ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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ちょいエロ。Fate基準の魔力供給だから仕方ないです。ごめんなさい。



第11話

 

 

 警戒しながら食事をする。二人と食べる量が全然違うし、次々と口に入れていく。鈴と恵里の二人は仲良く一つの弁当を別けて食事をしている。仲良きことは美しきかな。

 

『ま~ず~い~ぞ~!』

 

 そんな二人を見ていると、身体が勝手に動いてケラケラ笑いながらパクパクと肉を食べていく。アストルフォには味覚があるし不味いのはわかるが、嬉しそうなのはなんでか……いや、これはヤケだな。

 

『ほら、さっさと食べなさい。私に面倒な事をさせた罰よ』

『こういう時はいっきというべきよね?』

『それ、飲み物だからね!』

 

 鈴と恵里の二人はたまになんとも言えなさそうにこちらを見詰めている。アストルフォの事は説明しているので大丈夫だと思いたい。

 

 

 少し時間が経ち、栄養補給が終えたのでこれからステータスの確認を行う。そのために三人でそれなりに大きな岩があり、壁がすぐ近くにある場所に移動する。

 狭いスペースだけれど一人ぐらいはちゃんと座れる。地面に布を敷いてから念の為、鈴に音が洩れないように意識して結界を張ってもらう。それから岩と壁の間に張った結界の上に布を置いて砂や小石などを置く事でカモフラージュする。

 壁を背に一人のスペースに座り、続いて俺の太股の上に鈴と恵里を座らせる。二人が倒れないように後ろから抱きつくようにして支えてやる。二人のお尻の柔らかさを味わえ、同時に二人の身体を岩肌から守るという大義名分もあるので、怒られる心配もない。素晴らしいことだな。

 

「えりえり。鈴はなんだか邪な気配を感じるよ?」

「そうね。でも今の僕達にはどうする事もできないしね」

「そうだね」

 

 笑顔で話し合っているけれど、会話がちょ~と物騒だ。まあ、隠れるために小さなスペースに入るのは仕方ないことだしな。

 

「それじゃあ、ステータスを見ようか」

「そういえば全然見てないよ。上がってるといいなぁ~」

「うん。それで生き残れるかが決まる」

「まずは言い出しっぺの俺からだ」

 

 ステータスプレートを出して表示させる

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 沙条 真名  17歳 男 レベル:20

 天職:召喚士

 筋力:10(2000)

 体力:10(800)

 耐性:10(600)

 敏捷:10(1500)

 魔力:200(200)

 耐魔:10(600)

 技能:召喚(ガチャ)[+ランダム召喚(ガチャ)][+確定召喚(ガチャ)][+夢幻召喚(インストール)][+再召喚]・パーティー編成・召喚用魔術回路E・永劫破壊(エイヴィヒカイト)[+触媒変換]・サクリファイス・言語理解

 召喚キャパシティー:650/200*1。キャパシティーオーバーの為、制限発動中。

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

「色々と言いたい事がある」

「普通に強いと思うよ?」

「うん。確かにそうだね」

 

 まあ、括弧内はアストルフォが憑依しているからだろう。ステータスの低さは諦めるからいいとして、問題は召喚キャパシティーだ。沙条愛歌の460ってなんだよそれ。

 

『一人だけ容量食い過ぎね』

『ずっこい!』

『安心しなさい。内側に引っ込んおいてあげるから、少しはましになるわ』

 

 実際は少しオーバーしている程度なのかもしれない。愛歌がどれだけ抑えてくれているかにもよるのだろうが。やはり、もっとレベルを上げないと駄目だな。それに熊と戦う前は確実に召喚キャパシティーが足りなかったが、倒したおかげで愛歌が居なければぎりぎりいけるか? 

