五等分の花嫁 心の傷を持つ少年   作:瀧野瀬

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……まず一言、投稿サボっててすみませんでしたー!!
正直、久々に小説を書いたのでガバガバかも知れないんでそこは感想や誤字報告等で言って貰えると助かります。



二人目

「朝か……」

 

 いつもと違って重たい朝。腰が痛い訳でもなく、肩が痛い訳でもない。尚且つ、頭痛がする訳でもない。何故重たい朝かと言われると、やはり昨日のことなんだろう。俺にしては、あんまりにも出過ぎたことをしてしまったのかもしれないと思いつつ、制服に着替える。

 

 

 

 

「……はぁ、なんだかなぁ」

 

 屋上での一件後、俺は放課後三玖が一緒に帰りたいと言う為一緒に帰ったのである。無論、同じものが好きな人間だったし別にいいとは思っていた。だが、俺の心は思った以上に"女子と一緒に帰った"と言う事実を重たく捉えているようだ。

 

 

 

 なんで、こんなにも重たく捉えているのかは分からない。だが、この感覚は初めてではないのは確かだ。と言うのも、俺は上杉を本当の意味で親友と思ったあの日もこの気持ちを感じていたからだ。あのときと同じ気持ちならば、何れ晴れることは間違いないだろうと思いながら、リビングへと向かう。

 

 

 

 

「楓姉はいないか」

 

 リビングに行くと、そこに楓姉の姿はなかった。

 既に大学に行っているようだ。テーブルの上を見ると朝食が用意されており、椅子にゆっくりと座り朝食を食べ始める。

 

「美味しいな……」

 

 朝食を食べ始めている頃、携帯にメールの受信音が届く。誰だろうと思いながらも、メールを見るとらいはちゃんからであった。

 

『お兄ちゃん、先に学校に登校して行ったので今日は来てもらわなくて大丈夫です。後、ソラさん今度の休み一緒に遊びませんか?』

 

 基本的に、俺から上杉を迎えに行くことが多い。しかし、時々こうして上杉は先に学校に行って勉強をしていることが多い。家でやった方が絶対に捗ると思うんだがな……。しかも、朝だから図書室空いてないし。

 それと、今度の休みか……。大丈夫だろうと思い、メールを送信するのであった。らいはちゃんと遊ぶか。久々だな、大体いつも上杉の奴がいたからな。

 

「御馳走様……」

 

 と言いながら、食器を洗い食器を乾かし歯を磨いて洗面所で身だしなみを整える。

 

 

 

 

「よし……!これで大丈夫だな」

 

 完璧なショートヘアに形作り、整える。校則で禁止されていなければ、ツーブロにしたいのになぁと思いながらも鏡を見るのを止める。

 

 

 

 

「じゃあ、行ってきます」

 

 誰もいない家にそう言いながら、俺は家を出たその瞬間。

 

 

 

 

「おはよう、空」

 

 三玖が俺の家の前で待っていたのだ。

 そう言えば、昨日俺の家のまで分かれたんだっけ。だったら三玖が俺の家を知っていてもおかしくはないか。

 

「もしかして、待っててくれたのか?」

 

 俺と三玖は学校まで歩き始め、一緒に登校するのであった。

 

「ううん、今来たばっかり。ソラが此処に住んでるのは昨日知ってたから」

 

 三玖が首を横に振りながら、言う。

 まだ出会ってそれなりしか経ってないが、三玖のことだ。例え、待っていたとしてもこう言うだろう。

 

「ごめんね、急に押しかけるように来て」

 

「いや、いいよ。寧ろ、今日一人で登校する予定だったから。誰か居た方が嬉しいし」

 

 三玖は少し嬉しそうにしている。

 実際、そうだ。俺の心は少し靄るかもしれないが、一人より二人で登校する方が楽しいに決まっている。

 

「三玖の方こそ、いいのか?姉妹と一緒に登校しなくて」

 

 俺が鞄を肩の後ろに乗せながら言い、気の抜けたくっそ温いコーラを飲み始めた後に言った。

 

