五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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次女の最悪な結果

「出来た……」

 

 ソラの為に丹精を込めて作ったパン……。

 勉強しながらバイトを掛け持ちのパン作りはとても大変だったし、何度ソラのお父さんに心配されたっけ……。明彦さん、凄く心配性のところがあるから仕方ないけど実際試行錯誤を練っていたときの私は酷く疲れているように見えていても仕方ないかもしれない。

 

 パン作りというものはかなり大変なものだったから……。

 あっそうだ。こっちも持って行かなくちゃ……。どっちも冷めちゃったけどソラなら美味しいって言ってくれるかな……。

 

 私はソラに作ったパンを包装していると、あることを疑問に思ってしまう。

 それはちょっと前一緒にソラ達と買い物に行ったときのことだった。私と二乃だけは別々に行動していたから、ソラ達に何かあったのかなんて分からなかったけどフータローもソラも何か考えている様子であったけど、何かあったのだろうか。

 

 結局それが何だったのかなんて分からなかった。

 あの考えていたことが大きなことにならなければいいんだけど……。

 

 

 

 

 

 

「うう、ん……?」

 

 四葉に起こされたような気がして私は起きる。

 ああ、そうだ。思い出した。私は今新刊線に乗っていて姉妹とトランプをしていたのを思い出した。朝のパン作りが思ったより体に堪えていたようだ。

 

「三玖、大丈夫?寝不足みたいだけど大丈夫?」

 

「だ、大丈夫……」

 

 四葉が私のことを心配そうに見つめていた。

 私がトランプを出すと、二乃が「遅いし、弱い」と言ってくるのであった。眠いからあんまり大きな声ださないで欲しいな……。私がウトウトとしながらもトランプが続いていると、一花からこんな提案を出される。

 

 

 勝った人がなんでも命令できる。

 その言葉を聞いた私は闘志が沸き上がり、眠気がさっぱり覚めていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 京都修学旅行、当日。

 家族旅行で私と一花は共闘することを選んだ。一花は修学旅行前の買い物でソラを催促するようなことをしたみたいだけど、私はそれを怒ることはなかった。私はあいつからの返事を待つとは言った。待つとは言ったけど、それはいつまでも待つとは言う意味ではないし、諦めが悪いとも言ったはず。あの行動はナイスとしか言いようがない。情報が足りてないことは仕方がないとは私は思うし……。

 正直、小学校の修学旅行で私達の中の誰かがあいつと会っていたという話を聞いていたのは本当に覚えている程度の話でしかないのだから。

 

 それに今回の修学旅行、少し不安要素がある。

 あの五月が何処か積極的なのだ。向けている矛先がフータローだから別にいいけど、あの矛先がソラに向けられたら厄介どころじゃないわね。あの子も恋愛に関しては出し惜しみはしない子だろうから……。

 

 そしてなにより問題となっているのは私のライバルとも言える三玖の存在。

 此処で決着をつける。これ以上引き伸ばすつもりはない。本当だったら家族旅行のときに決着をつけたかった。あのときの私は恥ずかしがってソラに告白することが出来なかった。

 

 だけど今は違う。

 一花に何を犠牲にしてでも何かを得ること、優莉から恋を押してこそということを学んだ。

 今の私になら乗り越えられるはずだ。

 

 

 

 

 恋は押してこそ……。

 恋は押してこそ……。私ならやれる、絶対にやれるはずよ……。

 

 

 此処そういえば学問の神様だったわね……。

 何を祈ろうか、考えていたけど迷ったけどとりあえず学力も良くなればあいつに褒められることも増えるわよね。なら一択だわ。

 

「本当にずっと鳥居なんだね!!」

 

 四葉の声が聞こえてくる。

 四葉達の班、上杉達は私達と一緒に自由行動をしていた。

 

「そういえば、五つ子だけの集合写真って撮ったことなかったわね」

 

 ソラが気を遣って私達だけの写真も撮ればいいとかなんとか言って一緒に混ざろうとはしなかった。

 まあいいわ、後で二人っきりの写真を撮ったりすることも考えているし……。いや、今撮らなくちゃダメよね。

 

「ソラ、その……二人っきりでも撮らない?記念にもなるから」

 

「あー構わないけどさ」

 

 私は二人っきりで写真を撮りつつ、奥へ奥へと進んで行った。

 悪くない調子だわ、二人っきりの写真。彼の隣……。今のところ順調に進んでいる。

 

「空ー!!やっぱ京都の空気は美味いなぁ……!!お前もそう思うだろ!!」

 

「俺は地元だから気にしたことないけどな」

 

 大きな声を出していたのは前田。

 そうね、ソラは友達が多いからこうやって他の子に話しかけられる事態もありえる訳ね。まあ男の子同士なら全然許すわ……。でも流石に私の告白を保留しといて姉妹以外の女子と仲良く話していたらちょっとムカつくけど……!

