戦闘する為にユーリとルサルカに体内に戻ってもらう。現状、戦闘になると全員の運用はできない。魔力を消費せず、普通に過ごすだけなら召喚キャパシティーを大幅に超えても維持する魔力があほみたい増えるだけで馬鹿魔力で補える。だが、事が戦闘になると魔力消費が飛躍的に跳ね上がるので、節約の為に体内に戻ってもらう。
なので、今回は身体をルサルカに貸してユーリはお留守番。レヴィとアストルフォの二人がメインだ。詩乃は適宜、力を使ってもらう。鈴や恵里、優花に使われている物はすでに二人の物で、身体に溶け合わせて融合させることで、召喚キャパシティーはそれぞれが支払っているようなものだ。なので、俺が支払う必要はない。正直、ジャックはどうなるかわからないが。
「あのぉ、それで本当に皆を助けてくれるのですか? できれば奴隷にするのは私だけで、皆は許して欲しいのですが……それだと帝国に捕まるのとあまり変わりませんし……」
恵里を前に乗せ、後ろに優花を乗せバイクで走っていると、ハジメの方に乗ったシアが聞いてくる。一応、彼女の声もハジメの通信機を通して各バイクに設置されているスピーカーから聞こえてくる。風圧とかも邪道だが、魔法で排除しているので音が聞こえないなんてことはない。
「俺は必要ないが、沙条……というか、ルサルカは考えがあるんだよな?」
「安心しなさい。奴隷っていっても対外的にそうするだけで、ちゃんと扱うわよ。アンタ達って聞いた話じゃ、帝国に追われるどころか、亜人達の国であるフェアベルゲンからも逃げているのよね?」
「は、はい……」
「確かに帝国から追われているわ、樹海から追放されているわ、厄介のタネだな。ほぼデメリットしかねぇじゃねぇか。仮に峡谷から脱出出来たとして、その後どうすんだよ?」
「うぅ……それは……」
確かに詰みの状態だ。敵は帝国だけじゃない。人間族全てだし、魔族からはどう扱われるかはわからないが、オスカー・オルクスの話なら、おそらく魔人族からも玩具にされるだろう。
「人間族に捕まるのが関の山だろうが。で、それ避けたきゃ、また俺達を頼るんだろ? 今度は、帝国兵から守りながら北の山脈地帯まで連れて行けってな。言っておくが、北の山脈だって
「うっ、そ、それは……で、でも! あれ? 皆が奴隷になったら皆さんが守ってくれる、のですか?」
「守ってあげるわよね、マスター?」
「その代わりに働いてもらうけどな。ハジメの方もそれでいいよな?」
「まあ、人手はあった方がいいしな」
「そういうわけで、ちゃんと働いてくれるなら衣食住は保証するし、隔離されているけれど安全な隠れ家もある。人間族には俺達の奴隷という事にすれば被害は抑えられるし、俺達が直接介入する理由にもなる」
「まあ、決めるのはお前達だ。後で相談するなりすればいいだろう」
ハジメがそう締めくくる。まあ、確かにぶっちゃければシアを蒐集したら最低限のメリットは確保できたと納得すればいい。俺達は最後まで面倒見てやるつもりではあるが、それを受け入れるかどうかはあちら次第だ。
『ライセン大迷宮を発見しましたが……』
『今は場所だけ記録しておいて放置しましょう。優先目標はシアさんの家族です』
『わかりました。あの、これは……』
『お兄ちゃん、レヴィが輸送部隊を見つけたようです……それで、その……』
『これは見せていいのかな……?』
流石はレヴィだ。速度が違いすぎる。その分、燃費も悪いが仕方がない。貯蓄した魔力がどんどん減って言っている。一分で千ぐらいは消費してやがる。
しかし、美遊やユーリが口籠ったが、どうしたのだろうか? デフォルメされた二人はなんとも言えない表情になっている。
『何かあったのか?』
『えっと……怒らないでくださいね?』
『女性の兎さんが、その……』
『襲われています』
『なるほど』
女の子二人にとってはきついことだろう。そういう目的で捕らえたのだろうし、味見でもしているのか。俺も同意の上とはいえ、優花には酷い事をしたのであまりどうこう言えない。詩乃もだが、ほぼ強制のような感じで関係を迫ったともいえるし。
『予定は変更する。レヴィ、
『殺していいの? へいとは殺すのは良くないって言ってたけど……』
『悪い。レヴィが嫌ならいい。そうだな……魔力ダメージで気絶させて兎人族を助けるだけでもいい』
『ん~ボクが自分で選ぶのか。王様に相談して……』
『レヴィ、自分で考えてください。これから必要な事ですから』
『むむ。難しい事はわからないけど、この人達はウサギさんを無理矢理、お嫁さんにしているんだよね?』
『まあ、そうと言えるな』
レヴィにとってこういう事はまだちゃんと理解できていないのだろう。ただ、そういう行為は俺としているわけなので、お嫁さんが欲しいと解釈したみたいだ。
『よし、それなら決めた! ボク、殺さずに捕らえるよ!』
『それでいいんですか?』
『うん! それでね、丁度、お婿さんが欲しいって言ってた子達が居るから、その子達に渡してくる! そうすれば互いに求めてるんだからいいよね!』
『あ、それは……』
『あははは』
『い、いいんじゃないか?』
子供故の純粋さで凶悪な事を選択したレヴィ。レヴィが言っている子達は
「じゃあ、そっちは頼む。一応、認識阻害の結界を忘れずに展開しておけよ」
『大丈夫! 強くて凄いボクに任せて! 行ってきま~す!』
『『いってらっしゃい』』
レヴィが突撃していく姿が見えるかのようだ。ただ、気絶した奴等はどうやって運ぶつもりなのだろうか?