「うん、いつも乗せてくれる人が今日お仕事忙しいみたいだから」

 

 それにしても、三玖達を送迎している人って三玖の父親なのだろうか。でも、どう見てもあんまり顔が似てなかったしなぁ。いや、あんまりこういうことは考えるべきじゃないだろうな。もしかしたら、失礼に当たるかもしれないし。

 

「それにしても、ソラって家に住んでるんだね」

 

 羨ましそうにしながら三玖は俺に言ってきた。家がそんなに珍しいのだろうか……?でも、最近はマンションやアパートを借りて住む人も多いからあながち珍しいのも当たり前か。

 

「ああ、あの家。元々、爺ちゃんの家なんだよ。でも、今は爺ちゃんが使ってないからあの家を使わせてもらってるんだ」

 

 元々、爺ちゃんは東町で店を開いていた。聞いた話だが、かなり繁盛していたらしい。しかし、俺がこっちに来ると言うことで京都の方の店舗に行き、今はそっちにいる。爺ちゃんは、俺に気を遣って京都に行ったんだろう。

 

 

「両親は……?」

 

 その言葉に俺は一瞬止まる。

 動き始めていた足が、まるで時間が止まったかのように止まっていた。そして、俺の心の周りは一気に雷雨に囲まれて心の中の俺が騒めき始める。まるで今にも俺の頭の中に過去の記憶をフラッシュバックさせるようにして……。

 一旦、自分を押し殺すようにして歯を強く噛み締める。その姿を見て、三玖は慌てて……。

 

 

 

 

「……ごめん、変な事聞いて」

 

 気を遣ってくれたのか、三玖はすぐに深々と謝ってきた。

 

「いや、別にいいよ。気にしてないから」

 

 気にしていない……か。

 「本当にそうか?」と心の中の俺が聞いていたかもしれない。しかし、俺はその気持ちをすぐに追い払う。そして、俺達の間で微妙な空気が流れ始める。流石にマズいと思った俺が、口を開く。

 

 

 

「そう言えば、三玖。昨日部屋で三玖に良い教材が無いかなぁと思って探してて見つかったんだけどいるか?」

 

 三玖にその教材を見せると、三玖は目を輝かせながら教材を見る。

 

「いいの?」

 

 無言で頷く。

 その教材は、歴史の教材だった。買ってきたのはいいものの使わずに放置してしまった為、丁度いい機会だと思い三玖に渡そうと思っていたのだ。

 

「ありがとう、ソラ」

 

 三玖は受け取り、バックの中に入れていた。喜んでくれたのだろうか?と思いながら、正面を見ると既に学校に着いていた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、此処で」

 

 俺は教室へと入り、三玖に手を振り三玖も俺に手を振るのであった。

 そして、教室に入った瞬間何故か中野二乃が仁王立ちで俺の前で立っている。

 

 

「なんだ?」

 

 どう見ても俺に用があると言う感じだ。何かしただろうかと思いながら、考えていると俺は腕を引っ張られる。やっぱり、何かしたか俺……。

 

 

「あんた昨日三玖と帰った?」

 

 廊下で小声で二乃が俺に聞いてきた。そんなことか、と思いつつ俺は首の裏を掻いていた。

 

「……帰ったよ」

 

 別段、嘘を吐く必要もないだろう。

 

「そう、あんた三玖に変な事言ってないわよね?」

 

 こいつにとって変な事は言ってるかも知れんが、こいつには関係ないことだ。別段、言う必要もないだろう。

 

「何も言ってねえよ。姉妹のことが心配なのか?」

 

「べつにそう言う訳じゃないわ」

 

 と言いい、二乃は教室の中へと入って行く……。

 言葉ではああ言っていたが、心配なんだろうな。姉妹のことが……。だから、教室に入る前俺に対して嫌悪感にも匹敵する感情が見えていたのだろう。俺も教室へと入り、椅子に座る。

 

 

 

 

 

 

 