 どちらにせよ魔力が全然足りていない。

 確定召喚は素材を集めて召喚する物のようで、ルサルカを召喚したから手に入れたみたいだ。この場合、魂喰いが永劫破壊(エイヴィヒカイト)、血塗れの拷問日記がエリザベート・バートリーの聖遺物と認識されて召喚できた。つまり、召喚したい対象に関わる物を用意すれば確定で召喚できるようだ。ただし、当然のように膨大な魔力が必要なようだ。

 夢幻召喚(インストール)は現在、アストルフォが憑依しているから得られたんだろ。そもそも夢幻召喚は英霊を自らの身体に降ろし、その力を借りられる魔術だ。本来はクラスカードという触媒が必要だが、それは英霊本人が自ら力を貸してくれている事で触媒がなくても成立している。むしろ、今の状態は合体といった感じだ。

 召喚専用魔術回路Eは愛歌によって作られて開かれたのだろう。俺の根源が召喚になっているから召喚専用なのだろう。本当に召喚機としての役割しかないようだ。いや、魔力を集めていけば行き着く先は聖杯か。どちらにせよ魔術回路*2は魔術師にとっては必要不可欠な物だし、使い方によっては便利だ。ガチャがやりやすい。それだけで十分だ。

 永劫破壊(エイヴィヒカイト)[+触媒変換]は集めた魂を召喚専用の触媒へと変える。FGOでいう聖晶石が作れるという感じだ。魂を捧げて手に入れるなんてまさに禁断のシステムだ。大いに結構! モンスターは沢山倒してガチャだ! 。

 

「鈴より明らかに強いね。ずるい~!」

「鈴のはどんなのだ?」

「これだよ」

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 谷口 鈴 17歳 女 レベル:28

 天職:結界師

 筋力:330

 体力:420

 耐性:760

 敏捷:210

 魔力:960

 耐魔:720

 技能:結界[+多重展開][+高速展開][+特殊結界]・障壁[+多重展開][+高速展開]・魔力消費量削減・魔力回復速度増大・精神力強化・言語理解

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 鈴のは魔力がかなり高い。体力こそ低いが、それ以外の防御系はかなり数値が高い。サポーターとしての役割はできるかもしれない。これで回復魔法を覚えたら、ヒーラーやサポーターとしてかなり強くなる。精神力強化はデスマーチで得たのだろう。これがなければ鈴の心は完全に壊れていたかもしれない。

 

「どう、かな?」

「特殊結界というのが使えそうだよ。それに鈴は随分と強くなっているね」

「頑張ったからね。真名君は?」

「いいと思うぞ。正直、魔力回復速度増大があるのは助かる」

「そ、そうだね。うん、良かった……」

 

 何をする事になるのか、思いだして顔を赤らめる鈴に思わず俺も想像してしまう。

 

『なんなら今すぐして魔力を貰えばいいのよ』

『確かに魔力が心ともないね。マスターができないならボクがやってあげるよ?』

「やめてくれ。自分でやる」

「え? どうしたの?」

「何か悪い事でもした?」

 

 不安そうに二人がこちらを至近距離から見詰めてくるので、慌てて謝る。

 

「すまない。二人じゃない。アストルフォ達に言っていただけだ」

「そっか。良かった……」

「うん。何かあったら気にせずに言ってね。できるだけすぐに直すから」

「それは俺もだな」

 

 俺がそういうと、二人は嬉しそうに微笑んだ。二人にとって俺の機嫌を損ねるとかなり不味い事になるからだろう。もっと安心させるように行動しないといけない。

 

『そうだね。マスターが不安がったら駄目だよ。それが伝わると二人にとって悪影響しかでないからね!』

 それが分かるのに、なんでキスをすると言ったんだ。やるなら俺からしないといけないし、そうするべきだ。

『まあ、女の子としてはそっちの方がいいわね』

『『女の子……?』』

『いい度胸ね。殺す』

『やってみなさい』

『にっげろ~』

 

 中は楽しそうだな、本当に。さて、鈴の話に戻すが、鈴の結界は多重展開と高速展開、特殊結界というものがある。この特殊結界というのが結界自体に色々と効果をもたらすもののようだ。魔力を集めたり、空気の移動を操ったりといった効果だな。

