ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第15話

 身体の全権をアストルフォに委ねた俺はもう見ている事しかできない。そんな訳である程度移動したらスケルトンスネークの中に入る。ここからなら蛇腹剣で攻撃できるからな。

 スケルトンスネークはすぐに兎達の縄張りに侵入し、しばらくすると10匹の兎達に囲まれて攻撃される。こちらも蛇腹剣で骨の隙間から攻撃する。アストルフォに身体を使って何度も訓練してもらったかいがあって、こちらに攻撃してきたタイミングで2匹ほど斬り殺せた。

 

「絶好調~!」

『スケルトンスネークに指示を出して撤退させてくれ。このままじゃ無理だ』

「わかってるよ、マスター! 計画通りにだね!」

『そうだ』

「了解~」

 

 スケルトンスネークが群れから逃げる。兎達は声を上げて仲間を呼びながらこちらへと向かってくる。それをアストルフォは蛇腹剣で相手の蹴りから放たれる空気の刃を撃ち落とす。手数が相手の方が上なのでスケルトンスネークはどんどん傷が出来て崩壊していく。

 逃げてる最中に他の群れも合流して4匹が増援としてやってきた。これで14匹。2匹は倒したので残り12匹だ。相手の攻撃が骨の隙間を通って俺にも降り注ぐが、アストルフォがすぐに回避行動を取って反撃として蛇腹剣を骨の間から放って串刺しにする。

 

「ん~やっぱり魔力の消耗が多いなあ~」

『勝てないか』

「このままだとね。もうすぐ壁も壊れるし……でも大丈夫! ボクはマスターの剣? だからね。勝利するよ」

 

 なぜ疑問形なのか問いただしたいが、まあいいだろう。そう思った次の瞬間。尻尾の部分が崩壊してそこから兎が入ってくる。同時に左右からも攻撃が飛んできて、アストルフォが回転して蛇腹剣で薙ぎ払う。

 

「ん~ここまでだね。とう!」

 

 そのまま踵を返して口の中へと飛び込み、スケルトンスネークに口を開かせて脱出する。すぐに口を閉じさせることで後続の兎を倒そうとしたようだが、相手は瞬時に馬鹿みたいな速度で接近してくる。だが、速度はこちらも負けていない。アストルフォは後ろに目でもあるかのように振り返りながら剣を振るって相手を切断する。そのはずだったが、蹴りで弾き返される。後続はしっかりと口で防がれたようでこないが、この一体が厄介だろう。

 

「ボクと君達、どちらが兎さんとして速いか勝負だ! いっくよー!」

 

 俺がそう思っているとアストルフォが逃げた。後ろはスケルトンスネークが無茶苦茶に暴れている。そちらにかかりっきりになっている兎を逃げながら背後から強襲して殺し、また逃げる。当然、兎達はアストルフォを追ってくるが、持ち前の速さと勘で避けていく。もっとも、相手の数が多いのでアストルフォの身体に傷が増えていく。

 

「あはははは、楽しいねマスター!」

『そうか?』

「そうだよ!」

 

 恐怖は感じないので、しっかりと見る。蹴りを剣で弾くとすぐ近くに別の兎が空中で方向転換をし、瞬きする間にやってきた。避けられないはずの蹴りを首を傾げることで回避し、騎士剣を引き抜いて切り捨てる。騎士剣は防御に使い、蛇腹剣を攻撃に使っていくようだ。

 

「あ~更に追加か。うん、これはもう無理!」

『だな』

 

 4匹が更に追加され、合計で18匹。殺したのが3匹。全然無理だ。そんな訳で目的も達成したのでやはり逃げる。物凄い速度で駆け抜けていく兎を引き連れたアストルフォが鈴と恵里の居る場所へと向かう。

 地底湖と岩場が見えてきて、置いてきた鈴と恵里の姿と護衛のルサルカの姿が見えた。後ろを振り返れば大量の兎が追ってきている。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 あるていどのところで立ち止まり、相手を確認する。兎達はすぐに俺達を取り囲んでいる。予定通りなので放置して合図を出す! 

