五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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五女との食事

「この度は御迷惑をおかけまして……」

 

 戻って来た四葉が俺達の前で土下座をしながら謝って来る。

 

「朝から大変だったねー」

 

「全ては私の不徳の致すところでして……」

 

 そのまま続けている四葉。

 完全に無視されてるな四葉の奴……。どうでもいいが……。

 

「朝ごはん食べ損ねちゃったね。帰りに買って来ればよかった」

 

 二乃が居ない間、俺がこいつらに飯を作っていた。

 飯を作って食べているときのこいつらを見ている限り、美味しかったのは間違いないと思う。

 

「でも今日はシェフがいる」

 

「誰がシェフよ」

 

 二乃が三玖の言葉にツッコミを入れていた。

 

「その前に……」

 

 

 

 

「おかえり」

 

「ただいま」

 

 戻って来た二乃と五月の姿を見ながら俺は達成感のようなものを感じていた。

 

「さて、こいつらも帰ってきたことだし始めるぞ。試験勉強」

 

 二乃達の言葉を聞いた後に早速動き出したのは上杉だった。

 

 

 

 

 

 

「すいません、肉丼ください!」

 

 勉強をある程度終えて、俺が今やって来ているのは大盛料理店。

 何故こんなところにやって来ているのかというと、今日の一件を終えて無事解決出来たということでその祝賀会というところだろう。後、単純に昼飯を食べに来た。

 

「ああ、俺も同じもので」

 

 一緒に来ているのは五月だけなんだが……。

 他の奴らはというと、まだ勉強を続けている。俺と五月は少し休憩がてらにこの料理店にやってきているのである。

 

「それにしても、脇城君よくこんなお店を知っていましたね」

 

 此処は住宅街の奥にあるお店なのであまり気づかないことが多いお店なのである。しかし、俺は此処に一度来たことがあった為、いつか此処に五月を連れて来てやるかと思っていたのだ。

 

「ああ、少し前にバイト先の人間に教えてもらったからな」

 

 そのことを言っていると、携帯にメールの着信音が鳴る。メールを見ると、送り相手は江場だった。何のことだろうか?と思いながらも、携帯を見ると「今日はすいませんでした」というメールが来ていたのだ。寧ろ、俺の方が「すいませんでした」と言いたい気分だと思いながらもその言葉をメールに送る。

 

 すると、次に聞いて来たのは「四葉さんと付き合ってるって本当?」と聞いてくる。「付き合ってない」と返すと、納得したのか何も送って来なかった。四葉で思い出したが、あの後結局あいつは大会にだけ出ることになったらしい。俺もさっきそんな感じのことを聞かれてそう答えたが……。

 

「それに前に約束しただろ。いつか連れて行ってやるって」

 

 確か言ったのは俺が五月に連絡先を聞いたときだ。

 

「お、覚えていてくれたんですか!?」

 

 覚えていてくれていたことが嬉しかったのかそう言う五月。

 俺は五月の笑顔を見ながら、「ああ」と答える。

 

「それで勉強の方は大丈夫なのか?」

 

 五月の勉強は今は上杉が見ている。俺も見ているときもあるが、基本的に上杉に任せている為俺は五月の勉強の出来がどの程度なのかあまり知らないのである。だから俺は聞いたのだ。

 

「勉強ですか……。私の方は順調です」

 

 五月の様子を見る限り大丈夫かも知れないが、赤点回避は流石に難しいだろう。今回はこいつらの父親から制限を設けられていない。あまり気負いすぎるのも駄目だろうが、今回は赤点を回避できたかもしれないと考えると自分の力不足を否めない。

 

「そうか、五月がそう言うなら大丈夫だろうな」

 

 力不足か……。

 俺がもっと早くこいつらの前に戻って来ていたらこんなことにはならなかったのかも知れないなと思いながら、俺は水を一気に飲む。

 

「はい、肉丼お待ち」

 

 一度だけ食べた事があるが、やはり凄い肉丼だ。と言うのも、肉が肉に包まれており、その下を捲ると更に肉が敷き詰められているのである。最早、芸術そのものような感じもする肉丼である。