 

「とりあえず、鈴の結界を使って隠蔽をしてくれ」

「任せて。できる事は頑張るよ」

「鈴の次は僕かな?」

「頼む」

「恵里の楽しみ」

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 中村 恵里 17歳 女 レベル:18

 天職:降霊術師

 筋力:140

 体力:110

 耐性:180

 敏捷:170

 魔力:1380

 耐魔:250

 技能:降霊術・死霊操作・死体操作・火炎魔法・言語理解

 

 

 

 ──────────────────────────────―

 

 

 

 恵里は鈴より全体的にレベルとステータスが低い。あくまでもレベルは全体的な強さを表しているだけなのだから、デスマーチを経験していない恵里が全体的に低いのは納得だ。だが、降霊術や死霊操作、死体操作はかなり使える。

 

「お~恵里って思ってたよりも強いね。でもなんで火炎魔法?」

「降霊術が嫌だって言ってたじゃない。その代わりに火属性の魔法を練習していたの」

「普段の訓練はそれで、後は隠れてか?」

「そうよ。炎魔法じゃないのは僕の炎が降霊術で呼び寄せた死霊を混ぜて使う怨霊の炎だから。だから、炎に適正が生まれたの」

「なるほど、天職と合わせたのか。確かに鬼火とか言うし、それと混ぜることで成長が速かったのか」

「たぶんだけどね」

「へぇ~よく考えてるね。鈴は言われた通りにやってただけだから、素直にすごいと思うよ」

「鈴の場合は作業で鍛えた感じだしな」

「アレはしんどかったよ~」

 

 鈴の頭を撫でてあげると嬉しそうにする。それを見て恵里は呆れた表情をした。

 

「調教されてるじゃない」

「え? そんなことないよ? うん、大丈夫、大丈夫」

 

 話している二人を他所にこれからの事を考える。まず、何時までもここで隠れていられない。食料と飲み水を探さないとまずいからだ。それに何時までハジメや俺達が生きていられるかもわからない。

 

「二人共、相談がある」

「なに?」

「何でも言って!」

「ここで一夜を過ごしたら移動しようと思う。だから、悪いけれど魔力が欲しい」

「キスでいいんだったよね?」

「結界でもできるけれど、結局どっちがいいのかな?」

「確かにちょっと気になるかな。キスと結界での魔力供給ってどっちが効率がいいの?」

「ちょっと待ってくれ」

 

 ルサルカに聞いてみる。

 

『ルサルカ、どっちがいいんだ?』

『当然、キスね。房中術で二人の魔力を混ぜ合わせて増幅して与えるのと、ロスが発生する結界で与えるのだから、どちらがいいのかは一目瞭然ね』

『なるほど。ありがとう』

 

 確かにルサルカの言う通り、そっちの方が効率がいいし、俺も嬉しくなる。

 

「効率でいったらキスの方らしい。結界だとロスが発生するし、房中術での増幅もできないって」

「そう。それじゃあキスでいいわね」

「う、うん……キス、だね……」

「無理しなくていいぞ。二人は俺の事を好きでもなんでもないだろ?」

「まあそうだよ。僕の計画を潰してくれた憎い奴だ。でも、鈴を助けてくれたし、和解するきっかけにはなった。だから、感謝してる。それに今は四の五の言っている時じゃない。キスの方が効率いいならそうするし、なんだったらエッチの方でもいい」

「えりえり本気なの?」

「本気よ。鈴と一緒に生き残る事が優先だから、身体を売るぐらい問題ないわ」

「えっと、それって俺が悪くならないか?」

「……そうね。ならセフレでいいか」

「駄目だよぉ! 鈴も一緒にキスするから、そっちは絶対に駄目! はじめては大切にしないといけないんだからね! そういうのは好きな人とやるの!」

 

 恵里が自分の身体を大切にしていないのでとても怒っている。まあ、ほぼ隅々まで見ることにはなるんだけどな。

 