 

『アストルフォ!』

「はいはい! すーちゃん! おねがい!」

 

 すーちゃんという不思議な名前に混乱したようで、すこしタイムラグがあった。その間に四方八方から攻撃されているけれど、二つの剣や体術を駆使して撃ち落としていくが、限界は近い。

 

「はやくお願い!」

『頼む!』

「うん!」

 

 鈴の声が聞こえて()()()()()()()。地面がなくなればその上にあった物は当然落ちる。俺達も例外ではなく、鈴が掘って合わせた半径30メートル、深さ50メートルほどの巨大な穴へと落ちて行く。兎達は嘲笑うかのように空中で力場を使って浮いている。そんな中、底に到着した俺達はさっそく攻撃を再開する。

 

「マスター!」

『宝具の使用を許可する!』

「やったね! 華麗に可憐に、舞って散りゆく月下美人! 十重に二十重にぎりぎりぎりぎり! よーし、ボクってばカッコいいぞー! 僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)!!」

 

 蛇腹剣の長さが格段に、有り得ないくらいの長さへと変化して広大な空間を縦横無尽に移動して兎達を斬り裂く。兎達は空中に幾つもの足場を作り出し、それを蹴って回避する。そんな中で接近して兎達が襲ってきた。

 

「ああもうっ!」

 

 宝具を使っても数匹を斬り裂けたけれど、複数の兎が近付かれる。そうなると多勢に無勢で攻撃にさらされてアストルフォが攻撃を防ぐ事になった。

 僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)で攻撃し、騎士の剣で防ぐ。複数の蹴りを受けて身体が弾き飛ばされる。その先にも兎達がいてまた蹴り飛ばされる。当然、アストルフォもただでやられる訳がなく、僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)を使った蛇腹剣で斬り殺していく。

 

「身体が重い! 魔力が足りな~い! 破却宣言しても足りない! *1

 

 やはり、俺の魔力が足りない上に召喚キャパシティーのオーバーが痛い。ステータスがかなり減っているのだから仕方がないだろう。

 

『アストルフォ、そろそろ限界じゃないのか?』

「ん~そうだね!」

 

 アストルフォが兎の蹴りに合わせて飛び上がり、わざと弾き飛ばされる。その先には小さな、本当に小さな横穴がある。この大穴は鈴が繰り返し結界を展開し、圧縮を繰り返して作り出した空間だ。横穴だって同じ方向で作ってあるし、しっかりと結界で補強してある。そうしないとオルクス大迷宮がせっかく作った大穴を再生させていくからだ。

 

「よし、いっくよ~」

 

 アストルフォが飛ばされながら蛇腹剣を消し、魔笛を作り出して口に咥えて思いっきり吹く。この魔笛は敵全体に恐怖状態を与え、自身に回避状態を付与する。この回避状態は相手を恐怖させることで簡単に回避することができるのだと思う。

 

「~~~ッ!」

 

 魔笛の声が聞こえると同時に兎達の動きが一瞬停止し、混乱してキョロキョロと周りを見出す。そのタイミングで天井にあった複数の結界の内、三枚目の結界が解除される。するとあら不思議。上に乗っていた圧縮されて出来た土の塊達が次に展開されている結界に向かって突き進んでいく。

 

「爆嵐壁を利用した加速攻撃! いっけえぇぇっ!」

 

 衝撃を受けた二枚目の結界が空気の爆発を起こす。そのタイミングで一枚目の結界を鈴が解除。爆発の衝撃で一枚目に乗っていた岩が加速して大穴に向かって降り注ぐ。三枚目に乗っていた岩は四枚目に衝突してまた爆発を起こす。二枚目に乗せられていて上の結界に吹き飛んで衝撃を与えた岩もその結界の爆破によって穴に向かって放たれる。

 

「ふふふ、恐怖で混乱している時に多段攻撃による爆撃。回避できるかな?」

「えりえりも真名君も黒いよ!」

 

 兎達の一部は正気を取り戻して必死に避ける。ほぼ大穴全てが埋まる計算で放たれているわけで、空気を蹴って逃げようにも、一つ回避したら次のがすぐにくる。二重、三重と落ちてくる質量攻撃に兎達は耐えられないだろう。

 

「にっげろ~」

 

