ハウリア族の救助は無事に終了した。ワイバーンモドキも二匹ほど、詩乃がテイミングして手懐けた。こう考えると、詩乃というよりケットシーは闇術師よりなのだと思う。
こちらは問題ない。無事にレヴィが連れ去られたハウリア族を助けられたので、しばらく待っていれば数日で合流できるだろう。流石は雷刃の襲撃者と名乗るだけあって、移動速度がやばくてかっこいい。光よりは遅くても音に近い速度は出せるわけで、その速度は圧倒的だ。馬車での移動なんて数分もあれば追いつけるのは間違いない。だからこそ、遊撃戦力としては使い勝手がいい。敏捷Aを持っているアストルフォよりも速いのは間違いない。といっても、それに近い速度を出せるアストルフォもいるが……こちらは空を飛べないのでレヴィの方が移動は速い。
「ねえ、真名。ちょっといい?」
「恵里か。どうした?」
「うん……その、ね?」
「ん?」
もじもじとしている恵里が俺の腕を抱きしめてくる。
「ちょっとこっち来て」
「ああ、わかった。ハジメ、ここは任せていいか?」
「わかった。だが、おっぱじめるなよ」
「流石にねえって」
恵里に連れられて少し離れた場所に移動する。そこで彼女は俺の耳元へと顔を寄せて囁いてくる。
「兎人族のハウリア族を見てたら……我慢できなくなってきた」
「もしかして、エロい方か?」
「違う。いや、そっちでもいいけれど……する?」
「しない。となると、アレか」
『アレでしょうね~』
「うん。今まで見たのは仲間の南雲とその彼女であるユエだから抑えてたけれど……アレは違うから」
俺は疑似的にとはいえ、すでに檜山で済ましている。だが、
『性欲に変換して発散しちゃう~? お姉さんも溜まってきてるから、やっちゃうぞ~!』
「ルサルカは大人しくしていろ。でも、殺っていい相手が居ないぞ」
「ううん、居るよ」
『要るわね~この先だけど』
流石に二人も助けたハウリア族の事を言っているわけではない。そうなると、おそらく待ち構えているであろう帝国兵か。
「帝国兵か」
「聞いた限り、アイツ等だったら殺しても問題ないよね?」
「恵里は平気か? その、殺したり……」
「余裕だけど?」
不思議そうに聞いた事に告げてくる恵里に少し引いてしまう。まあ、俺も大丈夫だとは思うが、流石に躊躇なく言い切ったのは恐れ入る。いや、考えたら当たり前だな。恵里は鈴を殺そうと奈落に突き落としたりしているし、今更戸惑わないか。
『私も拷問したい~! 約束通り我慢しているんだから、や・ら・せ・て♪』
「相手次第だがいいだろう。向こうが敵対してきたら好きにしろ。ただ、全員は殺すな。何人か残してハジメ達も希望したら経験させる」
「わかった。準備して待ってる」
『はいはい。あ、メンバーは私と恵里、それから詩乃と優花ね。優花は別にいいけれど、たぶん一緒に来るでしょうし』
ルサルカの考えはわかる。帝国兵が詩乃を見てどんな反応をするかと考えているんだろうな。高確率で奴隷の提出を求めてくるだろうが、普通に俺が話す言葉を信じて撤退するのなら見逃してやろう。それ以外は悲惨な事になるだろうが、そこは諦めてもらうしかない。それとユーリもこちらに残ってもらい、兎人族の人達をみてもらうことにした。
「ハジメ。俺はルサルカと恵里、詩乃を連れて先にライセン大渓谷の入口に向かう」
「ん? 一緒に行かないのか?」
「ああ。一応、連中と話してみて、ハウリア族はワイバーンモドキ、ハイベリアに襲われて死んでいたと伝えてくる。それで撤退したら儲けものだが、撤退しない時は……」
「わかった。それなら俺は……」
「ここを守っていてくれ。何人かは連れてくるからな」
「……見せられないか」
「ああ。絶対に子供が見ていい光景じゃなくなる」
「わかった。行ってこい」
ハジメから許可を貰ったので、ブラックトライクに乗る。すぐに恵里が前に乗ってきて、後ろに優花がそっと乗ってくる。
「優花も来るのか?」
「話は聞いていたけど、一緒に行きたい……駄目ですか?」
「いや覚悟があるなら構わない。詩乃、ついてきてくれ」
「了解」
サイドカーは使わず、優花の後ろに詩乃が乗る。詩乃と優花は立ち乗りで優花は俺に、詩乃は優花に抱き着くことでバランスを取る。四人乗りになっているので凄く危険だが、全員が人の限界を超えているので問題ない。そんなわけで、鈴達にお留守番を頼んでブラックトライクに乗る。
◇