「それで死んだら後悔しない?」

「しない! 多分!」

 

 とりあえず、エッチなしのキスはありってところか。

 

「こうやってくっつくのはいいんだ」

「だって、隠れるためだし。それにあったかいしね」

「まあ、そもそもこんなところでエッチなんてできないけどね。声でみつかって即アウト。鈴の結界があればなんとか?」

「手伝わないからね! え、エッチなことはいけないと思うよ、うん!」

「残念だったね、真名」

「本当だ。まあ、今はキスで我慢しておくとするよ」

「我慢しなかったらユーリちゃんに告げ口してやるんだから」

「それは止めてくれ。で、どっちからする?」

 

 恵里と鈴が話し合うのを待っていると、少しして順番が決まったようだ。

 

「す、鈴からお願い。真名君との付き合いは鈴の方が長いからね。うん、その……優しく、お願いします……」

「わかった。目を瞑って」

「ん……」

 

 目を瞑った鈴の頭に手を回し、ゆっくりと顔を近づける。軽く唇同士をくっつける。すると鈴がビクッと身体を震わせる。そのまま舌で鈴の唇をなぞる。すると鈴が涙を流しだしたの慌てて離れて鈴の頭を撫でていく。

 

「ごめん、嫌だったよね。ここでやめる? 別に無理する必要はないからね」

「だ、だめだよ。鈴はやるって決めたんだから。それに鈴が一番の足手纏いなんだから、大丈夫」

「だけど……」

「大丈夫よ。鈴は真名の事を恋愛感情かはわからなくても、それなりには気に入っているから」

「そうなのか?」

「えりえり!」

「気にせず強引にやっちゃっていいわ」

 

 鈴が恵里を睨み付けているけれど、それが本当なら嬉しい。まあ、鈴は認めてないみたいだからわからない。それにどちらかというと、吊橋効果だろう。

 

「でも、余り時間もかけられないの」

「うぅ~わかってるよ~。真名君、一思いにやっちゃって!」

「わかった」

 

 鈴がやると言っているのだから、男を見せて強引にでもしてしまおう。今度は鈴の顎を掴んでクイッと口を少し開かせて唇を合わせ、舌を入れる。

 

「んっ、んんっ!」

 

 ぬるぬる鈴の舌と俺の舌が触れ合って気持ちが良くて夢中になって鈴の口内を舐め、唾液を交換する。

 

『ルサルカ、房中術をお願い』

『別にいいけれど、全然なってないわ。私が言う通りにしてもっと気持ち良くさせてあげなさい。嫌悪感よりも快楽を与えた方が効率がいいし、その方が魔力供給もしやすくなるわ。だから、私の言う通りにしなさい』

『お願い』

 

 どうせなら鈴にも気持ち良くなって欲しい。いくら同意とはいえ、鈴が嫌がるのなら本当に止めてもいい。

 

「ちゅっ、ちゅるっ、んっ、んんっ!」

 

 ルサルカの指示に従って房中術を使いつつ、鈴と深い口付けを行っていく。ルサルカが鈴の顔を見ながら、鈴が気持ち良くなるように調整してくれているので、鈴はどんどん気持ちよさそうに蕩けていっている。

 しばらく鈴とのキスを堪能し、唇を離すと互いの唇に唾液の橋がかかり、火照った顔に涙を浮かべる瞳。そして蕩けた表情……すごく興奮してくる。鈴はぼ~と熱に浮かされたようにこちらを見詰めたまま動かない。それを見てぺろりと唇の周りを拭いて飲み込む。

 

「っ~~~!」

 

 それを見た鈴が意識を覚醒させて顔を両手で覆った。すごく恥ずかしいのだろう。唾液と一緒にかなりの魔力を貰ったのだけど、罪悪感が湧き上がってくる。

 