 もちろん、それは俺達もだ。なので蹴り飛ばされた勢いを利用して横穴に飛び蹴りみたいな感じで入る。そこはアストルフォが一人だけ入って少し余裕がある程度の幅なので、兎が来ても剣を上に突き出しておくだけでいい。

 目の前に兎が飛び込んでくるが、寝転がりながらアストルフォが剣を突き刺して押し出し、岩に押し潰されていく。兎達の断末魔が響く中、永劫破壊(エイヴィヒカイト)が発動して兎達の魂を吸収していく。ルサルカにも別けなくてはいけないが、これで更に強くなれる。

 

 

 しばらく待機していると音が止んで動きがなくなった。どうやら、討伐が終わったようなのでじりじりと下がって方向転換して突起を掴んで穴を登る。

 

「ぷふぁっ!」

「お疲れ様」

「鈴達の勝ちだよ!」

 

 地上に頭を出すと二人が手を差し出してくれるので、それを掴んで穴から外に出る。大穴の方をみると、しっかりと地面に埋まっているのがわかる。

 

「ルサルカ、どうだ?」

「探知術式にも反応がないわね。うん、ちゃんと死んでるわよ。まあ、こんな質量攻撃を連打されたら普通の奴なら死ぬでしょ」

「ルサルカならどうなの?」

「私? 当然生きてるけど?」

「凄いね~。鈴でも死ぬ自信があるよ」

 

 この程度の攻撃じゃルサルカは殺せないようだ。もっと威力のある攻撃じゃないと駄目なんだろうな。それこそスターライトブレイカーを非殺傷設定解除して撃つぐらいじゃないと無理かもしれない。

 

「これで僕達に魔術を教えてくれる?」

「お願いいたします!」

「まあ、約束だしいいわよ。でも、授業料は高いからね!」

「支払いは真名がしてくれる」

「おねが~い」

「俺が出すの?」

「男なんだから当然よね? 期待しているわ、マスター♪ なんなら身体でもいいわよ♪」

「だめ~! それは絶対駄目だからね! マスターの身体はボクのなんだから!」

「え、真名ってそっちの趣味が……」

「そっか、それだから鈴達を襲わないんだ……」

「違う、違うからな!」

 

 余計な事を言ってくれたアストルフォの言葉を慌てて否定する。

 

「アストルフォの事は好きだが、そういう対象としては見ていない!」

「それはそれでどうかと思うわね」

「外見が女の子だからね~」

「つまり、どっちもいけるのね。お姉さんと一緒ね!」

「ちが~う! 俺は女の子が好きだ! ホモはNG!」

「レズは?」

「それは有り」

「つまり、男と男の娘はありよね?」

「なしで! というか、なんでこんな話に……」

 

 まあ、皆笑いながらなので問題ないだろう。ルサルカも楽しそうにこちらをからかってきているし、大丈夫だろう。大丈夫だと思いたい。きっと大丈夫だろう。そのはずだ。

 

「で、倒したのはいいけれど、死体の回収はどうするのよ? 魂は回収したようだけど……」

「鈴先生、お願いします!」

「鈴がやるの!」

「鈴しかできないでしょうね」

「あ、また使うから結界を使って持ち上げてね」

「え~い真名君も手伝え~!」

「はいはい、お姫様」

「よろしい」

 

 鈴を抱きしめて埋まった穴の近くに移動して爆嵐壁を一番下と一番上に展開。上の方に衝撃を加えて連鎖を発生させる。これによって一番下の爆嵐壁も爆撃して岩が一気に穴から飛び出してくる。後は段階的に岩が落ち切る前に結界を展開して受け止めれば大丈夫だ。

 

「長くはもたないから、回収急いでね!」

「お任せあれ! アストルフォ!」

『休みたいけど仕方ないね!』

 

 浮き上がっている岩の隙間に蛇腹剣を這わせて兎の死体を穴の外に弾く。時には岩ごと弾いて外に出す。鈴の結界に限界がきて壊れるとまた埋まっていく。

 

