最初は前のとほぼ変わらず。ほぼ書き直したけど、これで石の消費理由は考えた全てを出し切った。これをやるとユーリにヘイトが集まりそうだから止めてたけど、もう他のが思いつかないので次修正するとしたら石を無くします。
ただ、こっちはシュテルが黒い。今更か。さて、美遊の召喚理由とティアマトの理由を考えなきゃ!
よし、もう原作通りでいいですね。ヒュドラちゃんを強化しよう!お宝(美少女・ユエ)なくてもいいや! 先にハジメ君に取られてるんだ仕方がない!
メイド服はともかく、大人シュテルのイメージは検索すればひっかかると思います。あの絵いいよね。翠屋で普通に働いてそう。
くそっ! なんで上手くいかないんだ! なんのために南雲を始末したと思ってるんだ! これも全て清水のせいだ! 本来なら俺が居るはずの場所を奪いやがって!
「くそがぁっ!」
壁を蹴って悪態をつく。本当にこんなはずじゃなかった。南雲の奴が居なくなって悲しんでいる白崎を慰め、俺の物にする計画が上手くいっていない。
それどころか、色々と不味い状況になってきた。せっかく、沙条が中村を突き落としたことで有耶無耶になっていたのに、白崎と清水達が沙条の件を置いてあの時の事を調べはじめやがった。それも教会や国からの命令を無視してだ。
このままじゃ不味い。谷口達が消えたばかりか、沙条から供給されていた品物が無くなったせいでイライラしている奴が多い。そいつらに知られたら捌け口にされちまう。
どうにかできる方法は沙条のタブレットにかかっているロックを解除してその内容を公開すれば少なくとも俺の地位は安泰になる。誤射だって誤魔化せる。だから、試している騎士達に無理をいって渡してもらった。だというのになかなかロックを解除できない。しっかりと回数制限に引っ掛かる前に再起動までしているというのにだ。
「思いだせ、思いだせ……沙条はなんて言っていた……」
タブレットは学校でも良く使っていやがった。ロックだって解除していたし、それに沙条の好きな物なら会話の内容から拾えるはずだ。
「覚えてねえ! いや、待てよ……そういえばあの時、誰かの誕生日って話していたな」
沙条の誕生日は知っている奴に聞いて試したが、開かなかった。それならあのユーリって餓鬼はどうだ? 沙条が大切にしていた奴の誕生日なら可能性はある。
急いで移動して見つけた奴等に聞いてみると、園部が知っているとの情報を得られた。どうやら、あの餓鬼と風呂で一緒になった時に聞いたらしい。直に園部を探すと、訓練所でナイフをひたすら投げていた。
「園部」
「檜山、どうしたの?」
「聞きたい事がある。あのユーリって奴の誕生日は何時だ?」
「なんでそんな事を知りたいのよ?」
「それは……」
本当の事を話しても園部は納得しないだろう。コイツはタブレットの解除には反対していたからな。だが、説得する方法はなにかないか?
「もしかして……」
「いや、違うぞ。ほら、あの子も死んでしまったからな。墓標に刻んでやろうと思って」
「そっか。そう、だよね……確かに必要よね。今までそんな余裕はなかったけれど、考えてみればお墓を用意してあげないと。にしても檜山がそんな事を言うなんて思ってなかったわ」
「俺だって思うところはある」
「そっか。えっと……」
園部から聞いた日を覚え、すぐに移動する。
「お墓、作ったら教えてね!」
「おう!」
後ろから聞こえてきた声に返事をしてから部屋に戻る。そこでさっそく試す。情報は得られた。餓鬼の誕生日を打ち込むと、見事に開けた。
「よっしゃあああっ!」
開いたらすぐに待ち受け画面が表示された。二次元のオタク趣味全開の金髪幼女の絵だ。いや、こいつはあの餓鬼じゃないか。もしかして、アイツって……いや、今はこっちが優先だ。時間はまだある。
設定画面に移動し、俺が覚えやすいパスワードに変更する。これでこのタブレットは何時でも開けるようになった。なので、菓子類や加工品の作り方などを簡単に書き写してから餓鬼の事を調べる。
「名前は確か、ユーリ・エーベルヴァインだったな」
検索にかけてみるとユーリ・エーベルヴァインに関するファイルが沢山あった。その内の一つを見る。まずは画像データから見ると餓鬼の姿が沢山あった。それも色々な姿の奴だ。水着姿や寝間着の奴まで色々だ。Wikipediaを軽く見るとあの餓鬼がゲームやアニメのキャラクターとして書かれているのがわかった。どれも姿は違えどまさしくあの餓鬼の姿だった。
「マジかよ……あの野郎の天職って創造系じゃねえか」
色々と調べていくと、本当にこの設定通りの奴ならあそこで死んでくれて助かった。いや、待て。無限に復活って書かれてるじゃねえか! これって蘇るんじゃないのか!