「ごめん、大丈夫かな?」

「あ、謝らなくていいよ! ちゃんと納得している事だから……ただ、ちょっと、その……気持ちよかっただけだから……うん、鈴は大丈夫だよ。思ったよりも全然嫌じゃなかったし!」

「そ、それは良かったよ」

「ごちそうさま。二人だけの世界を作るのはいいけれど、僕を忘れてないかな? 怒るよ?」

「「っ!?」」

 

 二人で慌てて隣の方を見ると、頬を膨らませて拗ねていますとストレートに表している恵里。

 

「わ、忘れてたわけじゃないからね! 本当だよ!」

「はいはい。まあ、別にいいけどね。じゃあ、僕ともしようか」

「ああ」

「僕も気持ち良くしてね?」

「努力する」

「うん」

 

 鈴とは違い、恵里は自分から片手を俺の頬に合わせて自らキスをして舌を入れてくる。どちらかというと、こちらが蹂躙される方だった。負けずと反撃に転じる。

 

『虚勢ね。こういう子はね……』

 

 ルサルカ先生の教えに従い、恵里も気持ち良くさせていく。その方が得られる魔力の質が圧倒的に違うらしい。とりあえず、美少女二人とのキスはとても気持ちがいいし、味覚がないはずなのに唾液も凄く美味しくて身体の隅々まで染みわたっていくかのような感じがする。だから俺はいっぱつで鈴と恵里とのキスに魅了された。

 

『魔力が枯渇している時だから、すごく気持ちいいよね~』

『味覚を感じないんだから、これが娯楽になるでしょうね』

 

 最後に恵里の唾液を吸い取って唇を舐めてから離れる。俺も恵里も顔を赤らめながらしばらく互いに見つめ合うが、今度は鈴が頭を押し付けて主張してきた。

 

「ねえ、鈴はまだ魔力があるんだけど取らないの?」

「鈴のは半分にしておいた。結界を維持してもらわないといけないし」

「僕はほぼ全て取られたね」

「そっか。まあ仕方ないか。うん、それで鈴達は十分に役に立つよね?」

「もちろんだよ。これから戦闘が終わったらご褒美としてもらいたいぐらい」

「じゃあ、そうしようか。その方が真名のモチベーションも上がるだろうし」

「ん~それと寝る前かな。魔力は無駄にできないし」

 

 どうやら、二人から戦闘が終わったらご褒美としてキスしてもらえるようだ。まあ、十分に嬉しいし頑張らせてもらおう。

 

「じゃあ、寝ようか。一緒に抱き合って寝るけどいいよな?」

「うん。その方が鈴は安心できるし、いいよ」

「見張りはどうするの?」

「アストルフォ達がしてくれるから大丈夫だ」

『任せろ~! マスターたちはボクが守る!』

「そっか。じゃあ、お休み」

 

 恵里がそう言って頬に軽いキスをしてきた。それを見て鈴は驚いた表情をしている。どうやら、恵里の独断みたいだ。

 

「え、恵里?」

「別にこれぐらいで気分よく守ってもらえるならいいじゃない。減るものじゃないし」

「女の子として大事な物が減るよ!」

「サービスだから、きにしなくていいよ。するもしないも鈴が好きにしたらいいから。それじゃあ、お休み」

「あう~」

 

 いうだけ言って自分に布をかけて俺の腕の中で目を瞑る恵里。すぐに寝息が聞こえてきた。恵里もなんだかんだで限界だったんだろう。

 

「もう、よくわかんないから鈴も寝る! おやすみ!」

「おやすみ」

 

 鈴も俺に身体を預けて眠りだしたので、二人をしっかりと抱きしめて俺も眠る事にする。どうか、明日も三人で生き残れるように祈りながら。

 

 

 

 

 ◇オルクス大迷宮65層

 

 

 

 

 

 瓦礫が浮かび上がり、壊れた巨大な橋に集められて()()()()()()()()作り直されていく。修復されていく中、その途中に赤い結晶体が存在していた。それは本来、オルクス大迷宮が急速に橋を修復するために送り込んだ魔力の大半を奪い取り、自らの物としていた。