ブラックトライクに乗ってしばらく進み、自然な感じで作られた階段に到着した。流石にここをバイクで移動できないので俺を先頭に順調に登っていくことになる。だが、ふと思った。ここに飛べる者が二人居る。俺と詩乃の二人は空を飛んでいけるというわけだ。飛べないのは恵里と優花だけ。ルサルカは体内に入ればいい。というわけで、恵里と優花を抱きつかせ、二人のお尻を掴んで固定して飛び上がる。
「これ、すご!」
「こ、こわい……」
二人を連れて上昇し、一気に登りきる。階段が終わる直前で地面すれすれで到着する。外から見たら階段を登ってきたかのようにしか見えないだろう。そして、登り切った崖の上、そこには予想通りの連中が居た。
「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」
三十人ぐらいの帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、剣や槍、盾を携えており、俺達を見るなり驚いた表情を見せた。俺は外見だけなら中性的で女性よりで、わからないだろう。
だが、俺が抱えている恵里と優花はかなりの美少女と女性だ。二人共、前とは違って俺と肌を重ねる事で色気も格段に増しているし、それぞれが俺が、男が喜ぶような仕草をしてきたりもしている。ルサルカから習ったり、優花と融合したヘイゼルが男を暗殺する時に閨を共にすることがあったそうなので、男を誘うテクニックも理解している。そんなわけで20歳前後のヘイゼルになっている優花はかなり男受けするので、男達の視線が集まるのもわかる。品定めでもするような帝国兵の視線を受ける二人が俺に更に抱きつく。
俺はそのまま少し進んで二人を降ろし、後ろの詩乃が上がってくるスペースを作る。帝国兵はすぐに詩乃にも視線をやり、猫耳や尻尾を見て直ぐに喜色を浮かべだした。
「小隊長! 猫人族がいますよ! それに全員レべルがかなり高いです」
帝国兵は、詩乃達を完全に獲物として見るような、下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を女性達に向けてくる。詩乃達はその視線を受けて気持ち悪そうにして俺の後ろに隠れていく。
「あぁ? お前達は誰だ? 兎人族……じゃあねぇし、冒険者か?」
小隊長と呼ばれた男が声をかけてくる。帝国兵の態度は悪いが、一応は会話に応じてやるか。ルサルカは俺の中で拷問具を準備しながら、まだかな、まだかなと言いながら待っている。
「ああ、人間の冒険者だ」
嘘はついていない。ちゃんと冒険してきているのだから、冒険者というのは間違いではない。
「はぁ~? なんで峡谷から。あぁ、もしかして情報掴んで追っかけた奴隷商に雇われた連中か?」
「いや、ただ単に
「こんなところでか?」
「ハイベリアの卵が欲しくてね」
「なるほどねぇ~。で、成果は?」
「見ての通りだ」
両手を広げて何も持っていない事を伝える。流石に俺のデバイスは展開していないし、俺達の武器として見えるのは優花の腰につけているジャック・ザ・リッパーの短剣と詩乃の弓ぐらいだ。
「そうか。それは残念だったな。それで、そっちの猫人族は奴隷か?」
「ああ、俺の奴隷だ」
「ふ~ん」
気の無い返事だが、詩乃をしっかりと見ている。そんな詩乃は弓を持ちながら、もう片方の手で俺の服の裾を掴んでいる。優花も口元をマフラーを上げて隠し、身体を震わせながら服の裾を掴んできている。恵里だけはルサルカと同じく、ニコニコと笑っているだけだ。
「なあ、聞きたいんだが……ライセン峡谷で兎人族を見なかったか?」
「アレがそうであれば見たな」
「あ?」
「
「ちっ、やっぱりか」
嘘はついてない。ハジメやアストルフォ達によって殺された沢山の死体は見た。
「どうします、小隊長?」
「どうもこうも、既に死んでるならここに居ても意味はないだろう。撤収だ」
「ですが、怒られませんか?」
「確かに収穫が無いとまずいよな……よし、そこの猫人族を……いや、その女達は帝国で引き取るから置いていけ」
小隊長と呼ばれた男は、さも自分の言う事を聞いて当たり前かのように詩乃達を引き渡せと言ってくる。その顔は断られることなど有り得ないと信じきった様子だ。それがどういう事になるかもわかっていない。
「断る。こいつらは全員、俺の嫁だ。誰にも渡すつもりはないから、大人しく帰るがいい」
「……今、何て言った?」
「断ると言った。こいつらの全ては俺の、俺だけのものだ。諦めてさっさと国に帰ることをオススメする」