いくら何でもないか。沙条が死んでるはずだしな。まずは調べていくか。
次に気になったのは召喚と書かれたアプリだ。これで召喚していたのかもしれないし、押してみる。すると数名の名前が表示された。
その名前の中にはユーリ・エーベルヴァインの名前もある。現状を確認すると【現在ランクアップ中により召喚不可と書かれている】し、終わりまでの時間がしっかりと表示されている。どうやら、本当に復活が可能みたいだ。これはもしかして、俺がアイツを使えるんじゃないか?
技術がどうのこうの言っても、この感じからして全部餓鬼がやったんだろう。南雲も沙条もこの餓鬼の功績を横取りしてただけじゃねえか。これなら俺でもできそうだな。
そうなると気になるのは他の名前だ。アストルフォとルサルカ・シュヴェーゲリン、朝田詩乃。こいつらの情報を調べるとどいつもこいつもかなりの美少女だ。いや、一人だけ男だが。信じられない。オタクの考える事はわからん。女のままじゃ駄目なのか?
こいつらのステータスもしっかりと見れた。身長、体重、スリーサイズまで何から何までだ。さらに
「待ちやがれ! 召喚中だと!」
沙条が死んだというのにこいつらは独自に行動している。いや、それどころかこの三人は何時召喚された! オルクス大迷宮に行った時には居なかったぞ!
「まさか、沙条が生きている? いや、この力を持っているなら生きている可能性があるか」
なにせアストルフォは英雄だ。ルサルカ・シュヴェーゲリンに関しても同様の化け物だ。実際にこいつらが召喚されているとしたら、俺達より明らかに強い。なんだ、沙条は勇者並みのチートってか? ふざけるなっ! そんな事は一切認めねえ! 絶対にぶっ殺してやる!
まずは手足になっているだろうこいつらの召喚を解除して……って、待て。このタブレットからこいつらの情報が見れるという事は繋がっているって事だ。それなら気付かれる場合もある。アイツはスマホを持っているし、再召喚されるだけだろう。
だったら、違う方法で妨害してやる。幸い、このタブレットは沙条と繋がっているみたいだ。ここから召喚して気付かれる前に色々とやればいい。まずは召喚だ。俺の手駒となる者を呼び出さないと……
「にゃあ」
「っ!?」
泣き声が聞こえた気がして振り返るが、誰も居ない。ここには俺しか居ないはずだ。外を覗いてみるが、やはり誰も居ない。
「気のせいか……」
そう思っていると急激にタブレットが重くなった。タブレットの上に視線をやると画面の上に猫が立っていた。確か、この猫は清水が連れてきて白崎と一緒に飼っていた猫だな。
「邪魔だ」
猫を払いのけると、タブレットを巻き込みながら飛び退る。タブレットが地面に落ちた後、猫はさっさと部屋から出ていった。気を取り直して、召喚画面を見ようとタブレットを拾い絶句した。画面に罅が入っていて、虹のような光沢が画面全体に現れている。原因は猫の爪痕で、ざっくりと画面が壊されている。明らかにさっきの猫がやったせいだ。
「ふざけんなっ!天之河でも南雲でも、ましてや沙条でもない! 俺の時代が来たと思ったのに!」
思わず床にタブレットを投げつける。タブレットは床を転がりながら扉の方へと移動する。
「失礼します。どうかなさいましたか?」
「あ?」
声がかけられて振り返ると、そこには綺麗な茶色の髪の毛を後ろにリボンで束ねたメイド服を着た綺麗な女性が立っていた。年齢は俺達と似たようなものか、少し上くらいで白崎に引けを取らないほど綺麗だ。
「おぉ……」
そんな彼女の青い瞳に見つめられている事に気付き、慌ててタブレットをみつめる。タブレットの画面は破片が飛び散って完全に壊れている。やばい。やばいやばい!