 

「解析終了しました。ベヒモスの召喚陣にアクセスを開始します」

「わかりました。肉体の再構築はどんな感じですか?」

「修復率は13%といったところです。魔力が全然たりませんね」

「前の身体ならもう作れませんか?」

「確かに魔力爆発が起きた時、大半の魔力を吸収しました。それでなら新しい身体を作れますが、それでは役にたちません」

「マスターがいらっしゃる深層では足手纏いにしかなりませんか……」

 

 赤い結晶の中にある空間。そこでは三人の幼い少女が作業をしながら話し合いをしていた。どの少女も金色の長い髪をウェーブのかかったふわふわの髪の毛が揺れている。そして、三人が三人共、同じ顔だ。違うのは服装で、一人はピンク色のストライプパーカーを着た普通の幼い少女。彼女の手には紫色の本が握られている。

 もう一人の少女はお腹を出した白色と紫色。そしてオレンジ色の衣装に身を包み、背中に燃え盛る翼を持つ幼い少女。最後の一人は青色と白色の衣装に身を包み、お腹の部分を露出させてベルトのような物で覆っている。そんな彼女の周りには機械でできた無数の盾のような剣が連接されて翼のように浮いている。

 

「マスターの魔力が増大しました。外部からの干渉があったようです。魔力反応から対象を谷口鈴、中村恵里と断定。先に召喚された存在による入れ知恵だと思われます」

「マスターの安全が考慮されるのなら、しばらくは泳がせましょう。それまでに管理者の目が誤魔化しやすいこの迷宮にてリソースを回復させます」

 

 機械の少女が告げると、炎の翼を持った少女が決定する。

 

「しかし、大丈夫でしょうか? いくらこちらからも魔力などを送って支援しているとはいえ、限界があります」

 

 普通の少女が心配そうに聞くと、機械の少女はすぐに答える。彼女達は自らを再生させている最中でも必死にマスターへの支援を健気に続けていた。

 

「問題ありません。保険は打ってあります。マスターが完全に死ぬ前に我々は転移します。そうすれば私達の中で生き残る事はできます。それに現状での問題はマスターが初期、もしくは最初に魔法を使った時に召喚していたと思われる沙条愛歌です。かの者が情報通りの存在なら、マスターに害をなす可能性が高いです」

「奴を滅ぼすか、最低でも撃退できる力の回収は必須です」

「確かにそうです。ですが、このままでは修復速度が遅すぎます」

「では、どうしますか?」

「決まっています。人手が足りないのなら、増やします。すでにベヒモスの召喚プログラムは解析しました。それを利用すれば可能です」

「なるほど。賛成します私」

「私も同じくです」

 

 普通の少女がニコリと笑い、プログラムを実行する。すると外では赤い結晶が光り、ベヒモス召喚の魔法陣が()()起動していく。しかし、現れたのはベヒモスなどではない()()()()

 

「「「お願いします。リソースを蒐集してきてください」」」

「「「ニャー!」」」

 

 三匹の猫は65層からそれぞれ行動していく。

 

「しかし、三匹だけで大丈夫でしょうか?」

 

 機械の少女が心配そうに告げると、炎の翼を持つ少女はなんでもないかのように答える。

 

「問題ありません。自己進化プログラムを搭載してあります。外見は猫モードですが、ナハトヴァールも搭載してあります」

「暴走しませんか?」

「え? ナハトは可愛い子ですよ?」

「認識の違いが存在します。ナハトヴァールは闇の書の闇、暴走したプログラムです」

「……だ、大丈夫です、きっと皆が制御してくれます! それに人は襲われない限りは襲わず、襲われても蒐集するだけにするよう言ってありますから……」

「そうだといいのですが……」

「問題ありません。いざという時は私達が出て回収します」

「お、お願いします」

 