「「ん」」
震えている二人を抱き寄せて二人の頬にキスをすると、小隊長は顔を真っ赤にしながら怒りだした
「男か女かもわからないが、その服装からいい所の坊ちゃんか嬢ちゃんと思って見逃してやろうかと思ったが止めだ。どうやら口の聞き方がなってないみたいだから、しっかりと教育してやるよ。んでもって、別嬪の嬢ちゃん達の目の前でてめぇの四肢を切り落とし、てめぇと一緒に犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ」
「ねえ、もういいでしょう?」
「そうだな。俺も流石に大切な可愛い嫁達を犯されると言われたら──怒るからな」
「はっ、上等だ。全員、殺さずに生かして捕らえろ!」
帝国兵達がニタニタしながら槍や剣を構える。俺が動こうとする前に恵里が前に飛び出して、ジャンヌダルク・オルタの旗を地面に突き刺す。もう片方の手にはネクロノミコンが握られている。
「はっ、魔法使いがここで何の役が……」
「『燃え盛れ、地獄の憤怒よ。復讐するは我等にあり。地獄へ引きずり込んであげなさい』」
地面に大きな魔法陣が展開され、そこから炎が溢れ出し、それらが不死者達の形へとなっていく。地面から現れてくるのは獣人や魔族。それに人族もいる。
「ひっ!? な、なんだこいつら!」
「ば、化け物が!」
「あ、あぁぁ、嘘だ。なんで、お前がいるんだ! 死んだはずだろ!」
阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。出て来た不死者達は帝国兵に掴みかかる。当然斬られるが、黒い炎によって作られた身体は鉄を溶かし、斬られたとしてもすぐにくっつく。そして、捕まれた場所は溶かされるわけでもなく、火傷していくだけ。
「恵里、これは?」
「私とジャンヌの合作魔法。対象が今まで殺し、恨んで死んでいった連中を地獄から召喚して地面の中に引きずり込んでじっくりと焼きながら殺す。
復讐するは我等に有り、か。確かにその通りの魔法だな。
「詩乃と優花は見たくないなら下がっていていい。俺とルサルカも参加する」
「わかった。私はちょっと遠慮しておく。援護ぐらいはするから、後ろは気にしないで」
「私はやる。やります」
詩乃は口を押さえて離れ、優花は逆に短剣を握って構える。そうこうしている間に相手は魔法使いとの戦いのセオリーを思い出したようだ。
「術者を狙え! 弓を放て!」
無数の矢が放たれるが、恵里は気にせず身体で受ける。その身体に矢は突き刺さりはしない。それを見て、絶望的な表情を浮かべるが、こんなのはまだ序ノ口だ。
「ルサルカ、待たせたな。全ての制限を解除する。二、三人残して好きにしろ」
「やった! よ~し、やるわよ!」
残り少ない魔力をルサルカに譲渡し、顕現させる。隣に現れたルサルカはさっそく拷問を開始する。一人目はファラリスの牛に飲み込まれ、じっくりことこと焼かれる。次は串刺しにされてゆっくりと血を抜かれていく。その次はアイアンメイデンに閉じ込められていく。それはもう楽しそうに笑顔で拷問していくルサルカ。
「ば、馬鹿な……帝国に喧嘩を売ってただで済むと……がっ!?」
小隊長を蹴飛ばし、転がったところに追いついて頭を踏みつける。
「残念だったな。そもそも誰も帰らなければ
「た、隊長の部隊が戻ってきたらお前達は終わりだ! 今ならまだ許してやるぞ!」
「ああ、その部隊なら一人を除いて壊滅したよ。捕らえていたハウリア族は全ていただいた」
「なっ、何だと!?」
「見逃してやろうと思ったが、お前……俺の女を犯すとか言ったから止めた。恨むのなら、自分を恨むがいい。さて、美遊。食事の時間だ」
『た、食べたくない、です……』
「ああ、残念ながらそれは無理だろうな」
『うぅ……』
美遊には悪いが、
「や、やめろっ、たっ、助けてくれっ!」
「そう願ってきた人達にお前はどうした?」
「た、助けてきたに決まってるだろ」
「嘘だな。それをこいつらが証明している」
恵里に召喚された不死者達は小隊長の身体を引きずり込もうとしている。だから、嘘だとわかる。小さな子供までいるので、こいつがどれだけ酷い事をしてきたのかは明白だ。
「ああ、安心しろ。お前達は魂の隅から隅まで全て使い切ってやる。お前達の死は決して無駄にはならない。全てを許し、この世界の為に我が力としてやる。お前達が守ろうとした世界は俺が愛し、守っていってやる。だから、安心するといい」
「ふざけるなぁぁぁっ!」