 

「す、凄いですね……」

 

 小声で五月が言って来る。流石の五月もこの肉丼を目の前にしたらこう言ってくるのも当然か……。俺は「そうだな」とだけ返し、この肉丼の攻略を進める。肉を口の中に入れると当然かのようにぎっしりとしている油が俺の口の中に入って来る。その感触に若干気持ち悪くなりそうになるが、俺はそれでも水を飲みながら食べ続ける。

 

 既にしんどいが俺はそれでも食べ続ける。流石の五月もこれを食べ続けるのは不可能だろうと思いながら五月の方を見ると……。

 

「これなら幾らでも食べられます!」

 

 な、なんだと……。

 こいつの胃袋は本当にどうなってんだ……。俺は目の前に居る五月と言う女の胃袋が化け物染みていると驚くしかなかった。いや、そんなことよりこれを全部食べなければ……。この前行ったときは極限までに腹を空かせていたから全部食べれたが今回ばかりは食べれるかも分からない。ただ、俺的には残すのは駄目だろうと思っているから全部食べるつもりだ。

 

 

 

 

 この肉丼と格闘を続けること数分が経った。

 

「後もう少しか……」

 

 どんぶりの底が見えつつあることに俺は喜びすら感じている。五月はと言うと、既に食べ終えており満足しているかのような顔をしている。こいつの胃は本当にどうなってんだ。と俺は五月のことを少し気になりながらも最後の攻略に挑む。

 此処まで来れば、肉に米を挟んで一気に口の中にぶち込むのみ。

 

 

 

 

 そして、遂に完食するときが来た。

 

「ごちそうさまでした」

 

 俺は箸を置いた後にそう言いながら、完食できたことにある程度の満足感を得て水を飲む。ただ心の中で思ったことがある、二度と食いたくねえ……。

 

「会計、俺がするよ」

 

 会計が書かれた紙を持って俺は立ち上がる。

 五月は俺が会計することに申し訳なさそうにしていたがそんなことは気にせず、俺はせっせと会計に行き金を払う。

 

「すいません、脇城君」

 

「気にすんな、俺が払いたくて払ったんだからな」

 

 そう俺が払いたくって払ったから気にしないでもらった方が心が楽である。それに、バイト代だって俺は使い道なくて困っているから別にいいと思っている。

 

「飯美味しかったか?」

 

 手をポケットに入れながら、俺は五月と歩きながら喋り始める。

 

「はい!とても美味しかったです。ですが、あそこまで量が多いとは思ってもいませんでした……」

 

 俺も初めてあの店に来たときは俺もそう思っていたな。と思い出しながら、俺は五月の話を聞いていた。

 

「それにしても大丈夫でしょうか……。お昼からこんなに食べては太ってしまうかもしれません」

 

 太るか……。

 失礼な話だが確かにあの五つ子の中で一番太っているのは五月だろう。だが、そこまで気にすることはないんじゃないかなと俺は思っていた。と言うのも、そんな目立つほど五月は太っている訳ではないからだ。

 

「無理なダイエットは体が疲労するだけだから止めておいたほうがいいぞ。まあ、やりたいって言うならランニングとかなら手伝うぜ」

 

 痩せたいならランニングすることが大事ってのは聞いたことがあるからな。それに、ランニングは駅伝も出ることだしある程度走りの練習はしておいた方がいいと考えているからだ。

 

「本当ですか!?助かります!」

 

 五月は嬉しそうにしている。

 そんな五月を見て、俺は少し鼻で笑ってしまう。

 

「あ、あの脇城君!また今度こうやって二人で何処かに行きませんか?」

 

 珍しく積極的な五月に俺は「珍しいな」と思いながら、その言葉にこう返す。

 

「構わないぞ」

 

 五月と居るのも悪くないなと思いながら、そう返す。

 

「そうですか!じゃあ今度また連絡とかしますね!」

 

 五月はそう言いながら、喜色満面な顔を見せつけてきていた。

 俺はその顔を見た後に五月もこういうところがあるんだなと思うのであった。

 

 

 

 

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