 チャイムが鳴り始める。時計を見ると、時間は昼になっていた。もうそんな時間か。

 スマホを見ると、メールの着信が届いている。

 

『今日、放課後四葉に勉強を教えるから図書室に来て欲しい。誘える奴が居そうだったら頼む』

 

 と上杉からメールが届いていた。誘えそうな奴か……、三玖ぐらいだな。今日も昼食を食べているだろうし学食行って誘うか……。

 

 

 

 

 

 

「こいつにカレーうどんを頼む」

 

 上杉の好物であるカレーうどんを上杉に頼もうとすると、上杉が……。

 

「おい、空。別にそこまでされる筋合いは」

 

「いいから、受け取れ。お前最近頭使いまくってるだろ。偶には好物食べて体力蓄えろ」

 

 冷やし中華を頼みながら言う。無論、コーラ付である。学食のコーラは冷えてるからあんまり好きじゃないが、贅沢言ってられない。

 

「すまないな、空」

 

 俺は軽く「気にすんな」と言い、冷やし中華を受け取る。

 そして、上杉と共に席を探そうとしたとき……。

 

「あっ、三玖……」

 

 三玖を見つけた俺は、三玖に話しかけようとするが……。

 

「三玖、行くわよ」

 

「え?でも……」

 

 三玖は俺の姿に気づき、俺が話しかけようとしているのに気づいたのかこちらに向かおうとしていたが二乃が彼女の腕を掴み無理矢理連れて行くのであった。話しかけそびれたか……。それにやっぱり、あの様子からして二乃は俺のことを嫌っているに違いない。と俺は確信していると、

 

 

 

 

「こんにちは~、脇城さん!」

 

 両手を上げながら元気よく挨拶をしてきた四葉。

 すげえ元気良いな、四葉……。

 

「ちわっす、四葉。三玖に伝えておいて欲しいんだが、放課後図書室で勉強するから来てくれるかって言っておいてくれるか?」

 

「はい、わかりました!三玖に伝えておきますね!」

 

 と言い、四葉は二乃達を追いかけて行った。俺はそれから、上杉と一緒に飯を食べ始める。因みに、上杉は一花と五月を勉強に誘ったらしいが断られたそうだ。そうなるよな、やっぱり……。どうにも他の3人は勉強をしたくないようだ。

 上杉は焦っていたが、少しずつどうにかしていくしかないだろう。飯を食べ終え、食器を戻し教室に戻る。それから授業が始まるまで、携帯を弄るのであった。

 

 

 

 

 

 

  ◆◆◆◆◆◆

 

 さっきソラは何かを私に話そうとしていた……。

 二乃に邪魔されて聞けなかったけど、いったいなんのことだったんだろうか。今朝のことかな。やっぱり、悪い事聞いちゃったかな。

 

「どうしたの?三玖」

 

 私の隣に座ってきた一花が私に話しかけてきた。自分の表情なんてものは分からないけど、もしかしたら一花には分かるぐらい暗い表情をしていたいのかもしれない。

 

「なんでもないよ、一花」

 

 一花は「そっか」と言いながら、ご飯を食べ始める。その後、五月と四葉が来てご飯を食べ始めた。二乃が私に何か言いたそうにしながらこちらを見ていたが私は無視していた。それからして、昼食を食べ終えて帰ろうとしたとき、四葉が話しかけてきたのだ。

 

 

 

 

「あっ、三玖。脇城さんが放課後空いていたら図書室で勉強しないか?って言ってしましたよ!」

 

 なんだ、そんなことだったのか。良かった、気にしてなかったんだ。ソラ……。

 

「分かった……。もしかして、それってフータローや四葉もいるの?」

 

「そう言えば、私上杉さんから確か放課後図書室で勉強を教えてもらう約束してました」

 

 フータローもか……。どうしようかなと考えていると、

 

「三玖は、上杉さんのことあまり好きじゃないんですか?」

 

 四葉は直球な質問をしてくる。フータローのことは別に好きでも嫌いでもない。ただ、なんというか印象が悪いと言うか……。

 

 

 

 

