五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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五つ子と期末試験

「ほらほら、どうした遅いぞ四葉」

 

 今は土曜日……。

 俺と四葉は河川敷を一緒に走っている。此処は最近俺が走る場所と決めており、此処をいつも走っている。

 

「は、速いですね!脇城さん!ですが、私も負けませんよ!」

 

 四葉は俺のスピードに追いつく為に一気に走って来る。

 此処まで速い速度で涼しい顔をして走って来るとは流石四葉と言ったところだろうか。

 

 

 

 

「ぜぇぜぇ……お前速すぎるんだよ……」

 

 走り終えた俺と四葉は互いに息を切らしており、俺が水を飲んだ後に言う。

 

「そ、そういう脇城さんこそ速かったですよ……」

 

 四葉は汗を拭きながらそう言う。

 何を言ってやがる。こんなに走ってケロッとしていやがるくせに……。そんなことを思いながら、俺は熱くなった体をタオルで汗を拭くのである。

 

「四葉、体の方は暖まって来たな。それじゃあ、今度は頭を暖めに行くぞ」

 

 俺はあいつらの家に入りながらそう言う。四葉も俺が家の中に入って行くのを見てから、俺の後を追いかけるようにしながら走って来ていた。

 

「それじゃあ、空は三玖と二乃の勉強を頼む」

 

 元々俺は二乃と三玖の勉強を引き受けていたが、今回もどうやらそのような形になるようだ。勉強の方は、最近楓姉や上杉の助力もあってようやく高校一年生レベルの頃までには戻って来ているような気がする。これも二人のおかげだなと心の中で二人に感謝しながら、俺は二人に勉強を教え始める。

 

「ソラ、此処の文法の使い方がよく分からないの」

 

 三玖がやっているのは苦手な英語だ。珍しいなと思っていたが、最近ではよく苦手な英語でも挑戦しようと頑張っている姿を見て俺も頑張らなくちゃなと思う日々が多い。それは当然二乃にも言えたことだ。

 

「ソラ、あんた此処の古典教えなさいよ」

 

 二乃も一番不得意である国語の勉強をしている。今回は古典がメインではないが、多少出るということもあって二乃はちゃんと勉強をしようとしているのである。そんな二人の姿を見て、やっぱりあのときより成長しているなと思っていた。そんなことを思っていると、携帯にメールの着信音が鳴る。メールを確認すると、あいつらの家の前に来て欲しいというメールが上杉から来るのであった。そのメールを見た俺は家の前に向かう。

 

 

 

 

「なんか用か?」

 

 上杉に呼ばれた俺はマンションの外にやって来ていた。上杉はいつにもまして真剣そうな表情でいた。これは只事ではないと思いながら、俺は上杉が話すのを待っていた。

 

「空、俺はあいつらの家庭教師を辞めようと思っている」

 

 その言葉にまだ続きがありそうな感じがして、俺はその言葉を待つ。

 

「お前が決めたことだ、咎めはしねえよ」

 

 あいつの言いたいことは分かっていた。これからはあいつの代わりに俺があいつの家庭教師として頑張って欲しいと言うことを言いたかったのだろう。あいつが家庭教師を辞めるということについて、それを咎めるつもりなんてものはない。

 

「あいつらにはなんて言うつもりなんだ?」

 

「何も言わないで消えるつもりだ。それが俺達にとってもあいつらにとっても一番良いことだろう」

 

 本当にそうだろうか……。

 俺はそう思っていたが、上杉が決めたことだ。口出しするつもりはないと思っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 次の日……。学校の屋上にやって来ていた俺と上杉。

 先ほど、上杉が「らいはに電話する用事がある」と言って抜け出してきたのだ。俺はと言うと、「少し用事を思い出した」と言って屋上に来ていた。

 

「今日をもって、俺は家庭教師を退任します」

 

 上杉は自分の気持ちを素直に言う。

 俺はその言葉を鉄格子に寄りかかりながら聞いていた。

 

「あいつらは頑張りました。ですが、赤点を回避できるほどではないでしょう」

 

 確かにこの土日に嫌と言うほど勉強を教えた。だが、それだけでは赤点を回避できるほどの実力にならなかったのは間違いないだろう。その事実を上杉は父親に教えていた。それから、少し電話をした後上杉はこう切り出す。

 

「一度、ご自身で教えてみてはどうでしょう?」

 

 上杉はそう言うと、父親はすぐに声を出してくる。

 

「知っていますか?二乃と五月が喧嘩して家を出たこと……」

 

 上杉の電話口の声が聞こえてくる。男の声は淡々としており、冷静な感じで話してるのが聞こえてくる。

 

「それだけですか?」

 

 その淡々と返って来た言葉に対して、上杉はそう返す。俺は上杉が何を言おうとしているのか、理解出来た為すぐに電話を奪う。

 

 

 

 

「少しは自分の子供のことぐらい見たらどうですか?」

 

 電話を奪った後に俺はそう言う。今回の件、父親と言う人間がちゃんとしていれば起きなかったかもしれない。そう考えたこともあったが、上杉が一番に思っているのは親としてあいつらに向き合って欲しいと思っているのを理解していた俺は冷静な自分を保ちつつそう告げる。

 

「それと、俺も家庭教師の方をやめさせていただきます」

 

 その言葉を言うと、上杉が驚いた様子でこちらを見てくる。

 

「それでは失礼します」

 

 他人の家のことなんて言えた義理じゃねえが、思った事を言うってのはこうもスッキリするもんなんだなと思いながら、俺は電話を上杉に返す。

 

「ソラ、本当に良かったのか?」

 

「今更何言ってんだ。お前が心配するのは来月の給料入るか、どうかだろ」

 

 上杉は「た、確かに」と言っていた。だが、今更そんなことを気にしていてもしょうがないだろうと俺は思っていた。

 

「後はあいつらがどうするかだな……」

 

「だな。だけど、あいつら五人が揃えば無敵だ」

 

 確かにそうかもなと思いながら、屋上を下りて行く上杉の姿を見ながらまだ少し時間があるなと思って、とあるところに電話をするのであった……。そして、電話を終えて数分鉄格子に寄りかかり、俺はそろそろ俺も自分の家のことを決着つけないといけないなと思いながら、俺は下りて行くのであった。

 

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