ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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鈴と恵里のシーンはアニメ5話の二人で手を繋ぎ合ってるシーンみたいな感じです。


第29話

 

 

 全ての術式が無事に終了し、培養槽を横たえた状態から自動で縦の状態に移動させます。培養槽の中に居るお兄ちゃんの身体は無事に私が成長した姿へと変わりました。予定外の事もありましたので付きっきりです。ステータスを確認しながら、異常がないかを調べてあれば修正しました。

 沙条愛歌から何度も介入を受けましたが、あちらが魔術で介入してくるのでこちらは科学技術のナノマシンを投入して対抗しました。シュテルやディアーチェ、レヴィ、それにルサルカさんや詩乃さんにも手伝ってもらってどうにか髪の毛の色が変わる程度で終わりました。いえ、本当はもっと男性っぽくなるはずがほぼ成長した私のままになってしまったのは仕方ありません。あちらが短髪の男性に近づけようとしていたので過剰に反応しすぎました。

 

「とりあえず安定したな」

「これでもう介入される事はないでしょう」

「強かったね~」

 

 培養槽の中にあるお兄ちゃんの身体から、ディアーチェ、シュテル、レヴィの三人が出てきました。三人にはデータとなって沙条愛歌から送られてくるウイルスのような物の撃退をお願いし、無事に成功してくれました。

 

「お疲れ様でした。ディアーチェ達も大丈夫ですか?」

「我は問題ない」

「ボクも大丈夫だよ~」

「私も問題ありません。相手も休眠状態でしたから、これ以上の介入はできなかったようですね」

「良かったです」

 

 休眠状態ですら、介入してくる恐ろしい相手です。ですが、お兄ちゃんの為にどうにかしなければいけません。やはりデバイスは必要ですね。お兄ちゃんの身体は無事にどうにかなったので、そちらから着手しないといけません。それに鈴さんや恵里さん、ハジメさんの事もあります。

 

「ユーリ。まずは風呂に入ってゆっくりしようではないか」

「賛成。疲れたよ~」

「ディアーチェ達は休息してください。私はまだやる事がありますから……」

「ユーリ、酷い顔ですよ。そんな顔だとマスターに、お兄様に心配されますよ」

「そうそう。だからお風呂入って寝よ~!」

「でも、また介入があるかもしれません」

「それなのですが、一つ考えた事があります。ディアーチェ」

「うむ。ユーリ、沙条愛歌は魔に属する者であろう?」

「その筈です」

「ならば谷口の神獣鏡(シェンショウジン)だったか。それを使って封印といかないまでも力を削ぐ事はできるのではないか?」

「なるほど……」

 

 確かに鈴さんの持つ聖遺物。神獣鏡(シェンショウジン)は魔を祓う力があるそうです。それなら霊的存在と言える沙条愛歌の力を削げるかもしれません。

 

「鈴さんを呼んできてもらえますか?」

「任せて!」

 

 レヴィがビューンと駆けていきました。ですので、私は少し椅子に座って休憩します。

 

「ココアです」

「ありがとうございます。はふ~」

 

 シュテルに入れてもらったココアを両手で掴み、中を見るとミルクで可愛らしい猫の親子が書かれていました。可愛すぎて飲めません。

 

「さっさと飲め」

「あっ」

 

 ディアーチェが棒で掻きまわしてしまったので、ラテアートが崩れてしまいました。ですので、息で冷やしてからゆっくりと飲みます。すると身体の中に染みわたってくる感じがしました。

 

「お菓子も用意した。今日はシュークリームだ。疲れた頭には糖分がいい。食せ」

「は、はい……ん~!」

 

 口の中にカリカリの皮に中にある蕩けるような甘さのクリームがとても美味しいです。ココアも美味しいです。

 

「あ、いいの食べてる~」

「お邪魔します~あ、お菓子!」

 

 ラボの中に戻ってきたレヴィは無事に鈴さんを抱き上げてやってきました。すぐに机の上にあるシュークリームに反応したのは流石です。

 

「食べたいのなら食べていいが、まずは仕事だ」

「はい。ココアか紅茶を用意してお待ちしておりますので、まずは結界をお願いしたいと思います。全力全開でお願いしますね」

「全力全開!?」

「はい」

「う~ん」

「お願いします」

 