「大丈夫ですか、使徒様。どこか具合が……」
慌てて隠そうとする前に心配そうにした彼女が部屋に踏み込んでくる。
「あっ」
「も、申し訳ございません!」
彼女はタブレットから足を退けて、すぐ持ち上げてこちらに見せてくる。
「貸せ!」
「は、はい」
奪い取るように受け取ったタブレットを確認するが、画面は完全にいかれていた。電源を入れても反応がないし、何も映らない。
「ははは、もう駄目だ……」
「使徒様。そちらはもう修理はできないのですか?」
「できるわけないだろ! 俺達の世界でも専門的な知識と施設がいる奴だぞ」
「そ、そうですか……申し訳ございません……」
思わず怒鳴りつけると、しゅんとしたような感じになった。
「す、すまん。それよりもこれをどうするかだ。他の連中になんて言われるか……」
「だ、大丈夫です。問題ありません」
「なにがだよ?」
「そちらを貸してください。踏みつけて壊したのは私です。ですので私が全ての責任を負います」
そう言ってタブレットに彼女は触れてくる。そして、俺に近付いてきて耳元で囁いてくる。
「何も心配ありません。使徒様は私が壊した……いえ、盗んだと皆様に伝えてきてくだされば構いません」
「だが、それだと……」
「大丈夫です。私の実家はそれなりの力を持っています。そちらに匿ってもらえますし、私達をお作りになられた神様は助けてくださるでしょう」
「そ、そうか……確かに宗教の力の方が強かったな。神エヒトならどうにかできるか」
「どちらにしても殺される事はないでしょうし、最悪は奴隷にされるぐらいです。ですので、その場合は使徒様が私を買ってください。そうすれば何も問題はありません」
「わ、わかった」
正直、責任を取れそうにないし、この人が奴隷になったら俺が買ってやればいい。その後は色々と楽しませてもらえるだろう。何せ主人なんだからな。彼女の身体を見て想像するだけでも最高だろう。
「こちらは私が持っていって処分します。使徒様が持っていては怪しまれますし、逃亡した理由にもなりますから。それと発覚させるのはしばらく経ってからがいいです。私が逃げる時間も必要ですから……」
「任せろ。この部屋を無人にしてアリバイを作ってくる」
「では、今の間に荒らしておきましょう。それで物取りの犯行にみせかけるのです」
「おう!」
二人で部屋中をぐちゃぐちゃにした後、改めて行動を開始する。
「
「そっちもな」
これでどうにかなる。彼女が捕まったとしても必死に罪が重くならないように懇願すれば叶えてくれるだろう。天之河達を巻き込んでもいいだろう。
彼女が扉を開けて見送ってくれる。どうやら、色々と細工をするみたいだ。なので部屋を出て誰かがいるであろう訓練所に移動する。
数時間が経ってから、数人のクラスメイト達を連れて俺の部屋に行くために話をしていく。
「タブレットが解除できたから、来いよ」
「本当なのか?」
「ああ、これを見てくれ」
メモったレシピなどを見せていくと、早速それを持った女子が厨房に走っていく。これで俺の地位は安泰だ。それよりもあのメイドの事を聞かないと。そういえば名前を聞いていなかったな。まあ、あれだけ綺麗なんだから誰かが知っているだろう。
「それで、中身を皆に見せたいからきてくれよ、な? いいだろう?」
「待って。タブレットが解除できたって、檜山、アンタ……」
「そ、それとこれとは関係ないっての。なあ、皆。余裕ができたら沙条や南雲達、谷口達の墓を作ってやろうぜ」
「ふむ。墓か。確かにそれも必要か」
「ハジメ君達は死んでない!」
「落ち着きなさい香織」
「そうだぞ。クラスメイトが死んだのは悲しいが、何時までもそれに囚われていてはいけない。俺達は彼等の意思を継いで進まないといけないんだ。もう誰も死なせたりしない」
