「で話ってなんだよ……」
二乃に案内されるがままに部屋に来ると床は濡れており、若干であるが川臭い匂いがしている。誰かが此処に来ていたのだろうか……。
「さっきは三玖が居たから聞けなかったんだけど……」
「ソファー座りなさいよ」と言われ、俺はゆっくりと座る。
そして、俺に二乃は紅茶を用意する。
「あんた何かあったの……?」
若干濡れている床を再度見て俺はなんとなくだが誰が来ていたのか分かった気がしていた。ただ、それを口には出さず二乃に聞くこともなかった。
「どうしてそんなことを聞きたいんだ?」
別に二乃に話してもいいとは思っていた。
しかし、その前に何故そのことを聞きたいのかを俺は確認した。
「興味があるのよ。今のアンタはまるで最近までのアンタと違う気がしたからよ」
言葉では表せないがって奴か……。
俺はその言葉を聞いて俺が何故吹っ切れたのかを話そうと考えた。
「そうか……。なら話してやるよ」
「俺はかつて好きだった女が居たんだ」
あいつの事は今でも思い出すことはある。
「でも俺は裏切られたんだ。好きだった女にな……」
でも今は思い出してもしょうがないだろうと思うようになった。
「だから俺は女を信用できなくなっちまったんだ」
「でも、今は違う。面と向かって言うのは恥ずかしいが、お前らを見て気づいたんだ」
「お前ら五つ子なら信用できるってな」
こうして面と向かって言うのは恥ずかしかった。
でも、言って後悔はなかった。心が涼しくなっていたから。二乃は先ほどまで紅茶を飲んでいたが俺が話を始めてからピクリとも動かずに話を聞いていた。
「そう……。なら、私も言いたい事がある」
「ごめんなさい、事情も知らないで……」
二乃は俺に頭を下げて来た。
俺はその姿の二乃を見てすぐに二乃にこう言う。
「頭上げてくれ、俺に謝罪するなんてお前らしくねえじゃねえか」
そう言われると、ニ乃は頭を上げてくる。
正直言って、二乃が謝罪してくるとは思わなかった。
「謝って当然よ。アンタはその子に裏切られて辛かったのね……」
辛かった……か。きっとそうだろうな。
俺は立ち上がり、二乃が居る方のソファーの方に行く。
「アンタの話を聞けて良かったわ。丁度良く泣ける話が聞けた」
二乃の方に行くと、俺の目にはテーブルに置いてある破られた後がある紙が目に入る。
「そうかよ。ところでこれは問題用紙か?」
やったような痕跡が残っている。
どうやら先ほどまで二乃は勉強をしていたようだ。
「
どうやら思っていたより上杉のことを嫌っている訳じゃないようだ。
このまま行けば良い方向に行くかもしれないと俺は思っていた。
「そうか。なら期末試験の方は大丈夫そうだな……」
俺は感心しながらその問題用紙を見ていた。
「ねぇ、アンタに一つ聞いてもいい?」
問題用紙を見終えた俺に二乃は真剣な様子で聞いてくる。
その顔を見て、俺は二乃の隣のソファーに座って無言で頷く。
「
「アンタはどう思う?」
此処に来ていたのは上杉だったのか……。
そして、上杉が二乃に言った言葉か……。過去を忘れて受け入れいないといけない。こんなことを聞いて来ると言うことは、二乃は変化を恐れているということだろうか……。
「確かに人間は変わる生き物だ。俺もそう思う」
俺が変われたようにきっと他の人間も変わって行くのだろう。
「そう、あんたもそう言うのね」
「分かってるわよ、人は変わらなくちゃいけないって……」
二乃は何か言いたげにしながら俺を見ている。
それに気づいた俺はこう付け加える。
「でも変わりたくないなら変わる必要なんてものはないんじゃねえのか。大切なのはお前ら五つ子が五つ子としてあるべき形になっているのが一番なんだからな」
「私達が私達としてあるべき形にか……。随分と難しいことを言うわね」
確かに難しいことなのかもしれない。
でも、俺が見てきた五つ子ならきっとそれは簡単なはずだと思っていた。
「でも、アンタの言いたい事分かる気がするわ」
二乃は納得でもしたのか、そう言いながら俺に言ってきていた。
それから俺は二乃と色々と話をしていた。
「アンタそういえば学校には来ているの?」
「来ている」
「そう、なら私も明日学校に行くわ。いつまでも休んでる訳にはいかないでしょ」
俺はその言葉に「そうか」とだけ答えてその場を去った。
二乃は俺と話して何か思うところがあったのかもしれないなと思いながら俺はその日ホテルを出るのであった。俺はその後、今日あったことを上杉に伝えて、そのまま熟睡するのであった。
◆◆◆◆◆◆
「終わったー!」
勉強を終えた四葉が横になりながら勉強を終えると、三玖と一花が褒め称えていた。
「今頃五月と二乃も勉強しているのかな?」
「そうだね。四葉携帯鳴ってるよ」
一花がそう言うと、四葉は「五月かな?」と言いながら携帯を見ていた。携帯を見た四葉は「あっ、陸上部の部長だ」と言いながら、四葉はお風呂場の方へと行くのであった。
「当事者同士で解決した方がいいと思っていたけど、やっぱりそうも言っていられないみたいだね」
自分のことは自分で解決させるべきだと考えていた一花であったが、そうも言っていられないと四葉や二乃達の姿を見て思っていたのである。
「三玖。私も頑張るから、お互いにできることをしようか」
「そうだね、一花」