 理由を説明すると、快く受け入れてくれました。

 

「真名君のためでもあるし、うん。鈴も全力全開で行くよ! 神獣鏡(シェンショウジン)!」

 

 何処からともなく、鏡でできた扇子が現れ、それが解けて無数の細長い鏡が浮いていきます。鏡が培養槽を中心にして展開され、それらを起点として結界が展開されました。結界の中から黒い霧みたいなのが出て来て暴れだしましたが、すぐに消滅しました。

 

「ディアーチェ、アレって……」

「沙条愛歌がこの程度でやられるはずもない。別口であろうな」

「もしかして……」

 

 シュテルが結界の中に入りますが、なんともありません。

 

「レヴィ」

「は~い」

「レヴィもなんともありませんね」

「我もなんともないな」

「私は……」

 

 私が入ってもなんともありませんでした。不思議な事なので、すぐに検証するために他の人も呼びます。これがお兄ちゃん達に影響がある事だと困りますからね。またレヴィが楽しそうに雷を纏って行ってきてくれました。

 

 

 ◇

 

 

「それで緊急事態、なんだよな?」

「ん。レヴィが変な言い方をしてやってきた」

「どんな言い方をしたのだ?」

「て~へんだてへんだ~って!」

 

 レヴィが連れてきた皆さんはどのような事態かを詳しく伝えられていないようです。その事でレヴィがディアーチェに怒られていますが、説明がろくにされていないのにすぐに集まってくれた皆さんには感謝です。

 

「実は鈴さんに魔を祓う結界を展開してもらうと、沙条愛歌以外の魔が浄化されました。ですので、検証を兼ねて皆様をお呼びさせていただきました」

「なるほど。沙条に影響はあるのか?」

「排除しただけなのでありません」

「そうか。それならいい。俺達も検証に参加するぞ、ユエ」

「ん。ハジメがそう言うなら参加する」

 

 他の皆さんも頷いてくれました。

 

「では、順番に鈴さんの結界に入ってください」

「はい」

 

 鈴さんから結界の中に入りました。鈴さんは何もなく、次に恵里さんとルサルカさんが入りました。二人は身体から黒い霧みたいなのがでてきました。

 

「これがそうか」

「なんだか変な気分」

 

 詩乃さんも問題ありませんでした。アストルフォ君も同じです。ユエさんは出ましたが、ハジメさんは出ませんでした。

 

「なるほどね」

「そういう事ですか」

 

 不思議に思っていると事情を説明したルサルカさんとシュテルが何かに気付いたみたいです。

 

「私と恵里が出た理由はおそらく、この世界の住民の魂を吸収しているからよ」

「でしょうね。神山にあった大迷宮には神の力が作用する何らかの影響に打ち勝つことが攻略の条件としてありました。その事から、この世界の者は魂に細工されているのでしょう」

「おそらくそういう事でしょうね。私とマスター、恵里は大迷宮に漂っていた人の魂を取り込んでいるわ。だから、あの黒いのがでたのでしょう」

「とんでもない事がわかったな。つまり、この世界の住民はエヒトに操られている可能性が高いって事だな。そう考えると確かにあの話についても理解できる」

「あの話?」

「鈴は知ってる?」

「僕も知らない」

 

 詩乃さんや鈴さん、恵里さんが不思議そうにしています。三人はこの迷宮でエヒトについて知っていないので無理はありませんね。あれ、ルサルカさんも知らないはずですが……

 

「お前は知っているのか?」

「秘密よ」

「知らないのか」

「だから秘密よ!」

 

 ディアーチェの言葉にルサルカさんはこう言っているので、多分知っているんでしょうね。

 

「どっちでもいいが、これから会う現地住民には気をつけないといけないだろう」

「え~面倒だから皆倒しちゃえばいいじゃん~」

「駄目だ馬鹿者」

「え~」

「シュテル、レヴィの監視を頼むぞ。こいつ、最下層で随分と馬鹿になったようだ」

「はい。任せてください」

 

