五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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五つ子と再会

「京都か……楽しみだね四葉。あのときは四葉が私達から逸れて色々と大変だったっけ……」

 

「あ、あのときはごめん……」

 

「別に今更いいよ、そういえばあの子は元気しているのかな?」

 

「あの子……?」

 

 四葉はこのとき気づいていなかった。

 目の前にいる一花が狙った獲物を捕食しようとしていることを……。それだけならまだいい。しかし、問題はどんな代償を払ってでも手に入れようとしているところだった。

 そこに気づいていない四葉は……。

 

「あ、あーあの子なら元気じゃないかな」

 

 四葉は知っていた。

 この学校にあの子に該当する子がいることを……。その人物は四葉達がよく話している子だということを……。それを知っているからこそ四葉は誤魔化していたのだ。

 

「ふーん?そうなんだ……まあいいや。そういえば……」

 

 一花の話は続いていた。

 結論から言うと、四葉と一花が上杉と組むことになったのだ。一花は少なからず四葉が上杉に好意があることを気づいていたが、自分と組むことで二人の仲を優先してくれるだろうと考えていたのだ。

 事実、四葉は自分の気持ちより一花の気持ちを優先させてあげようと考えていた。

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「お兄ちゃん、伸びきったパンツばかり履いてたらクラスの子に笑われるよ」

 

「今空に笑われてるところなんですけど……」

 

 今はショッピングモール……。

 上杉とらいはちゃんと一緒に来ており、上杉に合う服などを買いに来ていたのだ。しかし、上杉自体はあまり乗り気ではないようでらいはちゃんが自分のために使ってもバチは当たらないと話していたところだった。

 ちょうどそのときに上杉の下着の話になり俺は少し苦笑いをしていた。

 

「そういえばお兄ちゃん、五月さんたちにお返しはしたの?」

 

 今回の買い物、五月、四葉も一緒だと言うこともあり二人から少し離れた位置で会話をしていた。

 

「お返し……?確かにあいつから貰いはしたが……空お前あいつらにお返ししたか?」

 

「俺はお返ししたぞ」

 

 上杉が「えっ?そうなの」と言いたそうな表情でこちらを見てくる。貰ってばっかりじゃこっちも目覚めが悪いしな。三玖の場合、チョコを貰ったり色々とこっちが貰ってばっかりだったからな……。

 

「貰ったらお返しする、これ常識だよお兄ちゃん」

 

「分かった分かった……とは言ってもあいつらの好みなんて知らないしな。待てよ、今日の買い物であいつらの好みをリサーチすれば……!!」

 

 五月が何かを買いに行こうとしているのを追いかけようとしていたが……。デジャブかのように上杉は「下着を買うんです」と言われるのであった。

 上杉は五月が店の方へ入って行く姿を見て四葉と一緒に座ったのを見てから、俺はコーラが売っている自販機を探しに行くのであった。

 

「150円か……ったく缶コーラの値段もだいぶ世知辛くなってきたな……」

 

 昔は100円で買えていたという時代があるとは聴くけど、そんな時代に生まれて見たかったもんだ。全く……。財布からお金を取り出して自販機に入れようとしたとき、俺はお金を落としてしまう。

 

 少しついてないな……。と思いながらも俺はお金を拾おうとしたときであった。誰かが俺のお金を拾ってくれたようで俺はお礼を言おうとその人の顔を見たときであった……。

 

「お前……あのときの……」

 

 目の前に立っていたのは長髪のピンク髪の少女であった。

 俺はその少女のことを知っている。何故なら俺が学校の授業の一環で清水寺に来ていたとき出会った少女だったからだ。

 

「もう会うことはないと思ってたんだけどな……」

 

 彼女の姿は大人になったらこうなるんだろうという感じを思わせるほどの姿をしていた。

 

「元気にしてた空?」

 

「ああ、俺は元気にしてたよ……。そっちはどうなんだ?」

 

 再び自販機にお金を入れてボタンを押して缶コーラを取り出してそのまま缶を開けて口の中に入れて行く……。

 

「私も元気にしていたよ、キミはあのときから結構進めたみたいなんだね」

 

 あのときからか……。

 あの頃の俺は家族からも必要とされていないし、姉に対する劣等感も強い子供だった。誰からも認めて貰えてないと勝手に思い込んで、一人だと思い込んでいたんだ。そんなとき、京都で目の前にいるあいつと出会った。

 あいつは俺に誰からも認めてもらえないなんて可哀想だから、私が認めてあげると言ったのだ。俺は可哀想という言葉に若干イラつきはしたもののそれでも俺を認めてくれると言ってくれたことを俺は嬉しかったんだ。

 誰かに初めて認めて貰えた気がしたから……。

 

「そういうお前はどうなんだ、あの頃から一歩は進めたのか?」

 

 俺は一歩ずつ彼女の方へと近づいていく……。

 

「うん、私は進むことが出来たよ……。だから……」

 

 

 

 

 

 

「そうか、良かったな二乃」

 

「え……?今なんて……?」

 

 俺は今の目の前にいる彼女があのときの彼女ではないということはすぐに分かっていた。

 それを確信にさせるためにわざと質問を投げかけたが当たり障りのない答えが返って来た時点で全く違うと確信したのだ。もう一つ、俺が彼女に近づいた理由は彼女の匂いを確かめる為だ。

 

「そ、そうよ……私は二乃よ。私はあんたと出会えたから……」

 

「それも違うはずだ、俺と会ってるならちゃんと俺となにをしたのか覚えているだろ。それなのに、覚えてないっていうことは俺と会ったことがないっていう証拠だろ。違うのか二乃」

 

 少し強い言い方をしてしまっているような気がするけど、俺にとってあの子の出会いもきっかけの一つだということもあった。だから、あの子に扮して現れたことが少し癪に触れていたのだ。

 

「教えろ二乃、何故あいつに似せてまで俺の目の前に……待て!!」

 

 二乃、俺に帽子を投げてきていた。

 すぐにでも二乃のことを追いかけようとしたがもう既に遠くに行ってしまったようで追いかけることを俺は諦めるのであった。

 

 俺はその場で座り込み、あいつが何故あんなことをしてきたのか考えていた。

 考えられるとすれば、あのときの彼女になることで俺を揺さぶろうとしてきたのだろう。あいつが何故俺とあの子のことを知っているのかは置いておいて……。

 

 

 

 

 あんまりあいつ(二乃)を待たせてしまうのも駄目だな……。

 

 

 

 

 

 でもなんだこの違和感、俺はなにか違和感を感じているような気がする。

 此処で気づくべきだったなにかに……。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「やっぱり逃げちゃうのはまずかったかな……。でもあれ以上"ソラ君"と話し合う事もできないだろうし……」

 

「情報収集が必要かな、誰が鍵になれたのか。そこまで知ることが出来れば二乃との約束も果たせそうだし」

 

 手に持っていたのは二乃がよく使う香水であったのだ。

 

 

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