「大丈夫ですよ!2人よりも4人での方がもっと勉強楽しくなりますよ!」

 

 その言葉を言われて、私は確かにそうかもしれないと思い四葉に頷くのであった。二人でよりも四人でもよりもか……。確かにそうかも知れない。それに、私はフータローのことはよく知らないから、もしかしたらいい人かも知れない。そんなことを思いながら私達は教室へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ライスはLじゃなくてR!お前はシラミ食うのか!」

 

 時間帯は放課後となり、俺は図書室の前までやって来ていた。

 上杉のツッコミが炸裂している。多分、一緒にいるのは四葉だろう。

 

「お前ら何して……ああ、勉強してんのか」

 

 何してんのかは……言い過ぎたか。多分、さっきの内容的に英語の勉強だったようだし。

 

「あっ、脇城さん!約束通り、三玖には伝えておきましたよ!」

 

 と言う四葉……。しかし、周りを見て三玖の姿はいない。二乃に邪魔されたか、上杉が居るから来なかったのかと思っていると……。

 

 

 

 

「ソラ、中入れない……」

 

 後ろを振り返ると、そこには三玖の姿があった。

 

「三玖来てくれたのか……」

 

「うん、ソラが来て欲しいって言ってたからさ。それにさ……」

 

 

 

 

「二人より四人の方が楽しいって教わったから……」

 

 四葉の奴、三玖に何か言ったのか……。後で、四葉に感謝しておくか。

 

 

「だから、よろしく……!フータロー、ソラ……!」

 

 満開の笑顔で笑ってくる三玖。こんな笑顔も出来たのか、三玖の奴。その笑顔に動揺してしまいそうになったが、一気に温いコーラを飲んで落ち着かせる。……あっ、図書室飲食禁止だった。まっ、いっか。後で怒られるかも知れないけど、そのときは素直に謝ろう。

 

 

 

 

「教材やってくれたのか」

 

 三玖のノートを見ると、今日渡した教材と思われる内容のものが書かれていた。しかも、その前のページでは自習をしていたのか世界史の内容が書いてあった。

 

「うん、昼休みの時にやっていたの」

 

 俺が三玖に渡したのは世界史の教材。これからの範囲や、今やっている範囲に役立つと思って三玖に渡したのだ。ノートを見る限り、色々間違えているようだがこれから挽回は全然効くだろう。

 

「昨日勉強していたときに思ったんだ。歴史ってこんなにもまだ奥深いものがあるんだって……」

 

 三玖がよく知っているのは戦国時代だけだ。確かに、世界史に比べれば戦国時代なんてものは歴史の中の断片の一部に過ぎない。と言っても過言ではない。それだけ世界史と言うものは奥深いものだ。

 

「それで、驚いちゃったの。まだ私の知らない世界がこんなにもあるんだって……」

 

 

 

 

 

 

「だから、ありがとうね……ソラ」

 

 満たされたような笑顔を見せつけられ、再びコーラを喉に流し込む。

 でも、彼女が俺に向けている視線は感謝だろうと思い、彼女の目を見て頷く。昔の俺だったら、絶対今ので惚れてただろうな。

 

 

 

 

「とりあえず2人揃った訳だし、勉強を開始するぞ」

 

 今の今まで空気を読んでいたのが、凄いレベルの上杉が机に手を置きながら言う。確かに、上杉の言う通りこれで2人揃ったのだ。これでも充分の成果だろう。

 

「ありがとうな、空。三玖を連れて来てくれて」

 

「ああ」

 

 「でも、どうやって連れて来てたんだ?」と不思議に思っている上杉。三玖には内緒にして欲しいと言われているし、内緒にしてやるべきか。

 俺は三玖の勉強を開始させ、三玖に必要そうな歴史の本を持ってきて話を始める。

 

 

 

 

「三玖、戦国時代が好きなら分かると思うが歴史と言うのは案外覚えてしまえば簡単のものだ。ただ、興味を持った武将や、偉人が居たのならそのときは本を探して貰っても構わない。その方が知識も増えるからな。ただ、出来る限り新しめの本を選ぶことだ。古い本だと、偶にそれが後に逸話だったことが判明する場合もあるからな」

