ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第1話

 

 学校に行きたくないが、行かないといけない。お小遣いというか、給料を貰えないからだ。お小遣いがなければ大好きなガチャもできない。そのため、仕方なく学校へと通っている。

 授業開始の少し前に教室へと到着した。教室へ入ると視線が集まってくるが、無視して席に座る。

 

「お、キモブタも来たな」

 

 キモブタ。それが不良グループである檜山大介達が俺につけた名前だ。確かに俺は太っている。運動なんてからっきしだ。

 

「遅すぎだろ。どうせエロゲーでもしてたんじゃないか?」

「否。ソシャゲーのイベントをやっていたのだ。間違えるな」

「あ? かわんねーだろうが!」

「断じて違う。違法と違法でないかは大きい」

 

 席に座り、消費していないAPを使い終わってから授業を受けようとすると、隣に座っているオタク仲間の南雲ハジメが声をかけてきた。

 

「どんな感じ?」

「アストルフォきゅんがでない……」

「あははは、やっぱりでないか」

 

 話していると教師が入ってきて授業が始まったのでスマホを戻す。一応、窓際なのでソーラーパネルで充電をしておく。

 

 

 

 授業が終わり、昼の時間となった。お昼ご飯としてコンビニで買ったサンドイッチを食べながらヘッドフォンをつけてゲームを始める。スマホとタブレット、二つで何種類かのゲームを同時に起動する。

 起動したのは魔法少女リリカルなのはINNOCENT、Fate/Grand Order、うたわれるもの、艦これ……そして、Dies irae。最後のはただ動画だ。ルサルカが好きなんだよな。

 

「沙条君、昼ご飯どうする?」

「ああ、オレはいつも通り召喚する」

「同時召喚、やるんだ」

「まあ、当たらないだろうけどな。南雲はどうするんだ?」

「眠るよ。結果だけ教えて」

「そうか。わかった」

 

 召喚の10連を押してから、単行本のPrototypeを読む。

 

 

 

 

「ダメだよ、ちゃんと食べないと。私のお弁当分けてあげるね。ちょっと作りすぎちゃったんだ」

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

 

 いつの間にか時間が過ぎていたようで、複数のゲームで虹色を確認した。キタコレぇえええええぇぇぇと思いながらスマホとタブレットを掴んでいると、床が光った──

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 光が収まると、そこには巨大な神殿のような建物の中で、周りに神官服っぽい物を着た奴等がいた。

 

「勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致します。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致します」

 

 その言葉は置いておいて、手に持っていたタブレットとスマホをみる。どちらも回線の接続が切れました。再接続かキャンセルのボタンがある。恐る恐る再接続をしてみるが、当然のごとく直に回線接続画面が表示される。電波の場所を見ると圏外になっていた。

 

「俺の星5を返せええええええええええええええ!!」

「いや、それどころじゃないよ!」

 

 南雲のツッコミを受け、どうにか正気を保ってボタンを押し続ける。せめて、せめて、何が当たったか見せてくれ! 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 あれから教皇に説明を受けて馬鹿、天之河光輝が人族と魔人族の戦争に参加する事を約束したらしい。本当に何を考えているのかわからないが、無駄にカリスマだけあるので厄介だ。

 そもそもこの馬鹿はクラスのリーダー的存在だ。成績優秀・容姿端麗・スポーツ万能の完璧超人。死ねばいいのに。

 しかも、自分の正しさを疑わないのでよく自分の都合のいいように考える。そう、自分以外の価値観を受け入れられない上に、自分の非を認められない等の性格上の欠点も多く、その自覚もない。

 まあ、馬鹿は置いておいて俺達は呼び出された聖教教会の総本山・神山の麓にあるハイリヒ王国へと移動した。

 この国で俺達は受け入れられ、訓練を受ける事になった。その日の夜は王城にて歓迎する宴が開かれ、訓練は明日から開始すると言う事でお開きとなった。

 

 

 

 

 次の日──

 

 

 

 

 教育を担当する事となったハイリヒ王国騎士団長メルド・ロギンスより一枚の銀色のプレートが全員に配られた。

 

「このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすな」

 

 ステータスを表示か。なんだかゲームみたいだな。ああ、ゲーム。できないんだよな。スマホとタブレット自体は動かせるし、ダウンロードしたページデータとかは残っているんだが……

 まあ、どちらにせよ運動音痴の俺でもどうにかできるステータスだったらありがたい。どうせ訓練しなければ死ぬだけだ。せめてチートだったらありがたいんだがな。本当に天之河は余計な事をしてくれた。

 そう考えながら、説明された持ち主登録の手順に従い、針で指を軽く刺して自分の血をプレートに付ける。すると、血はプレートに吸い込まれる様に消えて、代わりに身覚えない文字みたいなのが浮かび上がってきた。

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 沙条 真名  17歳 男 レベル:1

 天職:召喚士

 筋力:10

 体力:10

 耐性:10

 敏捷:10

 魔力:10

 耐魔:10

 技能:召喚(ガチャ)・言語理解

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 召喚士でスキルがガチャとか最高だ。もしかしたら、美少女が召喚できるかもしれない。いやできる。できるはずだ! 

 まあ、能力値が低すぎる。ちなみに俺の名前である沙条真名はPrototypeにでてくる沙条愛歌と名前が一文字違い。彼女みたいに根源に接続できればどれだけよかったか。

 見慣れない文字を識別できたのはこの《言語理解》の技能のお陰だと思う。エヒトが召喚した時にでも付与されたのだろう。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。

 レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない。ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。

 詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

 レベルが上がるとステータスが上がるというわけでは無いらしい。つまるところ、レベルと言うのは本当の意味でその人の総合的強さの指標なのだろう。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。

 戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 召喚士は一応戦闘系だよな? いや、微妙か。召喚の方式によって色々とできる便利職業ではある。というか、色々と悪用ができそうだ。例えばエヒトがやったような拉致とか。または緊急脱出の為に仲間を召喚するとか。後は物資の輸送とかも楽にできそうだ。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 ステータス……数倍? 俺、10なんだけど……終わったかもしれない。そう考えていると天之河がメルド騎士団長にプレートを見せる。それを俺も覗いてみた。

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 天職:勇者

 筋力:100

 体力:100

 耐性:100

 敏捷:100

 魔力:100

 魔耐:100

 技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 チートじゃねえか。チートがいやがる! ありえねえ! 差別だ! 天職まで勇者だぞ! まさに物語の主人公だ。

 それから暫く、生徒達が報告していき、俺の番となった。

 

「召喚士か……」

「え、駄目なの?」

「いや、召喚士というのは難しくてな。まず、召喚契約を結んでいないと呼び出せない。また、召喚には魔力が必要だ。君のステータスは……魔力がかなり低い」

「うっ」

「ぎゃははは、やっぱりキモブタは使えねえな!」

「そうっすね!」

 

 ああ本当に使えないようだ。ああくそ。何か方法はないのか。外れ職業なのか? いや、そんなことはない! どうにか探せ! 

 まず、召喚を実際にしてみよう。

 

「すいません。召喚ってどうやって使うんですか? それと何かで代用で来たりしますか?」

「わからんな……調べてみよう」

「お願いします」

 

 それからハジメの番になり、彼が錬成師という俺と同じありふれた職業だという事がわかった。ステータスも同じく最低値だ。

 そんな訳で、俺達は図書館に籠って情報を集める事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。図書館で調べものをしていたが結果が伴わない。

 

「そっちはどう?」

「全然駄目だ。魔力が足りなさすぎて召喚できない」

「魔力の代わりに他で代用できたらいいのにね」

「他か。金とか?」

「確かにお金はありそうだよね。スマホとかでよくあるし……」

「あ、そういえば……ゲーム起動してないじゃないか」

「いや、無理でしょ。バッテリーとかどうするの」

「ソーラーがある」

 

 スマホを取り出し、電源を入れて確認する。やはりゲームの接続はできない──

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラスメイトの清水が現れた!  仲間になりたそうにこちらをみている。  仲間にしますか?  Yse/Np

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