「どうした?」
「帝国の輸送部隊をみつけたらしい。緊急事態のようだし、レヴィに頼む事にした」
「大丈夫か?」
「平気だろう。認識阻害で
「わかった」
「あ、あの、皆は無事ですか?」
「無事ではないが、命に問題はないだろう」
「そう、ですか……」
「ん。こっちも見えてきた」
ユエの声で前方を見ると……ワイバーンのような
それだけでなく、キラキラと光る物に飛んできた光線が反射されてワイバーンモドキを貫き、地上へと落としていく。地上ではウサミミをつけた者達が落ちてくるワイバーンモドキから悲鳴を上げて逃げ回ったり、頭を押さえて隠れたりしている。もっとも、隠れていても耳が出ているので意味がない。
「みんな~、助けを呼んできましたよぉ~!」
シアの声に気付いた兎人族が一斉に彼女の名を呼んだ。その間、空では楽しい戦いが行われているが。
「「「「「「「「「「シア!?」」」」」」」」」」
「はい。助けを呼んできました! ですからもう安心です!」
「お、おぉ……無事だったか。良かった」
「良かった~」
バイクから飛び降りたシアが兎人族の者達と抱き着いていく。互いの無事に涙を流しながら抱き合うのは良い景色だ。それもこれも空から落ちてくるワイバーンモドキの死体は鈴の結界によってしっかりと阻まれているからできることだ。ただ、結界が血や肉片などで満たされているので上を見て失神するのも何人かいるみたい。
「楽勝みたいだな」
「確認したが、地上の
「そうか」
「私はどうすればいい?」
「詩乃か……」
詩乃に戦ってもらうか、悩む。そこまで必要はないしな。
「そういえば詩乃はケットシーなんだよな?」
「そうだけど?」
「なら、テイミング*1できるんじゃねえか? ケットシーは」
「できる、かも?」
「それなら試してみるといいだろう。空飛ぶ
「真名、いい?」
「頼む」
詩乃がハジメの要望に従って空へと上がっていく。一応、鈴達に伝えて狩るのを控えてもらう。どうせこいつらは鈴の結界によって逃げられないのだから、ちょっとお話をすればいい。
◇ レヴィ・ザ・スラッシャー
お兄ちゃんから言われた通り、考えたら一番平和的な解決手段だよね、きっと。それにあの子達もお外に出たいって言ってたし、間違いないはず。
「よ~し、最強のボクが華麗に解決してあげるんだから!」
えっと、まずは認識阻害をして……あ、は、はーあ、ウサギさんを助けるならウサギさんの耳を付けた方がいいかな? そっちの方が警戒されないかも? でも、シュテるんが居ないし、躯体を作れないからこのままでいいや。
「いくよバルニフィカス! まずは場から整える!」
『Yes, sir』
ちゃんと
「救出作戦開始~!」
上空から雷を落として止まったところを降下し、馬車の御者を素早く斬り伏せて魔力ダメージを与える。意識を失ったらそれでよし。馬車の中から悲鳴が聞こえるけれど、できるだけ壊さないように布だけ斬り裂いて入る。さあ、強くてカッコイイボクの戦いの始まりだ!
