五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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次女との話

 三玖と軽く雑談を済ませた後、俺は一花達と別れて自分のクラスの教室に戻る。

 

「あっ、空じゃん。サボってたの?」

 

 教室に入ると、スマホを弄っていたギャルっぽい女子に声を掛けられる。

 こいつは確か、二乃とよく一緒に居た奴か……。

 

「そんなところだ。二乃の奴が何処に居るか知ってるか?」

 

「二乃……?学校には来てないよ」

 

 二乃の奴、学校に来ていないのか。

 当然か、俺や上杉に会う可能性も高いだろうからな。

 

「何か伝えたいことがあるなら、連絡しておく?」

 

「いや、連絡先は知っているから別にいい」

 

 と言っても、俺が連絡しても連絡は付かないだろうな。最悪、拒否されている可能性が高いだろう。

 しょうがない、学校が終わったら四つ子にあいつが何処に居るのか聞いてみるか。

 

 

 

 ――放課後。

 学校が終わった俺は二乃の居場所を聞く為に五つ子のクラスに向かっていたのだが……。

 

「少しいいかな」

 

 一花のクラスを目指していた俺に話しかけてきたのは江場だった。

 

「なんだ、駅伝の誘いか?余程人が足りてないんだな」

 

「言ってくれるね。今は四葉さんって言う天才が入ったからいい成績が残せること間違いなしだよ」

 

 あいつが天才か……。

 あいつでも天才だと言われることがあるんだな……。少しあいつのことを揶揄しながら俺は鼻で笑う。

 

「そうかよ、なら人材には困ってないだろ」

 

「それが一人の子が駅伝に出場できるか分からなくなったんだ。それでどうかな?」

 

 分かってはいたが、俺に駅伝に出ないかと言う誘いってことか。

 ……駅伝か。俺の場合、あんまり駅伝に向いている訳ではない。それに、俺にはやるべきことがある。なら、此処は……。

 

「悪いが、保留にしておいてくれ。俺は急いでいるから此処で失礼するぞ」

 

 あいつと別れる際、四葉のことを何か言おうとも考えたが、そこまで出過ぎた真似はしなくていいかと思って何も言わず俺はその場を去り、俺は一花のクラスに向かう。

 

 

 

 

「あっ、やっほーソラ君」

 

 一花のクラスに入ると、クラスの人気者である一花に話しかけるまでにかなり時間が掛かったが俺の存在に気づいた一花が俺に話しかけてくる。

 

「二乃の居場所知ってるか?」

 

「二乃の居場所かぁ……。私はあんまり詳しく知らないんだよね。確か、三玖なら知っていると思うよ」

 

 三玖なら知っているか。

 なら、クラスに行くのも面倒だから三玖にメールで二乃の居場所を知っているか、聞いてみるか。最初からこの方法を取った方が早かった気もするが気のせいか。

 

「二乃の居場所知ってるか?」

 

 と俺は連絡する。

 すると、すぐに返信が返って来る。

 

「二乃の居場所?ホテルに泊まっているよ」

 

 と言いながら、場所を地図をスクショしながら俺に返信を返してきた。

 俺はそれを見て「ありがとう」とだけ返し、向かおうとするが三玖からすぐに返事が返って来てそれを見る。

 

「多分、ソラ一人で行ったら中に入れてもらえないと思うから私も行くよ」

 

 と返信が返って来る。確かに俺一人が言って、「中野二乃」って奴居ますか?って言われても応対してくれないだろう。なら、此処は三玖と一緒に行くのが最適だろうな。俺は三玖を待つために昇降口にて待つ。待ちながら、俺は色々と考え事をしていると三玖が来る。

 

 

「それじゃあ、行くか」

 

 と言いながら、俺と三玖は歩き始める。

 しかし、三玖が止まり俺はどうしたのだろうか?と思いながら、待っていると……。

 

 

 

 

「ソラに言いたいことがあったんだ」

 

 俺に言いたいこと……?なんだろうか……?