 対抗心が燃えそうになりながらも拳を強く握り締める。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……まさかこんなことになるなんて……」

 

 次の目的地を目指そうとしていた私達であったが、二手に分かれることになった。

 これも四葉がトランプで勝利してしまったことが原因だけど……。

 班が元々ソラとは一緒な私にとってはとっても悪いことではなかったが、隣に三玖が居ることもあって自由なことは出来ないが現状私から出来ることなんてなに一つない。

 

 仕方ないわ、此処は大人しく三玖と一緒にソラの隣を歩くしかないわね。

 それにしても、京都への修学旅行。まさか此処までずっと歩かされるとは思わなかったわ。こうなるなら、ソラが日課にしている朝のジョギングに参加しておくべきだった。

 

「大丈夫ですかー!二人共!!」

 

 階段の先で待っていたのは四葉。

 あの子も私達と同じ道を歩くことになり、体力のある四葉はソラと共に既に上で待っていた。

 

 全く体力があるってのは羨ましいわね。

 ようやく私達が上がって来ると二人はこんな話題で盛り上がり始める。

 

「脇城さん、私が二乃をおんぶしてあげますので三玖のことをおんぶして貰ってもいいですか?」

 

「ああ、俺は別にいいが……」

 

「え!?」

 

 な、なにを言っているのよ……!

 それって私が四葉におんぶされてあの子はソラにおんぶされて密着出来るってことよね。私の方はキスまでしたから圧倒的有利だけどもこんなの許される訳がないわ。でも、どうやって言い出せば……。

 

「ま、待ちなさいよ……!此処は公平にどっちがおんぶされるかじゃんけんで決めようじゃない」

 

「え、えっと……なんでおんぶされる側がじゃんけんすることになるのかな……」

 

「それは俺も同じことを思っていたところだ……」

 

 四葉のツッコミを無視しながらも私は三玖とじゃんけんしようとしていた。

 三玖もこのじゃんけんにどれほどの意味があるものなのか分かっているからこそ私はこのじゃんけんに集中しようとしていたときであった。

 

「悪い、ちょっと上杉に呼ばれたから俺行ってくるわ」

 

「なっ!?」

 

 ソラはそう言って、階段を下りて行く……。

 なんであいつはこういうときに限っていなくなるのよ……!しかも、あいつといる方向と真逆の方へ階段降りて行っているし……!!私は思うようにいかないこの事態に溜め息を吐きながらソラのことを待つことにしていると前の方から走っているような足音が聞こえてきたのだ。

 

 

 

 

「あ、あれ……?」

 

 反対側から誰かがやって来たのか、やって来たのは一花だった。

 しかし、目の前にいる一花は三玖の姿をしていたのだ。三玖は困惑した様子で一花のことを見ていると、四葉が一花の名前を呼びながら、一花の前へと歩き始めたのだ。

 

「一花、私家族旅行のとき確かに一花だけ我慢しないでって言ったよ。それなのに……我慢しないでしたいことって本当にそれなの……?どうして……」

 

 

 

 

「違うわ、四葉……。元々こういうふうに仕向けて欲しいと言ったの私よ」

 

「え……?」

 

 四葉は理解できないと言いたそうにしていた。

 

 此処に一花が三玖の姿をしている時点で私ははっきりと分かっていた。

 だから今まで一人だけ声を出そうとはしなかった。あの子に共闘を持ちかけようとしたのは私。こんな事態になってしまったのは私の責任でもあるのだから。

 

「私と一花は互いの為に手を組むことにしたのよ。それでこうなることも最初から分かっていた。そして……」

 

 

 

 

「三玖がソラに告白することも知っていたわ、だから私は一花に邪魔をするように仕向けた。正直こんな事態になるとは思ってはなかったけど、これは全部私の責任よ」

 

 三玖がソラのことが好きなんてとっくの昔から知っていた。

 姉妹の関係を崩壊させたくないと思っていた時期もあった。だけど、一花に蹴落としてでも手に入れなくちゃいけないと気づかされたし、恋を押してこそとも優莉から言われた。だからこうして自分で考えた結果、こういう結果になった。

 

 

 

 

 全部私が悪いわ。

 

 

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