 確かにレヴィ、奈落に入ってからずっと戦いっぱなしでしたし、人との会話なんてハジメさんと会った時ぐらいですから無理ありません。本当はもっと賢くて良い子なんです。

 

「結界で解除したら、駄目……なんですか?」

「確かに鈴もそっちの方が楽だと思うよ?」

「いや、止めておいた方がいいだろうな。エヒトはこの世界をゲームの盤上として見ている。だったら、眺めるぐらいの事はしているだろう。そこに自分の力が届かなくなった場所が現れたら調査ぐらいはするはずだ」

「で、あろうな。画面を見もしないでゲームなどしないであろうよ」

「まあ、この世界からさっさと帰る方法を見つければ関係ないだろう。お前達の技術があれば次元跳躍ぐらい簡単だろう?」

 

 確かに私達の技術があれば次元跳躍は可能です。座標がわからないといけませんが、調査ユニットを沢山作って、色々な場所に送り込めばいいのです。

 この世界と地球がある場所にはエヒトによって作られた道が存在しています。例え破棄されていたとしても、作られた時に出来た痕跡は必ずありますので、後はその痕跡とお兄ちゃん達が持ち込んだ地球の品物と合わせてデータを取り、予測した場所に調査ユニットを送れば闇雲に探すよりも早く終わります。

 この調子ならかかっても一年以内に戻れるはずです。なのでオルクス大迷宮に籠っていればお兄ちゃん達は無事に帰れます。ただ、ここの世界から出る時が問題ですね。

 

「次元跳躍は生成魔法と私達の技術があれば可能ですが、簡単にはいきません。おそらく妨害されます」

「それにこの世界でのゲームが終われば、また最初から始めるか、別のゲームに移るでしょう」

「別のゲームか。碌な奴じゃ……まさか」

「可能性は高いです。何せこの世界にお兄様やハジメさん達を召喚した相手です。リセットしたゲームができるようになるまで、別のゲームとして地球を選ぶ可能性は否定できません」

「帰った地球はほどなく戦争状態になる可能性が高いであろう」

 

 えっと、お兄ちゃんのタブレットから得た知識で考えると、第三次世界大戦になるんでしょうか? 最終的に行き着く場所は核の撃ち合いでの滅びでしょうか? 

 

「ちっ」

「まあ、別に気にしなくていいわよ」

「なに?」

「だって、マスターは鈴を送り届けたらこっちに残るつもりだもの。だから、私達との生活に邪魔な神様を排除に動くはずよ」

「「「どういうこと!」」」

「教えろ。沙条は何を考えている」

「そもそも、鈴は神獣鏡(シェンショウジン)のお陰で大丈夫だけれど、マスターと恵里は永劫破壊(エイヴィヒカイト)を習得しているのよ? 殺人衝動だってあるのよ。地球に行ったって碌な生活を送れないんじゃないかしら?」

「それは……」

「それに私達の戸籍も無いですし、身体も変わったお兄様は果たして沙条真名として認められるかという問題もあります」

「待って。えりりんは帰らないの?」

「僕は真名についていくよ。地球に未練なんてないし、真名が居るこっちの方が過ごしやすい。それにいざとなれば鈴に会いにいくだけなら可能だろうしね」

「う~」

 

 この辺りは色々と話し合いが必要そうですね。

 

「私はどうなるのかな……戻れるの? それとも消えちゃうの?」

「詩乃さんはわかりません。有力候補として消える事が一番高いです。余程の事がない限り、戻る事はお勧めできません。ですよね?」

「今の所はそうであろうな」

「はい。残念ながら私達の知識に偏りがありますし、何処まで実現できるかも不明です」

「要はまだ何もわからないって事だろう。なら、今は最悪を想定して動き、備えるだけだ。ユーリ、デバイスの設計図は?」

「それは……」

「駄目だ。デバイスは真名が目覚めてからだ。現状では我等の安全は確保されている。故に無理に戦力を高めずとも問題はない。まずは治療に専念すべきだ」

「片腕と片足、両足の治療が必要な怪我人が後二人居ますからね」

「それもそうだが、俺の腕は義手にしてデバイスにしたいんだ。だからデバイスを作れないかと思ったんだよ」

「そういうことでしたら、今は培養槽を作ってください。恵里さんと鈴さんの治療を先にして、次にハジメさんの腕を作ります」

「わかった。すまないが頼む」

「では、話がまとまったところでお風呂に行くか。というか、レヴィとアストルフォは何処に消えた」

「二人なら外で遊んでる」

「あやつらめ……」

 