 

「ソラが元気で良かった」

 

 その言葉を言われて俺は笑みを浮かべていたような気がしていた。

 俺達は色々と話しながら、二乃が居るホテルに向かう。

 

 

 

 

「此処だね、二乃が居るホテルは……」

 

 二乃が止まっているホテルを俺達は下から見上げる。

 どうやら、二乃が止まっているホテルはかなり高級そうな感じなホテルのようだ。根拠にして良いのか分からないが、厳重に警備員もいるようだ。さてどうやって三玖が二乃の居る部屋に入るのか見せてもらうかと思いながら俺は変装した三玖の姿を見ながら俺はその後を着いて行こうとしたが……。

 

「なっ!?またあんた来たの!?」

 

 先にホテルに入った三玖にロビーに出てきた二乃が気づいて言う。

 俺はそれを見てから、俺は三玖に近づくと二乃はこちらに気づいて一瞬チラッと見ていた。

 

「それであんたは何しに来たの」

 

「俺は……」

 

 決意を固めるかの如く、拳を強く握り締め俺は二乃をしっかりと見る。

 

 

 

 

 

 

「謝りに来たんだ。俺が悪かった、俺は自分が思った以上に不甲斐ない奴だった。すまなかった……」

 

 俺が深々と頭を下げると、二乃は溜め息を吐いていた。

 二乃になんて言われようとも俺は受け入れるつもりだった。それが俺に与えられべき罪なのだから。

 

 

 

 

 

「こんなところであんたの情けない姿を晒されたら周りが迷惑するわ。部屋入るわよ」

 

 俺はそう言われた声を聞いてから、二乃に部屋に案内された。

 

 

 

 

「言っておくけど、あんたの謝罪を認めた訳じゃないから」

 

 部屋に案内された俺達は二乃に出された紅茶を飲みながらその言葉を聞かされる。

 

「別に構わねえよ……。それで単刀直入に聞くが家に戻る気はねえのか」

 

「当たり前よ、あんたの謝罪を待っていた訳じゃない。待っているのは、あんた達が家庭教師として消えてくれることよ」

 

 俺達が家庭教師として消えてくれることをか……。

 一花や上杉から大方話は聞いている。でも、俺達が家庭教師として消えてくれることが目的ってのはどういうことだ……?

 

「まだそんなこと言ってる……」

 

「当たり前よ、私はこんな奴らなんかと会わなければ良かったと思ってるのよ」

 

 かつての姉妹を取り戻したいからか……。いや、違うだろう。だったら、なんだ。駄目だ、こればっかりは思いつかねえ。俺は二乃のことをよく理解しているつもりだったが、三玖のときと同じだ。まるで分かっちゃいなかったんだ。

 

「じゃあ、なんでソラを部屋に入れたの」

 

「そ、それは……」

 

 二乃は三玖に俺を何故部屋に入れたのかと言われて言葉に悩んでいた。

 

「偶々暇だったからよ。話し相手も居ないし……」

 

「あっ、そう。五月に謝る気はないの?」

 

「それは絶対に嫌!」

 

 五月とは謝る気がないか……。

 当然か、と思いながら俺は息を吐いて立ち上がり三玖の方を見る。

 

 

 

 

「仕切り直すぞ、三玖」

 

 これ以上居ても進展はしないだろうと思った俺は三玖にそう提案する。三玖も俺の考えが分かったのかすぐに動く。とりあえず今日は謝罪できただけ良かったとするかと思いながら、俺は三玖を連れて帰ることを選択する。

 

「それじゃあ、また来るぞ二乃」

 

「もう来なくていいわよ!」

 

 帰り際、それだけを伝えて俺と三玖を帰ることにした。

 俺もまだまだだな。二乃の奴のことを分かった気のようになっていたつもりだったが、まだあいつのことを理解できていなかったんだから。でも、あいつのことを理解なんてできるのだろうか。三玖のことを気づけなかった俺だ。

 二乃のことなんて……。

 

 

 いや、そんなことを考えてちゃ駄目だ。分からないなら、あいつのことが理解できるようになればいいんだ。俺はそう思いながらも、三玖と共に帰り決意を固めていたそのときある奴から連絡が来る。

 

 

 

 

 

 

「話がしたいから来て」

 

 そう連絡してきたのは二乃であった。

 俺はその連絡を聞いて二乃が居るホテルに向かった。

 

 

 

 

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