「流石に今の魔力だとこれが限界かな」

「数日かけて掃除だね」

「うん。ついでに鈴の訓練にもなるし、もっともっと強くなって足を引っ張らないようにしないとだね!」

「いや、足を引っ張るどころか、もう主力と言って間違いないんだけど?」

「でも、真名君に見捨てられたら鈴達、野垂れ死んじゃうよ?」

「だから、俺が鈴達を見捨てる事はないって」

「本当に?」

「本当」

「でも、信じきれない鈴がいるの……ごめんね?」

 

 辛そうに謝ってくる鈴。まあ、鈴からしたら親友だった恵里に裏切られたのだから、和解したとはいえ心の底から信じる事ができなくなってしまっていると思う。どこかでまた裏切られると思って怖がっているのだ。

 

「まあ、いいけどな」

「何か信じられるような決定的な理由があればいいんだけど……」

「そんなのは流石にないからな。ルサルカなら契約魔術とか知っているかもしれないけど、その場合は流石に鈴にもそれ相応の代償は払ってもらう事になる」

「わ、わかってるよ……」

「しかし、裏切らない証か」

「そんなの簡単じゃない」

「「わっ!? /おっ!?」」

 

 後ろから軍服姿のルサルカが突然、俺達を抱きしめてきた。二人して驚いた後、不思議に思って彼女を見詰める。

 

「その、そんな方法があるんですか?」

「ん~流石に契約魔術はないよ。正確には破れない契約魔術はあるけれど、それって魂を縛る奴だから本当にやばい奴なの。儀式にも色々と準備が必要だし、まず無理ね」

「でも、さっきは簡単だって言ったよな?」

「別の方法なら簡単よ」

「それはなに?」

「鈴が真名とエッチして子を孕めばいいのよ」

「ひゃうっ!?」

 

 鈴のお腹を撫でながらそんな事を言ってきたルサルカ。驚いて彼女を見ると、とても楽しそうな表情をしている。明らかに玩具認定されているようだ。

 

「え、えっちにこ、子供って……」

「今よりも身体を使って縛りつけ、妊娠して子供という軛を打ち込めば鈴から離れるのに相当な決意がいるわ。それにこの場合は裏切られたら社会的に殺せるし、慰謝料の請求だってできるわ♪」

「そ、そうなのかな?」

「なるほど、それはいいかも」

「おい」

 

 いきなり恵里も参戦してきた。このままだと、ルサルカにやばい方向に持っていかれる。いや、それは嬉しいけれどやっぱり、俺にはユーリがいるし……付き合ってるわけでもないが。

 

『ボクは別にいいと思うけどな~。奥さんがいっぱいいるのって王様や騎士でも普通だったし』

「今は時代が違うんだよ。だいたい鈴達は嫌だろう」

「鈴は……」

「僕は別にいいけどね。それでしっかりと責任を取って結婚し、守ってくれるのならいいよ?」

「えりえりの基準ってそこなんだ」

「うん。僕の居場所になってくれて、僕の事をしっかりと見て守ってくれたら他はいらない。それさえ守ってくれたら、都合のいい女になってあげる。したいことだってなんでもしてあげる。それこそ玩具にだってなってあげるよ」

「この子はこの子で歪んでるわね~」

「うぅ~えりえりはしっかりと鈴が面倒をみないと悪い人に騙されちゃうよ」

「いや、それはないな。そうなったらそいつをしゃぶり尽しそうだ」

「あは♪」

 

 とりあえず、ゲーム風に言うなら恵里のフラグは立っている。何時でもゴールできそうだが、後が怖すぎる。恵里の病み具合からして死んだら降霊術で呼び寄せられるだろうし、少なくとも死では逃げられない。

 

「ヤンデレはちょっと……」

「今なら鈴もついてくるよ?」

「それなら……」

「ちょ! 鈴はセット販売なの! 怒るよ!」

「親友でしょ? それに鈴は僕の居場所になってくれるって言ったよね? ずっと一緒だって」

「え? え? 言ったかな? 居場所になるって言ったけど、結婚とかについてはまだ……」

「言ったよね?」

「は、はい、言いました……」

「というわけで、どう?」

「ほれほれ、答えなさいよ。ハーレムにだってできるわよ」

「えっと、キープで」

「最低な発言ね」

「き、キープ……」

「まあ、ユーリが居ない場所で決められないか。でも、今ならご褒美としてお試しで鈴と一緒に最後までしてあげてもいいけど?」

 