 まあ、仕方ありません。とりあえず、解散してそれぞれで行動する事にしましょう。

 

「えっと、ハジメとユエ、アストルフォ以外には話があるから、一緒に風呂へ行きましょう」

「ほう」

「いい加減、どうするか決めないといけないでしょう?」

「いいだろう。シュテル、レヴィを連れて風呂へ行け。我はユーリを連れていく」

「というわけで、三人も一緒にいくわよ」

 

 ルサルカさんに鈴さんと恵里さんが持ち上げられ、詩乃さんも大人しくついていきました。アストルフォさんにはお兄ちゃんを見ているように頼みました。女の子だけで入るので仕方ありません。本当に男の人には見えませんけれど、男性なんですよね。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 服を脱いで八人でお風呂に入ります。身体を綺麗に洗い合った後、湯船に浸かりながらお話をします。私達にとってはとても大事な事です。私、ディアーチェ、シュテル、レヴィ側とルサルカさん、鈴さん、恵里さん、詩乃さんの側で互いに反対側に入っています。

 

「裸の付き合いって事で、本音でいくわよ?」

「ああ、構わぬ。ユーリも構わぬな?」

「はい」

「じゃあ、私達は真名の妻になるつもりよ」

「待って! 鈴は聞いてないし、そんなの決めてないよ!」

「わ、私も……」

 

 鈴さんと詩乃さんはなるつもりはないみたいです。正直、ホッとします。私より身体が大きくて女性らしい恵里さんもいます。あれ、恵里さんは答えてません。

 

「え、えりりんは……」

「僕は真名の妻……ううん、奴隷になるつもり」

「「「奴隷っ!?」」」

 

 その言葉にルサルカさんを除く私達は驚きました。

 

「な、なんで!?」

「いや、二人は許してくれたけど、やっぱり僕としては二人を奈落に落とす原因になったんだよ? だから、妻じゃなくて真名の玩具や都合のいい女でいいの。僕は僕を見てくれてちゃんと構ってくれるならそれでいいから」

「駄目だよ! 真名君だってそう言うよ!」

 

 お兄ちゃんならちゃんと受け入れてくれます。シュテル達だってペットとしてじゃなくて、家族として受け入れてくれるんですから。

 

「鈴達はそう言うだろうけど、大切な人を危険にさらされたユーリちゃん達は納得しないでしょう? 納得したとしてもわだかまりは残るの。だから、これが一番都合がいいの」

「私はお兄ちゃんが気にしていないなら、なんの問題も……」

「待てユーリ。そもそもこいつはマスターの女になる前提で話している。だが、今はその前提について話している状況だ」

「あっ」

「ちっ、気付いたか」

 

 本当です。奴隷になるという言葉につい、それを否定しようとしてしまいましたが、そもそもなる必要がないのです。

 

「王よ。彼女も油断ならないようです」

「であろうな」

「え~ボクは皆仲良く、お兄ちゃんと一緒に居ればいいと思うけどな~」

「レヴィ。このままではお兄様が取られますよ」

「それは駄目!」

 

 そうですね。お兄ちゃんを取られたくはありません。

 

「取らないわよ。共有しましょうって言ってるの。ちなみに真名からはユーリがいいなら受け入れてくれるって言質をもらっているわ。だから、ユーリちゃん次第で皆が幸せになるか、それともドロドロの愛憎劇になるか、決まるの」

「待て、その言い方は卑怯だぞ」

「そうです。それではユーリが一人を選ぶ選択肢を取れません」

「ちなみに私は全力で、ええ、全力で妨害するからね! ええ、しますとも! 私が幸せになれないのなら、他人の足を引っ張りまくってやるわ!」

「最低ですね」

「まったくだ」

 

