていると思っている俺が悪いのかもしれないが……。
だから、俺は女が嫌いだ。要は裏切られたから女が苦手だ。
だがしかし、いつだっただろうか……。
いったい、いつからだろうか……。
こんなにも女を信用しようと思ったのは……。
自分でも馬鹿じゃないのか?アホだろお前。とか思えてくる。でも、俺はこいつなら、こいつ等なら信じても良いのかもしれないと思ったんだ。
そうこの五姉妹なら……。
◆◆◆◆◆
レジから何度も何度も声が聞こえてきていた。上を見上げれば白い天井、白い蛍光灯が眩しいぐらいに光っている。
俺は今バイトに黙々と専念していた。時給980円。スーパーのレジ打ちだ。もしかしたら、スーパーのレジ打ちで980円ってのは高額なのかもしれない。因みに、17時以降は、1000円だ。このスーパーは夜10時までやっていると言うサラリーマンの帰宅帰りでも買える優れたスーパーである。でも、東京とかは普通に時給1000円とか余裕でするらしいから、もしかしたらウチは低いかもしれない。
そんな時給のことを気にしながら今日も今日とてカゴを取り出しては、お客様の商品を別のカゴに移していた。
「いらっしゃいませ!」
悠々と作り笑……ではなくて笑顔でお客様を迎えた。このスーパーにやってくるお客さんは、大体ご年配の方が多い。次に、ファミリー層が多いだろう。
偶に、お客様とて許せぬような奴がやってくるがそんな奴には大体丁寧に対応すればどうにかなる。どうにかならないときもあるのだが、そんなときはウチの店長がどうにかしてくれる。
「ありがとうございました!またお越しくださいませ!」
ハキハキとした態度でお決まりの台詞を言いながら俺は次のお客様の商品のレジ打ちをしようとしたとき、偶々お客様と目が合った。そして、その人物は……。
「上杉か」
アホ毛みたいな毛が二本、黒い髪、死んだ魚のような水色の瞳。勉強バカ、根暗、陰キャなどと散々な称号をつけられている上杉風太郎とはこいつのことだ。そして、俺はこいつの親友だ。自分でも思ったが、親友のことボロクソに言い過ぎた気がする。流石に反省しておこう。
「空、頼みがある」
上杉がレジに寄りかかりながら、若干頭を下げてきた。周り見てるから勘弁してくれ。
「なんだ?今、接客中だ。出来れば手短で話せといいたいところだが後ろにお客様もいる。後、30分ぐらいでバイトは終わる。フードコートか何処かで時間を潰しててくれ」
因みに、此処はイ〇ンではない。イ〇ンは大体フードコートは21時で閉まるからな。
「そうか、ありがとう」
上杉は丁度のお金を出してカゴを持って机の上でレジ袋を開け始めていた。今日の晩御飯だろうか、でもかなり質素なものだ。上杉の家が、貧乏のことは知っていたがあそこまで質素なものを食べていると逆にこっちが不安になってくる。
そうだ、今日はらいはちゃんと勇也さんも呼んでファミレスでも行こうかと思いながら、俺はレジの仕事を続けていた。それから、約40分ぐらいが経ち……。
バイトも終わり俺は上杉と共にファミレスに来ていた。勿論、今回は俺の奢りである。それから5分ぐらいが経っただろうか、勇也さんがらいはちゃんを連れて俺達のところにやって来た。
「いやぁ、すまないな……!空くん!奢ってくれるなんて……!」
勇也さんがハハハッと笑いながら、メニュー表を開いていた。
「お父さん周りの人見てる。すいません、空さん」
苦労人、らいはちゃんが勇也さんに代わって頭を下げていた。
「いや、いいんだよらいはちゃん。どうせ、俺はこんなときぐらいしかお金使わないだろうから」
こうして俺がファミレスに連れて行ってやることもあった。勿論、偶にはこいつの妹であるらいはちゃんを連れて行ったこともあった。俺は別段気にしてないが、らいはちゃんはこうしていつも俺に謝ってくる。まあ、俺が好きで奢ってるしバイトの金だって使い道に困っているし金には困っていない。
「そういえば、上杉。頼みってのはなんだ?」
上杉が、パスタを頼み、勇也さんがステーキハンバーグを頼み、らいはちゃんはグラタンを頼んでいた。因みに、俺は上杉と同じくパスタである。
「実はな、家庭教師のバイトを頼まれたんだ」
上杉が俺にコーラ、らいはちゃんにメロンソーダ、勇也さんはコーヒー、上杉は水を飲んでいた。いや、お前もドリンクバー飲めよ。
「そうか、それは良かったな。勇也さんが探してくれたのか?」
上杉が家庭教師のバイトを探してくるとは思えない。家庭教師のバイトはあまり募集していないものだ。それに、高校生で許可されたというのもかなり怪しい。となると、勇也さんの知り合いだろうか。
「そんなところだ。それでだ、親友のお前に頼みがある」
上杉家の借金問題もこれで無事解決できそうな話だと思いながら聞いてると、上杉の言葉で次に出る言葉がなんとなく想像できていた。
「一応聞いておくが、その教え子ってどんな奴なんだ?」
「親父の話を聞く限りでは、女らしい」
女か……。過去のトラウマのせいであまり女が好きじゃない俺としてはあまり手伝いたくないことだと思いながら、ただ黙っていた。
「それと、最悪なことにその教え子ってのがどうやら俺が今日喧嘩した女子らしいんだ」
今日喧嘩していた女子……?ああ、確か食堂で上杉が相席してたやつか。俺は違う奴に呼ばれ違う席で食べていたがまさかそんなことになっているなんてな。ただ、最後にアイツがどうもお前が悪いだろみたいなことは言っていたのは間違いない……。まあ、女子に太るぞとか言ったらそりゃあ嫌われるのも無理ないわな。