「美遊、神喰いを起動」
『はい』
六ツのデバイスが同時に現れ、俺の周りを浮遊する。それぞれに設置された小型の魔導炉から魔力が溢れ出し、綺麗な粒子をまき散らす。俺は指示をして実験を始める。まずは小隊長の身体を剣の部分で切り裂き、呪いが効果的に発動するか見る。すると斬り裂いた傷口がパクリと開いて一瞬で骨を切断し、分断された。
「ぎぃ、やぁぁぁぁっ!!」
「呪いつよ」
『過剰な魔力と相手の抵抗力が極限まで減っています。この魔法陣の上ではその、呪いはかなり強まるかと……』
恵里の力と合わさっているわけか。まあ、こいつは五月蠅いし、さっさと殺しておくか。いや、情報収集の為に拷問は……あれ、必要ないか。
「美遊、蒐集しろ」
『はい』
「やっぱ止めだ」
『いいんですか?』
「ああ。ルサルカ」
「なにかしら?」
「こいつを拷問して情報を吐かせてくれ。やり方は全て任せる」
「は~い」
小隊長を蹴ってルサルカに引き渡す。ルサルカは大喜びで遊びだした。俺としては蒐集してから情報を引き出しても良かったが、それって絶対にやってるであろう凌辱シーンを美遊に見せるということなので取りやめた。ただのエネルギーに加工してしまえば美遊はみなくてすむ。
「優花は……」
『あちらです』
「ほう」
優花の方を見ると必死に死にたくないと叫びながら逃げる兵士の背後に現れ、後ろから首に手を回して短剣で喉を切って殺していた。次の奴はいつの間にか指に挟んで持っていたジャック・ザ・リッパーの短剣を複数同時に投げて別々の相手へ突き刺している。そして、すぐにその場所から消えて別の場所から攻撃している。優花から逃れた相手はどこからともなく矢が飛んできて足を射抜いていく。おそらく詩乃だろう。
「魔力砲の実戦チェックでもするか」
『そうしましょう』
どうせ放っておいてもルサルカを経由して魂は集まってくる。だが、やはり一人ぐらいは殺しておくか。そんな訳で、兵士の頭を踏み砕く。ぐちゃっと気持ち悪い感触はしたが、吐きそうになったりはしない。
「やっぱり、すでに人の精神性から離れているのかも知れないな……」
『ただ単に私がカットしているだけです』
「そうなのか?」
『嫌悪感、要りますか? 居るなら戻しますけど……』
「戻してくれ」
『わかりました』
すぐに気持ち悪くなってきたが、耐える。美遊達だって耐えているのだから、俺も耐えなければいけない。
「美遊、魂は大丈夫か」
『あ、意外に平気でした。すぐに聖杯にくべれば魔力に変換されるだけですので。それに少し美味しくも感じます』
「確かに
『はい』
見ればルサルカも恵里もトリップしている。そんな状態で虐殺していくのだから、
◇
さて、ある程度満足した俺はまだ遊んでいるルサルカや恵里から離れ、身体を魔法で綺麗にしてからブラックトライクの上で共に吐いた汚物を綺麗にした詩乃の耳や尻尾をモフモフしつつ、優花の身体を揉んで楽しむ。二人共、不安そうだったので互いの精神安定のためにも都合がいい。優花も気持ち悪がっていたからな。
そんな風に二人とイチャイチャしていると、終わった恵里が満足そうにやってきた。ルサルカの方を見れば女性の悲鳴が聞こえてくる。相手は帝国騎士の女で苦悶の梨だったか。アレを実際に使われていた。他に無事に生きているのは女性二人と男二人だけ。それ以外の人間は全て死んでいる。
「随分と派手にやったな」
「お、もう来たか」
辺り一面、血や肉が大量に有り、その匂いに釣られてやってきた
「情報は?」
「ルサルカが率いていた小隊長から引き出してる。それと何人か残しているから好きにしてくれ」
「じゃあ、一人は俺が殺すとして……後はどうするかな……」
「あの、一人は私にください。わ、私もハジメさん達についていくので、け、経験しておかないと……」
「それもそうか。ユエはどうする?」
「ん。私もする。ハジメの初めては一緒がいい」
「そ、そうか」
「じゃあ、恵里」
「うん。案内するね」
恵里に任せると、ユーリが抱き着いてきて身体をペタペタと触って確認し、それが終わると頭を押し付けてきたので撫でてやる。鈴も少ししてから俺に抱き着いてきた。鈴の顔が少し血で汚れていたから、経験したのだろう。アストルフォは当たり前だが、平気そうに連中の装備をあさっている。
「お兄ちゃん……大丈夫ですか?」
「平気だ。こいつらは俺の嫁に手を出そうとしてきたからな」
「はい。お兄ちゃんの怒りの感情は私達にもちゃんと伝わっていますからね」