 

 と自慢げに俺が言ってみた。歴史の本なんて今は読んでいない。昔、小学生の頃日本の歴史と歴史を変えた戦いと言う本を読んでいたことはあった。あれは、中々にいいものだった。子供の頃だから読んでいて面白いと思わせてもらっていた。今読んでもきっと同じ反応をするだろうがな。

 

「うん、分かってるよ」

 

 抹茶ソーダを飲んだ後に、やる気充分になったのか。ペンを回しながら言う三玖。

 此処、飲食禁止なんだがな……。俺もやったから別にいいか。それからして、俺は三玖に世界史の勉強を教えて、上杉は四葉に英語の勉強を教えていた。

 

 

 

 

「上杉さーん!これで合ってますか!」

 

 そんな純粋な声が上杉の前に飛ぶが……。

 

「違う!やり直し!」

 

 まるでスパルタ教官の如く、ノートを突き返す上杉。

 

「そっちは順調そうだな」

 

 まるで羨ましいとでも言いたそうにしながら言う上杉。実際、羨ましいんだろうな。四葉の言った通り、三玖は俺の想像以上に理解力が高い。得意な歴史だからと言うこともあるのだろうが、この調子なら本当に歴史だけなら赤点回避はできるかもしれないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日はこれで終わりだな!それぞれ予習を忘れず解散!」

 

 時間も5時となり、四葉が「はーい!」と元気よく返事をしていた。三玖もある程度終わった勉強を俺に見せて来て大丈夫だと言うと、三玖はホッとした様子だった。

 

 

 

 

「ねぇ、ソラ。今日って家に来れたりする?」

 

 三玖の家にか……。上杉はどうせ聞いても帰って予習するって言うだろうし聞かない方がいいだろうな。寧ろ、聞いたら「帰って勉強しろ」って言われる気がする。

 

「え!?脇城さん、家に来てくれるんですか!?歓迎しますよ!」

 

 首を突っ込んでくる四葉。ほんと、こいつは裏表の無い奴だな……。

 

「別に行ってもいいが、勉強しろよな」

 

 そして案の定、勉強と言う言葉を出してくる勉強王子。因みに、上杉に聞いたが勿論パスされた。

 

「言ってもいいけど……。二乃とかは大丈夫か?」

 

「無視すればいいだけだから、大丈夫だよ」

 

 凄い辛辣な言葉が帰ってきた。

 そんな言葉が帰って来るなんて思いも寄らなかったぞ……。

 

「そうか、じゃあお言葉に甘えさせて……」

 

 甘えさせてもらおうかなと言うとしたとき、俺の携帯から着信音が鳴り携帯を見ると……。

 

 

 

 

「わりぃ、三玖、四葉。先に昇降口で待っててくれ!」

 

「え?うん」

 

 俺はそう言い、急ぐようにして誰にも聞かれなさそうな屋上へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ、分かってるよ」

 

 鉄格子に寄りかかりながら、俺は真剣な口調で電話口の人間に言う。

 

「それも分かってるよ……」

 

 

 

 

 

 

「分かってるって、爺ちゃん……」

 

 今俺のスマホに電話を掛けているのは俺の祖父だ。

 俺から掛ける事が多いが、珍しく今日は祖父から電話が掛かって来たのだ。

 

 

 

 

 

 

「うん、じゃあ……父さんにもよろしく言っておいて」

 

 電話を切り、鉄格子に深く寄りかかり溜め息を吐きながら、珍しく冷たいコーラを飲む。

 それにしても、やっぱり父さんあのことをまだ気にしているのかな……。いや、気にしているからこそ自分で電話を寄こさないんだろう。

 

 

 

 

 俺はそれから屋上を降りた。屋上を降りるとき、"誰かの気配"を感じていたが、その気配を無視して俺は昇降口へと向かうのであった……。

 

 

 

 

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