◇ とある帝国兵
捕らえた兎人族を若い女と男だけを生かし、年老いた連中は処分する。男は労働力や戦場での肉盾として使い、女は性奴隷として使われる。特に兎人族の女は見目麗しいので飼育して色々と使うのが貴族には人気だ。
今回は魔族との戦争で損耗率が高い亜人奴隷を補給するため、ハルツィナ樹海へとやってきた。ハルツィナ樹海の近辺は定期的な周期と暇な時間が空いた時に警邏隊として出ている。こうすることで亜人達を油断させて捕らえている。
「はやく交代の時間にならねえかな」
「そうだな。まあ、俺はもうすぐだがな」
「ずりぃ!」
「順番だからな」
御者をしながら隣の奴と話す。こいつも俺と同じ兵士で、階級は低いからこんな役回りになっている。もちろん、任務として警戒はしっかりと行っている。そうしないとご褒美ももらえない。
「交代だ」
馬車の荷台へと続く布が開かれ、様々な匂いと悲鳴、喘ぎ声が聞こえてくる。隣に座っていた奴に手綱を渡してから、出て来た同僚と場所を代わる。ようやく楽しみにありつける。
「あんまりはっちゃけるなよ。壊しすぎると隊長に殺されるぞ」
「わかってますって」
隊長達が散々楽しんで壊れかけているのがこちらに回されてくる。だから気をつけないといけないのだが、まあ大丈夫だ。
馬車の荷台に入ると後ろで両手を縛られている男と女の兎人族が居る。兎人族の男は涙を流しながら、口枷を嵌められた状態で叫んでいる。
そんな奴等の前で若い兎人族の女を複数人で楽しんでいる。といっても、基本的に処女の奴は居ない。隊長が使った後だからだ。幼いのは居るが、こちらは貴族に売る者なので手出しはできない。
「開いてるのは……」
「ソイツが空いてる」
指さされたのは14、5歳ぐらいの女で既に身体中を殴られ、凌辱されてボロボロになっている。そいつは頭を押さえながらガタガタと震えているので、耳を掴んで引っ張り上げると顔が随分と腫れあがっているのがわかる。歯も何本かない。
「ソイツは壊していい。噛みつきやがったから、見せしめとして徹底的にやれ」
「了解」
顔だけでも治せばまだ使えるか。このままじゃ楽しめないからな。ポーションをぶっかけて犯そうとしたら、轟音が響いた。
「なにが起こった!」
「近くに雷が落ちたようです!」
「さっきまで快晴だったろうが!」
「空も暗くなってきてます!」
「ちっ。全隊に通達。ここで野営を行う! 準備しろ!」
「た、隊長……お、俺は……」
「お前は……まあ、いい。来たばかりの奴は遊んでろ。楽しんだ奴はすぐに行動しろ!」
「「「はっ!」」」
武器を掴んで出ていく奴等と残された数人。隊長も出ていったので、俺達は気兼ねなく楽しむ。
「いっ、いやっ、こないでっ!」
「やめてっ!」
泣き叫ぶ女達に手を出そうとした瞬間。また轟音が響いた。同時に兵士達の悲鳴もだ。何事かと思って振り返ると、馬車の幌が破られて中にナニカガ入ってきた。そこから微かに見える空には蒼い無数の落雷が周りに落ちている。
そのナニカはニヤリと笑い、手に持つ大きな蒼い雷で出来た刃を持つ大鎌を持つ。ソイツは水色の髪の毛に紫色の瞳をしていて、青いマントと黒い布製の鎧を見に着け、前が空いているスカートをつけている。股間の部分はしっかりと布の鎧で覆われているが、その形状からおそらく女、それも少女だとわかる。手には銀色のガントレットが装着され、
「ふっふっふっ、君達の悪行三昧はここまでだ! ボクが来たからにはもう手出しはさせないよ!」
「て、敵襲!」
普通ならこんな少女なんて脅威とは思わないが、もしもこの天候の急変がコイツによってもたらされたらのなら、やばいレベルの魔法使いだ。
「ど、どうした!」
「無駄だよ。お外の人達はみ~んなおねんねしてるからね!」
「なんだと!」
「さっき出ていったばかりのはず……」
「だって、ボクは強くてかっこいい最強の……あ、名前は駄目だった。やっぱ、お前達に名乗る名前はない! うん、これでいこう!」
こいつは馬鹿なのか? いや、ここで上手いこと良い逃れればいい。
「お、お前は俺達が何者なのか理解しているのか?」
「こんな事をして無事ですむと思っているのか! 俺達は栄えある帝国兵だぞ!」
「帝国に喧嘩を売るとどうなるのかわかってるのか!」
「てぇーくか何か知らないけれど、君達がウサギさん達を虐める悪い奴だってのはわかってる。だから成敗する!」
こ、こいつ……帝国すら理解していないだと!?