「ああ、悪い」
「いえ、いいんです。それよりも無理はしないでくださいね?」
「ああ、わかっている。鈴は大丈夫か?」
「うん。鈴も少し気持ち悪いけど、平気だよ。しののんやゆかゆかを襲おうとしたんだから、当然の報いだよ」
「ありがとう」
「うん。嬉しい」
そうこうしていると、遊び終わったルサルカが満面の笑顔でやってきた。手にはコップが握られて、そこには明らかにお酒が入っている。それをぐびっと飲む。
「ん~やっぱり一仕事した後のお酒は最高だわ~。あ、アンタ達も飲む?」
「飲みたいが、年齢的にアウトだ」
「そう、残念ね」
「情報は?」
「帝国の部隊構成と戦況、配備状況くらいしかわからなかったわね。あ、後は帝国の皇帝が王国にお忍びで訪ねているそうよ。目的は勇者達の視察だって。道中で暗殺しちゃう?」
「するなら、やってくるよ?」
「いや、いい。ヘイゼルが暗殺者とはいえ、本当に暗殺はしなくていいからな」
「うん、わかった」
マフラーで口元を隠してから、俺にもたれ掛かってくる優花。やはり、もうちょい時間はかかりそうだ。
「帝国の戦況は?」
「今の所、遅滞戦闘と奇襲を繰り返して、引き寄せたところで一気に殲滅。それから押し返して元の国境線まで戻すって感じね。どうにか侵攻を押さえているみたいだけど、人材と資源を食いつぶしてるからね~時間の問題でしょう。そら勇者召喚するわ~って感じ?」
「ふむ。戦場の位置はわかるか?」
「だいたいでいいなら?」
「なるほど。ルサルカ。
「聖遺物で殺したらないけど、あんまり離れ過ぎれば回収はできないわね」
「そうか……」
なら、聖杯で弾丸を作り出し、ここから砲撃をしたらどうだ。通常で42キロ。魔法で電磁加速を使って80キロまでぐらいなら砲撃を届かせられる可能性がある。だが、やはりここからでは距離が足りないか。
「ルサルカ、いっその事帝国軍に入るか?」
「嫌よ。私は真名から離れないんだから。だいたい受肉してないから無理だって」
「それもそうか」
維持する魔力も馬鹿にならん。
「あの、射程が問題ならお兄ちゃんのドーラとグスタフでしたか。それを改造しましょうか?」
「いやいい。それなら魔力砲を撃った方が早いだろうしな」
「それもそうですね」
「まあ、帝国は無視しておけばいいのよ。どうせレヴィの放った子達で大変になるでしょうしね」
「だろうな。そういえばアルラウネモドキが居たが、アレのモデルって……」
「ああ、ヨーキね」
「エロゲーじゃねえか!」
「あっはっはっ」
ヨーキ。VenusBlood-BRAVE-に出てくる敵キャラで、やられ役だが結構強い。女性を犯して記憶を壊し、苗床にする。しばらくそのままで生き、子供が孵化すると親を養分として吸い取ってから親の力を引き継いだアルラウネが産まれてくる。
「あ、男性でも繁殖できるようにしておいたから大丈夫よ。もちろん、お花もつけられるから精神操作も可能。雌オーク達とヨーキ、それに魔族を相手にどこまでやれるか楽しみね」
「魔族が有利になりすぎない?」
「それでいいのよ。こっちが建国した時に攻めてこられないし、協力してやれば認めざるを得ないから。それに王国の戦力を減らすという意味でもこっちの方が都合がいいしね」
「でも、帝国の人達が苦しみませんか?」
「ヨーキと雌オーク達には兵士以外は襲うなと言ってあるが、緊急事には村や人間達を守るように伝えておけば大丈夫だろう。ゆくゆくはオーク達も一つの種族として認めさせる」
「魔人国家の誕生ね!」
「楽しそうにしているところ悪いが、そろそろ出発するぞ。流石にここで野宿したくはないからな」
「了解」
さて、次の目的地はハルツィナ樹海だ。もっとも、予想通りなら戦闘になること間違いなしだ。相手次第でフェアベルゲンだったか。その国を丸ごと貰おう。ハルツィナ樹海は拠点にするには十分な場所だからな。
清水君ヒロインアンケート 人になるます
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波の鳥 フ
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謳の鳥 コ
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空の鼠 ク
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深海のナニカ レ