「お兄ちゃんのことだから、また失礼なこと言ったんじゃないの?」
といわれてしまい、ただ黙り込んでしまう上杉。図星か。
「ガハハッ、風太郎そんなだから女の子にモテないんだぞ。お前も昔は……」
「親父、空が居る前で昔の話は勘弁してくれ」
上杉はどうやら、昔の話をされるのが嫌なようだ。俺と同じなのか……?と思いつつ、俺は上杉の話を聞いていた。
「そういえば、その女子の関連しているのか分からんが……。俺のクラスにそいつと同じ顔した奴が転校してきていたぞ」
確か名前は二乃とか言ってたか……。ミーハーみたいな奴だからすぐにクラスに馴染めそうだな。とは思っていたが……。
「マジか、じゃあ双子ってことか?」
双子か……。このご時世に珍しいことだ。と思いつつ、俺は来たパスタを食べ始める。
「だとしたら、尚更お前の協力が必要だな。頼む、俺に協力してくれ!」
上杉の頼みだ。無益にはできない。俺はこいつのことを親友だと思っている。だからこそ、親友の頼みは聞くべきだろうと思っている。しかし、女子と関わることになるなら正直考えものだ。
「……少し考えさせてくれ」
まだ拒否するよりはマシだろう。
「分かった、お前にもお前の事情があるだろうからな」
「ところでなんで俺なんだ?」
俺以上に頭のいい奴なんて存在する。なのに、上杉は何故俺を選んだのだろうか?と不思議に思っていた。
「高校1年生のときは、空テストの点数高かっただろ?それを思い出してな」
そういうことか……。確かに俺が高校1年生の頃は、余裕で80点ぐらいの点数は取っていた。ただ、英語が苦手だったため、英語だけはいつも不安定な点数を取っていた。
だが、今の俺はあまり点数が良いとはいえない。それぞれ50点ぐらいの点数だ。上杉と対等に歩けるぐらいの点数ではない。増してや、人に教えられる点数じゃない。
「そういうことか……。分かった、すぐには答えは出せないが一週間以内には答えを出す」
「そうか、そう言ってくれると助かる」
その後、俺達は黙々とご飯を食べ始めた。途中、勇也さんが意味不明なことを言い出したりしていたが半分聞き流していた。勇也さんが言っていることを一々聞いていたら時間が取られる。
そして、次の日……。上杉の為にも情報だけは収集しておこうと思い中野二乃という女のことを観察していた。勿論、本人にはバレないようにだ。クラスではかなり女子の人気が高く人望も厚いようだ。男からも割と隠れファンみたいなのも居るっぽいといったところか。
でも、ただの表面だけって可能性もあるから何ともいえないが……。いや、これは失礼だな。やめておこう。
「おい、脇城」
一人の男子が俺が中野二乃のことを見ているのに気づいたのか、話しかけていた。こいつは……誰だったっけ。
「なんだよ?」
誰でも良いか、適当に男子Aとでも名付けておくか。
「中野さんに興味があるのか?」
なんだこいつ……。と思いながらも、丁度いい何か中野二乃について情報を知れるかもしれないと思った俺は話を続けさせた。
「俺、昨日中野さんに告白してきたんだけど断れちまったんだよ」
いや、そりゃあお前初日だぞ。まだ、俺達と出会って初日だぞ。そんな奴がいきなり好きです、付き合ってくださいなんて言われてもごめんなさいと言われるだけに決まってるだろと心の中で呆れながら、こいつ馬鹿だろと思っていた。
「行けると思ったんだけどなぁ……。あっ、そういえば知ってたか?」
何処がいけると思ったんだこの馬鹿は……。
「中野さんって5つ子らしいぞ」
「五つ子ねぇ、そんな漫画じゃあるまいし……」
俄かに信じがたい……。そんな気持ちだった。
「冗談じゃねえってほんとだよ」
俺は男子Aのを見た。大抵、人の目を見れば嘘をついているかはわかる。女の場合は分からんが……。そして、見た結果分かったことがある。
「五つ子ねぇ……。面倒なもん頼まれたもんだな、上杉……」
授業も一旦昼休みとなり、俺は一直線に学食に向かおうとしたとき……。
問題が起きた。いや、問題というより思わぬ出会いがあったのだ。
「参りましたなぁ……」
一人の少女が困っているのか、辺りをキョロキョロとしている。無視だ、無視。
「参りましたなぁ……」
だが、俺の性格上こういうのは無視できない傾向にある。こういうところがあるから、女に騙されやすいんじゃねえのかな俺って……。
「えっと、キミどうしたの?」
「えっ?はい、実は学食を探しておりまして……」
顔を見ると、中野二乃にそっくりだった。どうやら、五つ子というものも本当っぽそうだな。
「あー、そうだったんだ」
案内する分には全然いい。しかし、後で面倒なことを言われるのだけは避けたい。例えば、お前いきなり転校生口説いてたのか?とか……。実際、そんなことを言う奴は少ないが言われるのが一番イラつく。
だが、やはり俺の性格上こうやって困ってる奴を見過ごすことはできないようだ。やっぱり、こういうところなんじゃねえかな。
「そうだ、もし良かったら俺が案内しようか……?えっと……」
「あっ、私中野四葉です!」
彼女はこんな俺に笑って見せた。しかし、逆にその笑顔が俺にとって嫌なことを思い出させることに繋がるのであった。そう、それは中野四葉の笑顔があいつと似たような感じがしていたからだ。
『ねっ、空……!』
あいつの笑顔が脳内でチラつく。俺はチラつかないよう何度も何度も歯を噛み締めていたのであった。しかし、それでもアイツのことを思い出してしまってしょうがなかった……。