「おうよ! もっと訓練して強くなろうぜ」
「アンタ達……」
「……」
清水だけは肩にオレンジ色の毛をした猫を乗せ、冷めた表情でこちらを見詰めている。そうだ。あの猫がタブレットを破壊した原因じゃねえか! 俺は何も悪くない! 全て猫が悪いんだ! ばれたら、その飼い主に責任を取らせるのもいいかもな。
「とりあえず部屋に来いよ。中身を見てから判断しようぜ。それと見るに堪えないエロいのも沢山あったから、女達は遠慮した方がいい」
「そうだな。香織達にそんな物を見せるわけにはいかない」
「ちょっと……」
俺はついでだから、ある事ない事を告げていく。真実と嘘を混ぜて伝えることで信憑性をましていく。どうせ壊れたんだから中身を見る事はできないし、ばれる事はない。俺が言った内容で女子達の視線がどんどん冷たくなっていく。ユーリっていうあの餓鬼も色々とされていたと伝えた。これは嘘とはいえないだろう。これで沙条が戻ってきても居場所は無い。
「部屋に行くぞ」
「おう」
男子と一部の女子で俺の部屋に戻ると、そこは荒らされた状態だった。当然、彼女は居ない。だが、あるはずの無い物まであった。それは──
「メイド服?」
「なんだこれ……」
「まさか檜山ってそういう趣味が……」
「そんなわけあるか! こ、これは犯人の奴が置いていったんだろ!」
「ねえ、これって……」
園部がメイド服を持ち上げると、はらりと薄い布切れまで落ちてきた。それは女性物の下着だった。しかも、ピンク色の何かの液体が付着している。
「おい、まさか……」
「み、みて、これ……」
園部の悲痛な声にベッドへと視線をやると、乱れたシーツに血痕があり、ベッドボードには穴が空いていてそこからロープが伸びていた。そのロープには血と肉片が付着していて、無理矢理引き抜いた跡まである。
「なんだこれ!」
「檜山、お前!」
「違う! 俺じゃない!」
「最低……」
「近付かないで……」
園部や他の女子達が離れる。天之河が、こちらを向いてくる。
「龍太郎、檜山を拘束しておいてくれ」
「待てよ! 俺はやってないって言ってるだろ! だいたい俺はお前達と一緒に居たんだぞ! それにわざわざ自分からこんな事をしているところに連れてくるわけないだろ!」
「しかし、事実としてこれは……」
「まずは調査からだ。それから判断すればいい」
「そうだな。清水の言う通りだ。ただ、女子はやはり部屋から出るように」
「そうね。こんなところに居たくないし」
「ええ」
くそっ、いったい何がどうなってやがる! 誰がやりやがった! まさか、アイツか? いや、それはない。そんな事をする理由はない。そうなると誰かに見付かって
「おい、ベッドの下にこんなものがあった」
ベッドの下には蓋が設置された大きな穴が開けられていて、身体を折りたたんだら人が一人だけ入れるだけの穴が空いていた。そこに血が付いた拘束具があり、壁には血で書かれた無数の助けて、助けて、助けて助けて、嫌、嫌、苦しい、辛い、なんで、なんで、誰か、誰か助けて! という文字が爪を使って書かれていた。
「ここで檜山は生活していたんだよな。どう考えても……数時間の事じゃないぞ」
「待て待て、待てぇ! 本当に俺じゃないって!」
必死に弁明を図っていると、清水の口が笑っているのが見えた。
「お前か! お前がやったのか!」
俺は思わず清水の胸倉を掴んで揺さぶる。
「違う、俺じゃない」
「落ち着くんだ。だが清水。君も笑っているのが悪いんだぞ。こんな時に何を考えているんだ?」
「いや、すまない。あまりに滑稽だったからな」
「なんだと!」
「よく考えてみろ。檜山が言う通り、檜山が犯人ならタブレットを持って俺達のところに来ればいいだけだ。発覚する可能性があるここに連れてくるはずがない」