 耳元で恵里が囁いてくる。その言葉につい想像して顔が赤くなる。

 

「な、なにを言ってるの!」

「冗談よ。流石にそこまで覚悟は決まってないから、手とかならまあ?」

「それも十分いきすぎだよ!」

「どっちにしろ、ご褒美として好きな事をなんでもしてあげるわ。鈴もそれでいいって言ってたでしょ」

「エッチな事以外ならいいよ! お触りくらいなら、まあ……今更だからいいけど」

「大分ハードルが下がってるわね。まあ、無理もないか」

 

 ルサルカの言葉に思うのは同じだ。確かに鈴や恵里の心理的ハードルはどんどん下がっていっている。自分の発言で照れるところもまたかわいいのだが、これは外に出たらどうなるのかわからない。

 

「それで、二人にここまで言わせているのだからご褒美は何するの?」

「本当になんでもいいのか?」

「いいわよ」

「う、うん。さっき言った事以外なら言う事をきくよ?」

「だったらガチャがしたい

「え、それ!?」

「「ガチャに負けた!?」」

 

 今まで我慢していたが、そろそろガチャをしたい。引きたい。そう、俺は引きたいんだ。

 

「戦力が増えるかもしれないし、洗剤がでるかもしれないし、お菓子がでるかもしれない」

「戦力が増える……」

「お菓子……」

「洗剤は興味があるわ」

「引いていいよな?」

「まあ、ご褒美だし、いいんじゃないかな?」

「うん、いいよ」

「私も少し楽しみね」

 

 許可を貰えたので明日引いてみよう。直に引きたいが、流石に今日は疲れた。というわけでお風呂に入ってさっぱりしたら食事にしよう。いっぱい汗かいたらからな。

 

「今日はお風呂に入りたいと思います」

「お風呂?」

「水浴びじゃなくて?」

「うむ。こっちだ」

 

 皆を案内したのは少し下にある窪みがある岩場。ここは鉄砲水に襲われると微かに沈んで水が入ってくる場所だ。その場所を整えておいた。

 

「恵里、ここの水に炎の魔法を使ってくれ。それでお湯を沸かす」

「いいけど排水は?」

「穴を開けて流す。次からは鈴が結界を張って水が抜けないようにすればいいしな」

「お風呂のためならいくらでも頑張るよ!」

「お風呂か。それなら私も入ろっと」

『そうね。私も入るとしましょう』

「え?」

『ちょっ、強制的に剥がされっ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

 アストルフォの悲鳴が聞こえる中、身体がバキバキと音がして変化していく。身長が小さくなり、髪の毛が金色へと変化する。

 

「ま、真名君……?」

「えっと……」

「あんた、それマジでやったの」

「男共には引っ込んでもらったわ」

 

 そう、俺の身体は沙条愛歌に乗っ取られた。彼女はさっさと服を脱いで風呂に入っていく。それを見てルサルカも服を脱いで入っていく。

 

「貴女達も入りなさい」

「そうよ。こいつは気にしなくていいわ。マスターが召喚した一人よ。名前は沙条愛歌」

「え、真名君と同じ名前?」

「味方なの?」

「敵でも味方でもないわ」

 

 二人はそれぞれ見合わせた後、服を脱いで湯に浸かる。アストルフォは雁字搦めに鎖で縛られていて、動けないみたいだ。俺は俺で動けない。現在進行形で身体が作り変えられているからだ。

 

「沙条愛歌……じゃあ、まなまなだね!」

「あんた、それを使いたかったのね」

「怖いもの知らずね」

「まなまなか……渾名を付けられたのは初めてね。いいでしょう。特別にそう呼ぶ事を許してあげる」

「ありがとう!」

「それで、真名は大丈夫なの?」

「今、ご褒美として力を追加しているところだから安心していいわよ。モンスターを素材にして魔術回路をちょっと増やしてあげてるの」

 

 それなら助かる。魔術回路か召喚した者達に力を与え安くなるならこれ以上にない。身体を弄り回される不快感に耐えればいいだけだ。恐怖も痛みも感じないのだし、全然平気だ。