 私としてはお兄ちゃんが納得しているのなら構いません。ただ、お兄ちゃんを取られるのは嫌です。一緒に居て優しく頭を撫でて欲しいですし、手を繋いでピクニックや色々な事を一緒にしたいです。

 

「鈴さんは、どうしたいですか?」

「鈴は……」

「鈴、僕達は真名に隠すべきところや見られたら恥ずかしさで死ぬようなところまで全部見られているの」

「あっ、そうだった!」

「あれはあくまでも介護でしょ」

「でも、詩乃。介護にキスや身体を撫でまわされたりするのは含まれない」

「アレやったのってルサルカさんだよね!」

「残念でした。感触もそうだけど、真名も楽しんで後半は触ってたわよ?」

「そもそも、鈴、乙女として生きていける?」

「い、けるよ、きっと……」

「その、気持ち良くされた時の顔とかも全部見られてるけど……」

「む、無理かな……?」

 

 ディアーチェ達も頷いています。皆、ちゃんと人として生きた記憶もあるので、恥ずかしさとかも理解しています。だから、二人が排泄を管理され、更に互いにキスして唾液を交換したりするのがどういう事かも理解しています。

 

「じゃあ、鈴。その光景を思い出してみて」

「う、うん……」

 

 笑顔で銀髪になって手足を取り戻した恵里さんが鈴さんの両手を握りしめて伝えると、鈴さんは思い出したのか、顔が真っ赤になりました。

 

「あの……」

「詩乃は黙ってなさい」

「ふぐっ!?」

 

 詩乃さんがルサルカさんに黙らされました。私はおろおろとしてディアーチェ達を見ますが、忌々しそうに見ているだけです。シュテルを見ると、彼女は私の肩を叩いてから周りを見渡します。すると、今まで気づきませんでしたが、周りに変化がありました。それは影でできた何かが沢山蠢いていたのです。

 

「私達が行動を起こしたら、アレで妨害する気でしょう」

「うむ。事前に仕込まれていたな」

「倒す?」

「いや、止めておけ」

「争いたくはないです」

「それにお兄様から禁止されてますよ」

「なら駄目か~残念」

「ええ、まったくです」

 

 シュテルとレヴィが大人しく湯船に浸かってくれているので良かったです。

 

「じゃあ、次は相手が真名以外の男、そうだね……天之河君だったらどうかな?」

「え?」

 

 顔が赤から真っ青になりましたね。

 

「彼に見られたり触られたりするのは嫌?」

「嫌だよ! そんなの決まってるよっ!」

「顔はいいよ?」

「それでも嫌!」

「じゃあ、檜山君は?」

「絶対やだ! 死ぬっ!」

「二人にそんな事をされるか、死を選ぶとなると?」

「死ぬ! 鈴は自殺するよ!」

「じゃあ、真名だったら?」

「えっと、真名君だった……ら……」

 

 今度は顔が赤くなりましたね。

 

「嫌じゃない?」

「うん、全然いいよ! 今更だしね!」

「うん。それなら鈴は真名の事が好きなんだよ」

「ふえ? いやいや、これは慣れてるだけで……」

「じゃあ、あの二人にされても同じだよね? 慣れてるんだし」

「あ、あれ?」

 

 鈴さんが笑顔で固まりましたね。

 

「それなら、次はユーリちゃんが真名の隣にいて、真名が鈴に構ってくれない」

「うん、いつも通りだね!」

「……じゃあ、まったく知らない女の人が真名の隣で腕に抱き着いてキスをしていたら?」

「えっと、鈴も並ぶかな?」

 

 なんでそこで並ぶんでしょうか? 

 

「並んでも鈴にはしてくれないよ? だって、もう鈴は真名にとって赤の他人になるんだもん。構う必要もないし、世界を隔てれば簡単に会えない」

「え”」

「それに真名の近くには沢山の女の子たちが居て、彼女達は鈴と違って心だけじゃなくて身体も許してる。とっても気持ちいい事をしてくれる子だから、してくれない鈴とじゃ心の距離がどんどん距離が開いていくだろうね」