「確かにそうだよな」
「だが、こんな短時間で用意できるわけもないだろう!」
「天之河。ここは俺達が居た地球とは違う。魔法なんて便利な力があるんだぞ。穴を開ける? 魔法で短時間で作れるな。血文字? 同じく元々書いていた物を壁として埋め込む事は土魔法でできるな。 それに逃げた女は何処に消えた? 血塗れな上に長時間監禁され、衰弱した女が王宮で見つかれば騒ぎになる。少なくとも俺達と一緒に居た檜山には無理だ。よって犯人は別の者になるが、それは檜山を狙ったのかはわからない」
「……だが、檜山がそいつらとグルじゃない証明にはならない」
「そうだな。監視はするべきだ」
くそっ、どうしてこうなったんだ!
◇ シュテル・スタークス
王宮を抜け出し、城下町を歩いています。あの時、身に着けていた服装は気味の悪い視線にさらされて気持ち悪かったので、全てあの場で脱いで置いて着ました。なので今着ている服は別の物です。白いワイシャツに赤色の長いスカート。それに黒いエプロンでその辺にいる喫茶店のお手伝いさんといった感じですね。ちなみにこの黒いエプロンには私の血がついていたりします。
そんな状態で大人バージョン。ニ十歳前後の姿で活動しました。王宮でいくら調べても私の情報は出てきませんし、認識阻害も発動していたのであの人もすぐに忘れていきます。
しかし、普通の恰好をしているはずですが、視線が集まってきますね。なのはと違って胸はあまりないので大丈夫なはずですが、何故でしょうか? まあ、問題ありませんね。
『ユーリ、任務完了しました』
『ご苦労様でした。タブレットは無事ですか?』
『画面の損壊程度で内部データには問題ありません』
タブレットは体内に取り込んだのでもう誰かに悪用される事はありません。
『そうですか、よかったです。これで再会した時、怒られるのをどうにか防げますよね……?」
『わかりません。勝手に使ったのは事実ですから、後は身体で返しましょう』
『そう、ですね。頑張ります! だから、シュテルも一緒に……』
『もちろんです。苦楽は全て一緒です。まあ、マスターも許してくれるでしょう……』
『本当に、ですか?』
『たぶん……許してくれるといいですね』
『仕方ないのです。ランクアップ素材にどうしてもお兄ちゃんの物が必要だったのです』
私達は、ユーリが召喚された時は最低ランクでした。ですが、オルクス大迷宮の力を解析して取り込み、私達を生み出しました。それだけでは力が足りません。蒐集やそれ以外に手を尽くしても、どうしても足りないものがあります。それはこの世界では手に入らない素材です。それを補うべきものがマスターの召喚です。少しずつ、少しずつ、神エヒト達にばれないように、規制に引っ掛からないように必要な物を召喚しています。
おかげで進化素材限定ガチャやアイテム限定ガチャとかができたそうです。これも解析して改造した結果ではありますね。
故に私達はレヴィが合流するまで完全とはいえないまでも、マスターの安全が一応は確認されたので事後承諾で少し使わせてもらいました。少しと言ってもガチャの闇は深かったです。
『と、ところで最後の細工は必要だったのですか?』
『必要です。私が逃亡する時間を確保するためでしたので。もしも戦闘になった場合、王宮の一部は焼失しますが、そちらの方がよろしかったでしょうか?』
まあ、私があの人に怒っていたこともあります。本当は精々、服を脱ぎ棄てていく程度でしたが、あちらがマスター、お兄さんの事をある事ない事を混ぜて貶してきたので、こちらも急遽、細工をしてやり返しただけです。それによくよく調査すればバレる事ですから問題ありません。被害者もメイドも存在しないのですから。もっとも、そうなるとタブレットを紛失し、あのような事を起こしたという事実が檜山を追い詰めるでしょう。私の計画通りに。