「なら、動くんじゃねえ! ハウリア共がどうなってもいいのか!」
「ひっ……た、たすけ……」
「ほーい」
気の抜けた返事をした瞬間。相手がバチッという音と共に消えて人質を取っていた奴の前に現れて顔を鷲掴みにした。当然、電撃を受けたそいつはビクンと身体を震わせて倒れる。
「遅い、遅いぞ! すろぅりぃ? って奴だ!」
「って、人質ごと攻撃してやがる!」
「あっはっはっ、非殺傷設定だから気絶するだけだよ! 安心してね!」
「ひぃっ!」
気付いたら目の前に居て、咄嗟の判断で剣を前に出して手を離す。するとその剣に相手の拳があたって粉砕される。
「まあ、人以外は普通に壊れるけどね!」
「契約に従い現れ出でよ、ボクのお友達!」
──声が聞こえて目を開けると、そこは馬車の近くだった。身体は動かず、無造作に地面に転がされているのがわかる。そこに兎人族がやってきて謝りながら俺達の服や装備など全てを剥ぎ取っていく。
あの化け物の方へ眼をやると、大規模な魔法陣が展開されていた。そこから湧き上がってくるように
「君達、喜んでいいよ! ボク、一生懸命に考えたんだ! エッチしてたって事はお嫁さんが欲しいんだよね! だから、ボクが用意してあげたよ。この子達も繁殖相手が欲しいって言ってたらから、
「アンタ、絶対にわかってないでしょう」
「んにゃ? え、なにか違うの?」
「いや、まあ……私達からしたら得しかないからいいけどね」
ま、魔族なのかもしれない。そうか。それならあの強さにも納得できるし、見た事もない新種の
「じゃ、ボクは帰るから後は適当に帰ってね。ウサギさん達、その……なんだっけ?」
「馬車ね」
「ば、ば……ソレに乗って来た道を戻るよ!」
「「「は、はい!」」」
兎人族が従って馬車に乗り、俺達の装備や服を持って走っていく。残ったのは身体が動かない帝国の兵士達だけ。助けが来るとは思うが、間に合わないかもしれない。
「な、なにが目的だ!」
「目的? 私達の目的は繁殖よ。あの子の目的はあのウサギ達だろうけど。ま、これから苗床になるアンタ達には関係ないわね」
「な、苗床だと!? 俺達は男だぞ!」
「関係ないから。私達はアルラウネモドキを基にしてナハトヴァールが生み出した新たな
無数の蔦が伸びて来て俺達の身体を拘束していく。
「やめろっ、助けてくれ!」
「いやだいやだぁぁぁっ!」
「え、エヒト様、お助けを!」
「あはははっ、ばっかじゃないの! 助けなんて来るわけないし、助ける気もないわよ!」
「あの少女……と……交渉させてく……」
他の奴が先程の子の事を話そうとして止まった。俺も考えるが、思いだせない。相手は少女だったか? いや、男だった? 髪の毛の色は? 瞳の色は? どんな魔法を使っていた? なんだ、なんだこれは!
「アンタ達は誰も○○○を認識できない。認識しても目の前から居なくなれば途端に忘れてしまう。そういう魔法をかけられているから。というわけで、後はゆっくりと楽しみましょう? 全部忘れさせてあげるから」
「アアアアアアァァァァァァ!!」
大きな花に頭を飲み込まれ、小さな細い何かが耳から大量に侵入してくる。下半身は穴という穴を貫かれて激痛を味わっていく。
◇
「くそ、
◇
「逃がす訳ないのに馬鹿だよね~。そう思わない?」
「は、はぁ~ですが、逃がしたのは事実では……」
「だって、他のウサギさん達が居る所まで案内してもらわないと駄目だからね。お兄ちゃんはウサギさん達を助けてこいって行ったから、ちょっと近くの街にも行ってこようかなって」
「……う、嬉しいのですが、大丈夫ですか……?」
「……怖いから確認してみる!」
お兄ちゃんとシュテるんに連絡を取る。全部説明するとすぐに返事がきた。
『えっと、というわけなんだけど……』
『流石に街を襲撃するのはまずい。というか、魔力がやばい』
『なら、その人はこちらで処分しておきましょうか?』
『大丈夫だ。魔族と認識されているのなら問題ないし、レヴィの事はわからないはずだ。このまま放置して魔族に警戒してもらおう。そうだな……レヴィ、奈落で作った
『それなら、あの
『
『大迷宮の機能を利用しているだけですけどね』
『ちなみになにを解き放つんだ?』
『オークです』
『女性がひどい目に会う奴か? それなら……』
『いいえ、男性がひどい目に会う奴です』
『このすばかよ! というか、どこでそれを……』
『私達も娯楽としてアニメや小説などは見ていますから。それと兵士だけ襲うようにしっかりと伝えておきます』
『それがいいね!』
ん~後はウサギさんを出しておけばいいかな。ウサギさん達の護衛にはやっぱりウサギさんだよね!
「ウサギさんが一匹、ウサギさんが二匹……」
とりあえず蹴りウサギさんを14匹ほど護衛として出したから、大丈夫だと思う。世話はお願いして、ボクはこの辺りでひと眠りする!
オルクス大迷宮で作られた
隊長さんは相手がレヴィだから助かりましたが、他の相手なら逃げられません。
清水君ヒロインアンケート 人になるます
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波の鳥 フ
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謳の鳥 コ
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空の鼠 ク
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深海のナニカ レ