「す、鈴だって身体ぐらい自由にさせてあげるよ! 全部見られて触られてるもん!」

「鈴、それって妻になるのと何が違うのかな?」

「え? 全然違う……?」

「同じだよね? ああ、いや、子供ができても認知とかしてくれないし、してくれてもシングルマザーだね! とっても大変だよ? 鈴は僕のお母さんのようにはならないだろうけど、覚悟してね?」

「あれぇ~?」

「というか、そこまで身も心も許している時点で結果はわかりきってるわよね。さて、問題です。以上の事から導き出される答えは? 世間一般的にこういう関係はなんというでしょう。また、それに付随する感情はなんでしょうか?」

「内縁の妻かな? 付随する感情は……鈴は……真名君が……す、き……?」

「はい、Q.E.D.証明終了。僕と一緒に幸せになるため、真名の妻になろ? 鈴が一緒に居てくれて、幸せだったら、僕も幸せになれるよ」

「うん、ずっと一緒だって決めたもん! 鈴も真名君のお嫁さんになって真名君や恵里ちゃんと一緒に暮らすよ!」

 

 誘導尋問の気がしますが、二人が喜んでいて何よりです。

 

「ちっ」

 

 ディアーチェが私の顔を見て舌打ちしました。私、何か駄目な事をしましたか? 

 

「これは私達の負けですか」

「そもそもユーリが拒めるはずもないか。ルサルカ!」

「はいはい、なんですか~?」

 

 勝ち誇った表情の彼女にますますディアーチェが機嫌を悪くします。

 

「ユーリが一番だ。それ以外は認めんからな」

「わかってるわよ。基本的にローテーションするとしても、ユーリちゃんは特別枠にして、何時でもいい事にしましょう」

「わかっているのならばよい。それで問題はそっちの娘はどうするかだ」

「わ、私は……」

 

 詩乃さんの答えが決まっていませんね。

 

「と、とりあえず、真名が目覚めてから決めるわ……その、お母さんの事とか、まだ正直、頭の中がぐちゃぐちゃでまともに考えられないから……」

「何を悩む必要があるのよ。このまま妻の一人になるか、それとも叶わない相手に恋心を寄せて一生独り身で過ごすか。どちらがいいかなんて一目瞭然でしょ?」

「わ、私はあんな奴知らない! それに私は……」

「詩乃?」

「大丈夫?」

 

 詩乃さんが恵里さんと鈴さんを見ると、二人が心配そうに詩乃さんの顔を覗き込みます。

 

「い、今は決められないから、今度!」

 

 そうして立ち上がってお風呂から出ていきました。

 

「ふふ、これは面白くなってきたわね」

「そうね。詩乃がどうなるか本当に楽しみ」

「あまり酷いようなら真名に言ってお仕置きさせるぞ。接触禁止とかが妥当か?」

「詩乃と?」

「真名と」

「……しばらく様子をみる」

「私もそうするわ」

「やれやれ……」

「さすが王様!」

 

 頼りになります。

 

「っと、そろそろ出ないとまずいな。ユーリがフラフラだ」

「わかりました。皆さんもお好きなタイミングで出てください。外にフルーツ牛乳とコーヒー牛乳を用意してあります。少ししたら食事もできますので食堂にお越しください」

 

 私はディアーチェに抱えられてお風呂から出て、身体を拭いてもらいます。そうしているとうとうとしてきて、瞼が重く……

 

 

 

 

 




一応、詩乃以外は決まりです。詩乃はイベント不足という感じ。

感想で地上組について聞かれましたが、現状ではちゃんと原作通りにオルクス大迷宮へ進んでいますが、恵里と鈴が居ないので大変です。ただ、バッテリーはあるので、香織の負担が増えている感じです。
バッテリーは一応、作られています。それと香織や清水、雫はハジメ達が生きている事をシュテル経由で知りました。
次は地上かな? でも、地上、難しい。香織もユエの事を知ったら、オルクス大迷宮に突撃しそうだし、猫が居たら普通に行けるんだよなぁ。
感想にあった通りにそこに猫が居るだけで事足りるという……やっぱり、オルクス大迷宮で原作通りのシーンで合わせます。

清水君ヒロインアンケート 人になるます

  • 波の鳥 フ
  • 謳の鳥 コ
  • 空の鼠 ク
  • 深海のナニカ レ
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