 

「ふ~ん、アンタがマスターに教えるなら、わたしはこの子達に教えてあげようかな。ちょっと考えていた裏技があるしね」

「裏技って?」

「私達がメインに使う永劫破壊(エイヴィヒカイト)っていうのはね、魂を吸収して霊的な装甲として身に纏うのよ」

「それってえりえりだったらいっぱい呼び寄せられる?」

「そういう事よ。恵里が降霊術で魂を呼び寄せて永劫破壊(エイヴィヒカイト)で喰らう。手っ取り早く強くなれるわよ。もっとも、適合する聖遺物がないと無理だけど。私の場合はこのエリザベート・バートリーの拷問日記ね」

「真名君の聖遺物はなんなの?」

「持ってないわよ」

「え、でもそれっておかしいはずだけど……」

「だって、マスターの永劫破壊(エイヴィヒカイト)は私を触媒として使っているの。だから、そういう意味では私自身がマスターの聖遺物ね。他にもアストルフォが持つ宝具というのかしら? アレも聖遺物といえばそういう扱いになるのかしら」

 

 確かに英霊は人々の想念の塊だ。伝承や思いがスキルや宝具となるのだから、聖遺物と同じ性質を持っているといえる。

 

「つまり、その永劫破壊(エイヴィヒカイト)は僕達では使えないということね」

「残念だね」

「まあ、難点も色々とあるけれどね。そこでガチャよ」

「「ガチャ?」」

「そうよ。マスターの召喚は聖遺物だって召喚できるわ。なにせこの私や愛歌、アストルフォだって召喚できたのだから可能性は低くないわよ。というわけで愛歌。この二人に与える聖遺物として相性がいいのを召喚できるようにできないかしら」

「可能よ。でも、私がそこまでしてあげる義理がないわ」

 

 それもそうだよな。というか、それができるのなら、絶対に俺がアーサーを引けるタイミングに持っていくはずだ。

 

「でも、義理がなくても理由はあるわよね? 貴女の目的は今のままでは叶わないでしょう?」

「……いいでしょう。確かにこのままでは私の目的は遠い。それを近づけるために協力してあげましょう」

「本当! ありがとうまなまな!」

「えっと、ありがとう」

 

 不思議に思っている恵里と素直に喜んでいる鈴。対照的な二人だが、ルサルカはニヤニヤと笑っているし、愛歌は何を考えているのかわからない。

 

『マスター。気のせいかな? ボク、すっごく、す~ごく嫌な予感がするんだけど……』

『俺もだアストルフォ……でも、やるしかないよな?』

『いや、マスターが召喚を諦めたら大丈夫だと思うけど?』

『アストルフォなら諦めるか?』

『まさか! ぶん回すに決まってるじゃないか!』

『だよな! そこにガチャがあるのなら回さねばならない!』

『そうだよマスター! 考えるのは後でいいの! 楽しい事があればそれに全力を出す! それでこそボクのマスターだよ!』

 

 あ、やっぱり理性が蒸発してやがる。人の事は言えないが。ああ、まったくどうなるかわからないが、嫌な予感しかしない……どうすんだこれ。

 

 

 

 

 

*1
自身に毎ターンNP獲得(魔力回復)状態を付与(3T)[Lvで強化]自身の弱体状態を解除




爆死する未来が見えていても引く。何故ならそこにイベントガチャがあるのだから。

そう、奈落モンスター討伐記念ガチャ! 奈落でどうにか行動できるようになったからこそ行われる地獄への片道切符! 主よ、何故あなたは試練を与えたもうたのか。おお、我が何をしたというのか……


二人の聖遺物、どうしようかな。ある程度は考えているけどそれでいいのか。扇状の聖遺物ってあったかな?

うたわれるものロストフラグで爆死した……orz

双子ちゃんが欲しいよぉ。エルルゥ、クロウ、ベナウェイ、主人公、今回のイベントっ子で行動中。火力が欲しい。

清水君ヒロインアンケート 人になるます

  • 波の鳥 フ
  • 謳の鳥 コ
  • 空の鼠 ク
  • 深海のナニカ レ
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