『いえ、穏便に済んだのなら構いません』
街中を歩きながら、目に入った出店でパンを購入し、それを抱えて大通りを進んでいるとつけられている気がします。ですので、角を曲がって路地に移動します。どんどん人気のない方に移動していくと、後ろから近付いてきた人が飛び掛かってきて、私の両手を押さえます。もう一人が口元に布のような物をあててきますが、効きません。ですが、このまま連れていかれましょう。
『ユーリ、少し野暮用ができました。連絡用の個体を切り替えます』
『シュテル、どうしましたか?』
『襲われただけです。これから敵のアジトに連れていってもらうだけですので問題はありません。そこで蒐集するついでに犯罪者達を壊滅してきます』
『わかりました。気をつけてくださいね。護衛として戦力はいくつか連れていってください』
『はい』
別の個体へと本体の意識を移り変える。こちらの個体は気絶したふりをしておけばいい。その間に情報を収集し、他に攫われた人が居ないかを調べて助けるようにプログラムしておきます。
別の個体に意識を移動。完了。この個体はエヒト教の神官をしています。この個体との出会いは神エヒトについて色々と質問していた時です。 質問の結果、異端者として襲われたのでその司教を蒐集して始末しました。司教が色々とやっていたようで、今使っている個体はその被害者です。 散々犯されて食い物にされ、妊娠したら殺されました。狂信者の愚か者でしたが、子供に罪はありませんので赤ん坊だけは助け、子供として育てさせています。英才教育を施し、頃合いが来たら蒐集すれば損はありません。
司教は私の個体として傀儡へと変え、表向きは私が今いる神官の個体と共同生活をさせています。仮面夫婦という奴ですね。家では姿を私に変えていますので問題ありません。表でもほぼ接触しませんが、教会の連中を蒐集するには効率的ですので使う時は使っています。
「おお、これはこれはクリミアさん。ご体調はどうですかな?」
「はい。問題ありません、教皇様」
「それは良かった。これも全てエヒト様のお導きですな」
「はい。感謝しております。それでどのような御用でしょうか? 本日は信者の皆様に快く過ごして頂けるように清掃を行おうと思っておりますが、教皇様のご命令とあれば内容を変更いたしますが……」
「では、一つお願い致します」
「はい」
内容を聞くと地下にある場所の掃除でした。ですので、掃除道具を持っていったのですが、入れられた部屋は大迷宮に繋がる場所でした。
「そこの清掃を命じます。なに、貴女ならきっと大丈夫です。エヒト様を信じましょう」
なるほど。この個体では動きすぎましたか。これは戻ってくる事はできませんね。怪しまれますし。まあ、問題ないのですが。
「かしこまりました。行ってまいります」
奥へと進み、試練へと挑みます。ええ、ちゃんと挑みます。自分の力でクリアしてこそですからね。ただ、この大迷宮、神山には様々な条件があります。
神に対して信仰心を持っていないこと、二つ以上の大迷宮攻略の証を所持していること、神の力が作用する何らかの影響に打ち勝つことの三つです。
一つ目は一切持っていません。私が信じる神が居るとすればそれは我が身に宿る者達です。マスターとユーリ、ディアーチェとレヴィのことです。神エヒトという存在ではありません。故に問題は一切ありません。
二つ目はどちらも所持していません。三つ目は迷宮が用意した洗脳や魅了、意識の誘導、無意識への刷り込みなど精神と価値観に働きかけながら、過去の教会の戦士達と仮想空間で戦うという事で代用可能です。これがとても、とても楽しいです。蒐集もできて一石二鳥ですしね。ちなみにこれらの情報は実地とハッキングにより習得しています。試練は試練として受けますが、情報の収集は話は別ですからね。