 赤い結晶……永遠結晶エグザミアによってオルクス大迷宮に新たな災厄が解き放たれた。それも仕方のないこと。何故なら普通の少女にとって、ナハトヴァールとはペットとして飼っていた可愛いワンコでしかないのだから。例え角と翼が生えていて空を飛んでちょっと姿が違っても彼女、INNOCENT基準のユーリ・エーベルヴァインにとってはただのペットである。作業の為に三体に分離した弊害がここにあった。

 

「にゃー(地上へ)」

「にゃー(じゃあ、地下)」

「にゃー(ではこの辺りか)」

 

 三匹の子猫による冒険劇が始まった。果たして周りのモンスターはどうなる! 無限再生無限増殖機能付きニャンコから逃れられるかな! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
 ユーリ・エーベルヴァインN:10 アストルフォ[剣]:100 ルサルカ・シュヴェーゲリン:80 沙条愛歌:460

*2
魔術回路は魔術師が体内に持つ、魔術を扱うための擬似神経。生命力を魔力に変換する為の「炉」であり、基盤となる大魔術式に繋がる「路」でもある。魔力を電気とするなら、魔術回路は電気を生み出すための炉心であり、システムを動かすためのパイプラインでもある。回路を励起させ魔力を生成すると、人である体からは反発により痛みが生じる。最初は眠っているが、修行によって「開く」ことで使用できるようになる。一度開いてしまえば、あとは術者の意志でオンオフができ、魔術を使う際にはオンにし魔術回路を活性化させ、使わないときはオフにしている。スイッチの仕方は術者のイメージそれぞれで、これは最初の「開き」に関係している。最初の開きも方法は術者次第で、中には性的興奮とか自傷行為とかもある。魔術師にとっての才能の代名詞で、これの数が多いほど優秀な魔術師であるとされる。これを持たない人間は魔術師にはなれない。生まれながらに持ち得る数が決まっており、魔術師の家系は自分たちに手を加えて、魔術回路が一本でも多い跡継ぎを誕生させようとする。古い家系の魔術師ほど強力なのはこの為。魔術回路は内臓にも例えられ、ひとたび失った魔術回路は死ぬまで再生することはない。また、跡継ぎに魔術回路を増やすよう働きかけるということは、内臓を増やすということにも繋がるが、その手段がまっとうであるはずもない。




 ユーリちゃんが正妻。単身赴任みたいに別れてもしっかりと援助物資を送ってくれて、身体の事とか考えて頑張ってくれる。はっきりとわかりますね。ただし、ところどころうっかりやおっちょこちょいでやらかす模様。
被害? 勇者パーティーと魔人族、オルクス大迷宮ぐらいじゃないかな?


マテリアルDニャンコ:闇属性特化で広域殲滅が得意なにゃんこ。堂々と現れて遠距離から圧倒的な攻撃力で面制圧してくる。ただし、場所を考えてくれるので崩壊の危険はないもよう。逃げられない魔法の壁が迫ってくるが。
マテリアルSニャンコ:炎熱属性特化の砲撃が得意なにゃんこ。容赦なく効率よく遠距離から焼き尽くす。いきなり攻撃されて気が付いたら周りが火の海で逃げ場もなく殺される。
マテリアルLニャンコ:雷属性特化で超高速接近戦が得意なにゃんこ。遊び相手と認識され、飽きたら殺される。純粋無垢なため残酷な事でも平気でやる。助かりたければお菓子をあげよう。
どれも無限増殖と自己進化を搭載している。なお、蒐集したリソース8割はエグザミアに送られるもよう。


やったねオルクス大迷宮! 試練が追加されたよ! FOE! 僕等のFOE!
 


真名君の身体について。普通にクローンとかで再構成しないと駄目なレベルなので容姿については変更されるかもしれません。

  • 元の姿
  • 成長させたストレートユーリ(獣殿っぽい)
  • 黒髪男の子愛歌様
  • 痩せた元の姿(僕アカ。ファットガム)
  • アストルフォの容姿(憑依解除しても)
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