「さあ、今日も楽しみましょう」
大迷宮に入れば姿を
「まいります」
目の前に現れた騎士達を見ながら、邪魔な精神操作系は全てカット。全力で戦闘を開始します。襲ってくる確かな技術を持つ騎士達。中にはヴォルケンリッターに引けを取らない者達も居ますので、とてもとても楽しいです。彼等と戦い、その技術を見て学び、自らの物とするのは喜びです。
「新たな戦術に様々な戦技と武器。あぁ……これでまた熱い戦いができます!」
背後から振り下ろされる剣をしゃがんで避け、炎を纏わせて刃を延長させてクロ―で振り上げて引き裂きます。同時に靴から炎を出して蹴り技を放って炎で吹き飛ばします。相手から飛んでくる矢の雨を瞬時に軌道を計算して私に命中するものだけを弾き落とし、次に飛んでくる様々な上級魔法の雨を計算し、致命傷の攻撃だけを防ぎます。
しかし、最初と違って相手も学習しているのか、炎では決して攻めてきません。水や土、氷ばかりです。嫌がらせのように弱点で攻撃してきますね。それもトラップまで使いだして、どんどん悪辣な事を仕掛けてきます。そんなに何度も挑まれるのが嫌なのですか?
「まあ、関係ありません。さあ、私にもっと、もっと貴方達の力を見せてください」
剣を掴んで砕き、別の騎士に殴り飛ばすと強者がこちらにやってきます。ですので、私も正面から相手をしていきます。剣と拳が何度も交わい、楽しいひと時を過ごしていると背後から騎士達が槍を突き出して突撃してきました。自分達が刺さることにも気にしていません。
そのまま同じ場所に留まれば死ぬ事になるので飛び上がって逃げるのですが、それは罠です。とんだ瞬間を狙って上から矢が降ってきて、それ以外の場所から魔法が飛んできます。ですので退路は目の前だけです。
「はっ!」
剣を身体で受け取る代わりに相手の首にクロ―を叩き込んで爪の内部から炎を出して焼き尽くします。すぐに魔法がとんでくるので、ソイツを掴んで魔法に投げてこちらに到着する前に逃げ……ようとして、自爆されて死にました。
「コンテニューです」
新しい躯体を作成し、挑みなおします。私が満足するか、迷宮に居る躯体が尽きるまでは楽しませてもらいます。しかし、なかなか習得が難しいです。高町なのはの身体を基礎として設計しているので神速が使えてもおかしくないのですが……まだまだ修行が足りません。
「なにたったの64時間ほどの戦闘です。よろしくお願いいたします」
騎士達の一部が涙目なのですが、気のせいですよね。そのはずです。さあ、楽しい楽しいデュエルの再開です。あちらの誘拐犯は弱かったのでいまいちでした。ですが、貴族達と繋がっているようなのでそちらの始末をするようにしておきましょう。駄目な人なら処置してまともな人になってもらいますが、普通の人なら問題なくそのままですので大丈夫でしょう。
念の為に国や教会と全面戦争になっても大丈夫なよう、下地を作っておかなければいけません。その為に人材は必要でしょうし、そうなると様々な物資が必要になります。
いくらなんでも、それら全てを召喚に頼るわけにはいきません。それにこちらは無駄になったとしても構いません。私達とマスターが平和に過ごせる環境作りの一環ですから、徒労になったとしても蒐集した分だけで充分と考えれます。
シュテルが想定していること、実はオルクス大迷宮だとなんの問題もないんだよね。あそこ、自給自足できますし。
清水君ヒロインアンケート 人になるます
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